自転車パーツの中で、比較的高寿命な『チェーンリング』。なかなか交換の目安が分かりにくいし、どのくらい削れたら交換した方がいいのか?というのもピンとこない。
僕もロードバイクのチェーンリングをそんなこんなで使い続けてきたけど、いよいよ「もう無理」となって交換したので、その状況をご紹介したい。
<目次> 1.交換に踏み切った理由 2.使用距離と削れ具合 3.いざ交換 4.交換の効果は?
1.交換に踏み切った理由
今回チェーンリングを交換するのは、僕のメインロードバイクである「Roubaix SL4」。使っているクランクセットは完成車付属のかれこれ数万㎞と走ってきたものの、チェーンリングは未だに交換せずにいた。
このバイクは年1回くらいショップで全体的にメンテナンスしてもらい、都度必要なパーツは交換してきた。前回のメンテナンスでも『スプロケは交換必須だけど、チェーンリングはまだ大丈夫だよ』とのこと。
一般的に?「チェーンリングは1~2万㎞くらいで交換」と言われているけど、そのとき既に2万㎞以上走っていたので正直どこまで使ったらよいものかわからずにいた。
何だかんだと、それから更に1万㎞くらい走ったところ(合計3万㎞を越えてきたあたり)から、フロント変速の調子が悪くなってきた。変速が少し遅いとか、たすき掛けの状態から変速するとチェーンが偶に落ちるとか。。
ケーブル類やFDのトラブルではないので、恐らくこれがチェーンリングの摩耗してきたサイン。よく「歯飛びする」とか「変速が上手くいかなくなる」というけど、その通り使い勝手の悪さが目立ってきた。
それから交換先のチェーンリングがなかなか見つからず、なんだかんだと走り続けてついに「アウター×ロー側の数枚」は、クランクを逆回転させるとほぼ確実にチェーン落ちするようになってしまった。
2.使用距離と削れ具合
走行距離は厳密に管理していないのが申し訳ないけど、概ね「3万㎞以上4万㎞未満」、たぶん3万5千kmくらいだろうか。
とはいえチェーンリングの摩耗度合いは使用環境によって大きく変わるはずだから、距離は参考程度にしかならないだろう(いや、たぶん僕は使い過ぎだからもっと早く交換した方がいい)。
で、肝心の歯の削れ具合はというと、こんな感じ(↓)
歯の部分はペラペラになり、触るとすぐに刺さりそう。
歯の形状もかなり変わっていて、本来ならあるはずのエッジの効いた加工跡が見る影もない。よく見ると歯の高さも低くなっている感じだ。変速性能が下がるのも、チェーン落ちするのもうなずける。
参考までに、交換先のチェーンリングはこんな感じ(中古品。保証はないけど使用は数百㎞のみらしい?少なくとも歯は十分残っている。)。新旧を並べるとこう。
こうしてみると、違いが良く分かる。
因みにインナーは、アウターに比べるとすり減りは少ない。それでも、それなりに違いがありそう。
3.いざ交換
交換作業は簡単。もちろんクランクの種類によって必要な作業は異なるけど、基本的にはチェーンリング固定ボルトをはずして新しいチェーンリングに替え、またボルトを締めて固定するだけ。
僕のと同じプラクシスワークスのクランクであれば、6㎜と5㎜の六角レンチがあれば足りる。シマノクランクの場合は、T25のトルクスレンチが必要らしい。
クランクも外してしまったほうが作業性が高いし細かいところも掃除できるけど、このプラクシスワークスのクランクみたいな5ボルト系ならクランクをつけたままでもチェーンリングだけ外せる。
補足だけど、チェーンリングなどの駆動系パーツを新品に変えるときは、他の変速系パーツも一緒に新品にしてしまった方が良かったりもする。例えば今回だと、チェーンとかスプロケ、場合によってはRDのプーリーとか。
というのも、ギア系にも「慣らし」とか「相性」みたいなのがあるからだ。全体的にすり減った状態で上手くかみ合っていたものを、1つだけ新品にしてしまうと、逆に整合性が取れなくなって上手くいかなくなることもあるらしい。
僕も1度この現象を経験していて、摩耗したチェーンを新品にしたらどうしても変速が上手く決まらなくなり、同じく寿命近かったスプロケも新品にしたらバッチリ決まる様になった。必ず全体を交換しなきゃいけない訳じゃないけど、そういう事もあると頭に入れておくといいかも知れない。
チェーンリングの交換自体は何度かやっているけど、ここでの注意点はとにかく『トルク管理』だ。
この固定ボルトの締めが甘いと、トルクをかけて踏んだ時に「ペキッ」「パキッ」といった異音が鳴る様になってしまう。逆にトルクをかけすぎると、ネジ山を舐めてしまって、最悪中途半端な固定のままチェーンリングが取れなくなってしまう。
僕はどちらの失敗もしているので、どうぞご自身で交換される際はお気をつけて……。
もし適正トルクで締めても異音が発生してしまうときは、ワコーズのブレーキプロテクターを使うといい。
異音の原因となる微妙なすき間をふさぎ、汚れの侵入を防いでくれる。僕はチェーンリングからの異音はこれでばっちり直ったので、どうしてもうまくいかない方は是非お試しあれ。
4.交換の効果は?
さて、摩耗しきったチェーンリングを交換してどうなったかというと、非常に快適になった。
変速性能の向上は明らかで「あれ?こんなにスパスパ変速したっけ?(笑)」となるほど。特に、変速後にチェーンが暴れる感じがあったのが、一発で綺麗に決まるようになった。もちろんチェーン落ちもしないので、そういう面倒もない。
流石に今回の様に、クランクを逆回転させるとすぐチェーンが落ちるとか、フロント変速に違和感が生まれるまでチェーンリングを使い続けるのは良くないなと実感した。
すぐに走行不能になるものではないし、性能が悪化するスピードも緩やかだから劣化に気が付きにくいパーツだとは思うけど、ショップ等で定期的に見てもらいつつ、早めの交換がいいなと思う。
おわり