装備レビュー

おたふく手袋『ボディータフネス保温』を再評価。インナー以外の意外な使い道

数年前、圧倒的な低価格と性能の良さから、自転車界隈にも大きな広がりを見せた「おたふく手袋」のウェア。「ボディータフネス保温」はその代表的な商品で、1着1,000円ほどとは思えないインナーだ。手軽に自転車用のウェアをそろえたいビギナーの強い味方だろう。

実は以前にも僕はこのボディータフネスをレビューしていて、その際に『コスパは良いが絶対的な性能値では足りない』『インナーとしては使いにくい』と書いた。

しかし、現在はインナーとは少し異なった観点から活用機会が多く、僕のライドを支えてくれているウェアの1つとなった。今回は、そんなおたふく手袋のボディータフネスを再評価してみたい。

<目次>
0.おたふく手袋の「ボディータフネス保温」って?
1.僕が求める「インナー」ではない
2.インナー以外の使い道
3.インナーとソフトシェルの中間?
4.完璧ではないが出番が多い

0.おたふく手袋「ボディータフネス保温」

まず初めに、この記事でお話しているインナーウェア「おたふく手袋:ボディータフネス保温」について簡単にご紹介したい。

おたふく手袋は大正時代から続く日本の老舗企業で、現在は作業用インナーウェアを筆頭に安価で高機能なウェアがウリ。そのおたふく手袋の、冬用インナーのオーソドックスなタイプ(?)が、この「ボディータフネス保温」。


おたふく手袋のインナーがロードバイク界隈で注目されだした数年前も、一番流行っていたのがこのインナーだと思う。

1着5,000円前後が相場のロードバイク用インナーに比べて、1,000円前後で購入出来てしまう圧倒的な価格、さらに実用に耐える保温力と速乾性を兼ね備えていて、確かにこれは流行るなぁというウェアだ。

*残念ながら、おたふく手袋のインナーは名前が紛らわしく、公式サイトを見てもどの商品がどれだかわかりにくい。僕の購入履歴から出した(↑)のAmazonの商品リンクの製品について語っていると思っていただければ幸いだ。

前回のレビュー記事に書いているけれど、とにかく

・安くても一定のレベルにある保温&速乾性

・高級品をしのぐ耐久性

があって、普段の街乗りorチョイ乗りにはひっきりなしに使用していたウェアだった。

(↑)着てみるとこんな感じ

 

1.僕が求める「インナー」ではない

とはいえ、やっぱり絶対的な性能ではブランド品のインナーには届かない。前回のレビューでも書いたし、今も思うことは「僕が求めるインナーではない」ということ。

ボディータフネス保温は生地がしっかりしているため、単体での防風性・保温性が無駄に高く、汗の乾きも他のハイブランドの製品に劣るのだ。

(↑)モンベルより引用

僕の考えるインナーは「汗をいち早く外へ逃がすもの」「最低限の保温ができるもの」であって、防風性や高い保温性は必要ないどころかウェア構成に悪影響を与える。

これは登山系で良く言われる「レイヤリング=重ね着」の考え方を踏襲しているからで、防風はアウターの役割で、保温はインナーとアウターの中間に着るミッドレイヤーの役割だ。無駄に防風性や保温性があると身体を冷却出来ないし、とにかく汗を身体から離したい。

僕が今(2021年10月)気に入っているインナーは、1枚目にMilet(ミレー)のドライナミックメッシュ2枚目にCraft(クラフト)のアクティブエクストリームⅡ、という構成。

春秋はこれに半袖サイクルジャージ+ジレという構成が多いし、真冬はGore-Texのハードシェルジャケットを着る。

これらと比較すると、どうしても汗抜けが悪いしインナーとしては使いにくい特徴だしで、街乗りや普段着としての選択肢以外が見えてこなかった

 

2.インナー以外の使い道

じゃあどんなシーンで僕が使っているか?というと、『0~10℃のライドで、タイツをインナーの上に重ね着をするとき』

これはタイツ限定なんだけど、意外とこれが調子よい。

(↑)この写真も、下はおたふく手袋のボディータフネス保温

たとえば、10月末に行った盛岡⇒東京の536㎞TTでは、モンベルのジオラインM.W.タイツをインナーとし、その上からボディータフネス保温を重ね合わせた。気温は1~15℃、深夜は冷え込み辛かったが、下半身はシェルが無い状態でもなんとか耐えてくれた。

ロングTTなので脱ぎ履きに時間のかかるパンツ・タイツは、なるべくそのまま24時間走り切りたい。だからシェルが無くとも、多少の防風性と保温性があるウェアが求められたのだ。

(↑)グラベルエベレスティングは本当に辛かった……

4月頭にグラベルでエベレスティングをしたときも全く同じ構成で、おたふく手袋のボディータフネス保温タイツを使用。

息が白くなるほど冷え込んだ夜間は雨にも降られ、僕自身は過去最大クラスに追い込まれ疲弊していたけど、チャレンジ達成まで僕の身体を守ってくれた大切なウェアの1つとなった。

 

 

3.インナーとソフトシェルの中間?

僕の使い方は、いわば『アウターとしても使える保温着』で、近年アウトドアウェアで人気と注目を集めている『ソフトシェル』の概念に似ている。

ソフトシェルは、ハードシェル(防水・防風のアウターウェア)よりも防水性や防風性は劣るけど、そのぶん汗抜けが良く着心地もいい、しかも多少の雨風なら大丈夫という、マルチに使えるアウター兼ミドルレイヤー。

で、このボディータフネス保温はソフトシェルとまではいかずとも、ある程度の防風性と保温性があるので、ソフトシェル的な使い方が出来るという訳だ。

特に防風性に関しては、特に防風シートを挟んでいるわけでもないのに意外と冷たい風をシャットアウトしてくれる。だからボディータフネス保温を一番外側に使用しても、冬の冷たい風に耐えられる。

もちろんこれ一枚で真冬は寒いので、別にインナーとして何かしらのタイツを履く必要があるけど(僕はたいていモンベルのジオラインM.W.)

インナーとしての役割からは離れているけれど、これはこれで重要なパーツとなっている。

 

 

4.完璧ではないが出番が多い

そんな理由で、本来の用途ではないけれど、限界を出し切りたいライドでも大活躍してくれているウェアの1つとなった。

少し別の角度から言うと、グラベルライドでも実はかなり重宝している。

泥跳ねの多い道でも砂が付きにくいうえ、洗うのも楽、最悪転んだり枝に引っ掛けて穴を空けても痛くない値段と、かなり重宝している。1着1,000円台で購入できてしまうからこその使い方で、他のウェアでは代替不可能だ。

もちろん普段着としては最高の価格と性能のバランスなので、冬場はひっきりなしに着用しているのは2年前から変わらない。ユニクロのヒートテックを買うなら、絶対おたふく手袋のボディータフネス保温。

「ロードバイク用の安価な本格インナーだ!」という語り口には異議を唱えたいけど、逆に他のインナーには出来ないメリットも沢山あるなと2年間使い倒して再確認した。今年の冬もお世話になりそうなので、買い足しておこうと思う(異様に耐久性があるので、なかなか買い替え時が来ないのは秘密だ)

おわり

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