メンテナンス

【独自規格は滅びよ】Specialized『SCS』の罠。Roubaix SL4 Discは普通のホイールが使えなかった件。

「〇〇を最適化しました」とのたまう癖に、実際はユーザーの選択肢を狭め、補修パーツの供給さえ制限する「独自規格」。

スポーツバイク大手のスペシャライズドも独自規格をしばしば用いていて、僕の愛車である「Roubaix SL4 disc」も例外ではなかった。「SCS:Short Chainstay Shifting」という、リアハブのフリーボディーオフセットが採用されているせいで、市販のホイールが使用できなかった。

この記事では、スペシャライズドのSCS規格やそれにまつわる問題について書いていきたい。

*素人の僕が書いているので、記事内容に誤りがある可能性があります。

<目次>
1.SCSって何?
2.普通のホイールが使えない
3.独自規格はクソだし販売店は説明を

1.SCSって何?

今回話題にしている「SCS」とは、Specializedがディスクロード創成期に開発し採用した独自規格。

「Short Chainstay Shifting」の略でリムブレーキのロードバイク規格のエンド幅130㎜で設計されたフレーム・コンポ・チェーンラインと、エンド幅を135㎜に広げたQRディスクロードのチェーンラインの整合性を保ち、変則性能を確保するために作られたもの(だと思う)。

(↑)https://rovalcomponents.com/pages/frequently-asked-questionsのスクリーンショット。

要するに、「スプロケの付く位置が、一般的な135㎜QRエンドと比べて2.5㎜内側にオフセットされている」規格である。

こちらのサイトを見ると分かりやすい。(↓)

 

このページのスクリーンショット。リアハブのフリーボディー位置が異なる(一般的な130㎜ロードのスプロケ位置になっている)のがわかると思う。

左:SCS規格のハブが採用されたホイール(Axis 4.0 disc SCS)と、右:通常の135㎜QR規格のホイール(3T Discus C35 team)の比較。SCS規格が、リアエンドの面に対して2.5㎜フリーボディーが内側に入っているのがわかる。

 

 

2.普通のホイールが使えない

で、このSCS規格を採用しているフレームでホイール交換を行おうとすると、適合するホイールはスペシャライズドの「SCS」規格で作られたホイールしかない。

RovalのCLX SCSなど展開がない訳ではないけど、既に過去のものになった規格だし、選択肢が著しく狭められる。ホイール名に「SCS」が付くものしか使用できないので、数種類のホイールしかない。2020年の今手に入るホイールでSCS規格なんて、一体いくつあるだろう?

完成車でRoubaix SL4 Disc 2016を購入してから付属のホイールを使い続けた僕だけど、満を持してホイールのアップグレードを行った。

しかし、どうにもフリーボディーの位置がおかしくて、うまくホイールが嵌まらない……。原因を調べていくと、このSCSという規格が判明した。(Twitterにて情報提供を頂きました。本当にありがとうございます)

SCS規格のフレームに非SCSの普通のホイールをはめると、こんな風にスプロケの位置が外側に寄りすぎてディレーラーハンガーに干渉する。

結局のところ、ポン付で使うなら昔の型落ちSCS規格のホイールを探してきて買うか、完成車付属のホイールのハブと任意のリムを組み合わせてホイールを組みなおすしかない。

 

3.独自規格はクソだし販売店は説明を

ちょっと極端な表現だとは思うけど、はっきり言ってこういうユーザーの選択肢を狭める独自規格はクソだと思う。いやもう、本当に我慢ならない。

仮に独自規格を開発したとして、長きに渡ってその規格を採用し続け、補修パーツやアップグレード機材の供給を潤沢に用意するなら納得できる。新規格による性能向上だって少なからずあるはずだ。

しかし「ホイールを変えるならこれかこれしかありません。あと、その規格はもうやめたので生産はないです。」なんて、あんまりにも酷い。

更に僕が頭にきているのは、販売時にその説明を受けていないこと。

それなりの価格はしたし、学生の僕には人生最大の買い物だったのでよく覚えている。買う前にHPを隅々まで見て、ショップに通ってさんざん悩んだ。でも、「使えるホイールが数種類しかない(しかも限定的な期間で用いられる可能性のある規格である)」ことは言われていないし、今の今まで知らなかった。

ロードバイクでホイール交換をするのは至って普通のことだし、市販のホイールが使えないなんて一大事だろうに。メーカーも販売店も、そこをもっと強調して説明するべきじゃないだろうか?

少し感情的な記述になってしまっているけど、本当に独自規格は良いことないと思う。そして、販売する側はそのリスクをもっと強調するべきだ。

今もいろいろなバイクでメーカーの独自規格が採用されている。新車購入の際には分かりやすいスペックばかりに気を取られて、メーカーに都合のいい情報だけを見てしまいがちだと思う。だからこそ、一度立ち止まって規格を隅々まで確認するのを強くおススメしたい

もちろん、独自規格が開発される背景には新たな技術の導入(僕の場合はディスクブレーキ)という進歩があって、開発時点ではその独自規格がスタンダードにとってかわる可能性もある。とはいえ、いちメーカーの規格なんてスタンダードにならない可能性の方が高い訳だし、アフターサービスを含めてお粗末な結果になるリスクを忘れてはならない。

独自規格に悩まされている身として、この記事が独自規格に翻弄されるユーザーを1人でも減らすことが出来たら幸いだ。

おわり

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