サドルバッグやフレームバッグなど、バイクパッキング用品は様々なブランドから専用品が発売されている。
しかし、ライドのスタイルや使用するバイクは、市販ギアの選択肢よりも多様。自分にピッタリ合うギアが欲しいなら、やはり自作という境地に行き着くのだろう。
今回は、バイクパッキングギアを自作している「醍醐漫さん」が手掛ける『Daigo Gear:Front Fork Holder(フロントフォークホルダー)』の紹介&レビューをしていきたい。超軽量で使い勝手の良い、フォーク横ホルダーだ。
<目次> 1.製作者:醍醐漫さん 1-1.コンセプト 1-2.Front Fork Holderの詳細 2.各部詳細 3.使用レビュー 3-1.荷物の出し入れがしやすい 3-2.多用途に使える 3-3.軽い 3-4.課題は耐久性か? 4.まとめ
1.製作者:醍醐漫さん
このフォークホルダー、実は僕が作成したものではなく、Twitter繋がりの方が作成したもの。
そこで、初めに製作者である「醍醐漫」さん(Twitterはこちら)のご紹介と、ギア作成にあたってのコンセプト等をご紹介しておきたい。
出典:醍醐漫
醍醐漫さんは、日本の山岳サイクリング(林道やトレイルを走り、担ぎ、寝泊りし山々を越えていくハードコアな遊び)を長く深く追求してきた方で、海外のバイクパッキングも複数の実績があるサイクリスト。
その知見は自作ギアにも深く、フレームバッグからサドルバッグ、トップチューブバッグ、フロントバッグ、ザックに至るまで自作しアップデートを繰り返しているほど。
出典:醍醐漫
出典:醍醐漫
そんな醍醐漫さんが手掛けるフォーク横積載のマウントが、今回ご紹介する『Front Fork Holder(フロントフォークホルダー)』だ。
1-1.コンセプト
フロントフォークホルダーの制作コンセプトは、
・ボトルケージ以上、エニシングケージ未満の積載 ・幅広い形状の荷物を、迅速に出し入れできる
というもの。
(↑)ブラックバーンのエニシングケージを使用。5Lオーバーだと、エニシングケージの固定力が欲しい。
例えば、純粋なボトルケージはサイクルボトルに特化しているので他の荷物(例えば2~3L程度のドライサック)は固定できない。かといって、小型のドライサックを固定するために、わざわざエニシングケージを使用するのも重すぎる……。
そんな中間のニーズを埋めてくれるのが、Daigo Gearのフォークホルダーという訳だ。
また、一般的なエニシングケージは荷物の着脱が面倒だ。荷物を抑えながらベルトを2本しめなくてはならず、荷物が大きいほどにかなり面倒臭い。
その手間と時間を省略すべく開発されたのが、このフォークホルダーでもある。
1-2.Front Fork Holderの詳細
ギアの詳細な寸法や醍醐漫さんによるギア解説は、YouTube動画にまとめてらっしゃるのでそちらをご覧頂きたい。
(↑)概要はこちらの動画が分かりやすい。
(↑)細かな寸法についてはこちらから。
2.各部詳細
では、『Daigo Gear:Front Fork Holder』の各部をご紹介していこう。
3Dプリントした樹脂プレートと、切り出したPPボードをねじ止めしているのがベース。そこに、ゴム紐を通して荷物を縛れるようにしている。
詳細は先ほどご紹介した動画に記載されているので、そちらをご覧頂きたい。
3Dプリントのボードも購入可能なので、気になる方はこちらからどうぞ。
フォーク横のダボ穴に取り付ける形。一般的な2穴対応なので、多くのバイクにマッチするだろう。
ゴム紐はコードロックで止められており、荷物の大きさに合わせてゴム紐の締め具合をワンタッチで調節できる仕組み。
内部を展開するとこんな感じ。
3.使用レビュー
では、実際に使用してみてどうかを書いていきたい。結論からいうと、試作品としてお借りしていたのが気に入りすぎたので、新品を購入させていただいた程良い。
