装備レビュー

バイクパッキングの便利装備!『Voileストラップ』と『スキーストラップ』のレビュー

昨今流行りのバイクパッキング。大型サドルバック等の基本装備はもはや珍しくもないが、「ベルト」はまだあまり注目されていないと思う。

ベルトは何気なく使われているものが多いが、その殆どが緩んだり、滑ったり、着脱が面倒だったり…と性能が不十分なものばかり。僕は長らく「バックを排してベルト単体で使えるもの」を探していて、やっとその答えらしきものが見つかったのでご紹介したい。

<目次>
1.商品紹介・特徴
2.使用例
3.良いところ
4.悪いところと改善策
5.まとめ

1.商品紹介・特徴

今回紹介する装備はVoile(ボレー)というブランドの「Voileストラップ」とBlackDiamond(ブラックダイヤモンド)というブランドの「スキーストラップ」。どちらも登山系のブランドで、Voileはスキー用品メイン、BlackDiamondはクライミングや登山用品がメイン。どちらも直接的に自転車とは関係ないブランドで、商品も本来はスキー板を留めておくためのものだ。が、これがバイクパッキングには最高に良い。

商品スペックは以下の通り。

 

Voileストラップ

・長さ:12”(約30㎝)/15”(約38㎝)/20”(約50㎝)/25”(約63㎝)

*長さは上記以外にもその他バリエーションあり

・重量:27g(20”)

・素材:ポリウレタン(ベルト)/アルミor合成樹脂(バックル)

カラー:黒 / 赤 / 青 / 黄色 / オレンジ

・公式サイト:URLはこちら

・実売価格:1,200円前後

・購入可能サイト:Amazonbluelugオルタナティブバイシクルズ

 

Voileストラップは長さとカラーのバリエーションが豊富。日本では全種類が常に販売されてはおらず、15/20インチが基本サイズで入手性が高い。オレンジ色のサイズ違いはAmazonが、20インチのカラー違いはbluelugが取り揃えが良い。オルタナティブバイシクルズではコラボモデルが販売されていて、カラーはオレンジとブルーのみ。(記事執筆現在)

僕が持っているのは20インチのオルタナティブバイシクルズモデル

 

スキーストラップ

・長さ:19”(約48㎝)

・重量:38g(19”)

・素材:不明(ベルト)/アルミ(バックル)

・カラー:オレンジ

・公式サイト:URLはこちら

・実売価格:800円前後

・購入可能サイト:Amazon

 

BlackDiamondのスキーストラップは、カラーバリエーション、サイズ展開が1種類のみ。購入可能サイトはAmazonがベターに感じる。僕は石井スポーツの実店舗でたまたま見つけ、安かったので在庫分大人買いした。(笑)

どちらも同じような用途で使用可能なため1つの記事でまとめているが、多少の違いはある。両者の違いについても触れながら、各部を紹介していきたい。

まずは材質から。写真では少し伝わりにくいが、ベルト部分の材質が結構違う。Voileストラップ(上)はさらさらした質感で硬く、力を入れて引っ張ると少し伸びるくらい。BlackDiamondのスキーストラップ(下)はもちもちしていてゴムっぽく、滑らず引っ張ると結構伸びる。特にバックル付近の二股になっている部分が伸びる構造だ。

続いてバックル部分。Voileストラップ(上)は爪がストレートで長く、BlackDiamondのスキーストラップ(下)は短くて返しが付いている。どちらも固定力には問題ないんだけど、これも使用上少し影響してくるところ。詳細は記事の後半で。

末端部分。Voileストラップ(上)は先がとがっていて、BlackDiamondのスキーストラップ(下)は丸くなっている。ここも使用感に影響していて、とがっているVoileストラップの方が使い勝手がいい。

留めてみるとこんな感じ。どちらも基本構造は同じで、バックルに通して穴を差し込むだけ。簡単&緩まない確実な方法で、非常に使い勝手がいい。

 

