装備レビュー

【レビュー】『Apidura:ダウンチューブバッグ・バックカントリー』ダボ穴不要でBB下に積載アップ

ダウンチューブの下側は、言わばバイクパッキングのデッドスペース。ここをうまく活用できるとパッキングの幅が広がるし、重心コントロールの観点からも見逃せない積載場所だ。

しかし、BB付近にダボ穴のあるバイクは少なく、バッグの類を積載するのもややハードルが高い。

今回ご紹介するのは『Apidura:バックカントリー・ダウンチューブバッグ』で、このデッドスペースにダボ穴不要で簡単に取り付けられるバッグだ。

<目次>
1.スペック
2.各部詳細
-取り付けについて
3.使用感
3-1.沢山入る
3-2.防水性はイマイチ
3-3.固定力は高い
3-4.使勝手は悪くない
4.ツール缶との比較
5.まとめ

1.スペック

まずはスペックからご紹介。

スペック

容量:1.8L
・重量:105g(実測107g)
・価格:8,690円(税込み)
・Alternative Bicyclesはこちら

 

Apiduraのダウンチューブバッグは、現在(2021/10)では2種類のラインナップがある。ロードバイク等で使いやすい「エクスペディション」シリーズと、オフロード重視の「バックカントリー」だ。

僕が使っているのはバックカントリーの方で、こちらの方が容量が大きいほか、太いダウンチューブと広いQファクターに向けて設計されている。詳しい寸法や使用制限に関しては、後ほど詳しく書いていこう。

実測重量は107g(公称105g)。多少汚れが付いているので、その分重くなっているとも思えるし、普通に公称通りと考えて良さそうだ。

 

2.各部詳細

続いては各部をくわしく。

*本体が汚いですが、日常的に使用しているのであしからず…。

生地はバックカントリーシリーズ共通の、Apidura独自素材のヘキサロンとX-Pacの張り合わせ。縫い目のない防水仕様。

ブラックのヘキサロンとグレーのX-Pacの2色遣いで、黄色のロゴがアクセント。黄色い部分は反射素材だ。

残念ながら反対側にはロゴは無し。せっかく反射素材使っているんだし、こっちにも入れてくれれば良かったのに…なんて。

下側は補強材が貼り付けてあり、タイヤからの跳ね上げを考慮した設計。

バイクへの取り付けは太いベルクロ1本。ベルクロの張り合わせ部分はかなり長く、固定力はバッチリ。

ダウンチューブと接し力がかかる部分はクッションがあり、内部に硬いものを入れても密着度合いが上がるようになっている。

クロージャ―はロールトップ式。内容量に応じて折り返す回数を変えて、本体のサイズを最適化できる。

このダウンチューブバッグも他のバッグと同様に空気抜き穴を備えているので、くるくると巻くだけで勝手に中の空気は抜けてくれる。

内部は補強が入っているところが黄色。凄く見やすい訳ではないけど、真っ黒よりはいいかなという感じ。

直径が9㎝ほどあるので、手の大きめな僕でもすっぽりと手が入る。奥に入れた荷物を取り出すのにも苦労しない。

 

-取り付けについて

取り付けはベルクロで固定するだけなので、非常に簡単。時間も手間も要さない。

ただし、BB周りはクリアランスがタイトだし、バッグの固定が甘くクランクやチェーンリングに巻き込んでしまうと危険なため使用できるバイクに制限がある。

 

実際のところ、バイクのBBまわりの寸法に使用制限があって、バックカントリーダウンチューブバッグは「シートステーやフォークなど、外周9.5cm以下のチューブには取り付けないこと」という注意書きと、「外周12~20㎝のチューブに固定する様に設計されている」との記述がある。また、製品寸法の幅が9.5cmあるため、クランクやチェーンリング周りのクリアランスが必要だ。

ちなみに、エクスペディション・ダウンチューブバッグの寸法はこんな感じ。幅が8㎝なのでクリアランスは必要なさそうなものの、チューブの外周は12-18cm。

一般的なロードバイク用のクランク周りなら、こちらでないとクランク幅的に厳しいと思う。

僕が使用しているバイクはBombtrackのHook EXTで、クロモリフレームながらにダウンチューブが太いので外周が14㎝ほどある。一般的なクロモリフレームだとギリギリ12㎝あるか怪しいので、ご購入の前に測ることをお勧めする。

また、クリアランス的にはロード系の幅なので、本来は「エクスペディション」を選ぶべきだった。しかし、容量的にどうしても「バックカントリー」が欲しかったので、無理くりバックカントリーを使用している状態。読み通りギリギリ使えているけれど、おススメはしない。(笑)

長さ側のクリアランスも、取り付け位置によっては気になるかも知れない。フロントサスペンションがあるバイクの場合は、沈み込んだ時にもフロントタイヤが擦らないか確認が必要だ。

 

3.使用感

では、実際に使ってみた使用感をいろいろと。

3-1.沢山入る

まず容量について。

バイクパッキング用品だとお決まりの「実際の容量は、ペットボトル換算のイメージの半分=900mlくらい」だけれど、それでもダウンチューブ下に搭載するには十分すぎる容量。350や500ml程度のツール缶とは一線を画す収納力が気に入った。

