サイクリングの便利装備「トップチューブバッグ」。様々なブランドから商品が発売されているが、その使い勝手はピンキリだ。
今回は、トップチューブバッグの中でも大型の部類である、Blackburn(ブラックバーン)の『OUT POST(アウトポスト)トップチューブバック』をレビューしていきたい。
*この記事でご紹介するOUT POSTトップチューブバッグは、バイクパッキングが広まりだした頃にリリースされた商品で、僕は数年前に新古品のような形で中古購入した。現在(2020/09)国内通販でみるバックの形状は恐らく僕が持っているのと同じだけど、本国サイトの『OUT POSTトップチューブバッグ』は細部の形状が異なるのでご注意を。現在Amazonで販売されているものの商品画像は僕のと同じ旧型だけど、どちらが届くのか分からない。新旧の違いも折に触れてご紹介するけど、見逃しなどがあるかも知れないので悪しからず。
<目次> 1.製品概要 2.各部詳細 3.良いところ 3-1.大容量 3-2.仕切りやポケットが便利 3-3.取り出しやすい空き方 3-4.ズレにくい 4.残念なところ 4-1.大きすぎて膝に当たる 4-2.防水性 4-3.ベルトが干渉するかも 5.まとめ
1.製品概要
ブラックバーンはアメリカの自転車用品ブランド。ライトやツール、カーゴケージ等自転車ツーリング系のあれこれを作っていて、バイクパッキング用品も有名だ。いくつかブラックバーンのバッグやライトを使っているけど、オフロード寄りの設計で全体として堅牢でしっかりした作りの製品が多い印象がある。
以前にブラックバーンの商品はレビューしていて、今でも気に入って使っている。
大まかなスペックは以下の通り。
・サイズ:高さ120mm × 長さ240mm × 幅75mm ・重量:240g ・容量:1L ・カラー:ブラック、カモ ・素材:70D ナイロン(リップストップ加工) ・価格:6,500円(税抜き)(Amazonはこちら) ・ブラックバーンの公式サイトはこちら(現行品)
冒頭でも書いた通り、トップチューブバッグの中ではなかり大型なバック。フレームサイズの小さい方だと、降車時に股下に余裕が無くなって使いにくいかも?と思うくらい。
2.各部詳細
続いては、各部の詳細を見ていこう。全体像はこんな感じ。
左側。ジッパー付きのサイドポケットがある。ポケットにマチはないので、収納力はあまりない。
右側。こちらにはジッパー無しのサイドポケット。こちらもマチはないので収納力は小さい。
実測でのサイズだが、高さは最大(上画像右側)で約120㎜、最小(上画像左側)で約75㎜。長さはバック本体の底面が約230㎜だった。
現行品と違うと思われるのが、まずヘッドのベルクロ形状。僕が持っているのは本体と一体型だけど、現行はベルトと本体が別々のタイプで、ベルトはバックル式らしい。
本体側の素材が滑り止めになっているので、固定力が高くなっている。
バッグの上ぶた部分にはメッシュの収納スペースがある。奥が深いので長細いものの収納に適している。補給食を突っ込んでおいてもいいし、ライド中のゴミを挟むことも出来る。
ベルクロの抑えも付いているから、ちゃんと奥まで入れれば落ちるリスクは低い。
因みに、ここにスマホを入れている画像もあるけど、バッグは手前に行くにしたがって幅が狭くなっているから今どきの普通サイズのスマホはまず入らないだろう。iPhoneSEくらいのサイズならギリギリ入るかも?という感じ。
バッグは左側にガバッと大きく開く。容量が多い分、こんな風に大きく開いた方が見やすくてよい。右手で出し入れするのに便利な方向なので、左利きの方にはやや不便なのかも知れない。
バッグの内側は全体が赤になっていて、荷物の視認性を上げている。
中仕切りとキーフックが付属。
ここも現行品と異なるところで、現行品の中仕切りはもっと調節幅が狭く(バック内側のベルクロが張り付く場所の面積が少ない)、キーフックは廃止されている。
固定はかなり幅広なベルクロ。フレームとの接地面には滑り止めの加工がしてあり、グリップ感は十分にある。ベルトと本体は別々なで、3カ所あるループの任意の場所にベルトを通して使う。固定力はやや落ちるが、ベルトは1本でも使用可能。
ここにも現行品との違いがあり、現行品はトップチューブへのボルトオン固定にも対応している。細かいギミックは不明だが、本体底面に2つのボルト穴が開いているようだった。
表面素材の「リップストップ加工」というのは、この格子状のナイロン糸を縫い込む加工のこと。軽量で引き裂き防止効果があって、もし穴が空いたりしても穴が広がらない様になっている。もっとも、かなり分厚くがっちりした生地なので穴が開くことはそうそう無いだろう。
生地自体には撥水性があるので雨に弱いという程ではないが、縫製は縫い仕上げなので防水性は高くはないと思われる。
3.良いところ
では、実際に使ってみて感じた良いところを4つ挙げていきたい。
3-1.大容量
何と言ってもこのトップチューブバッグの特徴である容量。ツール缶の中身なら普通に入ってしまうので、これ1つでライドに出掛けられるほど。
このサイズ感はバイクパッキングでのキャンプツーリングで重宝していて、スペースを追いやられたり他のものに紛れたりしやすい小物系を入れておくのに都合が良い。ヘッドライトや設営に使う細引き、バッテリー系、小銭入れ等、さっと取り出したいものを入れておくと便利だ。
それでもなお、補給食を入れるスペースは確保できるし、途中で荷物が増えてしまってもサッと収納も出来る。
3-2.仕切りやポケットが便利
大容量だと走行時の振動でバックの中身がごちゃごちゃになりやすいが、可動式の中仕切りがあるのでその心配もない。
その時の使い方に合わせた配置に出来るから、汎用性が高くて快適なパッキングをすることが出来る。
また、この中仕切りがバック側面が膨らむのを抑制する役割も果たしてくれるらしく、たくさん詰め込んでも側面が出っ張りにくくていいなと思ったり。
3-3.取り出しやすい開き方
トップチューブバッグにも、口の開き方がいろいろある。真ん中ジッパー、右開き、左開き、下開き……etc.
