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MTBで林道・トレイルライドするときの装備とウエアのおすすめを初心者視点でまとめてみた

MTBで林道やトレイルライドをするときの装備や選び方は、オンロードツーリングの場合と少し違う。

僕はロードバイクを主に乗ってきた人間で、最近MTBでのオフロードライドにハマった初心者だ。ロードバイクでのロングライドとの装備の違いを痛感している。そこで、今回はトレイルライドの初心者目線で装備やウエアをまとめてきたい。

<目次>
0.林道・トレイルライドの危険性
1.基本的な装備
2.林道・トレイルならではの装備
3.ウエアについて
4.その他
5.まとめ

0.トレイルライドの危険

はじめに、MTBで林道やトレイルライドをする際の危険性について、簡単に触れておきたい。というのも、トレイルライドには通常のオンロードサイクリングに追加される危険が沢山あるし、必要な装備もそれらの危険に備えるためのものが多いからだ。

例えば怪我やトラブルで走行不能になった場合、オンロードなら助けを呼ぶのも、助けてもらうのも、自力で脱出するのも比較的容易だ。携帯で助けを呼んだり、通行人に助けてもらったり出来るし、徒歩でも舗装路は移動しやすい。一方でトレイルの場合、人が少なく、携帯が圏外なことはザラなうえ、走行不能な状態で山を脱出するのが困難だ。仮にすぐ助けを呼べても、山中で実際に救助されるまでは時間がかかる。

さらに、動物や虫による被害もある。熊やイノシシに遭遇すると当然危険だし、ハチやブヨ、ダニ、毛虫など有害な虫もたくさんいる。当然、初見の道では遭難もあり得る。これらへの対策は、サイクリングというより登山の知識や装備が役に立つ

つまり、サイクリングと登山、両方の知識や装備を上手く使うことが肝だと思う。

 

1.基本的な装備

まずは、サイクリングにおける基本的な装備から。例えばヘルメットやパンク修理キットなどで、いわば「サイクリングには最低限これは必要だよね」というものだ。この部分はオンロードでの一般的なサイクリングと変わらないし、既にそれなりにサイクリングをしていらっしゃる方は読み飛ばして頂いて良い部分かも知れない。

最低限は…

<身に着けるもの>

・ヘルメット

・サングラス

・グローブ

<持って行くもの>

・自転車用のカギ、ライト

・財布、携帯、身分証

・飲料、補給食

・携帯工具(アーレンキー・ドライバー等)

・パンク修理用具(パッチ、替えチューブ、タイヤレバー、ポンプ等)

 

ここに挙げたものは一般的なサイクリングで必要とされるものだが、林道やトレイルライドでも同様に必要になる装備だ。気軽に散歩できるような林道を少し走るだけなら、この最低限の装備でも十分足りるだろう。

しかし、初見の林道探しや荒れたシングルトラック、距離が数㎞~のオフロードサイクリングをするなら、より大事をとった装備が必要になる。例えば、携帯工具の補強として

 

補強として…

・チェーンツール(チェーンカッター、クイックリンク等)

・予備のディレイラーハンガー

・その他(タイラップ、手袋等)

 

があった方がいい。枝葉の巻き込み、岩や倒木へのヒット、落車などによって、ディレイラーハンガーの折れや曲がり、スポークの折れはそれなりの確率で発生する。ダメージの程度にもよるけど、これらのトラブルは対処無しでは走行不能に陥る可能性が高い。

そんな時、予備のディレイラーハンガーがあれば再び走行できるし、タイラップやチェーンツールを駆使してシングルギア運用で走行することも可能だ。タイラップは折れたスポークをまとめるのにも役立つ。

これらの装備が「MTBサイクリング」の基本的なものだと思う。続いては林道やトレイルならでは必要になる「登山的な知識・装備」についてまとめていきたい。

 

2.林道・トレイルならではの装備

林道やトレイルを用いたライドがよりハードになるほど、登山よりの装備や知識が必要になるはずだ。ハードなライドとは、長時間、長距離、人里離れた山域、悪天候…等々。

以下に挙げているものは、僕が思う「山に入るなら必要だよね」というものたち。状況によって重要度は変わってくるけど、基本装備として持っておくと良いと思う。

 

登山系の装備

・ザック(5~10Lくらい、ハイドレーション付きが良い)

・虫よけ

・熊、イノシシ対策(熊鈴、熊スプレー等)

・遭難防止(GPS、地図、コンパス)

・救急キット(バンドエイド、テーピング、常備薬など)