(↑)この量なら余裕で入るし、チューブを1本にすれば超軽量の輪行セットも入った。

ロードバイクならいざ知れず、グラベルとなるとトラブルが起こりやすいため必要な工具も増えるし、予備のチューブのサイズも大きくなってしまう。今までは500mlのツール缶を使用していたけど、どう頑張っても収まりきらないのが悩みだった。

バックカントリー・ダウンチューブバッグなら、携帯ポンプも含めて必要な装備が全て入る。

 

3-2.防水性はイマイチ

アピデュラの製品は基本的にすべて「防水」を謳っていて、実際に高い防水性を誇るものが殆どだけど、ことダウンチューブバッグに関しては例外だと思う。いちおう防水性はあるから短時間なら問題ないものの、それなりの雨天ライドをすると内部が湿っぽくなる。

生地や構造は他のバッグと似通っているので、恐らく耐水圧の関係(前輪からの強い水しぶきをダイレクトに受け続ける)だろうか?

残念ながらこのバッグに関しては、完全な防水性を期待して使用するのは避けた方がいい。

 

3-3.固定力は高い

固定力が心配ではあったけど、いざ使ってみるとしっかり固定出来るので心配はいらなそうだった。オンロードの長距離走行はもちろん、オフロードでも変にずれてしまうことは無い。

ただし、ボルトで固定するものではないため「1㎜たりともズレない」というレベルでの固定は出来ない。

僕はApiduraの注意書きを無視してクリアランスが2~3㎜で使用しているので、その微妙なずれに悩まされることはあった。以前はその数㎜のずれを防ぐためにブラックダイヤモンドのスキーストラップで追加固定をしていて、現在ではボトルケージ(一般的なボトル径:74㎜よりバッグの径:90㎜が広いため、サイズを拡張できるケージ)と併用している。

 

3-4.使勝手は悪くない

使勝手はツール缶と同じくらいかと思っていたけど、実際はツール缶よりも使いやすかった。

というのも、バッグ自体が柔らかく直径も大きいので、手を奥まで突っ込めるのだ。

ツール缶はどうしても奥の荷物を取り出すのに苦労する(というか、ツール缶自体をさかさまにして振ったりする)けど、ダウンチューブバッグなら手が入るから荷物の出し入れが圧倒的に楽になった。

また、ダウンチューブバッグのベルクロを使用し、テントポールの固定も出来た。これはあくまで一例だけど、こんな風にあれこれと他の用途にも活用できるだろう。

実際、アピデュラ本国のサイトだとフレーム各所のチューブに固定して使用もしているみたいだし、サドルレールに取り付けてサドルバッグとしても使えそう。もちろんチューブの径とクリアランス(幅があるので、フレーム内部は膝当たり問題に注意だと思う)を確認して頂きたいけど、実は活用の幅が広いバッグかも知れない。

この位置への積載は、どうしても汚れることがネックだ。だから天候の悪い日は特に、荷物にアクセスするのが億劫にはなる。

ただ、そのぶん走りは安定するし、携帯工具といった普段使用しないものをひとまとめにしておけるので、他の位置のパッキングが自由になるし邪魔な荷物が無くて使いやすくなる。

そういうメリットがあって、僕はこのバッグを使い続けている。

 

 

4.ツール缶との比較

ダウンチューブ下への積載だと、ボトルケージを固定しツール缶を取り付ける方法もある。

ダボ穴の無いバイクであっても、取り付けダボ穴を増設するアタッチメントを使用すればツール缶程度のものなら十分使用可能だ。

 

さらに、僕が使っているのは広口ボトルをツール缶に代用したもので、どんなに雨が降ろうが泥をかぶろうが完全防水。

たとえばこんな感じ。

そんなに高価なものでもないし取り付けも簡単なので、手っ取り早くやるならこれかなぁとも思う。現にロードバイクでは、僕は数年間これを使い続けていて、今後も変更する予定は全くない。

しかし、100%完璧なわけではなく、特にグラベルロードで使うなら問題がいくつか。

・容量が稼げない⇒予備のチューブと携帯ポンプが入らない

・使いにくい⇒ハードボトルなので手が中に入らず、奥の物を出すにはボトルの中身を全て出す必要がある

ジッパーで見開きに開け閉め出来る「ツールケース」なら解決しそうだけど、これだと泥が大量にかかるからジッパーの破損に繋がりやすく、防水性も乏しいので使う気が起きない。

結果的に、容量と使い勝手と(ある程度の)防水性のバランスを取ったのが、このアピデュラのダウンチューブバッグだったりする。

防水性を犠牲にするのは凄く惜しいものの、どうせ全部ドロドロになるしまぁいいかと思ってもいる。(笑)

 

5.まとめ

以上、アピデュラのバックカントリー・ダウンチューブバッグをレビューしてみた。

ダボ穴が不要でデッドスペースの活用が簡単にでき、容量的にも使勝手も申し分ない。BB周りのクリアランスなど制約はあるものの、工具や救急セットなどEDCギア(EveryDay Carry)的な装備をひとまとめにしておけるのは楽ちんだ。

防水性が今一つなのが残念だけど、それ以外の点に関しては気に入っていて、これからもダウンチューブ下のメイン装備として活躍してくれそうだ。

おわり

Alternative Bicyclesはこちら

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