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グラベルエベレスティングで使用した機材&ウェアとインプレまとめ

僕はオフロードのみのエベレスティング(エベレスティングSOIL)を達成し、合計285km/獲得標高9,300mほどを一気に走行した。

この記事では、グラベルエベレスティングで使用した機材のご紹介と、ライドでの所感をまとめていく。グラベルでのロングライドに関する情報は少ないので、どなたかの参考になれば、また自分自身の備忘録として記録しておきたい。

<目次>
1.バイク(フレーム)
2.足回り&コンポ
3.サスペンション機構
4.ライト・ボトル・バック等
5.ウェア系

1.バイク(フレーム)

バイクはBombtrackのHook EXT 2021。僕がアンバサダーを勤めるブランドBombtrackの、クロモリ・グラベルロードだ。

走ったときの仕様はこんな感じ(↓)

詳しいインプレはこちらの記事に書いているのでリンク先からご覧いただきたいけど、気持ちのよい走行感や拡張性が素晴らしい一方、堅牢性や積載重視で重量もそれなりにある。ハンドリングの感触からも、グラベル・レーサーではなく、バイクパッキング・ツーリングバイクだと僕は思う。もう少し付け加えるなら、『良く走りエクストリーム系もイケるツーリングバイク』だろうか。

走ることを突き詰めているから普通のツアラー系より圧倒的に走るけど、レース用に作られたバイクじゃない。

そういった観点からいうと、今回のようなチャレンジには「市場の全てのバイクでベストチョイス」とは決して言えないというのが正直な感想だ。というのも、やっぱり登るなら軽いレース系の方が有利に決まっているし、下りで安定して速く走るならもっとMTB的なジオメトリ(ヘッドが寝て後ろ重心)のバイクの方が適しているはずだから。

他のグラベルロードに乗り込んだことがないので何ともいえないけど、軽量なカーボングラベルレーサーか、あるいはCX系の軽量なMTBの方が楽にクリアできるだろうな、と思う。特にタイム的な話をするなら、MTBでもっと急な斜度を攻めたほうが早いはず。

『じゃあ不満いっぱいで走っていたのか?』と言われると実はそうでもなくて、僕は結構ライドを楽しんでもいた。

その理由の1つは、恐らくコース選定と僕の得意分野&慣れの関係。僕はPWR的にそんなに登りが得意なライダーではないし、レースのように高強度スプリントで速い人間でもない。逆に、ツーリング的な緩やかな斜面で長い距離を走るのは苦でないし比較的得意だ。過去のロングライドで培ったノウハウも活かせる。

今回のコースは斜度が緩やか(最大でも13%程度しかない)で、また僕自身も体重があるほう(67kg)なので、バイク重量やヘッド角のデメリットは薄められたのかなと思う。僕は今までパッキングありで走ってきた距離の方が長いくらいなので、重いバイクを走らせるのに慣れているのも大きい。

ガンガン飛び石がフレームに当たり続けたり、疲れすぎて休憩でバイクを放り出したりと結構雑な扱いをしていた中では、クロモリも頼もしいなと思った。チャレンジの途中でバイクのトラブルなんて、絶対に嫌だしそれを気にしながら走る余裕もないし。極限に疲れても頼れる安心感はHook EXTの良いところかなとも思う。

『Hook EXTはツーリングバイクだ』とさんざん言っておきながら、こんな風に攻めてもイケちゃうものかと走っていて驚いたし、トルクをかけたとき気持ちよくしなるクロモリの感触も楽しくてよかった。純ツーリングバイクでこういう走りをしようとは思わないし、そいういう所がHook EXTの面白いところかも知れない。

使用するコースによって、またグラベルエベレスティングをタイムアタックの様な「レース・チャレンジ」と捉えるか、耐久走の様な「エクストリーム・チャレンジ」と捉えるかで、BombtrackのHook EXTの是非も分かれるだろう。

前者ならもっと良いバイクがあるだろうし、後者なら安心感や実績的な意味で選択肢の1つかなと思う。

 