2.使用例

続いては「そのベルト、どんな風に使うの?」という例をご紹介。

バイクパッキングでまず考えられるのが、こんな風にケージにドライバックを固定する方法。↓

ベルトとしての機能はもちろん、カラーのアクセントにもなって良い。市販のケージに付属するベルトは使い物にならないことが多いので、「ベルト付いてくるじゃん」なんて言わずにベルトを交換するのがおススメ。レビューしているブラックバーンのものは良いのでそのままでもいい)

使い方はいろいろあって、こんな風にフレームになんでも固定できる↓

例えばトップチューブにスピーカーを固定。音楽ノリノリで自転車キャンプなんて最高だ。キャンプ地までの林道やオフロードも楽しく走れるし、着脱も楽なのでキャンプ地にスピーカーを持って行って、そこでも音楽を楽しめる。

バイクパッキングをメインに考えると、こんな事↓も出来る。

真冬の北海道を1,000㎞走ったときも、この構成が非常に使い勝手が良かった。括り付けているものだけでも1.5Lくらいはあるので、何かしらのバックが必要になる容量だ。けど、バックの数百グラムを持つならベルトで直接縛った方が軽いし取り出しも早い。「無駄を省いてスタイリッシュに」というバイクパッキングの理念にピッタリだ。*直付けは装備が汚れるので、全てにおいてそうという訳ではないが。

他にもミニ三脚を固定したり…

サドルレールに輪行袋、フレームにスペアチューブを固定したり、冬山装備を固定したり…。

と、基本的になんでも固定できる。

 

3.良いところ

使用例で既に散々褒めてきた気がするが、改めて「他のベルトと比べて何がいいのか?」というのを整理したい。

①着脱が早い

まずはこれ。着脱が早い。

ベルトだから当然「固定する」という役割を担うが、装備を絞るバイクパッキングで固定するものは基本「ツーリング中に使う=着脱する」ものなのだ。つまり、固定が出来るのは前提として、いかにストレスフリーに着脱できるかがカギになる。

例えば水筒を外すor固定するために、いちいち何分もかけるなんて馬鹿らしい。しかし、それが素早くできないベルトが多いのが実情。外すのに関しては大体のベルトが素早くできるんだけど、「確実に固定する」というのが結構面倒くさい。緩みがないか確認したり、末端の処理をしたり…。

Voileストラップもスキーストラップも、穴に通すだけなので固定が早くて確実だ。末端処理については適度な長さ(↑の画像くらい)を残せば、何ら処理しなくてもOK。ベルトにコシがあるのでピラピラしないし、巻き込む心配もない。因みに、Voileストラップの方が滑りのいい素材と形状なので固定と末端処理が素早くできる。

 

②絶対に緩まない

次はこの「走行振動で緩まない」という点。これはベルトなんだから当たり前な機能だが、実際は走行振動で徐々に緩むベルトが多い。

僕がVoileストラップとスキーストラップに出会う前、一番信用していたベルトはブラックバーンのカーゴケージに付属してくるベルトだった。これは内側に滑り止めのゴムが縫い付けてある凝った作りで、そのおかげで緩みにくい構造。それでも「緩みにくい」というだけで、全く緩まない訳ではない。

その点、Voileストラップとスキーストラップはバックルを穴に通すので、ベルト自体が壊れない限り緩むことは絶対にない。どんなに長距離を走ろうが、グラベルに突っ込もうが、絶対に緩まないのだ。そういう攻めた環境が最もベルトが緩みやすく、そして装備の脱落が死活問題になる。Voileストラップやスキーストラップのような緩まないベルトが絶対に必要だ。

 

③グリップ力がある

装備を固定するする上で、ベルトのグリップ力も必要になる。いくら緩まないベルトだといっても、装備が滑って落ちてしまっては意味がない。また、固定する時にはしっかり縛ったつもりでも、走行振動で隙間が空いたりドライバックの中身が移動したりして固定力が落ちることがある。

