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【キャリアvs.バイクパッキング】自転車にキャンプ装備を積むのにどっちが良い?

自転車でキャンプツーリングをするとき、どうやって荷物を積載するかが問題となる。方法は大きく2つで、トラディショナルな『キャリア+パニアバッグ』か、軽量で新しい『バイクパッキング(ラックレス)』か。

グラベルロードで両方の積載方法を試したうえで、実際にそれぞれの良し悪しはいかほどか、僕なりの意見をまとめていきたい。

<目次>
1.キャリアとバイクパッキング
2.キャリアの良し悪し
3.バイクパッキングの良し悪し
4.で、結局どっちがいい?
5.変にこだわる必要はない

1.キャリアとバイクパッキング

自転車にキャンプ道具などの荷物を積むとき、大きく2種類の積み方がある。

①「キャリア」と言われる荷台を自転車に取り付け、そのキャリアに荷物を取り付ける方法。

②バッグを自転車に直接取り付ける方法(日本では「バイクパッキング」と言われる)。キャリアを使用しない。

例えば「キャリア」はこんな感じ。

キャリアはフロントとリアの両方に取り付けが出来るけど、この画像ではリアにのみ取り付けている。

そして、そのキャリアに「パニアバッグ」と言われる、キャリアの横側に取り付ける大型のバッグを使用している。上の画像では白い大きなバッグがそれだ。

そして、「バイクパッキング」はこんな感じ。

基本的にキャリアを使用せずに、バッグを直接括り付ける。各バッグには「サドルバッグ」「フレームバッグ」「ハンドルバーバッグ」…など、取り付け場所に応じた名前が付いている。

自転車の形状にピッタリフィットさせるため、多くは専用のバッグを使用し、積載可能な容量もキャリアに比べて少なめだ。

「じゃあキャリアとバイクパッキング、どっちが自転車キャンプをするのに良いの?」という疑問に答えるべく、両方のスタイルを楽しんでいる僕なりに、あれこれ語っていきたいと思う。

 

「バイクパッキング」の定義について

この記事では、バイクパッキングという言葉を「キャリアを使用せずに荷物を積む方法」として使っている。しかし、語源的には「自転車(バイク)に野営道具などの荷物を積んで(パッキング)、冒険的なサイクリングに出かける行為」を指しているらしい。詳しくは、こちらの記事が分かりやすい

だから、ルーツを持つ海外の記事を見ると、キャリアを使用していても「バイクパッキングの方法の1つ」として紹介されていたりする。

僕は語源的な意味合いが好きだけど、この記事では便宜上『バイクパッキング=キャリアを使用せずに積載する方法』として使用する。

 

 

2.キャリアの良し悪し

まずは、キャリアの良し悪しから。

①なんでも積める

キャリアの一番のメリットは、何といっても「懐の広さ」。扱いが楽だし、その積載量と安定感で、どんな荷物でも積み込むことが出来る。

「自転車キャンプ」にもスタイルは様々あれど、食事をそれなりに作ったり、寒い時期にも遊んだりすると、荷物の量はおのずと多くなる。

装備がまだ揃っていないビギナーは特に、キャンプ道具が必ずしも自転車キャンプに特化したものではないだろう。自転車に積み込むのが困難な形状やサイズの物も多いが、そんな装備でもキャリアならひとまとめに出来る。

パニアバッグは両サイドで40Lほどの大容量を確保できるし、キャリアの上にも更に20Lほど積載可能。だいたいのキャリアは耐荷重が20㎏くらいあるから、重量的な心配もない。

キャンプで使いやすい折りたたみ式のマットや、バッグに入りきらないポールなども、キャリアに直接括り付けられる。専用のバッグを用意せず、中型~大型のバックパックをキャリアに括り付けてしまうのも1つの方法だ

 

②扱いが簡単・楽ちん

バイクパッキングに比べて、キャリアは扱いも簡単。

専用のパニアバッグはワンタッチで確実な固定が可能なモデルが多いし、装備をパッキングするときも、入れる順番や配置が適当でもちゃんと機能する。

大型サドルバッグのように、運用をちゃんとしないと揺れたり垂れ下ったり…という面倒もない(詳しくは後述)。

テントに荷物を入れるときも、バッグごとテント内に入れてしまえば終了。バイクパッキングで沢山のバッグから荷物を1つずつ出すのは大変だから、装備量が多い人ほどメリットが大きいはずだ。