・その他(予備の食料&水、ホイッスル、ヘッドライト、エマージェンシーシート)

 

・ザック

荷物の運搬では、最近はバイクパッキングが流行りだ。確かにツーリング重視で、おまけ程度にオフロードを走るならそれでも良い。しかし、林道やトレイル(特にシングルトラック)の走行がメインのMTBライドの場合、バイクパッキング用品よりもフィット感の高い小型軽量ザックが活躍する。荷物をバイクに積載するとバイクコントロールがしにくく、押し歩きや担ぎも困難、更に脱落の危険もあるからだ。

ザックは5~10Lくらいのトレイルランニング用のものがおススメ。もちろん自転車用のザックでも良いが、機能や選択肢的に「MTB用ザック」で検索するより「トレラン用ザック」で検索した方がいいと思う。

また、ライド中の水分補給はハイドレーションが便利。バイクにボトルを付けるのは上に同じ理由で良くないし、泥が跳ねあげられて飲み口が汚れてしまうのでおススメ出来ない。ボトルをザックに入れるのも、いちいち水分補給が面倒なので微妙。トレラン用ザックなら基本ハイドレーションに対応しているので、その面からも選びやすいだろう。

僕が使っているのはSalomonのAgile12。ハイドレーション用のフラスコ付きでコスパが良く、使い勝手も満足している。軽登山でも使えるよう12Lを選んでいるが、MTBのみなら5L+αで十分だと思う。

・虫よけ

虫よけは市販品でもいいし、アブやブヨ対策としてはハッカ油も効果が高いものとして登山では良く用いられている。効果の違いとしては、虫よよけスプレーは「刺されにくくするもの」、ハッカ油は「近寄らせにくくするもの」という感じ。MTBの走行速度に小さな虫が追い付くことはないが、押し歩きが必要な場面や休憩中はすかさず虫が寄り付くので、ハッカ油もそれなりに重宝する。

スプレーするものは時間とともに汗で流れるので、ライド時間によっては小さい缶や旅行用スプレーボトルに入れて持ち運ぶのがおススメだ。

・熊鈴、熊スプレー

熊やイノシシ対策としては、まずは熊鈴を。他のハイカーやライダーに自分の存在を知らせる役割もあるので、冬や動物の気配が薄い場所でもあった方が良い。ずっと鈴が鳴っていると煩いので、下のAmazonリンクの様なオンオフを切り替えられるものがおススメだ。

もし熊やイノシシに遭遇してしまった場合、鈴は無力なので熊スプレーがあると更に安心。僕はPolice Magnumを使っていて、幸い出番はないが携行性には満足している(レビューはこちら)。僕は実際に山中で熊と遭遇した経験が何度かあるので、高くはない保険だと思っている(上の写真はライド中に出会った小熊。北奥羽ライド初日の出来事)。

・遭難対策、救急キット

走る山域や行動計画によって多少変わるけど、知らない林道・トレイルを探索するときは遭難対策品はフルセットで持っていた方が安心。

MTBで通れる道、特に車も通れるダブルトラックを走っているうちは、道迷いの危険は登山より低い。しかし、林道の支線を何本も出入りしたり、担ぎを用いたりすると遭難リスクが登山のそれに近づいていく。また、林道探索で進退を決める際、地図で先の地形を見たり、GPSログで帰るまでの距離を確認したりと役立つ場面は多い。

紙地図やGPS機器を用意できない場合でも、登山用アプリでスマホにオフラインマップをダウンロードしておくのがおススメ。山間は携帯が圏外になることも多いが、アプリを使えばリアルタイムで現在地や登山道等を確認できる。

救急キットは基本的なものを。林道やトレイルは草木や枝のとげで傷付きやすいし、岩や石はちょっとした落車でも怪我につながりやすい。

登山での出来事だが、ちょっとした転倒で膝をつき、パックリと膝が裂けてしまったのを見たことがある。縫合が必要な傷だったが、その時キズパワーパッドやテーピングで簡易的に傷口をふさぎ、無事に下山出来た。適切な処置は状況次第で変わるし、必ず医師の診断を仰いでいただきたいが、何かしら使えるものを。

・その他

そのほか、まず補給食と水は十分余裕を持つようにする。林道やトレイルには当然コンビニもスーパーもないし、オンロードに比べてライド時間が想定よりオーバーしてしまう事も多い。最悪な場合、バイクを押すorデポして徒歩で帰宅や、遭難して救助を待つことになる。特に水は行動に必須なだけでなく、怪我をした場合患部を洗って感染症を防止するのにも使えるので、余分に持つに越したことはない。僕は行動終了時に1L〜最低でも500mlは残るようにしている。

