身軽に自転車キャンプを楽しめるバイクパッキング。しかし、初心者の方は「使う装備って何?」「どこに何をパッキングすればいいの?」という疑問が尽きないだろう。
そこで、バイクパッキングブランドのアンバサダーである僕が、『どのバッグに何をパッキングしているか?』『パッキングの際の注意点は?』という話を解説していきたい。
<目次> 1.バイクパッキングの概要 Point.どんな遊びがしたい? 2.サドルバッグ Point.揺れないパッキングのコツ 3.フレーム・トップチューブバッグ Point.バッグの使い分け 4.フォーク横 Point.事故防止と使い勝手 5.ダウンチューブ下 Point.ズレない固定 6.同じ荷物でも、こんなパッキングも可能 6-1.フルフレームバッグ 6-2.サドルバッグに集中 6-3.様々なパッキング例
1.バイクパッキングの概要
今回ご紹介するバイクパッキングは、かなりミニマルなキャンプ装備。
自転車に組み付けるとこんな感じ。春~秋の10℃以上の環境を想定し、積載量をなるべく絞ったキャンプツーリングの装備だ。
例えば、もっと寒いなら防寒着を追加し、料理に拘りたければ調理器具を、天候が悪ければ雨装備を加えていくイメージ。いわばキャンプツーリングのベースとなるバイクパッキングである。
Point.どんな遊びがしたい?
バイクパッキングを考えるとき、前提となるのが『何を楽しみたいか?』ということ。
例えばキャンプを充実させたいとか、身軽にライドも楽しみたいとか、冒険味溢れるツーリングがしたいとか……。
それによって、必要になるキャンプ装備が変わってくるし、パッキングの構成も組み立て方が違う。
自分がどんなバイクパッキングが好きかはやってみないと分からないけど、何となく自分の興味がある方向を明確にしておくと、方向性や自分のこだわりが生まれてくると思う。その方向性とかこだわりが、自分のパッキングの満足度にも影響してきて、結構大事な部分だったりするのだ。
僕はというと、ライドそのものや冒険的なアクティビティを常に求めているので、機動力を最重視している。
この記事でご紹介している内容も、かなり「ミニマルな装備」だと思うので、その点を踏まえて解説が出来れば幸いだ。
2.サドルバッグ
バイクパッキングと言えば、やはり大型のサドルバッグが頭に浮かぶだろう。もっとも容量を確保しやすく、バイクパッキングの根幹ともいえるバッグだ。
◎使用バッグ:Apidura/Backcountry Saddle Bag(6L) ・テント:mont-bell/U.L.ドームシェルター1型 ・マット:Sea To Summit/U.L.マットS ・グランドシート:mont-bell/ドーム1型 ・エマージェンシーシート:SOL/Emergency Blanket ・コップ:スノーピーク/チタンシングルマグ450ml ・蓋:EPIgas/チタン蓋 ・ODガス缶:JETBOIL ・ミニフライパン:TOAKS/PAN-115 ・シングルバーナー:RBS/BT3000 ・十徳ナイフ:Victorinox/Fisherman
僕の場合、サドルバッグには「キャンプ場で使用する装備」を収納している。テントやマットといった基本装備はもちろん、クッカーや火器といった調理器具系も然り。
その理由は、『使う場面が同じギアを、同じ場所に収納すると使い勝手が良い』から。
例えばライド中に必要なギアをサドルバッグに混ぜてしまうと、いざ必要になったときに取り出すのが面倒になるし、キャンプ場でも不要なギアが出てきてしまう。そういうロスやストレスを軽減するのが、バイクパッキングでは重要だと僕は思う。
Point.揺れないパッキングのコツ
大型サドルバッグでしばしば問題となるのが、『走行中に揺れてしまう』こと。
走行感が悪化しロスが生まれてしまうから、なるべく揺れを抑えた方が良い。
サドルバッグの揺れを抑えるには、「バッグの性能」と「取り付け方のコツ」の両方を揃えるのが大切だ。
取り付け方のコツは、大雑把に言うと以下の通り。
・荷物をパンパンに詰める ・根本に硬いものを入れる ・ベルトをぎっちり締める
詳しくはこちらの記事にまとめているので、ぜひ合わせてご覧いただきたい。
3.フレーム・トップチューブバッグ
続いてはフレームに取り付けるバッグ類。フレームバッグ、トップチューブバッグ、フロントポーチをまとめてご紹介したい。
◎フレームバッグ
まずはフレームバッグから。
◎バッグ:Apidura/Racing Frame Pack(2.4L) ・モバイルバッテリー:Anker/Power Core ・ケーブル類一式(ライトニング、タイプC、タイプB、3穴コンセント) ・ジレ:カステリ/Squadura ・補給食 ・ミニ三脚:マンフロット/PIXI EVO ・グローブ:BBB/レースシールド
