自転車の整備に欠かせない六角レンチ。日本企業である『EIGHT(エイト)』は、六角レンチ専門で名高いブランドだ。
今回は、ロードバイクの整備用に、評判の良い「テーパーヘッド ヘキサレンチ」のセットを導入してみた。実際の使用感はいかほどか、本格派の六角レンチのレビューをしていきたい。
<目次> 1.スペック 2.各部詳細 3.使用感 3-1.テーパーヘッドが凄い 3-2.色分けが使いやすい 3-3.硬度もいい感じ? 3-4.差し込み角の違いに注意 4.まとめ
1.スペック
自転車乗りであれば、誰しも六角レンチのセットくらいはお持ちだろう。整備はショップに任せるという方も、携帯工具などで手に取る機会はあるはずだ。
しかし、その六角レンチに拘っているという方は、少数ではないだろうか?かく言う僕も、バイクの整備からバラ完まで自分でやる癖に、六角レンチは適当なものを使い続けてきた。
そんな折、ボトルケージのねじを舐めかける事件があった。ボールポイント側で回している時、ずりっとヘッドが滑ってしまったのだ。
使っているレンチを見れば、表面の塗装がすり減っているのも伺える、このまま使い続けると悲惨な事故になりかねないので、前々から気になっていた「いい六角レンチ」を使ってみることにしたのだ。
もともと、実家の倉庫に転がっていたやつだった。十分頑張ってくれたよなぁ…と思わなくもない。
さて、そこで導入したのが『エイト:テーパーヘッド ヘキサレンチ タクミ EXロング』という訳だ。
早速、スペックからご紹介していこう。
・サイズ:6/5/4/3/2.5/2/1.5mm(7本) ・価格:7,370円(税込み) ・Amazonはこちら
EIGHT(エイト)は歴史ある日本の六角レンチ専門メーカーで、PB SwissやWera等の有名海外ブランドと肩を並べる性能と言われている。
そして、ボールポイント側は特殊な構造を採用し、『本締めにも対応できる』という謳い文句。ボールポイントではなく「テーパーヘッド」というそのヘッドは、的確に面取りすることでネジ頭との密着度合いを高めているらしい。
今回導入したのは、エイトの新製品『テーパーヘッド ヘキサレンチ タクミ EXロング』。1.5~6mmの7本組で、色分けされているタイプである。
上のリンクで左が今回ご紹介しているレンチで、右が9本組と本数の多いタイプ。
9本組には8mmと10mmが追加されているけれど、自転車整備ではあまり出番がないので7本組を選択した。
2.各部詳細
では、エイトの六角レンチを詳しく見ていこう。
6~1.5mmの7本組で、自転車の主な整備には対応できるはず。8mmや10mmを使うのは、ペダルの着脱とGXP系のクランクくらいだろう。
見た目でサイズが分かるよう、カラフルに色分けされていてカッコいい。剥がれにくい焼付塗装を施してあるんだとか。
ホルダーは、よくある差し込むタイプのが付属する。抜き差しは適度な硬さか、やや硬く感じるくらいだろうか。
本体とは関係ないけど、結構高級感があって好み。
細長い側は、角度をつけてもネジを回せるように球状になっている。
ただし、エイトのレンチは「ボールポイント」ではなく「テーパーヘッド」と呼ばれ、特殊な面取り加工によりボルトとの密着を高めているらしい。『本締めにも対応できる』と公称出来るのは凄いことだ。
こうして拡大してみると、その加工の様子が良く分かる。
反対側は通常の六角。
こちらも加工精度の高さが伺える美しさである。
エイトのカタログによると、六角レンチは「スタンダードシリーズ」と「エキセレントシリーズ」の2種類があるらしく、使用されている鋼材などが異なる。
この製品は最高グレードの「エキセレントシリーズ」。鋼材の硬さにまで拘って作られたレンチだ。
3.使用感
では、実際に使用しての感想を色々と。
3-1.テーパーヘッドが凄い
使ってみてまず驚いたのは、ネジにピッタリと嵌る感触が強いこと。
通常の六角側もさることながら、テーパーヘッドは通常のボールポイントとは明らかに感触が違う。
レンチを差し込んだ瞬間、パチッとはまっている感触が良く分かって、安心感があるし凄く気持ちよい。
試しに今までの六角レンチとごちゃ混ぜにして、目をつぶって違いが分かるかテストもしてみた。結果、間違わずに答えられたので、やはり差は大きいのだろう。
「本締めにも対応できる」というだけあって、ボールポイント特有の滑る感触がトルクをかけてもほぼ無い。
これは締める時だけでなく、逆に緩める時にも活躍する機能だ。ボトルケージのネジや、ボルトオンタイプのトップチューブバッグの着脱など、どうしてもボール側でないと作業できない箇所もある。
そんな場所では特に、この「テーパーヘッド」の能力に助けられている。
3-2.色分けが使いやすい
今までの真っ黒なレンチだと、「4mmを取るつもりが5mmだった」というミスが絶えなかった。手に取ったときのサイズ感で気が付くものの、テーブルの上から選ぶ時間・選ぶ直す時間が地味にストレスだったのだ。
その点、このセットは色分けされているので、選ぶまでもなくすぐに分かる。
整備中の煩わしさが減り、より快適な作業が出来るようになった。
3-3.硬度もいい感じ?
エイトの商品説明によれば、レンチ自体の硬度にもこだわった設計の様だ。代理店の方からは、「少し硬すぎると感じるかも」という情報をいただいていた。
実際に使ってどう感じたかと言うと、個人的にはちょうど良い硬さ。
柔らかすぎるとトルクがかからないし、逆に硬すぎるとトルク感が分からずオーバートルクになりやすい。もちろん必要に応じでトルクレンチを使っているけれど、最初にネジを締める段階である程度トルクを感じられた方が効率が良いし、ボトルケージ等の込み入った場所は普通のレンチのみで締めてしまうこともある。
素人ながらに扱いやすく、とても良い感じなので気に入っている。
3-4.差し込み角の違いに注意
個人的にはネガティブに感じていないけれど、テーパーヘッドの特徴として「一般的なボールポイントよりも傾けられない」というものがある。
それぞれ最大まで倒しこんだとき、こんな感じの角度になる。こうして見比べると、若干エイトのテーパーヘッドは立ち気味なのがお分かり頂けるだろうか。
とはいえ、現実的にはボールポイントをここまで倒しこんで使うことはほぼ無いし、角度云々よりもしっかりネジを回せる方が大事だと僕は思う。
4.まとめ
以上、エイトの自転車用六角レンチセット『テーパーヘッド ヘキサレンチ タクミ EXロング』をレビューしてみた。
決して安くはない工具だけど、その値段の価値はあると使いながらつくづく実感している。むしろ、どうしてもっと早く導入しなかったのかと後悔しているほどだ。
このレンチのお陰で、整備が快適で楽しくなったし、ボルト側にも優しくなったはず。
日頃から整備を自分でしているという方は、使用頻度から考えて、買って損はしないし高くはない投資だと思う。この記事が、皆様の参考になれば幸いだ。
おわり