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ロングライド向けのポジション調整の仕方(サドル/ハンドル/ステム等)ーHow To ロングライド⑧

「ロングライドを楽に走りたい」と試行錯誤を続けている僕だけど、最も安価で効果が高いと感じているのがポジションの最適化だ。出費ゼロかつ手軽で六角レンチ1本あれば出来る簡単な調整でも、ロングライドでの快適性や速度を上げるのに大きく貢献してくれる。

その一方で、調整を間違ってしまうと痛みや故障の原因にもなりうるから、適当にやっていいものでも無い。

この記事では、ロングライドを意識したポジション探しの僕なりのノウハウと、実際の僕の遍歴をご紹介したい。

<目次>
0.僕はあくまで素人です
1.ポジションで目指すもの
ー「アップライト」がすべてではない
2.ポジションの探し方
3-1.ステム上下・スペーサーの入れ替え
3-2.ハンドル角の調整
3.ハンドル・ステム調整
4.サドルの調整
4-1.サドル高の調整
4-2.サドル前後の調整
4-3.サドル角の調整
5.僕の今のポジション紹介

(0.僕はあくまで素人です)

はじめに一言おことわりをしておきたいのは、僕はあくまでいち自転車好きに過ぎないということ。僕なりに勉強した内容やの失敗・成功の体験を踏まえてこの記事を書いているけど、ひょっとすると正しくない内容があるかも知れない。

また、ポジションは乗り手との相性が一番重要だけど、肝心の乗り手である皆様の顔は僕からは見えないので、必ずしも「僕のいう良し悪し」が皆様に当てはまるかは分からない。その辺りも加味したうえで、1つの参考として活用していただけたらと思う。

 

1.ポジションで目指すもの

さて、早速本題に入ろう。

まず根本的に、自転車のポジションは『自転車を進ませる』ことに最適化させるのが良いだろう。このときに考えるのは

基本①

・パワーが出る

・空気抵抗が小さい

 

を連立させた最適解となる。これはロングライドでも同じことで、忘れてはいけないポイントだと思う。

その上で『いかに長時間パワーを出し続けられるか?』というのが問題になる。1~2時間の短時間レースとは違って、10~20時間、あるいはそれ以上を走り続けるロングライドでは、なるべくリラックスして長時間継続しても苦痛の少ないポジションを探すべきだ。

そのために僕が重要だと思っているのが下の基本②。

 

基本②
・複数の楽な姿勢をとれる

 

ブラケット以外にも下ハンやフラットが楽に使え、かつ座り位置や上体の角度を変えて負荷のかかる筋肉を変えられるのが、長い距離を走るうえで一番重要だと僕は思う。

逆に、例えばブラケットポジションは楽だけど下ハンは苦しいとか、後半つい辛くなってフラット部分ばかり持っているとか、サドルの位置が前乗りすぎor後ろ乗りすぎて特定の筋肉ばかりを使うポジションしか取れないとか、そういうポジションだとどこかで無理が出て辛くなってしまうというのが僕の経験則。

この基本①と基本②を踏まえた最適解が、僕なりのゴールである。

 

 

「アップライト」が全てではない

ロングライド向けポジションというと、一般論として定着しているのは「アップライトなポジション」だろう。

アップライト?

・アップライトなポジション

⇒ハンドル位置が近く高めで、上体が起きたポジション

 

これはある意味正しくて、「走る」ことを無視すれば、前傾を深くして身体に無理がかかるポジションよりも、上半身を起こしてリラックスした姿勢の方が楽なのは間違いない。

ただし、上半身を起こすことは弊害もあることを忘れてはいけないと僕は思う。上半身を起こすほどサドルに体重がかかっていくからお尻の痛みに繋がりやすいし、空気抵抗も大きくなるからより大きなパワーや長時間の走行が必要になる

(↑)例えば、平坦メインならDHバーを使って空力を良くした方がほぼ間違いなく楽だし速い。僕の頭の高さは、左から①街中or登り、②平坦or下り、③平坦メインのコースでDHバー、④向かい風orスピード重視(DHバーがなくてもここまで下げる)、という感じ。

