昨今のロードバイクの多くは、ケーブルがフレーム内装式になっている。内装式のワイヤーは、空気抵抗が減ったり見た目がスッキリしたりといろいろメリットはあるものの、メンテナンス性が低くケーブル交換の作業が面倒くさい。個人で整備する派の人にとって、内装のインナーワイヤー交換は一つの関門になるだろう。
今回は、そのインナーワイヤー交換を、シマノのケーブルライナーを使用してやってみた。
<目次> 1.内装式は「ライナー」が必要 2.シマノのケーブルライナーを購入 3.交換作業今回は、そのインナーワイヤー交換を、シマノのケーブルライナーを使用してやってみた。 4.最後に
1.内装式は「ライナー」が必要
この記事で話題にしているのは、冒頭の通り「ケーブルがフレーム内装式」のバイクのワイヤー交換。
例えばこういうやつ。僕のカーボンロードも、こんな風にフレームの内部にワイヤーが通っている。インナーワイヤーを交換する際に何も考えず引っこ抜くと、後からフレーム内にインナーワイヤーを通す作業が困難を極めてしまう。
逆に「ケーブルがフレーム外装式」のバイクはこう。(↓)
初代のアルミロードは外装式で、ワイヤーが外に出ている。これなら何も考えずインナーワイヤーを引っこ抜いても問題なんだけど、最初にご紹介した内装式のやつはそうもいかない。
先ほど書いた通り、内装式で古いワイヤーを普通に引っこ抜くと、新しいワイヤーを通すときに苦労する羽目になる。そこで、『新しいワイヤーのガイドとなる何か』を、フレームに通しておく必要がある訳だ。
2.シマノのケーブルライナーを購入
『新しいワイヤーのガイドとなる何か』にはいろいろ種類ややり方があるけど、基本的には「ライナー」と呼ばれるアウターワイヤーの様な細い管をインナーに被せてガイドにするのが一般的なようだ。
このライナーにもいろいろ種類があるみたいだけど、僕が使っているのは最も(?)安価なシマノのケーブルライナー。ネットで検索すると良く出てくるジャグワイヤーのなんか数千円はするけど、シマノのは1本で200円くらいと凄くお財布に優しいお値段……。
1本1800㎜。僕のバイク(スペシャライズド:ルーベSL4サイズ54)では1800㎜でちょうど足りたけど、不安な方やハンドルも内装の方は2本必要かもしれない。お買い得な10本セット(上のリンク右側)もある。
ケーブルライナーは、こんな感じのプラスチックっぽい管。太さはシフト用のアウターワイヤーくらいで、内径はもっと太くブレーキ用のインナーワイヤーも通る。
3.交換作業
さて、では早速ワイヤーの交換作業のご説明を。ざっくりとした交換手順は以下の通りだ。
①インナーワイヤーにライナーをかぶせる
②ライナーをフレームに貫通させる
③インナーワイヤーを抜く
④新しいインナーワイヤーを通す
⑤ライナーを抜く
こうして言葉で説明するとなんだかややこしく感じてしまうけど、実際は『フレーム内部に常にワイヤーorライナーが通っている状態にする』という事だけを忘れなければOK。
①インナーワイヤーにライナーをかぶせる
まずは、ディレーラー側のワイヤーを外してライナーを被せていく。ワイヤーのディレーラーに固定されていた部分は癖がついていてライナーを被せにくかったりするので、先にカットしてしまった方が楽かもしれない。
こんな風にアウターワイヤーの他にもフレーム受けのパーツがいろいろ付いているかも知れないので、パーツ構成を忘れない様に。
僕は覚えたつもりが忘れてしまうことが多いので、こうやって写真を撮って忘れても良いようにしながら作業することが多い。
僕のフレームはBB下にケーブルガイドがあるので、ここで一旦ケーブルが外にでる。
ケーブルにライナーを被せていくとき、ライナー側を押し込むよりも、ライナーを固定してケーブルを押し込んだ方が滑りが良くてやりやすかった。まぁどちらにしても結果は同じなんだけど、ライナー自体もそこまで強度のあるものではないので、作業は慎重かつ丁寧に……。
②ライナーをフレームに貫通させる
ライナーを被せていくと、フレームを貫通させることが出来る。ここまで来たら一安心、特別な作業は殆ど終わったといってもいい。
僕のロードバイクの様にBB下で一回ケーブルが出るバターンの時は、ここで一旦ライナーと古いケーブルを切ってしまうと次のダウンチューブ側の作業がしやすくなる。
次のダウンチューブ側の作業をするときには、誤ってせっかく通したライナーを抜いてしまわない様に注意。
③インナーワイヤーを抜く
ライナーを通した後は、古いインナーワイヤーを抜く。
ダウンチューブやハンドルなど他の部分にも内装の箇所がある場合は、ここまでの手順を繰り返してライナーをフレーム内に通していけばよい。
ダウンチューブにもライナーを通したところ。この状態から古いインナーワイヤーを抜く。
④新しいインナーワイヤーを通す
ライナーさえ通してしまえば、あとはフレーム外装式のワイヤー交換と同じ。ギアをRDならトップに、FDならインナーに入れた状態から、STIのタイコ部分から古いワイヤーを完全に抜き取る。
(↓)古いワイヤーを抜くところ。
続いては新しいワイヤーを通していく。アウターを交換しないときはこのままインナーを通せばいいし、アウターを交換するならバーテープをはがしてアウターも交換する。
*場合によってはSTIからアウターへの接続部分でインナーが引っかかってしまうので、その時はバーテープをはがしてアウターに通してやる必要がある。
⑤ライナーを抜く
インナーをライナーに通しフレームを貫通させたら、ライナーを抜き去る。
フレームに付属していたアウター受けも忘れずに取り付けていく。ワイヤーを引き抜いていった時と逆の手順だ。
ディレーラー部分までインナーを通したら、ワイヤーを固定し通常通りセッティングをすればOK。ディレーラーのセッティングについてはこの記事で説明すると長くなってしまうので割愛するが、ワイヤーの張り具合だけ調整すればよい(ハイ・ローアジャストボルトやBテンションボルトを弄らなくてよい)から、調整は早くて簡単なはず。
各部の動きをチェックしたら完了。
4.最後に
以上、僕なりのフレーム内装式のワイヤー交換についてご紹介してみた。
ネット上には高価なライナーや磁石付きのケーブルを使用する例が出てくるけど、こんな風に数百円のシマノ製ライナーで事足りることもある。
もちろんフレームとの相性によっては、このライナーが通らないとか上手くいかない例もあると思う。最終的には現物合わせでやってみるしかないんだけど、とりあえず安いこれから始めてみても良いだろう。
フレーム内装式はいろいろ面倒ではあるものの、こんな風に意外と安く・簡単に作業が出来る例もある。この記事がワイヤー交換をする方の参考になれば幸いだ。
おわり