装備レビュー

【レビュー】激安・超軽量バーナー『BRS:3000T』の使用感と危険性

キャンプに欠かせないのが『火器』。調理をするにも暖をとるにも、何かしら火を扱える道具が必要だ。

火器は使い勝手と携行性のバランスが重要だが、ステータスを携行性に全振りしたシングルバーナーが、『BRS:3000T』。チタン製のボディで、なんと重量は26gだ。しかも1,500円程度で購入できるという低価格ぶり…。

「安かろう悪かろう」ではないけれど、実際に使ってみて危険だと感じる部分もある本製品。その良し悪しを、あれこれレビューしていきたい。

<目次>
1.スペック
1-1.世界最軽量級なのに激安
1-2.日本の基準を満たしていない
2.各部詳細
3.使用感
3-1.普通に使える
3-2.風に弱い
3-3.燃費が悪い
3-4.安全面に不安あり
4.まとめ

1.スペック

ではまず、BRS:3000Tのスペックから見ていこう。

*中華製品なので、同型と思われるが名前が異なる製品も多数見受けられる。恐らくそれらもこれと同じだけど、一応「BRS:3000T」という名称でご紹介していきたい。

 

スペック

・展開サイズ:Φ81.8x60.3mm
・収納サイズ:Φ52x37mm
・重量:公称26g(実測26g)
・火力:最大2,700kcal
・価格:1,500~2,000円ほど
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1-1.世界最軽量級なのに激安

普通シングルバーナーといえば、100g前後はするものだ。登山用などの軽量タイプでも、50gを切るバーナーはまずない。

それが、なんと26gというのだから、革命的な軽量性である。

実測重量も26g

U.L.なスタイルの僕にとっては、軽量でコンパクト、かつ扱いやすい火器が欠かせない。このバーナーを見つけたときは、興奮が止まらなかった。

もちろん軽量なのには理由があって、風防・サーモレギュレーター(SOTOはマイクロレギュレーターと呼んでいる。低温下でも火力を安定させる機能)・イグナイター(点火装置)がない。本当に「ガスを出して火がつく」だけの製品だ。

 

1-2.日本の基準を満たしていない

BRS:3000Tを語るうえで避けて通れないのが、「日本の販売基準を満たしていない」という点。

本来、シングルバーナーのようなガス缶を使用するコンロは、適正な検査を経て当局の認可を得ないといけない。

しかし、BRS:3000Tは、このPSLPGマークを取得しておらず、そもそも販売されてよいものでない可能性が高い(法律に詳しくないので、よく分からないけれど)。

よくシングルバーナーやガス缶に「必ず同一メーカーの適合する製品同士を使ってください」という注意書きがあるのも、この規則が関係しているらしい。この経済産業省の認可が下りていないガスバーナーを使用するなら、その危険性やリスクを理解して使用するべきだろう。

僕のその理由から購入をためらったけれど、国内外の様々なサイトでレビューされており、通常使用においては大きな問題は発生しないだろうという予測が立ったので試しに購入してみた。

Amazonで1,500円ほどで購入できるという手軽さも、僕を後押しした。

 

 

2.各部詳細

では、各部の詳細を。

こんな感じのパッケージで届いた。

内容物は本体のほか、簡易的な袋とスペアのパッキン。

展開してみた。確かにチタン製らしく、独特の色味が出ている。

触った感じは「ちゃっちい」という言葉がぴったりで、正直これでちゃんと火を扱えるのか怖くなる。

ゴトクの直径は8cm程度で、シングルバーナーの中でも小型の部類だろうか。

ゴトクも収まりがいまいちで、購入当初は水平が出ていなかった。台座部分を軽く手で捻じ曲げ、一応使える形にしている。

チタン製品らしく、一度火を入れるとゴトクがいわゆるチタンブルーに変色する。特に意味はないけど、かっこいいので個人的には好み。笑

つまみは一般的なタイプで、普通に回るし問題はなさそう。実際に点火する際も、これと言って不満はない。

 

