MTB用フラットべダルとして、高い人気を誇る『クランクブラザーズ:スタンプ1(Crankbrothers:Stamp1)』。
手の出しやすい価格で、入門モデルとしては「ド定番」ともいえるこのべダル。実際の使用感はいかほどか、またサイズ選びの色々について、レビューをしていきたい。
<目次> 1.スペック・特徴 1-1.サイズとカラーを選べる 1-2.上位グレードに劣らないスペック 2.各部詳細 3.使用感 3-1.マイルドな食いつき 3-2.ケージが大きくて良い 3-3.樹脂ペダルの感触が優しい 4.まとめ
1.スペック・特徴
まずはスペックからご紹介。
・サイズ:Small、Large ・カラー:7色(詳細は下記) ・重量:299g(S公称)、329g(L公称)、355g(L実測) ・価格:6,500円(税込み) ・Amazonはこちら
クランクブラザーズのスタンプ1は、同社のフラットペダルで最もエントリーグレードのペダル。価格は6,000円ほどと手の出しやすい価格帯だ。
それでいて、サイズやカラーの選択肢が豊富で、自分の好みやバイクに合った選択ができるのが大きな魅力だろう。
1-1.サイズとカラーを選べる
スタンプ1には「Small」と「Large」の2種類の大きさがあり、シューズのサイズやスタイルによって選ぶようになっている。
シューズの大小に合わせてペダルの大きさを最適化できるほか、スタンスの広さといったライダーの好みによっても使い分けられる仕様だ。
<踏み面サイズ> ・S:100mm×100mm ⇒シューズサイズ:EU37~43 ・L:114mm×111mm ⇒シューズサイズ:EU43~49
ちなみに僕のシューズは43で、あえて大きめの「Large」を選択した。
理由は乗車時のスタンスで、トレイルで足幅を広げて安定感を高めたかったから。また、トレッキングシューズなどがっしりした靴でも使用するため、大きめの方が都合がよかったというのもある。
カラーバリエーションは豊富で、2022年現在では実に9色ものラインナップがある。
・シトロン ・オレンジ ・パープル ・ターコイズ ・ブラック ・レッド ・ブルー
樹脂製のペダルは他社製品でもいくつか色が選べることが多いけど、これほどのカラーバリエーションは少ないと思う。
フラットペダルは目立つパーツなので、愛車のカラーカスタムとしても効果は高い。バイクにぴったりな色を選ぶことができるのも、スタンプ1ならではの魅力の1つだろう。
1-2.上位グレードに劣らないスペック
スタンプ1は、そのスペックも見逃せない。重量や細かなパーツ構成でも、上位グレードに劣らないペダルなのだ。
まずは重量。
軽量な樹脂製のケージを採用しており、上位モデルにひけをとらない(というよりむしろ軽い)重量に仕上がっている。クランクブラザーズのフラットペダルのスペック一覧表を見ると、その差は歴然だろう。最上位グレードの「スタンプ11」に肉薄する軽量性である。
しかも、使われている内部のベアリングも基本的に上位グレードと同じ。
スタンプ2でも約1万円、スタンプ11では約4万円という価格を考えると、6千円ほどのスタンプ1のコストパフォーマンスの良さもお分かりいただけるだろう。
Lサイズの実測は355g。
公称の329gよりも約8%重たいのは残念だけど、このサイズのフラットペダルでは軽量な方だろうか。
2.各部詳細
続いては、各部を詳しく見ていこう。僕が持っているのはブラックのLサイズ。
パッケージはこんな感じ。付属品は特になく、ペダル本体と簡易的な説明書きのみ。
性能とは関係ないけど、パッケージがお洒落でテンションが上がる。
サイドには「STAMP_1」の文字とクランクブラザーズのロゴが刻印されている。
樹脂製のボディながら、しっかり作られていて綺麗だし、デザインもかっこいい。
あくまで個人的な感想だけど、樹脂製フラットペダルのおもちゃっぽい雰囲気があまり好きではなかった。その点、クランクブラザーズのスタンプ1は高級感とメカメカしさもあって好み。
ピンの数は片面で9本。
ピンの出しろは最大約3.5~4mmで、六角レンチで調節も可能。シューズとの相性などによって食いつきを弱めることが可能なほか、ゴールドやシルバーなどのカラーピンに交換してカスタムも出来るだろう。