3-1.荷物の出し入れがしやすい
ギアの制作コンセプトでもある「荷物の出し入れのし易さ」だけど、これがもう最高にいい。
例えば防寒着を詰め込んだドライサックを付けているとき、一般的なエニシングケージならウェアを取り出す&再度取り付けるまで数十秒~数分かかる。しかも、荷物のサイズが変わるから固定ベルトの末端処理も面倒で、もうやってられない。
それが、このラックなら3秒で終わるのだ。
ボトルケージからボトルを抜き差しするのにストレスを感じる方はいないと思うが、その手軽さがドライサックにも適応される。この革命的な気軽さが、衝撃であり初っ端からニヤニヤしてしまった理由だ。
僕は「自転車×トレラン」という遊びも多用していて、その際はサイクリング⇒ランニングというモードチェンジの手軽さと早さも課題となる。
そんな時も、トレランに必要な装備をドライサックに積めてこのフォークホルダーに突っ込んでおき、ザックに移動させるだけで事足りるのだ。エニシングケージだと面倒臭いのはもちろん、例えばサドルバッグでも、容量が変わればベルトの締め込みやパッキングそのものが変わってしまう煩わしさがある。
『Daigo Gear:Front Fork Holder』なら、そんな煩わしさが全てゼロになるのだ。
3-2.多用途に使える
収納できるのは、ドライサックだけではない。
サイズ感としてはボトルケージに近いので、普通のサイクルボトルならピッタリ収まる。
重量もボトルケージと大差なく、使い勝手も同じ。ライドの度、いちいちエニシングケージとボトルケージを付け替える必要もなく、気軽にパッキングスタイルを変更して旅に出られる。
もちろん、ペットボトルもOK。
夏場に大活躍する900mlのポカリスエットも固定出来るし、500mlのペットボトルもゴム紐を締めて対応可能。
3-3.軽い
コンセプトに「軽量」というキーワードがある通り、このホルダーは軽い。
例えば、人気商品のブラックバーンのカーゴケージに、20インチのVoileストラップ×2、モンベルの5Lの軽量ドライサックを追加して、システム重量は231g。実際はこれが左右にくるので、荷物を抜いても462gとなる。他のケージでも重量は五十歩百歩だ。
見た目は軽やかだけど、エニシングケージは結構重い。
それに対し、『Daigo Gear:Front Fork Holder』は55g。左右に搭載しても110gしかない。
エニシングケージの462gと比較して、352gの軽量化。この差は大きい。
3-4.課題は耐久性か?
最高に気に入っているこのホルダーだけど、唯一課題と感じているのは耐久性。
PPボードを使用している都合上、長期間の使用をするとボードの割れやカケに繋がる恐れが高い。
これは荷物の形状と重量、使用環境など様々な要素が絡むから何とも言えないけど、少なくとも「日本一周するぜ!」みたいな長期ツーリングには向いていないと思う。
PPボードは市販品を買ってきて自分で交換も容易に出来るから、長期的な視点で致命的とは感じないけれど、使用にあたっては留意する必要がありそうだ。
また、積載する重量も1㎏未満にしておくのが良さそう。大型のナルゲンボトルとか、3シーズンテント一式とか、そういうものを固定したいならやはりエニシングケージに軍配が上がるだろう。
4.まとめ
以上、醍醐漫さん作成の『Daigo Gear:Front Fork Holder』のレビューをしてみた。
まだ細かなアップデートを続けていくギアだろうとは思うけど、自作ギアのクオリティとしてはとても高いと感じる。また、散々語ってきた通り使い勝手は最高にいい。
もちろん、高評価につながっているのは、僕のライドスタイルとギアの設計思想がマッチしているからだろう。僕と似たライド趣向を持っている方にはきっとマッチするはずなので、気になる方はぜひ導入してみて頂きたい。
おわり