ブラックバーンのサイズになると、真ん中ジッパーのみだと中身が目視で確認できず使い辛いだろう。すると上下左右どこからか蓋を開けるような形になるけど、右利きの僕にとっては右開きが最も使いやすい(逆に左効きの方には使いにくいかも知れない)。
ちゃんと蓋が大きく開く作りになっているのも素晴らしいし、右が開いてくれるので個人的には嬉しい限り。
3-4.ズレにくい
トップチューブとの接地面に滑り止め加工をし極太のベルトを採用しているお陰で、バックの固定力もなかなかだ。トップチューブバッグは中身が重くなればなるほど左右にズレたりベルトが緩んだりしやすく、そのちょっとした差がストレスになる。
その点、流石ブラックバーンの設計はちゃんとしていて、パンパンに積んでもバックが振られないしベルトも緩まない。例えば雪道1,000㎞を走った時でも、このバックのベルトは一切締め直しをせずに使うことが出来た。
4.残念なところ
続いては、使ってみて感じた残念なところを3つほど。
4-1.大きすぎて膝に当たる
先ほどメリットとして挙げた「大容量」の裏返しが「膝に当たる」だ。もうこれは仕方がないことなんだけど、語らずにはいられないポイント。
ブラックバーンのトップチューブバッグは前が幅広で、手前になるにしたがって幅が狭くなっている。実測だと、ヘッド付近が約80㎜、手前の端が約55㎜。
このサイズが膝に当たるかどうかはバイクやペダリングによって変わるから自分がどうなるかは試して頂くしかないけど、僕の場合はロードバイクだと50㎜がシッティングで膝に当たらない快適なラインだ。このバックは普通にペダリングすると膝に擦る。
因みに、このサイズはロードバイクのダンシングだとほぼ100%膝に当たるはず。
MTBだとスローピングだしQファクターも広いから、膝に当たらない可能性はやや高い。GTのMTBで使っている分には、不快感は比較的少ない。
4-2.防水性
しっかりした作りであるものの、防水性がないのは残念なポイント。
僕はブラックバーンのトップチューブバッグを雪道ばかりで使ってきたので、本格的な雨天での使用経験はない。ただ、同じ素材と作りのブラックバーンのフレームバッグは雨天時もそれなりに使っていて、そちらは本降りでは浸水するので同様と思われる。
むしろ、場所的にフレームバッグよりも雨の影響を受けやすく浸水も早いかも知れない。
(4-3.ファスナーの耐久性)
もうここまでの写真でお気づきの方もいらっしゃるかも知れないけど、僕のバックはファスナーが片方壊れている。修理が上手くいかずもういいやと片方のファスナーだけで使っているけど、ちょっと壊れて欲しくなかったなあと。
壊れたのは先にリンクを貼った冬季北海道1,000㎞のときで、霜が凍ったりして開きづらいとき、強めに引っ張ったら外れてしまった。
ほぼ新品とはいえ中古で買っているし、使い方的にも僕が悪かったかなとは思うものの、個人的には残念ポイントではある(凍らせて使う人なんていないだろうから、気にしなくても良いとは思うけど……)。
5.まとめ
ブラックバーンのトップチューブバッグは、大容量のトップチューブバッグとして高機能で、荷物をたくさん持ち運びたいライドやMTBなどでのキャンプツーリングにおススメできるバッグだ。
しかし、そのサイズ故膝に当たる問題は(特にロードバイクでは)ほぼ確実に発生するため、購入時には注意が必要となる。
万人向けとは言えないが、バイクパッキングでちょい足しのストレージを増やしたい方には、いい選択肢の1つになるのではないだろうか。
おわり