自転車への着脱は8mmの六角レンチを使用する。最近のペダルに多い仕様だ。
軸の回転はスムーズで、しっかりとした感触。例えば三ヶ嶋ペダルのハンドスピナーの様な回転ではなく、耐久性の高そうな回転だと思う。
3.使用感
続いては、クランクブラザーズ:スタンプ1の使用感をいろいろと。
3-1.マイルドな食いつき
使い始めから気になったのは、ペダルの食いつきが想像以上にマイルドだったこと。
以前使用していたフラットペダルたちは、SPDペダルほど…とは言わずとも、それに近い感覚で乗れてしまうほどガッチリとグリップをしていた。それらに比べて、スタンプ1の食いつきはかなり控えめである。
その理由は、ペダル軸とピンの高さを見ると一目瞭然。
ペダル軸の部分が高いため、シューズにはそれほどピンが食い込まず、グリップが低く感じたのだ。食いつきの良いMTB用のシューズならそれなりだったものの、ソールの固いトレッキングシューズではもう一声という印象。
ちょっとネガティブに書いてしまったけど、これはスタンプ1が設計不良なのではなく、あえてこの食いつきにしているらしい。
スタンプ1は『オールマウンテン』や『街乗り』といった用途を想定していて、ダウンヒル等の激しいライディングはカテゴリ外。逆にダウンヒルも視野に入れているスタンプ2などは、もっとピンが出ているとのこと。
僕のシューズや用途だとあと数mmピンを出したいけど…街乗りやオンロードメインなら、靴底を傷めないし、ぶつけても周りの物を傷つけないから良さそうだなと思う。ちなみに、試乗してもらった友人はそもそもグリップに不満を感じていなかったので、個人の好みの範囲なのかも知れない。

余談だけど、クランクブラザーズはスタンプ専用のシューズも発売している。
ソールがこのペダルに最適化されているため、グリップやペダルへの収まりも良くなっているらしい。(Wiggleはこちら)
3-2.ケージが大きくて良い
僕がスタンプ1を選んだ理由の1つでもあり、そして実際に使用して良いと感じている点が、「ラージサイズを選べる」という点。
僕は普段SPDペダルを使用していて、フラットペダルを使うのは足を付くシーンの多いトレイルや雪道。いわば不安定な路面である。
だから安定感を出すためスタンスを広くして乗りたいし、歩くことも想定してトレッキングシューズなどの靴底の広いシューズを使用することが多い。僕の足のサイズはEU43(27.5㎝くらい)なので特別大きい訳ではないけど、そういう需要のある僕にとっては、普通のサイズのフラットペダルでは物足りなく感じることが多かった。
ケージの大きさは1~2cmの差でしかないけれど、それが走行中は雲泥の差。バイクの扱いやすさが格段に変わったと思う。
逆に、シューズのサイズが小さく、大きいフラットペダルが邪魔だと感じている方もいらっしゃるだろう。そういう方にとっては、スモールサイズが選べることもメリットになるのだと思う。
3-3.樹脂ペダルの感触が優しい
ペダルのボディには金属製と樹脂製の2種類があって、実は踏んだ感触が結構違う。
金属性の方がガッチリしていて、樹脂製の方が優しい感じがする。これは、決してペダリング中に樹脂がしなる云々という話ではなく、バイクから伝わる振動が異なるんだと思う。
僕はどちらかというと樹脂製が好きで、トレイルで扱いやすいと感じている。
というのも、トレイルで岩等にヒットしたとき、金属製は引っかかる感じが強く、樹脂製の方がうまく力が逃げてくれる感じがするのだ。樹脂製のペダルは使うほど傷がついていくけれど、それはこの使いやすさの裏返しだろうか。
4.まとめ
以上、クランクブラザーズのスタンプ1をレビューしてみた。
街乗りからオフロードまで幅広く対応できるフラットペダルで、人気の理由がよくわかるペダルだった。カッコいい見た目に、サイズとカラーのバリエーションも豊富、上位グレードと変わらぬ軽量性とベアリングを採用するなど、コストパフォーマンスの良さも伺える。
個人的に唯一気になったのは、ピンの出しろが短いこと。
もっと強いグリップが好みの僕にとっては、ペダル軸のハイトが低く、ピンの食いつきがもっと強い方がよかった。ピンの交換は可能なので、そういった方はピンを交換して使用するのもよいだろう。
おわり