通勤・通学で夜走るときや、ロングライドで夜走るときにはなるべく目立ちたいもの。
反射ベストなど目立つ手段はいろいろあるが、動きのある部分に反射材を取り付けるのも有効だ。今回は、ホイールに取り付ける反射材をご紹介したい。
<目次> 1.対策なしだと見えないけど… 2.スポークリフレクターの登場 3.重量・取り付け方法 4.実際の見え方 5.まとめ
1.対策なしだと見えないけど…
夜間の自転車は、目立つ工夫をしていないとドライバーから非常に見えにくい。車を運転する方なら、無灯火や真っ黒な服装の自転車にドキッとした経験はあるだろう。
特に車道をメインに走るロードバイクとなると、目立つ工夫の重要度は高い。自分の安全のため、またドライバーへの理解を進めるためにも、夜間に視認しやすい工夫が必要だ。
しかし、だからといって『走行性能や快適性、デザイン性を損なうアイテムは取り付けたくない』というのが多くのサイクリストの本音だと思う。そりゃ目立てばいいだけなら、みんな常に全身真っ黄色のウエアを着て、反射材や明るいリアライトを付けまくればいい。でもそんなのスマートじゃない。そりゃ誰だって、お気に入りの愛車に反射シールをベタベタ張り付けたり、デザイン性を損なったりするのは嫌だ。
僕も、ロングライドの時はブルべの規定に準拠した装備(リアライト×2、ヘルメット尾灯、反射ベスト)を守っているが、毎日の通学サイクリングや街乗りでは反射ベストは着ていない(もちろんリアライトとヘルメット尾灯は付けているし、反射バンドも多用しているが)。自転車に乗るのが目的でない場面で、反射ベスト等が不似合いだというのもわかる。
⇧あった方がいいのは分かっていても、付けてない人は多いのでは
つまり、ロードバイク乗りには『スマートで軽量かつ目立つアイテム』が求められている。
2.Salzamanスコッチライトなら
ナイトライドで目立つために有効なのは、単純な明るさや反射面積だけではない。ママチャリのペダルの反射材がキラキラ光るのが凄く目立つのが、ドライバーの方ならきっと分かるはず。そう、目立つためには見かけの明るさに加えて動きを付けるのが重要なのだ。
自転車が走行中に動く場所は、ペダル・クランク・ホイール・チェーン。僕が目を付けたのはホイール、特にスポークだ。
僕は街乗りロードバイクを実験台に、100均の反射テープをクランクやリムに張り付けていろいろ試してみた。が、クランクは動きが小さくてアピール力に欠けるし、リムに100均の反射テープはデザイン性を損なう上に剥がすとシール跡が残る。メインのロードバイクに使うには現実的でない。
そこで見つけたのが、スポークリフレクター。動きの大きいホイールに取り付けられるし、粘着テープを使わないので跡が残らない。更に軽量で安価なので、取り付けによるデメリットが少ない。
⇧僕が買ったのは右のやつ
ホイールの反射材はアピール力が高い。それは100均の反射テープをリムに貼ったとき良く分かったが、ベトベトになって汚れるしので、何せメインのロードバイクに取り付けたいと思えなかった。
こいつなら、テープを使わずに固定できるから跡が残らないし、アピール力を確保できる。
3.重量・取り付け方法
新しいホイールと一緒にAmazonでさっそく購入。類似品がたくさんあって迷ったが、安心の3M製反射材を使っているし、本数的にコスパがよかったのでSalzamanのに決定。
一応本数も数えたが、ちゃんと36本入っていた。1つのホイールに6本付けたとしても、3セット分=街乗りロード+メインロード+MTBと手持ちの3台まるまるカバー出来るのは魅力的。
長さは約7㎝でタログ通りで、素材は堅めのプラスチックだろうか。「ハサミでカット可能」というレビューを見たが、握力のない方には結構大変なんじゃないかなと思う。ワイヤーカッターやペンチを使えば楽に切れたが、断面がつぶれやすいのがイマイチ。スポークに取り付けるのに問題はなかったが、カットはお勧めできない。
加工精度は…正直なところ、加工精度はそんなに良いとは言えない。36本のほとんどは切断面が斜めになっている。
まぁ、別に使用上の問題が生じる箇所ではないので妥協できる。重要なスポークへの取り付け面は均一に処理されているし、実用上の問題はないだろう。
重量は36本で58g。つまり1本=約1.61gということになる。1gを削ることに命を懸けているヒルクライマーでもない限り、許容範囲の重量ではなかろうか。というか、ホイールバランスを取るのに数gの重りを取り付けるのは割とあることだと思う。
これでホイールバランスを取れば一石二鳥かも…?笑
スポークへの取り付け簡単で、切込みが入っている面をスポークに押し付けてはめるだけ。
製品には適応スポーク幅=㎜~㎜と書いていて、確かに構造上太いスポークへの取り付けは難しいように思える。が、他サイトで取り付け不可とされているエアロスポーク(通称きしめんスポーク)でも、僕は普通に取り付け・使用ができた。
公式の適用外なのであくまで参考だが、WH-RS21のスポークには以下の手順で取り付けできた。また、1週間ほど使用しているが取れる気配はない。
⑴スポークの薄い方向から奥まで挟む
⑵リフレクターを回転させてスポークの太い方向に噛ませる
全てのホイールに装着可能とは言えないが、事実上は割と多くのホイール・スポーク形状に対応しているんじゃないか?と思う。
因みに、ホイール全体にバランスよく取り付けようとすると、リフレクターの数はスポーク本数の約数に制限される。例えば、スポークが16本なら2,4,8、20本なら2,4,5,10、というように。スポークには左右があるので、好みの本数で左右までバランスよく配置するのは難しい。実際には全部片側のスポークに取り付けても、目に見えて反射性能に差はないし重量バランスが云々ということもなかったが。
4.実際の見え方
夜の見え方
さて、読者の皆様が気になるのは『実際にどんな見え方をするの?』というところだと思う。疑似的ではあるが、ライトを照射した状態でスマホ撮影してみたので、こちらをご覧いただきたい。
⇩スマホの方へ:動画をフル画面で見たい場合はピンチ(2本の指で広げる)してください
後ろからと前から。
真後ろだと見えないけど、右ハンドルのドライバー視点では十分目立つはず。 pic.twitter.com/NXAEOgwPA8
— S.K.@冬季北海道ライド&登山完 (@r0adbike_sk) July 7, 2019
もうほんとにすごい、めちゃくちゃ目立つ。笑 スポークの見える方向からは相当なアピール力だ。
以前ホイールに100均の反射シールを取り付けたが、その反射シールよりも輝きが強い。フロントホイールとクランクにはまだ100均の反射シールが残っているが、比べていただければよく分かるだろう。
しかし、当然スポークが見えない方向からは意味がない。真後ろに対しては、足首に巻く反射ベルトの方が目立っていた。また、このあたりは自転車と車との相対速度によって影響が変わりそうだ。車との相対速度の小さいロードバイクほど、追い抜きのタイミングより早く気付いてもらえるから効果は高いかも?