ホイッスルやヘッドライト、エマージェンシーシートは遭難した時に役立つものだ。この辺りは他の装備で代替も可能なので、必要に応じてあると良い。

また、携帯やGPSなど、ウエアやザックのポケットに入れるものにはコイルストラップを取り付けておくのがおすすめだ。荒れた路面では落としやすいし、ガタガタと走行音がするから落としてもまず気が付かない。

100均にもスマホ用グッズのコーナーで売っているけど、経験上ストラップの金属製のリング部分がすぐに壊れるので、買うならちゃんとしたものを。コイル両端の紐やカラビナが埋め込まれているタイプ(上の写真の様なもの)の方が耐久性が高いので、家電量販店などでこういうタイプを探すと良い。(僕はヨドバシカメラのオンラインショップで買っている。1個400円位、リンクはこちら

 

3.ウエア系について

続いては、ウエア関連について。

ウエアは個人の好みやスタイルによる部分が大きく、具体的に「~がベスト!」という言い方は出来ないが、僕なりの大まかなポイントやおススメをご紹介していきたい。もちろん季節によって必要なものは変わるので、あくまで基本的な部分に留めたいと思う。

 

ウエア構成

・ヘルメット、グローブ、サングラス

・帽子(サイクルキャップ、バンダナなど)

・長袖&長ズボン

・分厚いロングソックス

・MTB用シューズ(フラットペダル+専用シューズ)

・プロテクター類

・レインウエア(防寒着)

 

・ヘルメット等

基本装備でも書いた通り、ヘルメット、サングラス、グローブのセットはMTBライドでも必要。これらにはMTB用やロード用と種類分けがあり、MTB用にはそれなりの工夫が施されている。特にヘルメットは後頭部の保護を強化していたり、枝葉を避けるためのバイザーが付いていたりと、その効果は高そうだ。

サングラスやグローブは好みが分かれるところの様だが、トレイルで見やすいレンズになっていたり、コントロールしやすいパッド配置など、各社趣向を凝らしている印象。僕個人的には、試着ではそんなに大きな違いを感じなかったし、細かいギミックよりも先ずは壊したり傷つけてもいいギアを用意し使う(練習する)のが良いと思う。

・帽子、バンダナ

帽子は汗垂れ予防もあるが、虫や枝葉から顔や首を守ってくれるのであると良い。この役割は、先ほど書いたMTB用ヘルメットのバイザーの代わりともいえる。僕は普通のサイクリングキャップをかぶっていて、ツバを下ろしておけばそれなりにガードになる。

「そんなに枝葉や虫が邪魔になるの?」と思う方もいるかも知れないが(現に僕がそうだった)、5月にもなれば草木は道を覆い隠すほど生い茂り、その周りには虫が飛び交い、毛虫が道の真ん中にぶら下がっている「毛虫トラップ」が発動する。しかも、草木にはトゲがあるものも多いので、不用意に突っ込むとあっという間に傷やかぶれだらけになる。

また、Buff等の薄手のロングネックウォーマーも役立つ。虫を吸い込んだり枝葉で顔面が傷つくのを防いでくれるのだ。首元に下げておけばそれほど暑くもないので、僕は夏場でも基本的に持ち物に入れている。良くあるポリエステル系より、薄いメリノウールの方が汗を吸っても呼吸しやすく肌触りも良いので僕好み。

 

・長袖&長ズボン

害虫やトゲ対策として、帽子の他にも長袖長ズボンは欠かせない。もちろん、時期によっては暑すぎて熱中症の危険もあるから気温次第ではあるけれど、出来るだけ皮膚の露出は避けたほうがいい。特に足元は草木に晒されることが多いので、厳重にガードするのがおススメ。少し暑くても薄手のタイツやレッグウォーマーを履いたり、厚手のロング靴下を履いたりしてカバーしておくと怪我を減らせる。

枝やトゲで傷つくので、ウエアは安くて壊しても良いものを使うのがいいと思う。ワークマンやおたふく手袋は格安かつ使用に耐えうるものが多いので、とりあえずMTB用にウエアを買おうという方にはおススメだ。トレイルまでのアクセスが暑いという方は、アームカバーやレッグカバーも良いだろう。

さらに、春と秋はマダニの危険もある。サイクリングではマダニの危険性について触れられることは少ないが、登山やハイキングではしばしばその厄介さが話題になる。マダニは人間も吸血する1㎜ほどのダニで、茂みに生息し、動物が近づくとすかさず飛び移り吸血するのだ。問題はマダニが感染症を媒介することで、確率は低いものの死に至る危険すらあるので侮れない。

