グラベルロードやシクロクロスでよく用いられる「ナローワイド」のチェーンリング。通常のものと比べて寿命が短いといわれるけれど、実際のところどうか謎だった。
今回は、僕のグラベルロードで使用しているナローワイドのチェーンリングが寿命を迎えたので、その話をいろいろと。使用距離や新旧比較の画像を掲載していくので、メンテナンスの参考にしていただければと思う。
<目次> 1.グラベルロードでナローワイドを使用 2.チェーンリングが原因で異音が発生 3.使用は7,500㎞程度? 4.【新旧比較】Wolftoothのチェーンリングに交換 5.チェーンリング選びは規格に注意
1.グラベルロードでナローワイドを使用
冒頭で記載した通り、僕はグラベルロードでナローワイドのチェーンリングを使用している。
『ナローワイド』とは厚歯と薄歯が交互に並んだ構造のことで、チェーン落ちを防止する効果がある。フロントシングルのバイクであればほぼ間違いなく採用されているだろう。
使用していたのは、BombtrackのHOOK EXTというバイク。
去年の春に我が家に来た、クロモリのグラベルロードだ。バイクパッキングやグラベルライドをメインに、約1年半乗ってきた。
グラベルに行くことが多い都合上、ロードバイクよりも圧倒的にパーツの摩耗が激しかった。例えばBBは1年持たずに交換となったし、チェーンはすぐ伸び、ブレーキパッドもローターも何度も替えている。このペースは、大体ロードバイクの2~3倍だろうか。
そんな折、ついにチェーンリングも寿命を迎えた。
2.チェーンリングが原因で異音が発生
パーツを「寿命」と判断する基準は難しいが、僕は「メーカー指定の目安に達するか、使用に問題が生じたとき」を寿命と呼んでいる。
チェーンリングの場合はメーカー指定の目安がないので、変速に問題が生じる等、具体的な問題が生じるまで使っている(本当はもっと早く替えた方がいいはずだけど、セルフメンテ派なので経験のため様子を見ることが多い)。
今回チェーンリングに発生した問題は、トルクをかけてペダリングした際に『ゴリゴリッ』という異音が鳴るというもの。
トルクをかけた時のみに発生し、脚にもゴリゴリという感触があった。以前にBBのベアリングが割れたことがあったけど、それに近い感触だったと思う。
はじめは「チェーンリングが摩耗して異音が発生する」という考えが浮かばず、答えにたどり着くまでかなりの時間を要した。BBやクランク回り・ペダル・チェーン・スプロケ・ハブ・プーリーなど、何度もバラし交換するという苦労を味わったので、ぜひ原因特定の参考になればと思う。
3.使用は7,500km程度?
さて、どのくらいで寿命を迎えたかというと、大体7,500㎞程度だと思う。厳密な走行距離の管理をしていないから、あくまで大雑把な目安だけど…まだ1万kmは乗っていないはず。
ロードバイクのアウターチェーンリングが寿命となったのは3万kmくらいだったから、それと比べるとかなり短い(その時の様子は、こちらの記事にまとめている)。
グラベルロードだから、もちろんグラベルでの使用が多かった。砂が噛み込んだ状態でゴリゴリ走ることもあったから、ロードバイクに比べれば摩耗が早くなるのも頷ける。
ロードバイクとの比較で言えば、フロントが1枚しかないから、2枚を使い分けるのに比べて消耗しやすいはず。チェーンラインも悪く、チェーンとの噛み合わせも強い(≒チェーンと強く擦れる)訳だから、負担が大きいのだろう。
それにしても、こうして驚異的な速さでの摩耗を目にすると、ちょっと驚きを隠せない。
4.【新旧比較】Wolftoothのチェーンリングに交換
新しく購入したチェーンリングは、定評のあるWolftoothのもの。
僕のバイクには、SRAMダイレクトマウントの規格が使われている。なかなか市販品では適合する物がなく、国内で手軽に購入できるのはWolftoothくらいかも知れない。
購入したのはこれ↓
さて、では新品と寿命を迎えた旧品を、画像で比べてみよう。
こうして歯をアップで見ると、違いがよく分かる。
もともとの形状の違いもあるだろうけど、かなり削れている様だ。特に薄歯がペラペラになって尖っている。
↑画像をスライドさせると、それぞれ詳細に見られます。
寿命を迎えたものは、異音発生という問題が起こっているものなので、実際はもう少し早く交換するべきだったのだと思う。その辺りを踏まえてご覧いただければ幸いだ。
Tips.裏表反転で延命可能?
Twitterで教えていただいた情報だけど、チェーンリングを裏表反転させて使用できる場合、ひっくり返せば延命できるらしい。実際に削れ具合を見ても、前後で削れ方が異なるので、入れ替えることで多少寿命が延びるのも頷ける。
ただし、僕の使っているSRAMダイレクトマウントのような、取り付けに裏表が有ったりオフセットが関係するようなものは、そもそも反転不可。ボルト止め系なら出来そうなので、参考までになればと思う。
5.チェーンリング選びは規格に注意
チェーンリング交換の際に注意しなくてはならないのが、マウントの規格だ。ロードバイクに比べ規格が多いし、製品が少ないので適合するかきちんとチェックする必要がある。
例えば、僕の場合のこれはSRAMのダイレクトマウント。似た形でRacefaceのダイレクトマウントもあるので、間違わないように要注意だ。
さらに、ダイレクトマウント系はオフセットが関係してくる。僕の場合は「スタンダード(6mmオフセット)」を使用。実は純正品は5mmオフセットでチェーンラインがズレてしまったけれど、一応問題なく使えている。
他にも、Shimano GRX系・ロード系・5穴系・MTB用モデルなど、とにかくややこしい。
少々値段は張るけれど、Wolftoothなら一通りの規格が揃っていて選びやすいし、品質にも間違いがなくて良いと思う。
どうしても心配なときは、ショップに相談するか、代理店のAlternative Bicyclesさんに質問して、直接購入することも可能(僕はそうさせて頂いた)。
この記事が、ナローワイドユーザーの参考になれば幸いだ。