「ロードバイクの正しいペダリングの仕方」とか「上手な走り方」は、いろいろな雑誌や記事でしばしば語られる。だけど、実際に自分が出来るかは別問題だし、効果を実感できるかも難しい問題だ。
僕はずっとロードバイクに乗っていたんだけど、ダートに突っ込んだりMTBを買ったりしてオフロードを走る様になってから、ロードバイクのペダリングや走り方が変わり、体感的により楽に・速く走れるようになった。
あくまで僕の感覚でしかないから内容が合う方/合わない方がいらっしゃると思うけど、備忘録的に残しておきたいと思う。
<目次> 1.オフロードって刺激的 2.ペダリングの変化 2-1.軽く大きく回す 2-2.ダンシングは高い位置から踏む 2-3.上半身をリラックスさせる 3.走り方の変化 3-1.重心の前後位置が分かる 3-2.フロントアップとホッピング 3-3.コーナリングは外側の手で踏ん張る 4.最後に
1.オフロードって刺激的
ロードバイクでのサイクリングも刺激的で楽しいんだけど、オフロードはその比ではないくらい忙しい。
森の中を走る楽しみはもちろん、タイヤが滑る地面に物凄い斜度の登り&下り、飛び越えなきゃいけない倒木、ガレた岩、急カーブ…etc.
その中を走るのがオフロードの醍醐味でもあって、ロードバイクで舗装路を走っているだけでは経験できない走行環境だった。
そして、上手く走り切るためには乗車スキルが必要になる。僕はオフロード初心者でへたくそだけど、下手なりに体重移動とかペダリングとかバイクコントロールとか、少しずつ「新しい自転車の乗り方」を体験できたと思う。
そのうえでロードバイクに乗ってみると、今までとは違うペダリングフォームや走り方が見えてきたという訳だ。
感覚的な部分が大きいし科学的に正しいことなのかは分からないけど、少なくとも僕は以前に比べてより楽に・速く走れるようになったので、それについて書き残しておきたい。
2.ペダリングの変化
まずはペダリングの変化から。
2-1.軽く大きく回す
はじめに変わったのが、ペダルの回し方。今までは「踏む:3時前後」と「引き足:9時前後」の2つの意識がメインだったのが、「全体:0~12時」でペダルを回すことを意識できるようになった。(特に変わったのは0~2時くらい)
というのも、斜度のキツイオフロードだと、タイヤに伝えるトルクにむらがあるとバイクが進まないのだ。急に高トルクで踏むとリアが滑って空転しちゃうし、減速しやすいからオンロードでは認識しにくい「加速⇒減速⇒加速⇒…」という走行時の加速度変化がありありと分かる。
そこで発見したのが、『軽く大きく回す』ということ。自分が一番力の入る場所(2~4時)で高トルクを出して踏むんじゃなく、軽い力で全体的にまんべんなく回す。このとき、ただ回すんじゃなく、股関節から大袈裟に脚を動かすとうまくいった。ひょっとすると、上死点(0時)のクリアの仕方がスムーズになったのかも知れない。
いつもの脚の動かし方でただ「回そう」と意識しても、パワーが落ちで良いんだか悪いんだか…という感じだったけど、描く円を大きくするイメージで、太ももの付け根から脚全体を大きく使うようにすると、パワーを出せる状態でまんべんなくペダルに力を伝えられるようになった。
これが意外にもエアロポジションで走るときにも役立って、上半身を伏せたままペダリングをするときも、太ももへの負担が減ってお尻の方にも負荷が分散されて楽に走れるように。なんというか、より滑らかに脚が動くようになった気がする。(気がするだけかも知れないけど)
2-2.ダンシングは高い位置から踏む
ダンシングにも似たようなことが言えて、もっとムラなくスムーズに走るペダリングを意識するようになった。
そこで見つけたのが、『自分の重心位置を高くしておく』ということ。
今までも「ペダルに体重を乗せよう」と意識をしてはいたんだけど、どちらかと言うと前のめりになって、ハンドル荷重になっていた。
それを、体重を100%ペダルに乗せるようにして、更にペダルの高い位置から(0.5~4時のイメージで)じわ~っと体重を預けていくと、劇的にダンシングが楽になった。
イメージとしては、階段を上るような感じ。