一応補足すると、⇧の動画は車線中央付近の車止めにスマホを固定して撮影したものなので、実際の右ハンドルのドライバーからはもっと遠くからもスポークの反射材が見えるはずだ。(逆に左ハンドルからは見えにくい)
ドライバーに対して横向きになればなるほど目立つので、ロードバイクで特に怖い「右折×直進」の対策にも効果はありそうだ。ただし、右折×直進の衝突が怖い道では、キャットアイのVOLTシリーズのフロントライトの『ハイパーコンスタント(ロー点灯+ハイ点滅)』が一番効く。このリフレクターを付けた状態のナイトライドで車の挙動を見てみたが、やはりハイパーコンスタントに勝る効果はなかった。
参考に、八の字をしてみた動画はこちら⇩
*スマホの方へ:動画をフル画面で見たい場合はピンチ(2本の指で広げる)してください
こんな感じに見えます pic.twitter.com/N0D8pHtS1J
— S.K.@冬季北海道ライド&登山完 (@r0adbike_sk) July 12, 2019
本体の切込みが入った方向からは目立ちにくいかと心配していたが、ライトを当てて見る限り本体のどの方向からも問題なく反射している。八の字の動画を見てみても、方向によって反射度合いが変わっているようには見えない。
【2019.09.10追記】
友人に夜間走行で見てもらったが真後ろ以外からはよく見え、アピール力が高いとのことだった。
【2020.02.19追記】
約半年間、最低でも4,000㎞くらいは走ってみたが、走行中に取れたのは2本のみ。全く取れないわけではないが、耐久性的にも問題はないと思う。
昼の見え方
因みに日中は”あまり”目立たない。
夜間は目立つスポークリフレクターだが、面積は大きくないので写真でも存在感は薄いし、僕はデザイン性を損なっているとも思えない。夜道でのアピール力を考えれば、このくらいなら十分許容範囲ではなかろうか?
写真ではデフォルトの長さのまま。リア6本、フロント4本ついている。
まあ、とはいえ、全く見えないということもない。少しでも目立たないようにしたい場合は短く切ったり、本数を減らしたりするのも手だとは思う。ただ前述の通り、家庭の工具では綺麗に切るのが難しいし、反射面積が減ればアピール力も下がる。
バイクパッキング装備と合わせてみるとこんな感じ。黒がベースの配色でも、そんなに違和感があるものではないと思う。むしろ装備がいろいろ付いてるのが好きな僕からすると割とカッコいいかも?(笑)
まぁ、愛車の見た目にとことん拘る方には微妙かも知れない…。
因みに使っているうちに汚れてくるので、自転車のメンテナンスの時に軽く拭いてやる必要がある。汚れてくるといっても、そんなにすぐ汚くなるわけじゃなく、ホイールの汚れるスピードと同じようなイメージだ。僕はロードバイクに乗る人間としては汚れを気にしないタイプだと思うけど、特段面倒に感じることは全くない。
5.まとめ
無論リアライトは目立つがバッテリーと重量問題がある、かといって反射材でスマートさが欠けるのも嫌だ。そんな欲張りなサイクリストの願いを叶えうるのがこのSalzamanスポークリフレクターだろう。
当然、リアライトやその他反射材との組み合わせ使用が前提だ。
「ナイトライドもこれさえあれば安心!」なんて代物ではない。が、あった方がより目立つのは間違いない。 斜め~横向きからはめちゃくちゃ目立つ。
あくまで僕個人の意見だが、夜道を走るのなら自分の視認性を高めるのはサイクリストの責務だと思う。レースでない限り、数グラム増加と安全性、どちらが重要かは明白だ。それでも気になるなら、数秒で取り付け・取り外し可能なので、適宜対応すればいい。
品質は分からないが、類似品もたくさんあるので価格や量を見て選んでもいいかも知れない。レビュー等を見る限り、現状どれも大きな差はなさそうだ。轢かれて死ぬのはこちらなので、ぜひ後悔のない対策を。
おわり