 

③初期投資を安く抑えられる

何を買うか次第だけど、キャリアスタイルの方が初期投資を安く抑えやすい。

キャリアは数千円~、パニアバッグはセットで1万円~。沢山のバッグを用意せずともツーリングが成立するから、あとから買い足すものが少なくて済むのもメリットだろう。

荷物が少ないときには、パニアを片側だけ使用してもOK。

こうすれば身軽に走れて、様々なライドに対応できるから、キャリア+パニアは結構万能なのだ。

 

④重くなりやすい

キャリアのデメリットでいえば、やはり重量の問題。

キャリア本体は1㎏前後のものが多いし、パニアバッグもセットで1㎏+α。「荷物を積むための装備」だけで2~2.5㎏程度になるため、お世辞にも軽量とは言えない。

もちろん、全てのキャリアが重い訳ではない。

僕が使っているボントレガーのライトウェイトキャリアは419gと超軽量だし、「Tailfin」というブランドはカーボンキャリアも発売している。キャリアの利便性を維持しつつ、ある程度の軽量性も実現することも不可能ではない。

 

⑤輪行が面倒

キャリアが苦手とするのは「輪行」。

多くの場合、キャリアを取り外さないと輪行袋に収納できないため、輪行を絡めたライドでは、機動力がかなり損なわれる。

もちろん「出来ない」というわけではない。ただ、バイクパッキングと比較したとき、キャリアのデメリットの1つとなるだろう。

バイクパッキングでも多少は面倒くさいので、その辺りのノウハウはこちらの記事にまとめている。

 

⑥そもそも取り付け出来ないかも

最も根本的な話をすると、ロードバイクだと「そもそもキャリアを取り付け出来ない」という例が多い。

キャリアの取り付けには、基本的に「ダボ穴」と呼ばれるネジ台座がフレームに必要。しかし、多くのカーボンロードバイクやシクロクロスにはダボ穴がない。

シートクランプにダボ穴を増設したり、ハブシャフトにキャリアを取り付けたりと方法はあるものの、耐久性などの面で不安が残る。重量や使い方によっては、パーツが折れたり曲がったりするリスクがあるからだ。

 

3.バイクパッキングの良し悪し

続いては、バイクパッキングの良し悪しを見ていこう。

キャリアの紹介をする中でも触れているし、キャリアの特徴と反対だと考えて頂いても良いけれど、そこを更に詳しく書いていきたい。

①基本的に軽量

何といっても、バイクパッキングは軽量なセットアップを作りやすい。

あえて「作りやすい」と言っているのは、安価なものや堅牢性重視なものは重たく、バックの数を増やすほど総重量もかさむから。軽量性を目的にするなら、1つ1つの装備に拘らないと本末転倒になるのでご注意を…。

バイクパッキングで鉄板の組み合わせを、Apidura(僕の使っているバイクパッキングブランド)でまとめるとこんな感じ。

・サドルバッグ14L:350g
・フレームバッグ4.5L:170g
・ハンドルバーバッグ9L:250g
合計:27.5L / 770g

キャリア+パニアは2㎏オーバーが普通なのを考えると、ゆうに1㎏を切れるのは凄い。「軽快な走行感が好き」という方は、バイクパッキングから始めた方が幸せになれるんじゃないだろうか。

 

②様々なバイクに装着可能

キャリアはダボ穴がないと取り付けが難しいけど、バイクパッキングならベルト等で縛るのが基本だから、ほとんどの全てのバイクで使用できる。

例えばカーボンロードバイクでもOKだから、「ロードバイクで1泊くらいしたい」という場合にも、用いやすい方法だろう。

1つだけ問題を言うなら、容量を確保できるサドルバッグとハンドルバーバッグは、タイヤとのクリアランスが無いと取り付けが難しいこと。

僕のバイクは54サイズで問題は感じていないけど、50以下のサイズだとかなり厳しいだろう。そうなるとパッキング容量が20L以下になり、キャンプ装備のパッキングは選択肢がかなり絞られることになる。

 