フレームバッグには、走行中…特に「自転車に跨って使用するもの」をまとめている。
また、バッテリー系や三脚といった重くて小さいものは、バイクの重心バランスを良くする観点から、バイクの中央に当たるフレームバッグに収納。このApiduraのフレームバッグは完全防水なので、アドベンチャーライドでも安心して電子機器を入れられる。
◎トップチューブバッグ
トップチューブバッグの用途も、フレームバッグと似ている。
僕が使用しているトップチューブバッグは、一般的なものよりも長く、容量の大きいモデル。これがまた便利で、凄く気に入っているバッグの1つだ。
◎バッグ:Apidura/Racing Long Toptube Pack ・ワイヤーロック ・股ずれ防止クリーム:Protect J1 ・電解質タブレット(Wiggle) ・虫よけ ・汗拭きシート ・骨伝導イヤホン:OpenMove AfterShokz ・ヘッドライト:Olight/Perun
トップチューブバッグには、『ライドの休憩等、バイクを降りた時に使うもの』をまとめている。フレームバッグより位置が高く、バイクに跨っていなくても取り出しやすいためだ。
また、ある程度の余剰空間も常に用意していて、防寒着や補給食など、ライド中に増えた荷物もフレキシブルに収納できるようにしている。
◎フードポーチ
補給不可能な区間が長いとき(100㎞~)、補給食の収納場所やごみ入れとして、フードポーチも追加する。
◎バッグ:Apidura/Food Poach Plus ・GoPro、マウント ・薄手ネックウォーマー:Buff/LightWeight Merino Wool ・補給食など
上から何でも突っ込んでおけるし、出し入れも楽なので、特にロングライド系のツーリングで重宝しているバッグだ。
画像の荷物では容量の8割にも満たないので、実際には更に補給食を入れたり、ゴミを追加したり、ペットボトル飲料を挿したり……と使い方はいろいろ。バイクパッキングでは何かと「ちょっと増えた荷物」の収納場所に困るので、フードポーチは本当に便利。
Point.バッグの使い分け
ここでご紹介した「フレームバッグ」「トップチューブバッグ」「フードポーチ」は、どれも似た役割をもったバッグだ。
ざっくり言ってしまえば、全て『ライド中に使うもの』を収納するのに適している。
それでも、
・防水性:フレームバッグ>トップチューブバッグ>フードポーチ ・取り出しやすさ:フードポーチ>トップチューブバッグ>フレームバッグ ・重心バランスの良さ:フレームバッグ>トップチューブバッグ>フードポーチ
といった差がある。
そういった差を考慮して自分なりの使い分けが出来ると、大きなバッグ1つにまとめるよりも、ライド中に欲しいものをサッと取り出せて快適だ。全てのバッグが必ずしも必要な訳ではないけれど、選択肢を増やすのも大切だと感じている。
4.フォーク横
フォークの横には、嵩張るシュラフや着替えなどを積載。ここでは、ミニマルにシュラフのみをご紹介したい。
◎ケージ:Daigo Gear/Front Fork Holder ・シュラフ:mont-bell/ダウンハガー800 #5 ・ドライサック:mont-bell/アクアペルドライサック5L
使用しているケージは、Daigo Gearさんの自作ギア。通常のエニシングケージに比べて軽量で、荷物の出し入れも簡単な優れものだ。
シュラフはmont-bellの#5。春から秋までは使える軽量シュラフで、ミニマリスト派の方にはおススメだ。もっとオールシーズン対応したいなら、もう1段階暖かい#3が使勝手が良いだろう。
Point.事故防止と使い勝手
フォーク横に積載する際、忘れてはならないのが『事故のリスク』。
もし荷物が脱落したりベルトがほどけたりすると、前輪に絡んでホイールがロックし、走行中であれば前転するといった大事故に繋がる恐れがある。
毎度きちんと荷物を固定するのは結構面倒なので、つい適当にしがちだ。しかし、特にフォーク横は荷物の状態が安全性に直結するため、最新の注意を怠ってはいけない。
また、使用するベルトも、なるべく緩みにくいものが望ましい。Voileストラップやスキーストラップは、その観点から非常に優秀で安心なベルトだ。
5.ダウンチューブ下
ダウンチューブの下には、携帯工具などの『ツールケース』的なものを。僕はアピデュラのダウンチューブバッグを使用している。
◎バッグ:Apidura/Backcountry Downtube Pack ・携帯ポンプ:Crankbrothers/ ・予備チューブ ・タイヤレバー: ・携帯工具:Crankbrothers/Multi13 ……etc.
