シマノの新型鉄下駄「WH-RS100」を、街乗りロード用にリアのみ購入してから約4か月。
購入時の記事をご覧くださり「で、結局使い勝手はどうよ?」という方もいらっしゃると思うので、拙いながらも簡単にインプレとレビューをしていきたい。正直なところ、僕は性能面でのインブレ・レビューに自信がないので記事化するのを迷っていた。が、ネット上にWH-RS100の情報が少ないので、何も無いよりは僕なりの感想を述べておこうかないう趣旨の記事である。
<目次> 1.使用環境 2.インプレ 3.4か月使っての変化 4.まとめ
1.使用環境
使用目的は主に僕の通学・街乗り用。Brand-Xのロードバイクに履かせて使っていて、使用タイヤはVittoria Rubino 28c。
購入してからは約4カ月が経ち、走行距離はまだ1,500㎞ちょっとくらい。ロングライドをがっつり、とかレースで思いっきり、みたいな使い方はしていない。強いて言うなら、偶にちょっとしたグラベルに遊びに行くのが唯一イレギュラーな使い方だろうか?
荷物を持って乗ることが多いので、ホイールへの荷重は体重+車重+荷物で80㎏弱くらいだと思う。通学路は基本平坦ではあるけど、気晴らしにちょっとした坂を経由したりするので割と登りや下りも走っている。
乗り手の僕自身についても軽く触れておくと、普通の脚力のロングライダー系。使ってきたバイクもエンデュランス・コンフォート系の「優しいバイク」ばかりなので、いわゆるレース用の「硬くて反応がいいバイク」というのにはちゃんと乗ったことがない。
使っている・使ってきたホイールで一番いいやつが前後セットで1,650gのアルミホイール(こちらはディスクブレーキなので、これと比較するのはちょっと筋違いかも知れない)。リムブレーキのホイールだといわゆる「鉄下駄」の範囲のものしかちゃんと乗ったことがないので、たぶんハイエンド機材に囲まれている方の感覚よりは甘いor初心者目線に近い意見になっているだろう。肝心な書き手の僕について詳しくは、ツーリング記をいくつか流し読みすればなんとなく分かっていただけると思う。
*ちなみにスポークに付いているグレーのやつは軽量なリフレクター。数百円なのに夜かなり目立つので街乗りメインの方にはおススメ。記事はこちら。
2.インプレ
さて、さっそくインプレを。と言っても僕は前述の通り高級ホイールを使ったことがないし、ホイールを交換して履き比べをした経験が少ないので限定的な範囲での意見になる。
適当なことも言いたくないので、ここでは「完成車の激重鉄下駄(GiantのSR-2)」と「WH-RS100」の比較のみにとどめたいと思う。この比較ならバイクからタイヤ・チューブに至るまですべて同じなので、かなり正確に評価ができるんじゃないかなと思う。ちなみに完成車の激重鉄下駄=GiantのSR-2というモデルだが、前後で2㎏越えの旧規格ホイールだ。当然リムは左右非対称ではなく、ナローリムのC15、jベンドスポーク。
購入当初も感じていた「加速の良さ」は、やはり間違いなくアップしている。主に街乗りで使っているので信号のストップ&ゴーが多いが、加速感は絶対に良い。今までは「よっこらせ」という感じで加速していたのが、もっとサクッとスピードに乗ってくれる感じがある。
反応が悪いといわれるjベンドスポークだから期待していなかったけど、何が影響しているんだろう?バラした重量は不明だが、少なくとも数十g軽いのが効いているんだろうか?あるいはオフセットリムの影響か、あるいはスポークテンションに差があるのだろうか?
ただの触った感覚でしかないが、SR-2 よりもWH-RS100の方がリムが軽い(素材が薄い?)感じはする。こんこん叩いた感じとか、左右方向に回して振ってみた感じとか。リムがワイドになってかつ総重量も軽いのだからそうだとしても不思議はない。もしかすると外周部が軽くなったのが効いているのかも?