③重心バランス・積載位置の最適化

バイクパッキングで素晴らしいと思う点は、バイクの重心バランスを好みに調整できること。

前後左右高低、どの位置にどんなものを積むか細かくセッティングできるから、コースや相性に合わせて好みのパッキングが出来るようになるのだ。

あまり語られない話だけど、積載ライドではトータルの重量よりも、重心バランスの方が走行感に与える影響が大きい場面すらある。

そして、フレームバッグやフロントバッグなど、走行中に出し入れしやすい位置にも荷物を沢山積める。ライド中の補給食や防寒着などを積めば、1日を通じて走るうえで非常に使い勝手が良い。

「荷物を積む」ということの最適化には、バイクパッキングは1つの近道だと思う。

 

④お金がかかる

必ずしもそうではないけど、バイクパッキングはお金がかかる。バッグそのものも高いし、小型軽量なキャンプ道具が必要になり、キャンプギアにもお金がかかる。

例えばこのセットの場合、バッグと中身でざっと合計25万円くらい。

ミニマルに装備を絞った構成でもこれなんだから、更に焚火台や防寒着や椅子や…と装備を増やせば、もっともっと高価になる。もちろん快適な走行ができて、僕は大好きなんだけど、初心者に真っ先に勧められる構成か?というと微妙だとも思う。

使っているギアについては、こちらで詳しくご紹介しているので、参考としてどうぞ。

 

⑤扱いが面倒

バイクパッキングの代表装備ともいえる大型サドルバッグは、パッキングに気を遣わないと揺れや型崩れを引き起こし、悲惨な走行感になる。

サドルバッグの運用について、詳しくはこの動画で語っているので参考になれば。⇩

だからライド中の荷物の出し入れは極力避けたいし、となるとパッキングに制約が生まれる。ほかのバッグも荷室の形状が独特だったり、他のバッグと干渉したり…と、全体の構成として考えるべき点が多いのだ。

パニアなら気楽に道中買い物をし、荷物を出し入れしてツーリングを楽しめる。バイクパッキングは、それとは対の位置にある積み方だと僕は思う。

 

4.で、結局どっちがいい?

タイトルに「Vs.」なんてつけてしまったけど、一概に良し悪しを語るのは難しい。

結局のところ、ツーリングの仕方によって向き不向きが分かれる部分なのだ。

基本的には自転車は軽いほど楽に走れるので、軽さは正義だと思う。別に速さを追求しなくとも、楽に走れる方が余裕が生まれて、楽しめることの幅も広がる。そういう意味では、バイクパッキングの方が万人にとって向いている特徴は備えているだろう。

しかし、だからと言ってキャリアがダメかと言えばそうではなく、むしろキャリアの方が優れることだってある。ツーリングの気軽さや積載面での自由度を高めるなら、キャリアはもってこいな積載方法だ。

ハイエンドのロードバイクが必ずしも自転車遊びに最適でないように、バイクパッキングは全てのツーリングにおいて最高とは限らない。

やり方を工夫すれば、キャリアの利便性とバイクパッキングの走行性を兼ね備えた形も、実現可能ではないかと思っている。

これから始めようという時にはどちらかを選択する必要があるけれど、遊びを続けるうちにその境界線はどんどん薄れるのでは?というのが僕の考えだ。

 

5.積み方こだわる必要はない

昨今のメディアはやたら「バイクパッキングで旅に出よう!」みたいに、バイクパッキングを押しているように見えるけど、僕はあまりそれが好きじゃない。特にグラベルロードとの組み合わせではバイクパッキングが注目され、それしか選択肢がないかのよう…。

実際は「安全に荷物を運ぶ」というのが一番大切で、その運搬方法など好みの範疇だ。

僕の場合は、キャンプしつつも1日300kmや400kmを走ることもあり、走行性能をロードバイク並みに突き詰めている。

だからこそバイクパッキングの方が出番が多いし、その突き詰める作業も楽しいと感じている。装備1つ1つの収納場所から、重量バランス、空力といった要素を考えて、ベストな位置に積む。それが楽しい。

 

<僕のバイクパッキングの例はこちら>

 

その過程で、キャリアを使った方が調子がいいだろうと思えば、キャリアを使う。だから究極的には、キャリアかバイクパッキングかなんてどうでも良くて「自分がそのライドを楽しむために、どんなパッキングがベストか?」という問いがあるだけだ。

自分のライドに最適化されたバイクが一番かっこいいと僕は思っているので、積み方のスタイルなんかに拘らず、楽しいライドを追求して、とにかくやってみるのが一番なんじゃないだろうか。

おわり

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