ちょっと階段を上り下りして試すと分かりやすいけど、自然と腰は高い位置のまま胸を張り、前側の脚の真上に重心を移動させながら上っていると思う。逆に、普段より腰を落として脚が深く曲がったままにしたり、身体を前に倒して(ハンドルに体重を乗せているイメージで)上ったりすると、太ももがキツイはず。
それが、今まで僕はそういう「キツイ登り方」をしていた。なんかパワーが出ているような気にはなるけど、必要以上に消耗しているだけ。階段の話に戻ると、どの上り方をしても仕事量は同じ「1階分上った」なんだから、楽なフォームの方がいいに決まってる。
2-3.上半身をリラックスさせる
「ペダルに体重を100%預ける」というのを意識するにあたって、上半身をリラックスさせるとやりやすかった。
極端な話、ハンドルは辛うじて持ってる…かな?というくらい全く力を入れない。
「え、こんなにハンドル持ってなくて大丈夫?」と不安になるけど、思ってみればあんなにガタガタなオフロードでも、ガチガチに力を入れてハンドルを握る必要はなかった。寧ろ無駄な力を抜いて、自転車が勝手に進むのに任せてしまった方が、楽だし速くスムーズに進む。
3.走り方の変化
ペダリング以外にも、走行中のバイクの扱いが変わった。これも僕個人の体感としてはかなり楽に走れるようになったポイントだ。
3-1.重心の位置が分かる
これはスタンディングスティルの練習をしたり、雪道を走ったり、サドルを抱えるくらい身体を引いて下ってみたりして分かったことだけど、「今自分がバイクに対して前乗りor後乗りか?」というのが分かるようになった。
「それで~が変わった」という風に効果を説明するのは凄く難しいんだけど…なんというか「バイクを扱えてる感」が圧倒的に増した。
自転車に乗っていて、気持ちいいというか楽しいというか。抽象的な表現で申し訳ないのだけど、サドルの上がより心地よい場所になった。(笑)
3-2.フロントアップとホッピング
オフロードで丸太を越えたり段差をクリアしたりするのに、少しでもフロントを上げたりポッピングが出来たりすると便利だった。まだ僕は超へたくそだから、ちょっとタイヤを浮かせるくらいしかできないけど、ロングライドでもこの技は使えるなと思ったり。
例えばダウンヒルで路面の亀裂や穴があるとき、今まではハンドル・サドルの抜重だけを意識していた。それでも十分効果はあるんだけど、避けられるならポッピングで飛んで避けてしまうとか、フロントだけでも浮かせて走ってみると、ダメージがほぼゼロになる。
まだ全然練習中だし失敗もするけど、これをうまく使えたらロングライドでもかなり役立つなと思っている。(当然タイヤを浮かせている間は曲がることも減速することも出来ないから、むやみに使うのは危険。)
3-3.コーナリングは外側の手で踏ん張る
ロードバイクでのコーナリングは多少バイクを倒すこともあるけど、その時は体重移動を意識してハンドルへの意識はおろそかだった。
オフロードではフロントが滑る⇒ほぼ100%落車、ということも多くて、フロントタイヤのグリップを初めて考えるきっかけになった。
そこで知ったのが、コーナーで「外側の手」に荷重をしておくとフロントのグリップが保たれやすくて、コーナリングでの安心感が違うということ。ひょっとすると今までのままでも良かったのかも知れないけど、この意識で走ると峠のコーナリングもよりしっかりと走れている感じがする。簡単な意識なので、良ければ次のライドでお試しあれ。
4.最後に
以上、ロードバイクしか載っていなかった僕が、オフロードを走る様になって成長?したペダリングや走行技術についてまとめてみた。
僕は1人のホビーライダーでしかないから、果たしてこれが皆さんにもそのまま適応できるのかや、万人に通じるのかは分からない。そんな不安から記事にはしていなかったんだけど、先日YouTuberのTom’s cyclingさんやActivikeのにっしーさんが、僕の思っているのとかなり近い内容の動画をアップロードしていた。
そこで「ひょっとすると僕の変化も役立つかな?」と思い、記事にしてみた次第。なにか1つでも、皆さんのペダリングやライドの参考になれば幸いと思う。
おわり