ロードバイクでのサイクリングには、急な雨は付き物だ。何も備えをしていないとずぶ濡れになって身体が冷えるし、かといって本格的なレインジャケットを持つほど必要性は高くない。。
そんな時に便利なジャケットが、薄手のレインジャケット。ウィンドブレーカーに近い感覚でライドに持っていくことが出来、また短時間であれば雨にも対応できる。
今回は、カステリ(Castelli)の簡易レインジャケット『エマージェンシー レインジャケット(emergency rain jacket)』をレビューしていきたい。
<目次> 1.スペック 2.各部詳細 3.使用感 3-1.「とりあえず持っておく」にぴったり 3-2.カステリのシルエットが最高 3-3.明らかに蒸れる 3-4.ウィンドブレーカーの強化版? 4.まとめ
1.スペック
まずはスペックから簡単に。
・重量:144g(Sサイズ実測) ・耐水圧:10,000㎜ ・透湿性:未公表 ・価格:20,000円+税 ・楽天ページはこちら、
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このジャケットは「急な雨に対応するレインジャケット」で、長時間の雨ライドを想定した本格的なレインジャケットよりも、価格を抑えて扱いやすくしたモデル。
使用している生地は、カステリの独自素材「Deluge Light」を使用した2.5レイヤー。耐水圧は10,000㎜なのである程度の雨までは対応可能。透湿性は未公表だけど、カステリのチャートから言って5,000~15,000g/m²/24hrsあたりだと思う。
(↑)カステリ公式サイトより引用
現在(2021/11)では、第二世代にあたる「エマージェンシーⅡレインジャケット」が公式サイトにはアップされている。
コンセプトも素材も同じなので基本性能は同じだろうけど、デザインやカラーがより今風?で、背中にベンチレーションが追加されているので、買うならこっちの方がいいかも知れない。
実測重量は144g。この手のジャケットの相場くらいだろうか。
物凄い軽量コンパクト!ではないけど、それなりに携帯性も高い。
◎サイズ感について
続いてはサイズ感について。
このジャケットのシルエットは「サイクリング用」らしく、タイトで袖と後丈が長い。
僕は身長177㎝体重67㎏、胸囲89㎝、ウエスト74㎝。着用サイズはMサイズ。
カステリのサイズチャートだとSサイズがジャストで、余裕を持つとMだった。セールだったのでSとM両方を購入し、結果的にしっくり来たのがMだった。
中は夏用のサイクルジャージ1枚しか着ていない。
ストレッチ性があればフィットするSサイズが良かったかも知れないけど、ほぼ伸びないこのジャケットだと苦しい感じが拭えなかった。
2.各部詳細
では、カステリのエマージェンシー レインジャケットを詳しく見ていこう。
全体はシンプルながらに、白いジッパーと両肩のカステリのマークがアクセントになっている。
質感はマットで、細かい凹凸がある。
後ろ側には、Castelliのロゴも入る。
ポケットは前後ともに無し。
カステリお決まりの、サソリのマーク。
ロードバイクの前傾姿勢だと、これが結構目立っていい感じ。
画像だと映りにくいけど、内側は凹凸のある素材で肌離れを良くしている。
汗蒸れの不快感を軽減するため施される加工で、近年のレインジャケットによく見る。この辺りに抜かりが無いのが良い。
両腰と袖には、水抜き用の穴がある。
背中や腕を伝った雨水を排出するための穴らしく、他のジャケットにはあまり見ない珍しい仕様だ。
袖口。こちらは1~2㎝ほど折り返しがあり、腕を伝ってきた水が手にかからない様になっている。(正直、効果のほどは不明だけど…)
末端はゴムが入った普通のリブで、フィット感も普通にいい。
裾口も同様にゴムが入ったリブ。内側に滑り止め等は無い。
ジッパーは止水ジッパーで、内側もちゃんとシームテープ処理してある。その辺りはレインジャケットらしい。個人的にはカステリのロゴが入ったジッパータブが可愛くて好き。笑