加速の良さに比例して、登りも走りやすくなった。気分転換に軽く坂道を流すときも、登りの軽さを感じられる。もちろん「完成車鉄下駄と比較して」という話だが。
最近帰り道にStravaの坂道区間を走ってタイムを狙う遊びを発見し、WH-RS100で高強度な走りをすることも増えた。やっぱりメインで使っているバイクの様には走らないけど、ヒルクライムが得意でない僕でも意外な順位で走れたりするので、そんな悪いホイールということはないのだと思う。
平地の走りと乗り心地については何とも言えないところ。正直これと言って違いは感じられなかった。
平坦の走りでは、ガシガシ踏んでいく感じで走ると加速感の良さからWH-RS100の方が進む。だけど普通のスピード(35㎞/前後)で流していると、完成車鉄下駄と同じ。乗り心地についても前のホイールと同様で、これと言って差を感じることはできなかった。乗り心地に関しては、タイヤを交換したり空気圧を1Bar変える方がよっぽど変わる。(笑)
下りや安定性に関しては、若干良くなった感じはする。僕は28cタイヤを使っているんだけど、リムがワイドリムになり確かにタイヤの収まりが良くなった。その影響かは謎だが、コーナリングでバイクを倒した安定感は向上した感じがある。
と、ここまで概ね高評価をしてきたが、加速や下りが『良くなった』と言っても「ヤバい!別のバイクのようだ!!!」っていう程ではなくて、「お?なんか走りやすくなったな」くらいなもの。まぁ価格的にも、そんな魔法のような性能を求めるホイールではないだろう。エントリーロードの完成車ホイールよりは間違いなく良いものの、大幅アップグレードだ!みたいなテンションで満足できるホイールではない。
正直このくらいの差なら、「純粋な走りやすさ」を求めるならポジションを、「乗り心地」を求めるならタイヤの種類と空気圧を弄る方が、よっぽどコスパ良くいろいろ試せて効果的だと思う。
逆に、「街乗りに気軽なホイールが欲しいな」とか「安くてもちゃんとしたホイールがいい」という方にはお勧め出来る。また、「別にスペックはいらないけど、完成車ホイールがへたってきたから変えたい」というような方にも良いだろう。
3.4か月使っての変化
続いてはホイール自体の変化を。ここまでは「インプレ」という形で完全な僕の主観を話してきたけど、ここからは「製品としてのレビュー」を。
ホイールの振れ
巷では「全然振れが出ない」という話を聞くホイールもあるけれど、このWH-RS100は普通に振れが出てくる。体重+車重+荷物=80㎏弱くらいで500㎞乗り、1㎜強の横振れがちらほらという感じ。これは個体差なのかもしれないけど、僕がほかに持っているホイールに比べると振れが出るのが早い。そんなに酷いものではないが、もっと振れが出なかったら嬉しかったなぁとは思う。がっつりロングライドとかに使うと、割と振れが気になるかも知れない。
試しに振れ取りせずに1000㎞くらい走っているが、今のところ振れがひどくなるという感じはない。この状態を維持するなら「別に多少振れてても気にしないし、何なら今のホイールも振れてる(笑)」というような方は無視して良い気もするが、気にする方はご注意を。積載多めでハードに使うと振れも大きくなるかも知れないし、この点「超ハードなライドをする人にも自信を持ってお勧め!」とは現状言えないかも。
一応書いておくと、メンテナンス性は普通に良い。スポークは普通の円形のjベンドスポークで、ニップルは#14。高グレード帯でよくあるエアロスポークはニップル回し以外にもスポークが回転しないようにする工具が必要だが、WH-RS100は#14のニップル回しさえあれば一応は調整可能。
素人ながら僕も、ざっくりとしたフレ取り調整は自分でやっている。振れが強く出てしまうと難しいけど、こまめにフレ取りをしていれば割と振れを抑えることが出来る。
ハブは問題なし
そこそこ雨の日も走ったりしているけど、今のところ全く問題なし。まあ1,500㎞そこそこで問題が出るようじゃ困るが。(笑)
興味本位で分解してみたが、普通にカップ&コーン式なのでメンテナンスも楽な部類のはず。17㎜のスパナと15㎜・13㎜のハブコーンレンチ、グリスがあればメンテナンス出来る。一応展開図がShimanoのメンテナンスPDFの最後の方に載っているし、一般的なカップ&コーンの仕組みが分かっていれば問題ないだろう。
フリーボディも10㎜のアーレンキーで着脱できるし安価に販売されているので、フリーがダメになっても直ぐ交換できる。ここまで確認してホイールを購入したわけじゃなかったが、これは嬉しい誤算だった。ハブの観点からは、耐久性重視で使いたい方にも良さそうだ。
デカールがめくれてきた
性能とは無関係なことだが、デカールの一部がちょっと捲れてきた。めくれが酷くなるとフレーム等に擦るかも知れないから、適当に切ってしまうか剥がしてしまうか考えている。使用期間から考えて、もう少し持って欲しかったなあという感じ。
僕個人としては、このデザインに拘りはないから割とどうでもいいんだけど…もしシマノのデザインに拘っている方がいたら、一応念頭に置いておいた方がいいかも知れない。
(雨水がたくさん出てくる)
これは変化というより驚きなのだが、雨ライドの後に水抜き用の穴から大量の水が出てくる。穴の角度的にホイールを立てた状態では水が出づらいので、雨の後にメンテナンスしようとホイールを横にしたときに一気に水が出てくるのだ。
僕は何度か部屋の中でホイールの泥水をぶちまけてしまったので、もし購入する方はご注意を…。
【2020.03.10:追記】
先日走行中に、WH-RS100のスポークが折れてしまいました。詳しい状況はこちらへ。
4.まとめ
WH-RS100は「劇的に速くなる」とか「グレードアップだ!」みたいな気持ちで満足できるホイールじゃないが、エントリーロードの完成車付属と比較すればそん色ない(というかもっと走る)ホイールだと思う。
ロード用ホイールとして街乗り・ツーリング等には十分なスペックだし、むしろ細かいことを気にせずガシガシ使えていいと思う。購入時の記事でも書いたことだが、これが前後セット1万円ちょとで買えることを忘れてはならない。道具は単純に性能が高ければいいというものでは無く、適材適所だ。高価なホイールには盗難や故障・メンテナンスのリスクや出費が伴う。使い勝手のいい脚として、あるいはメンテナンスの練習も兼ねて遊び用として、このWH-RS100はいい選択ではなかろうか。
また、ローラー用に適当に使えるホイールが欲しいという方にももちろんお勧めできる。余談だが、シマノのホイールは中古市場でも値段が一定ラインに保たれている。屋内利用なら状態が悪くなりにくいので、売却も見据えて買えば超コスパがいいホイールだ。(笑)
おわり