ダウンチューブ下は忘れがちな積載ポイントながら、重心位置が最高なので「重くて小さいもの」を収納するのに最適だ。その反面取り出しにくい場所でもあるから、携帯工具などをしまっておくと都合が良いだろう。
グラベルロードならここにダボ穴が空いているバイクが多いし、ロードバイク等でもダウンチューブバッグを使用すればダボ穴が不要。また、増設するアタッチメントでボトルケージを付けることも出来る。
Point.ズレない固定
ダウンチューブ下に荷物を付けるなら、ズレない固定をするのが大切。
この位置はチェーンリングやクランクといった駆動系のパーツが集まっているので、仮にダンシングや路面の凹凸でズレる事があれば、数mmでも干渉する可能性がある。
どんな固定方法にしろ、ズレない確実な固定が求められる箇所だ。
6.同じ荷物でも、こんなパッキングも可能
ここまで、冒頭に掲載した画像のバイクパッキングを例に話を進めてきた。しかし、持ち運ぶ荷物が同じだったとしても、パッキングの形は様々だ。
そこで、荷物が同じだったと仮定して、少し趣向を変えたパッキングも簡単にご紹介したい。
6-1.フルフレームバッグ
まずは、フルフレームバッグを使用する方法。
フルフレームバッグのメリットは、バイクの重心バランスが良くなる位置に、大量の荷物を積載できること。荷物がバイクの中央に寄るので、バイクコントロールがし易く走行性能が向上する。
上の画像では、冬用の装備なので焚火台や薪、防寒着といった荷物が増えているけれど、見た目もスッキリとまとまる。
フルフレームバッグはボトルが使えなくなるので、フォーク横に搭載したり、ハイドレーションベストを背負などの方法がある。
これも結構快適なので、バイクパッキングの1つの形だろう。
6-2.サドルバッグに集中
ロードバイクに乗っていて、かつ低予算で簡単にバイクパッキングを始めようとするなら、大型サドルバッグ1つに集約する方法もある。
重心バランスが悪化するし、荷物の出し入れも面倒になるから快適性は落ちるけど、必要となるギアが少ないのも大きなメリットだ。もし1つに集約するなら、15L前後の大型のものがよいだろう。
個人的におススメな方法ではないものの、バイクパッキングには正解も何もないので、各々の状況で出来る範囲のパッキングをするのが良いだろう。
6-3.様々なバイクパッキング例
ここでご紹介しているバイクパッキングの例は一部なので、その他については別記事で詳しくまとめている。
こちらの記事には、僕が今年(2021年)に使用したバイクパッキング・スタイルをライド概要と共にまとめている。どんなライドでどんなパッキングをしたのか、使っているバッグは何かなど、参考になれば幸いだ。
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◎使用しているキャンプ道具まとめ!
ここまで、パッキングの方法等をご紹介してきたが、使用しているキャンプギアの詳細は省いてきた。
この記事に登場したキャンプ装備のほか、僕がバイクパッキングで使用しているキャンプギアをまとめているので、よろしければこちらの記事も合わせてどうぞ。
おわり