3.使用感
では、実際に使用してみての感想をいろいろと。
3-1.「とりあえず持っておく」にぴったり
このジャケットのコンセプトは、その名の通り「急な雨に備える緊急ジャケット」。そんな使用シーンを想定すると、このジャケットはかなり優秀だと思った。
いざ走ろうと玄関を出るとき、「うーん、やっぱりちょっと雨降るかもな……」という経験をした方は、多いのではなかろうか。
特に春秋の山間部は、にわか雨が多い上に気温も低く侮れない。例えば帰宅までの1時間や、雨雲を抜けるまでの数十㎞を、何とかしのげるジャケットがあると便利だというシーンは数知れない。
そんな時に活躍するのが、このエマージェンシーレインジャケット。しっかり雨を防いで冷えから守ってくれるし、収納サイズ的にも悪くない。別に使わずにライドを終えても「折角持って行ったのに」とはならず、かといって必要な時にはスペック不足にならない、ちょうどいいレベル感だ。
3-2.カステリのシルエットが最高
このジャケットの使用頻度が高いのは、シルエットが着ていて気持ちよいからというのも大きい。
カステリの想定する体型に僕が合っているから、という理由が大きいのだろうけど、ライディング中にストレスのないシルエットなのが素晴らしい。
変なバタつきも袖が足りない残念な感じもない。特にレインジャケットだと変に身体が露出するとそこが濡れて気持ち悪いけど、そんな不快感が無くなった。過不足なく身体を包んでくれる感触が、ロードバイクでのライドにぴったりだ。
3-3.明らかに蒸れる
レインジャケットに付いて回る話題は、ズバリ「汗蒸れ」。
エマージェンシーレインジャケットが採用しているのは、カステリの独自素材「Deluge Light」の2.5レイヤーだ。
具体的な透湿性が公表されていないから評価が難しいけど、他に持っているジャケット(Gore-Texの各シリーズをはじめ10種類近くの防水透湿素材を試してきた)に比べ、明らかに蒸れると思う。
強度をそこまで上げずともジャケットの内側が濡れるし、着た状態での乾きも遅い。あくまで個人的な感覚だけど、透湿性は10,000g/m²/24hくらいのイメージだろうか。(普通のGore-Texは25,000g/m²/24hくらい。僕が使って快適なのは40,000~50,000g/m²/24hくらい。)
もちろんこのジャケットは、そもそも「急な雨用」であって、丸一日雨の日に着用することを想定していない。製品設計的にはこれでも十分だろう。ただし、そこそこの金額を出してもこの蒸れ感は悲しいなとも思う。
3-4.ウィンドブレーカーの強化版?
僕の中で、このジャケットの位置づけは「ウィンドブレーカーの強化版」だ。
所謂ペラペラのウィンドブレーカーより防水性はもちろん保温力もあるけど、本格的なレインジャケットには及ばない。
レインジャケットと名の付くものだけど、性能的には本格的なレインジャケットよりウィンドブレーカーに近いだろう。
こう書くと否定的に見えるけど、むしろ「Gore-Texのレインジャケットを持つほど雨予報じゃないけど、天気が不安だなぁ」という時にバッチリで、コンセプト通りの良い働きをしてくれている。グラベルにガンガン行くときもいい感じだ。
ウィンドブレーカーの気軽な携行性と、雨や寒さにも対応できる対候性を兼ね備えた便利なヤツなのだ。
4.まとめ
以上、カステリのエマージェンシーレインジャケットをレビューしてみた。
その名の通り「急な雨に備えるジャケット」として優秀で、春先~梅雨、秋雨と、活用できる時期は長く出番も多い。ここ1年で持っていく率が一番高いジャケットかも知れない。
しかし、あくまで「急な雨用」なので、長時間の着用に耐えられる防水透湿性ではない。長時間の着用が想定される超ロングライドの防寒着としても今一つだ。
新型の「エマージェンシーⅡレインジャケット」も同様の素材を使用しているので、恐らく同じ結果となるだろう。雨ロングライドをするなら、Gore-Tex(特にPacliteやActive)のジャケットをお勧めする。
おわり