マダニ対策はこちらのサイトが参考になるが、ポイントは①白い色の服で早期発見&駆除、②マダニが付きにくいツルツルした服を着る、③予備的に虫よけスプレー、という感じ。一応、MTBは登山よりも草木に密接になるシーンが少なく移動速度が速いので、被害は比較的少ないと思われる。気が付いていないだけかも知れないが、僕の場合はまだマダニの被害に遭ったことはない。仮にマダニが体についても、すぐには噛みつかずに数時間ほど噛みやすい場所を探すらしいので、帰宅後速やかにシャワー&洗濯をすることで予防にもなると思っている。

 

・MTB用シューズ

シューズは脚の保護が出来れば基本OKだが、僕としてはMTB用シューズ+MTB用フラットペダルの組み合わせが圧倒的にお勧めだ。はじめは使い古しのランニングシューズや登山靴+適当なフラットペダルで走っていたけど、押し歩きの際の足場の安定感や、ライド中のペダルへの食いつきが今ひとつだった。さらに、MTB用のフラットペダルのピンでソールがかなり傷つくので、専用のシューズが無いと普通の靴をダメにすることにもなる。

今使っているのが、FiveTenのMTB用シューズ(レビューはこちら)と、HTのフラットペダル。両メーカーともMTBでは有名なブランドで、やはり専用品なだけあって使い勝手が非常に良い。特にFiveTenのシューズについては気に入っていて、ペダルへの食いつきとコントロール感が良く走りやすいうえ、岩場や草地でもグリップが効くソールのお陰で急斜面の押し歩きも安全にこなせる。

トレッキングシューズやスニーカーでも駄目ではないが、僕的にMTB用シューズは購入後の満足度が高い製品の1つだ。

 

・プロテクター

そして、安全性を考えるならプロテクターの類があると安心だ。実のところ僕はMTB専用のプロテクターを購入するか悩んでいるところで、理由は①試着できる場所がない、②それなりに高価、③森の中で高速走はしない、という3つ。MTBパークでダウンヒルを楽しむならあった方が良いのは明らかだが、走行の邪魔にもなるプロテクターが林道やトレイルライドに必ずしも必要か?と言うのは個人的に少々疑問に思う。

もちろん、あるに越したことはない。林道走行で怪我をしてしまった人を知っているし、想定外な要素が多いオフロードではあった方が安心だ。恐らく最もオーソドックスなのは膝のプロテクター(ニーガード)で、トレイルライドをしている方の画像でも時折登場する。

僕が初心者だからかも知れないが、林道やトレイル・街中の練習など様々な場面で、ペダルが脛にヒットして怪我をすることが多々ある。特にMTB用のピンが付いたペダルの攻撃力は高く、軽く脛がえぐれるし傷跡が数カ月残るほどだ。脛プロテクター(シンガード)はMTB専用も多少販売されているが、1セット5,000~10,000円とかなり高価。そこで、僕はサッカー用のシンガードとソックスを使っている。少々ガードできる範囲が狭いものの、シンガード+ソックスで2,000円位だし、使い勝手もそれなりに良い。

 

・レインウエア

最後に、何かと活躍するレインウエアを。短時間のライドなら必要ないことも多いが、1日を通して走るならあった方がいい。

突然の天候変化に備えるのはもちろん、防寒着や防護服としての役割も兼ねることが出来る優れものだ。MTBは運動量が多く、草木に擦れることも多いため、登山用のモデルがおススメ。1着数万円と高価だが、その値段だけの価値はある。

 

4.出発の前に…

純粋な「装備」とは少し違うけど、目に見えないスキルや山での立ち回り方、健康な体・万全な装備といった事前準備も重要だ。というか、安全なライドを実現するためにはこっちの方が大切かも知れない。

こちらも結構なボリュームになるので、「安全対策ノウハウ」として別の記事にまとめている。MTBで林道ツーリングやトレイルライドに出掛ける際にはぜひ合わせてどうぞ。

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以上、僕が初心者なりに思うMTBの林道・トレイルライドの装備や、注意点等をまとめてみた。至らない点はあるかも知れないが、初心者が約1年間MTBライドを楽しんできて感じ発見したことを詰め込んだので、何方かの参考になれば幸いだ。

関連記事として『初心者がMTBを買って林道やトレイルライドを楽しめるのか?』というのも書いてみたので、遊び場所探しやルール問題について悩んでいる方は是非。

おわり

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