もちろん筋力や慣れ等の問題で、初心者がいきなりエアロポジションを目指すのはハードルが高いと思う。その一方で、500㎞/20h切りのライドではほぼ③と④だけで走っているし、少しずつ頭を下げて走る練習を積み重ねたから出来たことだ。

だから、盲目的に「ロングライドは上体を起こそう!」みたいに考えるんじゃなく、コースと自分の筋力等を勘案して最適解を探していくべきだ。

 

 

2.ポジションの探し方

では、実際にロングライド用のポジションをどう探していくか?というのを書いていこう。

2-.1.調整をする場所

「ポジション調整ってなにをすればいいの?」というのを簡単に。パーツ交換を含めて考えたらいじる箇所は膨大になるけど、基本は以下の:ハンドル周り」:サドル回り」との2か所だと考えるといいだろう。

ここからは、ポジション探しのポイントに触れた後に、各所の調整について詳しく書いていきたい。

 

2-2.ポジション探しのポイント

ポジション探しは「ただ変えればいい」という大雑把なやり方だと、逆にパフォーマンスの低下や故障、過度な悩みを引き起こす可能性がある。

僕なりのポイントは以下の通り。

ポイント

・変更は㎜単位で

・1度にいじるのは1か所

・元のポジションを記録しておく

・実際に走りながら変える

 

よっぽどおかしいポジションに設定されていない限り(ショップで購入していれば明らかにおかしいという事はないはず)、1㎜単位で少しずつ、かつ1か所ずつ弄る様にして、変更の影響を確かめていくのがいい。でないと、身体に無理がかかって故障しやすいし、変更箇所とその影響を分解して理解しないと恐らく永遠にゴールが見えない。

そして、元の方が良かったと思っても、戻せなくなっては意味がないハンドルやシートポストの目盛りをメモしておく、シールを貼っておく、写真を撮っておく等の一工夫が結構大事になる。

さらに、実際に走りながらポジションを変えてみるというのも、ポジションを調整していくにあたって重要なことだと僕は思う。

家に帰ってからいざ「そういえば○○だったなぁ」とポジションを変えようとしても、どのくらい変更すればいいか分からないし、次回走っても記憶が薄れるから効果があるか確かめにくい。

慣れないうちは、六角レンチ片手に走りながら気になる部分を微調整して、良いポジションを見つけるのがいいと思う。特にロングライドでは100㎞、200㎞あたりの地点で微修正をかけていくと、残りの距離でポジションを確かめられるし良し悪しを判断しやすい。

注意

ボルトを適正トルクで締めることと、バイクの操作感が変わることに注意。ボルトが緩いと大事故につながりかねないし、逆にきついとパーツの破損につながる。初めて弄るときは、乗る前に力をかけても大丈夫か確かめてから乗る癖をつけるのがおススメ。また、特にハンドル周りを調整・変更するとバイクの操作感が変わりやすいので、変更後のライドはお気をつけて。

 

 

3.ステム、ハンドルの調整

では、各部の調整について少し細かく見ていこう。気軽に変更出来て失敗のリスクも低いと思うのが、ステムやハンドル周り。

 

ステムとハンドル周り

・ステム上下の入れかえ(角度変更)
・スペーサーの変更(ステムの高さ変更)
・ブラケット&ハンドルの角度変更

 

 

3-1.ステム上下・スペーサーの入れ替え

ハンドルの高さを変えたいときは、ステムの上下を入れ替えるか、コラムスペーサーとステムの順番を入れ替えるのが手っ取り早い。詳しい交換の仕方はここで書くと長くなりすぎるから割愛するけど、難易度の低い調整なので手軽に出来るはず。

