装備レビュー

【レビュー】『ミレー:ティフォン50000 ST ジャケット』のサイズ感・使用感・ゴアとの比較など

「透湿性50,000g/m²・24hrs」という同価格帯では圧倒的な透湿性能と、快適な着心地を提供するストレッチ性能……。それを併せ持ったジャケットが、山岳ブランドのミレー(Millet)が手掛ける『ティフォン50000 ストレッチジャケット(Typhon 50000 ST Jacket)』だ。

その実力はいかほどか?数か月間の使用を通しての感想を踏まえて、サイズ感からGore-Texとの比較までレビューしていきたい。

<目次>
1.スペック&サイズ感
2.各部詳細
3.使用感
3-1.ストレッチして着心地が良い
3-2.防水性は十分
3-3.透湿性50000g/m²/24hrsの力
3-4.細かな部分も使いやすい
3-5.重くて大きいのが残念
4.まとめ

1.スペック&サイズ感

まずはティフォン50000 STジャケットの概要から。

(↑)ティフォン公式サイトより引用

ミレーの展開するティフォンシリーズには、2021年10月現在では5つものシリーズがある。

この中で、僕が購入したのは春夏用の「ティフォン50000 ストレッチジャケット」。恐らくこの中で最も軽量で、一般的なレインジャケットに近い存在のものだろう。

 

スペック

・サイズ:XS~XL(別にwomen'sモデルにXS~Lあり)
・カラー:2021モデルは5色展開
・耐水圧:20,000㎜
・透湿性:50,000g/m²/24hrs
・重量:304g(実測303g)
・価格:28,600円(税込み)
Amazonはこちらミレー公式ページはこちら

 

ティフォン50000の凄いところは、2万円台の価格ながらに50,000g/m²/24hrsという圧倒的な透湿性能を確保していること。

レインウェアとして有名なGore-Texはどのくらいかというと、ティフォン50000STジャケットと同じ様な構造の3レイヤーだと、25,000~45,000g/m²/24hrs程度。Gore-Texシェイクドライといった特殊なものだと98,000g/m²/24hrsという意味不明な値が出ていたりするけど、おおよそ一般的なGore-Tex(C-KnitやPaclite、Proなど)よりも透湿性が高いといえる。

それでいて、2万円台という価格。しかもストレッチする。

ティフォン50000は、アウトドアウェア各社がGore-Texに準じて安価なラインナップとして展開する、防水透湿の「独自素材」の1つだ。モンベルなら「ドライテック」、ノースフェイスなら「ハイベント」にあたるもの。

とはいえ、それらは大抵10,000g/m²/24hrs程度の透湿性で、価格相応という感じの性能だった。それが、ミレーのティフォン50000は圧倒的な透湿性能を誇っている。

 

◎サイズ感について

購入したのは、S(日本M)サイズのブラック。

僕は身長177㎝体重67㎏、胸囲89㎝、ウエスト74㎝。

ミレーのサイズチャート通りに選ぶと、身長的にはM(日本L)、ウエスト的にはS(日本M)サイズが妥当。自転車での使用も多いため、バタつきを軽減する目的でSを選択した。

サイズ感は良い感じで、チャート通りの感触だ。Sでも全然小さい感じはしないし、きつさも全くない。むしろフィット感はちょうどいいと言える。

(↑)ちなみに、M(日本L)サイズを着るとこんな感じ。

袖の長さや丈感でいうと、アウトドア用途にはMの方がいいなぁとは思う。

 

◎試着してからの購入も可能?

もしどうしてもサイズ感が決められない方は、Amazonの「プライムワードローブ」を使用して、試着してから購入を決めることもできる。

Amazonプライム会員限定のサービスだけど、サイズや色違いなどをまとめて配送してもらい、試着し気に入ったものだけを購入できる仕組み。特に追加料金もかからないし、何も買わなくてもOK。

記事執筆時点ではプライムワードローブの対象になっていたので、届いたものをインナーの上から試着する等することは可能だ。実際に僕もこのサービスを利用して、サイズ感を確かめてから購入した。

Amazonプライムに関してはこちらから、Amazon商品ページはこちらから

 

 

2.各部詳細

では、ミレーの「ティフォン 50000 ST ジャケット」の各部を見ていこう。

シンプルなデザインで、胸に小さくミレーのロゴが入る。

生地の表面は艶消しのサラサラした感触。マットな質感なので街着としても使いやすい。

裏地はGore-TexのC-Knitの様に細かいニット地。肌触りがなめらかで柔らかい。

フードはヘルメットがあっても使用できる大きめのサイズ感。

各所を調節しヘルメットなしでもフィットさせることが出来るほか、ひさしが付いているので雨天時の視界も確保しやすい設計。

メインのジッパーはダブルジッパーなので、裾側を開けてマントの様にし通気性を上げることもできる。

口元もアウトドア用のレインウェアらしくやや立っている。顔周りからの水の侵入を防ぐ設計だ。

ファスナーが当たる部分は、肌触りの良い起毛素材が覆っている。

手首はベルクロで縛る。

ポケットは高めの位置に左右1つずつ。ザックの腰ベルトと干渉しない配置だ。

深いので、意外と物が入る。

内側がメッシュになっており、ポケットを空けてベンチレーションとしても使えるという事らしい。

スタッフバッグは付属しないが、このようにフードにまとめて簡易的に縛ることが出来る。

押さえつければもっと小さくなるので、スタッフバッグなどを用意すれば更にコンパクトにすることもできそうだ。

Sサイズで実測303g。公称が304gだから、スペック通りとみてよいだろう。

 

3.使用感

では、数か月間使用してみての感想を。主なシーンは自転車でのツーリングと登山。

 