そんな時に頼りになるのがグリップ力なのだ。

グリップ力に関しては特にBlackDiamondのスキーストラップが優れていてゴムのようなもちもちの質感がしっかりとグリップしてくれる(VoileストラップでもOKだが、より安心感があるという意)。また、伸縮性が高く縛る時に伸ばしやすいので、ゴムバンドのように締め付け力を高めることが出来る。水筒やツール缶のような超重要な装備でも、安心してダウンチューブ下に取り付けられた。

余談だが、フレームに直接固定する際はフレームに廃チューブを巻いておくのがオススメ。フレーム側のグリップ力が上がって安定するし、フレームへの傷も防ぐことが出来る。フレームへの傷を防ぐ用途なら、その廃チューブの下に更にラップを巻いておくと尚良い。

 

④耐久性が高い

バイクパッキングでは、もちろん耐久性も必要になる。使用中に切れてしまったり使用不能になってしまったりしたら当然アウト。ベルト1本に1,000円もかけるのだから、すぐに壊れてしまっては困るというのもある。

登山やバックカントリー(山スキー)に使われるベルトなだけあって耐久性はちゃんとあるし低温下でも確実に使える。冬季北海道ライド&登山では-20℃くらいまで試したけど、使用感に問題はないし固定力もそのまま。そんな環境で使う人は少数派かも知れないけど、エクストリーム系でも良いですよという参考までに。これはVoileストラップでもBlackDiamondのスキーストラップでも同じくOK。

 

⑤汎用性が高い

使用例でもたくさんの使い方を紹介したけど、バイクパッキング用の道具として以外にも使い道はたくさんある。

例えば、輪行の時にホイールとフレームを縛るベルトとしても使えて、これまで挙げた利点により使い勝手がいい。また「走行中はバイクパッキング用のベルトとして使い、輪行でドライバックを外したら輪行用のベルトとして使うというマルチな使い方が出来る。細かいテクだけど、荷物を減らせるのでGood。

当然、本来の用途である登山にも使える。ザックにワカンやアイゼン、ピッケル、ストック等を固定するのにも良いので、普通に登山が趣味な方にもいいはず。登山と自転車を組み合わせて楽しみたい方には特におススメ。

上の画像ではBlackDiamondのスキーストラップを使っているが、冬登山で分厚いグローブをしているときはVoileストラップの方がバックルに通しやすいので、登山も絡めて使うならVoileストラップの方がいいかも知れない。

 

4.悪いところと改善策

と、ここまで随分と褒めちぎってきたが、悪いところが一切無いかというとそうでもない。使ってみて不満に感じる点と、その改善策を合わせてご紹介したい。

①末端処理が面倒

まずは末端処理について。基本的には縛ったときに末端がまっすぐになってくれるので、そもそも末端処理が必要なかったりする。しかし、長さが中途半端に余ってしまったりすると末端処理が必要になり、それが少々面倒である。

ベルトがしっかりしていてグリップ力もある為、巻いたり縛ったりし辛いからだ。

一般的な方法としては、余った先を巻き込む方法がある。

特別な技術もいらないし簡単ではあるが、コツは「ぶつかったときに緩まない方向に処理する」こと。例えば脚に当たる可能性があるなら脚の動く方向に沿って処理するのがいいし、万が一落車の時に擦れるなら進行方向に対して緩まないようにするのが良い。クイックリリースレバーの締め込み方向と同じ考えだ。

Voileストラップは表面がさらさらなので比較的処理が楽で、BlackDiamondのスキーストラップは滑らない素材なので末端処理が必要が面倒くさい。

他には「廃チューブを適度な長さに切って、ベルトに通しておく」という方法がある。これだと簡単かつ早いので使いやすいが、末端の固定力は前述の挟み込む方法に劣るので、場所によって使い分けるのが良いだろう。例えば「トップチューブに固定するときはダンシングで脚が当たりやすいから巻き込み方式にして、ダウンチューブ下などの脚が当たらない場所は廃チューブを使う」といった具合だ。

 