一般的には、ロングライド向けには先ほど説明した「アップライト」を目指すので、ハンドルの位置が高くなる様にセッティングすることが多い。

レース等で乗り込んでいる方は、一般論通りにハンドルを5㎜か1㎝くらい上げると、リラックスできて良さそうに思う。

しかし多くの場合、納車からポジションをいじっていない初心者の方はハンドルが高すぎるのでは?と僕は思っている。まわりのライダーを見てもそうだし、僕個人の経験でも乗り慣れるほどハンドルは下がっていくはず。納車時の様に「すでにハンドルが高い」状態でさらに高くすると、逆にお尻の痛みや疲労につながってしまうから、一度自分の乗車姿勢を鏡に映したり写真を撮ってもらったりして確認するのをお勧めする。

 

3-2.ハンドル角の調整

ブラケット&ハンドル角の調整は意外と盲点だけど、快適性に大きく影響するので侮ってはいけない。見た目にはほぼ変わらないくらい(数°)の変更でも、「持ちやすい/持ちにくい」「ハンドルを引きやすい/押しやすい」といった感覚に大きな違いが出る。

手の痛みや腕・肩回りの疲労感には結構有効な調整。

一般的には、低出力のロングライドではハンドルを「押しやすい=前上がり」にする。ただ、これは人によって好みが分かれる部分だし、怪我の元にもなりにくいのでいろいろ試して頂きたい。

因みに、僕はブラケットは角度を立てて、下ハンは地面と水平からやや角度をつけた状態が好き。上の写真で右のフォロワーさん(ロングライダーのりっけいさん)のバイクは、逆にかなり前のめりなタイプ。

 

 

4.サドルまわりの調整

ハンドル周りに次いで調整しやすいのがサドル周り。

といっても、サドルの位置はハンドルほど調整幅がないものだし、誤ったポジションにしてしまうと膝の痛みや故障に繋がってしまう。例えば「脚が付かないのが怖いから凄く低くしてある」とかじゃない限り、自分で弄るのはせいぜい数㎜くらい(変えても5㎜くらいまで)にするのがいいと思う。

 

サドル周りの調整

4-1.サドル高の上下
4-2.サドルの前後
(4-3.サドルの角度)

 

 

4-1.サドル高の上下

サドルの高さは、基本的にシートポストの出ししろで調整する。シートポストによっては目盛りが付いているのでそれをメモor写真を撮っておくのもいいし、自分で油性ペンか何かで印をつけておくのもいいだろう。

サドル高の調整には様々な観点があって、これらは乗り手の癖や特性からクランク長やペダルといった機材でも変わるポイント。だから一概に「サドル高は○○がいい」とは言えず、ある程度幅を持った適正値のなかで調節することになる。

よく言われる方法としては

サドル高の目安?

・股下ー10㎝(股下によってズレあり)

・股下×0.865~0.885(サドルが高いほど上級者向き?)

・下死点で膝が少し曲がるor素足でかかとを乗せて膝がまっすぐになる位置

 

辺りだろうか。

とはいえ、正直なところ数値はただの目安に過ぎず、先ほど書いた通り乗り手の特性や機材の構成で最適解は変わる。細かい部分では、ペダル+シューズのスタックハイト(ペダル軸から足までの距離)とかレーパンのパッドの厚みとサドルの沈みこみ、数値化できない柔軟性、そもそもの測定方法(厳密にどこからどこの距離か)など、㎜単位で目安を謳うくせに何から何までガバガバだ。(笑)

だから、僕は六角レンチをポケットに入れてロングライドをしまくり、疲れてきた後半に微調整を繰り返して自分が一番楽に走れる位置を探す、というのがベストだと思う。

とはいえ、こういう数値は使わずに走りながら合わせていった僕だけど、おおよそ確定した今測定してみると

今の僕

・股下長:83.5㎝

・サドル高:73.4㎝(股下マイナス10.1㎝、股下×0.879)

 

となっている。ここで面白いのが、散々批判した上記の目安も全て満たしていること。(笑) 上げ過ぎや下げ過ぎを経て、結局一番パフォーマンスが良く故障をしにくいのがこの高さだった

 