3-1.ストレッチして着心地がいい

ミレーのティフォン50000を購入した理由の1つは、ストレッチ性のある素材ということ。レインウェアは必ずしも雨天時だけでなく、肌寒い時にウィンドシェル代わりにも使用するから、なるべく動きやすいものが良かった。

例えばザックで肩回りの生地が固定されていたり、ロードバイクに乗って前傾姿勢をとったりした際も、変な突っ張り感がなくストレスのない着心地だ。テント内での休憩中に着続けるのも苦でない。

カッコいい見た目とシャカシャカしない生地感も相まって、雨のアウトドアだけでなく普段から着たいと思わせてくれるウェアなのが気に入った。

 

3-2.防水性は十分

耐水圧は20,000㎜を誇るため、生地自体の浸水はまず起こらない。

実際に雨の中を使ってみても、当然しみこむことは無かった。ロードバイクでの高速域で使用しても大きな問題は感じないため、嵐の中でも平気だろう。

このレベルのウェアになると、生地自体の耐水圧よりもフードや首回りの形状、ジッパー、袖・裾口といった、末端の細かな部分から水が入り込まないかがポイントだと思う。

その点においても、調節しやすい首回りやフードをはじめ、考えられている末端の形状のお陰で、嫌な雨水の侵入がなく快適な行動が出来た。

(↑)の画像ではヘルメットの上からフードを被っていて、それでも雨からしっかりとガード出来ているのが分かると思う。

購入から半年くらいの評価でしかないけど、撥水性は普通だろうか。他に持っているGore-Texのウェアに比べるとちょっと弱い気もする。

 

3-3.透湿性50000g/m²/24hrsの力

さて、やはりティフォン50000で気になるのは「その透湿性能、実際どうよ?」という事だろう。

結論から言って、ティフォン50000じゃ透湿性能が十分に高く、かなり蒸れにくい素材だと思う。普通のGore-Texのレインウェアには負けないはず。

ティフォン50000の透湿性能の高さは、丸一日雨の中を行動し続けた際や、蒸し暑い夏の雨天~晴れ間の日にライドをした際に強く感じた。

他にGore-Texの2.5レイヤー、Gore-Tex Active、通常のGore-Tex3レイヤーをはじめ、モンベル独自素材のドライテック、Gore-Tex Infiniumなど、いろいろな防水透湿ウェアを使っている。それらと比較しても、ティフォン50000の透湿性能はトップレベルに高い。例に挙げた他のウェアの中で、ティフォンと同等と思うのはGore-Tex Activeシェルくらいだ。

定価が2万円台のウェアとして考えるなら、抜群に快適性の高い生地を使用しているジャケットだと思う。

ただし、いくら透湿性が高くとも、物理的な換気に勝る蒸れ対策は残念ながら現在の技術ではない。

先に書いた通りティフォン50000はダブルジッパーで任意にフロントを開けることが出来るものの、脇の下のジッパー(ピットジップ)などのベンチレーションは無いため、どうしても汗をかきすぎるとレインジャケット内部が濡れてくる。ポケット兼用のベンチレーションは、ハッキリ言ってあまり効果がないように思う。

もちろん、脇の下にジッパーを付けてしまえば腕のストレッチ性能は犠牲になるし、重量が増加するといったデメリットもある。恐らくティフォン50000STジャケットはそういった点からこの仕様なんだろうけど……個人的にはピットジップはつけて欲しかった。

 

3-4.細かな部分も使いやすい

ティフォン50000STジャケットの良さは、素材の良さに留まらない。

襟や袖周りの作りが考え抜かれていることはもちろん、ヘルメットの有無に関わらずフィットするフード、アクセスし易いドローコード、ポケットの配置、ダブルジッパーなど、登山をはじめとする長時間行動において快適になる工夫が随所に加えられている。

外部の環境に応じて臨機応変にフロントジッパーの開け方や袖口の通気性を調節できるし、何よりフードが使いやすいと感じた。締め付け具合も、ひさしの具合も、片手で簡単に調節できて、そういったストレスもない。

 

3-5.重くて大きいのが残念

ここまで概ねべた褒めしてきたティフォン50000STジャケットだけど、どうしてもイマイチだと思うのが重量と収納時のサイズだ。

レインジャケットで300gは特別重い訳ではないけれど…装備をなるべく軽く小さくしたい僕にとっては、もどかしさを感じるスペックだ。丸めて収納したサイズも、あまり小さくはない。

Gore-Texの2.5レイヤーやGore-Tex Activeなどの軽量さをウリにしたジャケットは、250g前後ないしは100g台を実現しているから、どうしても見劣りしてしまうのだ。

もちろん重量があり生地が分厚いと、特に寒さに対する対候性は高まる。強い雨風が吹きつけて寒いときなんかは、この分厚さがメリットとなるシーンもあるだろう。

しかしこの分厚さだと、いつもの遊びに携行するのもちょっと億劫になる。僕が神経質すぎるかもしれないけれど、やっぱりもっと軽く小さくしてほしい。

 

 

4.まとめ

以上、ミレーのティフォン50000 ST ジャケットのレビューをしてみた。

僕なりにティフォンを使い込み、またGore-Texの各シリーズをはじめ様々なレインジャケットを使用してきたけど、ティフォンの透湿性は納得のいくものだった。素材以外のレインジャケットとしての作り込み具合も、流石はミレーといった仕上がりだ。

街着としても使用しやすいデザイン性も評価すべきだろう。

ただし、やはり重量とサイズはもう一声ほしい。

子のレビューが、皆様のレインジャケット選びの参考になれば幸いだ。

おわり

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