超長距離ライダーの為のギアを開発している「Ridefarr」から、新製品の「アームレストキット」が発売された。同社のヒット商品である「カーボンエアロボルトオン」と組み合わせることで、超軽量なエアロバーが完成するという代物だ。
今回は、そのRidefarrのアームレストキットと、カーボンエアロボルトオンを組み合わせた際の使い勝手を簡単にまとめていきたい。
<目次> 1.スペック 2.各部詳細 3.インプレ 3-1.とにかく軽い! 3-2.楽にエアロポジションがとれる 3-3.アームレストがしなる 3-4.グラベル・キャンプライドで使ってみて 4.まとめ
1.スペック
ではまずスペックから見ていこう。
・重量:222g(公称)、218g(実測) ・対応クランプ:31.8m ・価格:14,500円(税込み) ・商品ページはこちら
このアームレストキットは、Ridefarrが発売してきた「カーボンエアロボルトオン」や「エアログラベルハンドル」といった製品と組み合わせて使用することで、小型のDHバーを作れるというもの。
カーボンエアロボルトオンは僕も以前から使用していて、100g程の軽量エアロバー。
これは単体でも使用できるし効果を発揮するアイテムだけど、更にエアロバーとしての使勝手を向上させる装備が、このアームレストキットというわけだ。
Ridefarrのエアログラベルハンドルに装着しても、同様の機能が得られる(↑Alternative Bicyclesさんから引用)。
市販のDHバーよりも小型軽量で、よりライトな使用を想定したエアロバーというイメージだろうか。
気になる実測重量は218g。
公称222gでも十分軽いけど、サバを読んでいる訳でなく更に軽く仕上げているところが嬉しい。
カーボンエアロボルトオンと組み合わせると、実測283g。
ハンドルクランプを互いに共有して装着できるので、単純合算の重量よりも軽くなる。
ちなみに、僕の使っているカーボンエアロボルトオンは限定カラーの塗装がしてあり、恐らく塗装分で公称の98gよりも10g重い。今販売されているモデルであれば、更に軽くなる可能性がある。
2.各部詳細
では、アームレストキットの各部を詳しくご紹介したい。
パッケージは環境に配慮した紙製らしい。開けやすいし保管にも便利。
中身はこうなっていた。立派な梱包がしてあって、開けた瞬間ビックリ。
特に本体の性能とは関係ないけど、こういう演出はちょっと嬉しかったりする。
パーツの仕上がりはどれを見ても綺麗。
31.8㎜の一般的なハンドルバーに対応するので、特殊なエアロハンドル系を除いて、ロード・グラベル・MTB問わず使用可能だろう。
カーボンエアロボルトオンと組み合わせてみた。専用品ということもあって、収まりがいい感じだ。
以下、画像でいろいろな角度から。
このアームレストキットの特徴の1つは、肘置きの細かな位置調節が可能という点だ。
肘置きの前後左右はもちろん、高さもボルト1本で変更できる。
前後左右の位置はここから。ネジ穴の位置的に大きく6つのポジションを選択できるほか、肘置きの角度も微調整出来る。
パッドはベルクロで装着するため、調整の際の着脱も簡単だ。
高さはこちらから。
こちらはほぼ無段階に調節が出来る。
パッドはかなり柔らかいものが付属し、表面も滑りにくい質感。
サイズとしては小さめだが、見た目以上に安定感があるパッドだと思う。
3.インプレ
では、同社のカーボンエアロボルトオンと組み合わせた状態で使ってみての感想をいろいろと。
3-1.とにかく軽い!