 

2.足回り&コンポ

足回りは完成車付属のホイールに、WTBのチューブレスタイヤ。フロントはVenture、リアはBywayで、どちらも650b×47c。

ホイールは変えたことがないので評価が出来ないけど、完成車付属のものなのでまだ軽量化や改善の余地はあったろうなと思う。とは言え僕はこれ以外を知らないので、特別重いとか辛いとも思わなかった。

タイヤはフロントはグリップ重視しVenture、リアは転がり重視でByway。ロードプラス規格のタイヤはやはりクッション性があり乗り心地がよいので、長距離のグラベルを走る上で楽ができたなと思う。

今回のコースでも感触は良くて、更に気に入った。完成車付属のRangerよりも、転がりや軽量性の観点から今回のグラベルエベレスティングには向いていたはず。ただここも、申し訳ないけど今後もっといろいろ試していかないと正確には評価できないところだ。

ちなみに、空気圧はフロントは2.2Bar、リアは3.0Barにセット。登り重視ならもっと高く、下り重視なら低くしたいところだけど、今回用いたコースでその両方のバランスを取ったのがこの値。いろいろな組み合わせを試した結果、これに落ち着いた。

バイクのハンドリング的に急なコーナーでリアを少し滑らせたりするので、リアはむしろ上り重視で高くしておいたほうが調子が良かったのが今回の発見。

コンポはSRAMのRival1。フロントに32Tのチェーンリングを入れ、32/11-42Tのフロントシングルで挑んだ。

これまでグラベルを走った感じからもオフロードにはフロントシングルの方が良くて、またレバーの形状と操作性的にSRAMは素晴らしい。登り⇒下り⇒登り…とひたすらに繰り返すとき、やっぱりギア比を変えやすいシングルは楽。そして握りやすく操作しやすいSRAMのレバー形状はすごく気に入った。

ギア比は完成車付属の40/11-42Tから変更。コース自体はこのギア比でも難なく登れるけど、流石に獲得9,000m越えとなると話は別だ。感覚で選んだ32Tという選択は、結果的にちょうど良かったと思う。

ここもスラム互換で組まれていたのが有難いポイントだった。というのもシマノに多い5アームや4アームのクランクだと、ロード系規格のPCDが110でチェーンリングが最低でも34Tになってしまう。それが、スラムのダイレクトマウントだと歯数に制限なく好きなものを選択できるので、非常に助かった。

チェーンオイルはお世話になっているDimensionさんおススメの「orontas:bikecare lubricant wet」。落ちにくいとの事で譲ってもらったけど、確かに持ちが良い。

雨に打たれながらも、250km/7,000mくらいまでは切れることなく走り続けられたと思う(かなり疲れていたので、オイル切れに気が付かなかった可能性も否定できないけど多分そう。)

 

3.サスペンション機構

今回のチャレンジでその効果を確認し感動したのが、搭載したサスペンション機構。具体的には、Redshiftのショックストップというサスペンションステムと、BikeyokeのSAGMAというサスペンションサドルだ。

エアボリュームのある650bタイヤを使用しているとはいえ、300km近くもグラベルを走り続けるとなると体への負担が大きくなる。試走の段階でまず問題に感じたのが、繰り返される下りでの手の痛みだ。

ガタガタと揺れるバイクを押さえながらコントロールするにはそれなりにハンドルにも加重し力を入れる必要があって、そうなるとオンロードのロングライドの様に手の抜重を活かしきれない。そこに繰り返される振動が襲い掛かって、たちまちに手のひらが痛くなってしまった。

タイヤの空気圧をもっと下げれば改善の余地はあったけど、登りでの快適性も考えると限度がある。かといってサスペンションフォークを導入するのかと言うと、それも重くてイマイチだ。

そこに登場したのがRedshiftのショックストップステム。短いストロークながらにバイクの振動を吸収してくれるアイテムで、重量も比較的軽量。本格的なトレイル走行には不向きだけど、こういうロンググラベルを走るチャレンジにはぴったりなはず……。