4-2.サドルの前後

サドルの前後は、サドル高によって最適な位置がほぼ1か所に決まるので、あれこれと悩むことは少ないと思う。

詳しくはこのサイト(↓)の後半が参考になるけど、踏み込むときに膝がペダルの真上に来るように調整すればOK。

厳密にやろうとすると一人では無理なので、ローラーなどにバイクを固定したうえで誰かに見てもらうか動画を撮るのが一番確実ではある。ただ、これもサドル高と同じく厳密さを求めるのは困難かつメリットも少ないので、おおよそ合わせたあとは実走あるのみだと思う。

因みに、DHバーをメインにしてTTポジションで走るときは、サドルを2㎜くらい上げる&前に出す。前傾のきつくなるTTポジションでは「前乗り」の方が楽なので、サドルを前に出したうえでBB~サドルの距離を一定に保つためだ。

BBを中心にしたサドル高(僕の場合は73.6㎝)の円を描くようなイメージで微調整をしていくと、前乗りor後ろ乗りが変更しやすいと思う。

 

4-3.サドルの角度

最後に、サドルの角度について。基本的には座面を水平にするので、特に問題がないなら水平なままで良い。

調整をするなら、サドルとの相性等で「尿道の圧迫感が辛い」という場合。そんなときは、やや前に角度をつけて斜めにセッティングすると、股間が楽になったりする。

ただ、これはサドルを買い替えた方がいいのかも?と僕は思うというのも、サドルを前傾させると常に少しずつお尻が前に滑っていき、身体の別の部分(特に上半身)に負担がかかるからだ。短距離レースでは問題ないと思うけど、この負担がロングライドでは大きなウィークポイントで、疲労増や手・肩・腰の痛みに繋がる。(僕の場合はそうなった)。

尿道の圧迫感や痛みについては、対策されているサドルを試してみるのがおススメ。レビュー記事も書いているけど、スペシャライズドのパワーサドルはいい選択肢の1つだと思う。

 

 

5.今の僕のポジション紹介

ここまで調整のあれこれについて、僕なりの知見を書いてきた。参考になるかは分からないけど、最後に今の僕のポジションについて簡単にご紹介したい。

ハンドルの位置は高めにしてあって、特にブラケットを使用するとそれなりに上体が起きる形になる。実際のところ、平坦を巡行するようなシーンではブラケットはあまり使用せず、下ハンかTTポジションかの2択。ブラケットは登りや市街地など用いるのがメイン。

これでも納車時より「ステム:100㎜ 6°⇒110㎜ 17°」「スペーサー:10㎜下げる」と、それなりに低く前に出してきた。

ただ、ブラケットで身体を起こせた方が景色を見ながら走れるというメリットもあって、ロングライド中に息を抜きつつ周囲を見渡したり、写真撮影でのストップ&ゴーの際にも楽でいい。

下ハンはこのくらい。僕的には下ハンもかなり楽な姿勢で、結構使っている。ハンドルのドロップは小さめ(125㎜)なので、ブラケットとさほど差がないのがお気に入り。

登りはダンシングを使うことが多くて、短い登りならほぼ全部ダンシングかも知れない。

本格的なヒルクライムではフラット部分……というかステムの辺りを持っている。低速ほど空気抵抗は影響が小さいので、呼吸のし易さと体重の乗せやすさだけを考えた姿勢で。

逆に平坦ほど身体を低くしたいので、DHバーも積極的に使う(もちろん安全には最大限配慮したうえで)。DHバーのセッティングも「楽かつ速い」というギリギリのラインにしていて、身体はリラックスできる角度に留めている。

ステムは地面と水平なので、それと比較していただくとだいたいの角度とポジションがわかって頂けるはず。使用しているDHバーはプロファイルデザインの4525a、レビューはこちら。

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以上、僕なりのロングライドのポジションについて書いてみた。ポジション探しの正解は自分で決めるものなので、あくまで僕個人の一例として捉えて頂ければと思う。

疲れない走り方のコツや計画方法、ウェア等、他の観点からの「ロングライドのコツ」については、この記事でまとめているので併せてどうぞ。

この記事が、皆様のロングライドがより楽しくなる助けになれば幸いだ。

おわり

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