焚火はキャンプを彩る楽しみの1つだが、「焚火台」という荷物がネックだ。
自転車でのキャンプツーリングが主な僕にとって、重くかさばる焚火台は、あまりにも邪魔な存在である。焚火を楽しみたくても、焚火台を持っていくのが嫌でスルーすることも多かった。
そこで見つけたのが、約200gと超軽量はファイヤーボックス『チタンマニア(Titanmania):焚火台L』。実際の使い勝手はいかほどか、レビューをしていきたい。
<目次> 1.スペック 2.各部詳細 3.使用感 3-1.一人で楽しむサイズ感 3-2.大き目の薪も意外とOK 3-3.床が焦げる 3-4.携行性はそれなり 3-5.料理はどうか? 4.まとめ
1.スペック
まずはスペックのご紹介から。
・展開サイズ:160×98×125mm ・収納サイズ:175×155mm ・重量:202g(実測195g) ・価格:3,880円(記事作成時のAmazon価格) ・Amazonはこちら
僕が焚火台を選ぶにあたって、最も重視したのが「軽量性」。
過去のキャンプツーリングでも焚火をしたいと思うことは何度もあったけど、焚火台に手を出してこなかった理由が「重いから」だったからだ。
普通の焚火台は、ソロ用の小型・軽量なものでも1㎏前後が相場。軽量性より性能を突き詰めたものは、2Kg前後だったりする。ライト&ファストに楽しみたい僕には、それらはあまりに重すぎる…。
そこで見つけたのが、この「チタンマニア:焚火台L」という訳だ。
その重量、なんと202g(実測195g)。
パーツ全てを軽量なチタンで作り、サイズもコンパクトに仕上げている。1㎏で軽量と言われる世界で200gとは、革命的な軽さだ。
この形状は「ファイヤーボックス」と言われることの多いもので、中に薪を投入して燃やすタイプ。
ネットの上に積み上げる系とは異なり、燃やせる薪の量やサイズに制限が生まれるけど、そのまま調理に使えるし風にも強い。その分パッキングが難しい欠点があるけど、そこは小ぶりなサイズでカバーできると判断した。
2.各部詳細
ファイヤーボックス本体の他、ケースが付属する。
このケースには若干余裕があるので、焚火シートと焚き付けを入れておくことが出来る。焚火セットをひとまとめに出来るので、結構重宝している付属品だ。
本体は4側面を覆う壁と底の、合計5枚の板で出来上がる。
一応クッカーなどを乗せるための板もついてくるけど、薪が入れにくいので僕はその用途で使ったことが無い。火箸としては便利なので、いつも持って行ってはいるけど…。
組み立ては板同士の切込みを組み合わせる形。
ちょっとかみ合わせがきつい感じもするけど、数分とかからずに組みあがるだろう。解体も同様の手順でできるので、手間はかからない。
箱型なので安定感は十分。
本体は軽いものの、薪が入った状態なら風で簡単に倒れてしまうことは無さそうだ。
かなり安い製品ながらに、細部までちゃんと作られている印象がある。
3,000円でこれなら大満足だ。成形不良の箇所はないし、見た目にも綺麗。
ちなみにちゃんとチタン製らしく、一度火を入れるとチタンブルーに変色する。その色が変わった感じも好みなので、個人的にはお気に入りポイントの1つだ。
3.使用感
では、実際に使用してみての感想をいろいろと。
3-1.ソロで楽しむサイズ感
焚火台としてはかなり小型な部類だけど、ソロキャンプで焚火をしっぽり楽しむには、むしろちょうど良いサイズ感だった。
逆に大きすぎても、薪の消費量が増えて大変だし、灰や火の粉の処理が面倒だ。
パチパチと燃える薪を眺めつつお酒を飲んで、たまにソーセージを火に当てるくらいなら、このサイズ感で十分である。
3-2.大き目の薪も意外とOK
サイズが小さいと「薪を細かく割らないと使用できないのでは?」と不安があったど、意外と大丈夫だった。
側面の窓のサイズに収まる薪であれば、時間をかけて燃やすことが出来る。
もちろんこの窓に入らな薪は燃やせないし、めいっぱい詰め込んでしまうと薪はよく燃えない。
空気が通る程度には空間をあけて、時間的な余裕も持って消費しなくてはならない。だから制約が全くない訳ではなくて、ある程度計画的に薪を選んだり消費していく必要はある。
場合によっては薪を割れるナイフを持つ必要があって、その分荷物が増えるのはちょっといただけない(それはそれで楽しみと捉えることも出来るけど)。
あまり詳しくないので比較が難しいけど、空気の循環に関して特別の不満はない。良いとは思わないまでも、普通に燃えてくれる。
ちなみに、使用している焚き付けはこのタイプ。固形で扱いやすく、ちゃんと火力がでるので楽ちん。⇩
3-3.床が焦げる?
この焚火台の一番の問題点は、設置場所の下が高熱になること。要するに、焚火台を使用していても、その下の地面に燃えあとが付く可能性が高い。
キャンプ場が「直火禁止」にする理由の1つに「燃え跡を残さないでほしい」というのもあるだろう。そういう意味では、何かしらの対策を施さないと心配だ。
僕は、薪や石を脚の部分に敷く形で、焚火台と地面とを空けるようにして使用している。もちろん薪や石は火の粉や高熱にさらされる場所に置いてしまうと引火or焦げてしまうので、上手く四つ角に分散させなくてはならない。
必ずしも跡が残る訳でもないんだけど……うーん。
『焚火台なのに普通に使うと焚火跡が地面に残る可能性がある』というのが、この焚火台の最も致命的な欠点だろう。
3-4.携行性はそれなり
平たい板状の収納なので、バックパックに入れる場合はかなり楽だけど、バイクに積むときはちょっと苦労するかもしれない。
僕の場合は、
・フルフレームバック(これが一番楽) ・大型サドルバッグ(Apidura 11L) ・フレームバック(Apidura 4.5L)
のいずれかに収めている。使用するバッグによって入る/入らないが分かれる微妙なラインだけど、僕の場合はギリギリ収まってくれているので特に問題は感じていない。
3-5.料理はどうか?
僕は焚火で料理をしようとは思っていないから評価が出来ないけど、このファイヤーボックスの上にクッカー類を置くのは、少々無理があるのでは…と思う。
というのも、薪を相当小さいものを選ぶか短くカットしないと、そもそも上に物を置けないからだ。
短い薪はすぐ燃えてしまうから火力調節も難しいし…。ソーセージなんかをあぶるくらいが丁度よいのでは?と思っている。
4.まとめ
焚火台としては破格に軽量な、『チタンマニア:焚火台L』をレビューしてみた。
前述のとおり使い勝手は最高とはいえないけど、この軽量さと手軽さは他の焚火台にはなく、低価格と相まって十分に満足している製品だ。ファイヤーボックスとしても尖がっていると思うので、万人にお勧めするものではないけど、僕の様なスタイルの人には良いかも知れない。
焚火があるだけでキャンプが楽しくなるし、無の時間が輝くと思う。
重量やサイズがネックで焚火台に手を出していなかった自転車キャンパーには、ぜひ一度検討してみて頂きたい製品だ。
おわり