これが期待以上に良い働きをしてくれて、手の痛みは消え快適なライディングが出来るようになった。前は30kmで手が痛くなっていたのに、300kmをパッド無しのグローブで走っても大丈夫だったほど。

お尻側の振動吸収は、BikeyokeのSAGMAサドルで。こちらは登りで効果を発揮してくれた(そもそも下りはサドルに座らないから、効果もなにもない)

グラベルの登りはオンロードと異なり、リアタイヤのトラクションに気をつけて走らないと、タイヤが空転してしまう。だからリアにトラクションをかけるためにサドルを通して体重を乗せて走ることが多いんだけど、大きな凸凹があるとお尻が跳ねて身体が浮いてしまい、一瞬トラクションが抜けてロスが生まれる。これがなかなかにストレスであり、疲労の元にもなる。

それを緩和してくれるアイテムがサスペンション機構のあるサドルである、BikeyokeのSAGMAサドル。

こちらもエラストマーがシートとレールの間にあって、路面からの突き上げを吸収しお尻が跳ねるのを緩和してくれる。ステムの方と比べると上下への稼動範囲は狭いものの、サドルのケーシングが柔らかいことや滑りにくく厚みのあるパッドが付いていることで、3次元的にバイクの挙動をいなしてくれるのだ。

結果的にお尻がサドルから浮くことが減り、バイクをコントロールしやすくもなる。

恐らく数mm単位のちょっとした違いでしかないけど、そのお陰で登りでのトラクション管理が非常に楽になり、また突き上げによるお尻へのダメージも大幅に軽減できた。

あまりメジャーでない新興アイテムだけど、今回のチャレンジを支えてくれたのは間違いない。

 

4.ライト・ボトル・バック等

グラベルエベレスティングではオーバーナイトでのグラベル走行が求められるので、ライトもそれなりの用意が要る。

今回用いたのはOlightのRN1500を2灯と、同社のヘッドライトPerun

RN1500は300lmで12時間以上の連続点灯が可能なのが選んだ一番の理由で、一晩中バッテリーのことを気にせず使用し続けられるのは大きなメリットとなった。これを2灯体制にすることで全体の灯りとして600lmを常時確保し、またバックスウィープのついたハンドルバー(リッチーのVenturemax)を使用することで、左右にも広い配光を実現できた。

もし初見のトレイルを夜間走行するなら、この倍の光量は欲しくなるところだろう。しかし今回は、日の出から何十回も走り続けている道であるため、300lm×2でも必要にして十分であった。

また、タイトなコーナーが多く、野生動物が左右の茂みに潜むグラベルでは、ヘッドライトも必須と言ってよいだろう。辺りに光は何もないので、休憩の際に補給食を探したりウェアを着替えたりするのにも役立つ。

使用したPerunは最大1000lmの強力なヘッドライトで、こちらもランタイムも十分長い。登りではオフかローで点灯し、下りでミドルという運用をした。こちらも十分な明るさで、安心してナイトグラベルを走る事ができた。

1つ注文をつけるなら重量だろうか。一晩中頭の上に乗せておくには少々重く、後半はそれによる疲労もあったと思うので出来ることなら軽くしたい。となるとバッテリー別体のタイプのヘッドライトが最適かもしれない。

リアは同社のSEEMEE30。軽量ながらに長持ちなのでこれを1つ使用した。こちらはアピール力重視で選ぶ普段のロングライドとは異なり、ついていればいいかなくらいで選択。

実際丸一日走ってもフォロワーさんが応援に来てくれた以外1人だし、ましてや夜に走行する人はまずいないので、アピール云々よりも壊れないことを重視した。

これはゴムバンドでとめる簡素なつくりであるものの固定力は十分で、グラベルを走っても問題ないのは確認済み。また、ねじ式のブラケットは長距離のグラベルで緩む恐れが大きいけど、この手のゴムバンドは切れない限り緩んだりしないので安心である。