何といっても、この製品の良いところは軽量性だろう。一般的なDHバーは500~600g程度、小型なものでも350g前後のものが多いと思う。その中で、ゆうに300gを切っているのは凄い。
本格的なDHバーはハンドリングの悪化を感じることが多いけど、このRidefarrのエアロバーならその影響が小さくなる。
僕はロングライドでDHバーの使用頻度が高い方だと思うけど、そんな僕でも付けっぱなしには出来ないし、使った方が速そうでも装着するか悩む。その理由の1つは、「実際の重量よりも、走行中に感じる重量が重い」こと。ハンドリングやバイクの振りが顕著に重くなり、走っていてストレスになるから、どうしても使うのが億劫になってしまう。
その点、Ridefarrのエアロバーなら、そこまで重さを感じない。
この理由には、重量が一般的なDHバーの半分ほどなのもあるし、コンパクトなためステアリング軸からの距離が近く、重量を感じにくいのもあると思う。Ridefarrなら「大きいサイコンとライトを付けた」のに近い感覚で、走行中に違和感やもどかしさを感じずに済むのだ。
実際の軽量性もさることながら、走行中に感じる重さも軽減できるため、装着に躊躇しなくなった。
3-2.楽にエアロポジションがとれる
Ridefarrのカーボンエアロボルトオン単体での使用より、アームレストキットがあると圧倒的に楽にエアロポジションを取ることが出来る。
下の画像は、「ブラケットポジション⇒DHバーポジション」と切り替えた比較。
このとき、DHバー使用時の画像で、腕がしっかりアームレストキットに乗っていることに注目して頂きたい。
カーボンエアロボルトオン単体では、このポジションでも腕部分の支えがなく、手と腕の力で上半身を支えなければならなかった。結果的に腕への負担が大きくなり、長時間の使用は困難なのが問題の1つだったのだ。(この話は、カーボンエアロボルトオンのレビューでも詳しく書いている。)
アームレストキットを追加することにより、上半身をハンドル付近に預けることが出来、腕への負担が大幅に減った。今まで数㎞程度が連続使用の限界だったけど、これならもっと長い距離でも使えるだろう。
しかし、1つ難点を挙げるなら、バー部分(=カーボンエアロボルトオン)の長さが短いこと。
かなりのショートリーチだから、どうしても手のポジションが窮屈になり、本格的なDHバーの様なリラックスしたエアロポジションは取りにくい。上の画像でも、カーボンエアロボルトオンの先端を包み込むように無理やり握っている。
あと50㎜くらい伸ばせるエクステンションパーツなんかがあれば最高なのに……と個人的には思う。
3-3.アームレストがしなる
使用していてちょっと微妙に思う点は、アームレストがしなること。
具体的には、腕を置く部分を支えるL字型のパーツが、体重をかけるとたわむ。
どうしようもないレベルのたわみでは無いけど……思い切り体重をかけての使用はやはり怖い。DHバーのアームレスト部分は結構大事で、仮にここが走行中折れる様な事があれば、高速での落車といった大事故に繋がりかねない。
これから更に使用を続けていかないと分からないけど、現状は「軽く上体を支える」くらいの使い方が良いのかなと思っている。
3-4.グラベル・キャンプライドで使ってみて
もともとバイクパッキングや超長距離ライドでの使用を想定した製品というのもあり、150㎞程のグラベル&キャンプツーリングで使用してみた。
まず感じたのは、グラベルやヒルクライムでの扱いやすさ。
初めにも書いたけれど、普通のDHバーはハンドリングの悪化が著しく、シビアなハンドリングが求められるグラベルや、ダンシングを多用するヒルクライムでは使いにくかった。
Ridefarrのパーツ一式なら、その悪影響が小さい分、使わない時のネガが薄れている。「グラベルも含むけど、平坦も多いからエアロも捨てがたい」みたいなライドには、もってこいなアイテムだと思う。
バイクパッキングでの使用でも、グラベルで腕が疲れた時にポジションを変えてみたり、向かい風の時にエアロにしてみたり……と、結構活用シーンは多い。
個人的に、今まで「100㎞あたり獲得標高500m前後」というのがエアロパーツを取り入れる基準にしてきたけど、もう少し登りの多いライドでも良いかなと感じているところだ。
3-5.優秀なショートDHバー
Ridefarrのカーボンエアロボルトオン+アームレストキットは、いわゆる「ショートDHバー」という部類であり、そのなかでもハイスペック・高機能なものだと思う。
カーボンエアロボルトオン単体は、エアロバーというより「ハンドルの一部」という印象だったけど、アームレストキットを併用することで「ショートDHバー」と呼べるくらいのものにはなった。
いやむしろ、市販のショートDHバーに比べると、更にハイスペックな製品とも言える。
こういったショートDHバーは各社から発売されているけど、これらはアームレスト部分の調節が効かない。DHバーはポジション調節がどれだけ効くかが重要なので、この機能の有無は大きな差だ。
また、バー部分も握りやすさが異なる。普通の棒だけよりも、カーボンエアロボルトオンの方が手になじむ形状で握りやすく、使用時の快適性は高いと僕は感じる。
4.まとめ
Ridefarrの「カーボンエアロボルトオン」と「アームレストキット」を組み合わせることで、軽量なショートDHバーが完成した。
ハンドリングへの悪影響が少なく、調節もしやすいため、この手の製品としては扱いやすい。グラベルやロングライドでの「ちょとエアロ効果が欲しい」「ポジションを増やしたい」という時にピッタリだ。
通常のDHバーより安定性には欠けるため、使用頻度が高いなら通常のDHバーが良いだろう。逆に、中~低頻度での使用ならこの製品は凄く良いと思う。
この記事が、皆様のギア選びの参考になれば幸いだ。
おわり