②長さが足りないor長い

Voileストラップは長さのバリエーションが豊富とは言え、1本1,200円のベルトを全てのサイズ必要分だけ取り揃えて使い分けるのは現実的ではない。

となると、ベルト長が足りなかったり、逆に長すぎたりする場面がある。これは先ほどの末端処理の問題とも絡んでいて、ベルトの余りが少なくできる=ピッタリの長さならそもそも末端処理の問題は発生しないのだ。

対処方法として、長すぎる場合はフレームに一度巻き付けてから固定したいものにベルトを巻くのが良い。↑の写真でも、よく見ていただければ分かるがフレームに一周させてからスピーカーを固定している。こうすることにより長さを調整できるほか、フレームとスピーカーの間にVoileストラップを噛ませて滑り止め効果を増す機能も果たしている。

逆に長さが足りない場合は、2本以上を連結させて巻くことで解決できる。

同じストラップならタイラップのように連結させて使うことが出来るので、何本かを繋げてちょうどいい長さにして使えばよい。↑の写真のサドルバックに巻いているBlackDiamondのスキーストラップは、2本を連結させて巻いているものだ。(一応Voileストラップとスキーストラップの組み合わせでも結合できた。耐久性等は不明)

 

③バックルが当たると痛い

トップチューブ等、体が当たる部分に使用する時に注意するのがバックルの位置だ。バックルがダンシングで脚が当たる側面に来るように縛ってしまうと、バックルの爪が脚に当たって痛い。

特にVoileストラップの樹脂モデルは爪が長いので、うっかり脚をぶつけると結構ダメージ。

解決策は単純で、フレームに直接装備を縛るときは上面or下面にバックルが来るように調整して縛ればよい。最初はストラップの長さの感覚が掴めずに苦戦するかも知れないが、一度どの位置で締めれば良いのかが分かれば後は楽ちん。

 

④バックルに通しにくい(BlackDiamond限定)

Voileストラップは問題ないが、BlackDiamondのスキーストラップ限定で問題となるのが「ベルトをバックルに通しにくい」という問題。これはベルトがゴム状の質感で滑り止め効果が高いこと・先端が丸いことに起因している。要するにグリップ力が高いことの裏返しだ。

解決策は「装備を外すときにバックルからベルトを抜かない」こと。通常装備を外すときにはベルトをバックルから抜いて完全に開放してしまう(上)が、これを緩めるだけにとどめてバックルからベルトを抜かないでおけば(下)、次に装備を固定する時にベルトを通す手間が省ける。

BlackDiamondのスキーストラップはグリップ力が高いので、ベルトをバックルの穴に刺して固定しなくとも、バックルにベルトが通った状態で保持できる。

 

5.まとめ

以上、VoileストラップとBlackDiamondのスキーストラップを、それぞれの特徴・使用例とともにレビューしてみた。

僕なりに「買うならどっち?」という話をまとめるなら、

Voileストラップ

・カラーバリエーションが欲しい

・20インチ(約50cm)以外のサイズが欲しい

・着脱が早くて楽な方がいい

 

スキーストラップ

・滑らず安定した固定がしたい

・とりあえず安いのがいい

 

という感じだと思う。

総じて言えば、どちらも『バイクパッキングをするなら持っておいて損はない装備』だ。バイクパッキング装備というとついバックやU.L.系装備に目が行きがちだが、もっと本質的に『無駄を排除し効率的に装備を運ぶ』ことを考えれば、装備そのものをベルトで括り付けるのが最適。*装備の汚れ等には気をつける必要があるが。

冒頭でも述べた通り、バイクパッキングに限らず自転車キャンプや登山などにも汎用的に使える装備。この記事で紹介しているのはあくまで僕が使っている方法だけなので、ほかにもアイディア次第で活躍する場面は多いはず。アウトドアが趣味な方は活躍場面は広いだろう。

「ベルト1本に1,000円も出すか?」なんて思っていたが、僕はもうバイクパッキングに手放せないアイテムになったので、初心者の方にもそうでない方にも、このベルトはお勧めしたい。

おわり

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