使用したボトルもちょっとこだわりで、キャメルバックのオフロード用ボトル『Podium Chill Dirt 620ml』。飲み口に汚れ防止のキャップがついているから、泥跳ねがあっても飲み口を清潔に保てる。

そこまでドロドロの道に入らなくとも、砂埃などでボトルの飲み口はたちまち汚れてしまうものだ。もちろん最後まで口がジャリジャリになることなく走れたので、これも気に入った。

バックはFairweatherのCornerBagをチョイス。

この位置が取り出しやすさと膝当たりのストレスを加味すると最適で、サイズ感もちょうどよく軽量。詳しくはレビュー記事をご覧いただきたいが、お気に入りのバックの1つだ。

WolftoothのPumpBagと迷ったけど、おにぎりを入れるためにスペースの広いこちらを選択した。

 

 

5.ウェア系

ウェアは特別なものは使用しておらず、基本いつものロングライドと同じもの。

当日の気温は5~15℃。本当だったら終始晴れで快適なはずが、夜間雨に降られてしまうという厳しい展開になった。

基本で着ていたもの、上半身は

・おたふく手袋:3Dメッシュ
・Craft:Extremeインナー
・ウィンドブレーカー等
・Buff:ライトウェイトメリノネックチューブ

朝方は5℃くらいまで冷え込むため、化繊のインシュレーションジャケット(GoreBikeWearのThermiun)を用意しつつ、10~15℃の日中用に薄手のウィンドブレーカー(Craftの薄手もの)、そしてその中間の暖かさの防寒着としてレインウェア(ミレーのティフォンST 50000)を使い分けた。

夜間雨が降った際には、予備のインナーを重ね着して保温性を高めつつ、ミレーのレインジャケットを使用。また、ネックチューブも2つ重ねて使用して、首周りを暖かく&浸水を防止。

少し特別なこととしては、常時ジャケットを使用する前提で、あえてサイクルジャージは着ずに走った。バックポケットの機能は、フレームバックとレーパンのポケットで代用。また、ジャケットにもポケットが付いているのでそれも使用した。

エベレスティングでは短い登りを繰り返すため常時持ち運ぶ荷物は少なく、1~2時間の補給食さえ確保できればOKだったのも大きい。

グローブはBBBのレースシールド。夜間雨に打たれたときに同社のコールドシールドも使ったけど、殆どはレースシールドでまかなった。薄手で操作感覚が良いので、グラベルの下りでも走りやすいし、補給食を食べたりスマホを操作したりもストレスがない。

先ほども少し触れたけど、下半身は

・モンベル:ジオラインM.W.
・おたふく手袋:ボディータフネス保温
・パールイズミ:ポケットつきレーパン(224-3DR)
・モンベル:WICソックスロング
・シマノ:RX8シューズ

という組み合わせ。

下半身は何も脱ぎ着しない想定で用意していて、最低気温に合わせて暖かい仕様にしている。モンベルのジオラインM.W.をインナーに、おたふく手袋のBTを重ねて実質ウィンタージャージみたいな感じ。

最近導入したポケット付きレーパン(パールイズミ224-3DR)が本当に便利すぎて、もうこれ無しでは走れなくなってしまったくらい。スマホを突っ込んでおいても良いし、補給食のごみ入れにするにもちょうど良い。どんなジャケットを着てもアクセスしやすいので、寒暖差のあるこういうライドでは尚良しだ。サイクルジャージのバックポケットより優秀だと思う。

股ずれ防止用に、ProtectJ1クリームを塗布&持参。このクリームは本当に優秀で、いつものロングライドと同様に快適なライドを支えてくれた。

シューズはシマノのグラベルレース用シューズRX8。超軽量のカーボンソールモデルで、いつも使っているやつだ。こういう重量の気になるチャレンジでは重宝する。

以上、僕がグラベルエベレスティングで使用した機材やウェアなどをご紹介してみた。グラベルでロングライドをした方の情報は少ないので、どなたかの参考になれば幸いだ。

おわり

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