3.使用感

続いては、実際にフィールドで使用してみての感想をいろいろと。

僕の使い方は、インスタント食品のための湯沸かしや、ソーセージを焼く程度の簡単な調理だ。

 

3-1.普通に使える

はじめは恐る恐る使用を開始したけれど、とりあえず普通にシングルバーナーとして使える

合わせているガス缶はJETBOILのもので、特にガス漏れなども起こっていなさそう。全然使えないことすら視野に入れて購入したから、普通に問題なく使えてしまうことに驚いた。

点火時には「ゴーーー」という音がうるさいが、公称で2,700kcalという高火力にも頷ける。お湯を沸かすのも比較的早い印象だ。

火力調節もそれなりに可能で、ゆっくり焼き物をしたいときも火力を抑えられるから、JETBOILよりその点に置いては使いやすいとすら感じている。

収納サイズが小さいこともメリットと感じていて、スノーピークのチタンシングルマグ450に余裕で入る。

小型のフライパンや蓋、ライターなどと合わせてもスタッキングができて、合計150gと超軽量な調理キットが完成した。荷物量に制限のある自転車キャンプがメインの僕にとって、これは手放せなくなるほどのメリットだ。

 

3-2.風に弱い

スペックの部分にも書いたとおり、このシングルバーナーは風防がないため風に弱い。そよ風程度で火が流れるし、風速数m/sでも点火が危ういほどの影響を受けてしまう。

軽量だから登山でも使いたくなるけど、このレベルだと高所の風には歯が立たないだろう

ウィンドスクリーンを持ってくれば対処はできるものの、それでは荷物が増えるから軽量性に特化したこのバーナーを持ち運ぶ意味がない。使用環境をかなり選ぶのは、大きなデメリットと感じている。

 

3-3.燃費が悪い

あくまで体感だけど、他のバーナー(JETBOILやPRIMSの旧型、SOTOのアミカスなど)と比較して、圧倒的に燃費が悪いと思う。

湯沸かし数回と焼き料理をしただけで、明らかにガスの減りを感じるほど。さすがに半分とは言わないまでも、小さい缶の3割くらいは減っているように思う。

低温でも使用してみたけど、元々の火力が高いためか普通に使用はできた。ただ、その燃費の悪さに追い打ちがかけられるので、本当にみるみるガスが減っていった。

 

3-4.安全面に不安あり

使用していてずっと気になるのは、やはり安全性。

…いや、普通に使えているし今も使っているけれど、やはり他の有名バーナーとは異なる違和感もある。

*テント内でのバーナーの使用は、火災や一酸化炭素中毒の危険が非常に高いためNG。環境によってやむを得ない事情があったため、換気をしながら使用した。

一番それを感じたのは、先日テント内でバーナーを使用したとき。他のシングルバーナーとは異なり、燃焼ガスが臭いと感じたのだ。

無駄にガスも消費していそうだし、やはり正しく燃焼させられていないのだろうか…?

Twitterでこの製品について投稿したところ、リプライで「キャンプ中に突然使えなくなる不具合を何度か見た」「本体が熱くなりすぎて缶が溶けた」というエピソードも教えていただいた。

僕が直接知る範囲ではまだ知らないだけで、もっと問題のある製品である可能性はある。

 

4.まとめ

以上、激安で超軽量なシングルバーナー『BRS:3000T』をご紹介してみた。

26gという軽量性とコンパクトな収納で、他のバーナーとは一線を画すU.L.ギアだ。1,500円程度という考えられない低価格も手を出しやすく魅力だろう。

ただし、日本の基準で販売認可が下りておらず、安全性に疑問は残る。全体的なちゃっちさやブランドの信頼性のなさもあって、使っていて心地よい製品ではない。

皆様に広くおすすめはしないし出来ないけれど、面白い製品ではあるのでご紹介をしてみた。ぜひ日本の大手メーカーさんに、同等のスペックで安心して使えるバーナーを開発していただきたいと思う。

まとめ

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