野宿・テント泊に欠かせないアイテム:マット。僕は去年の春から1年以上、SEA TO SUMMIT(シートゥーサミット)のウルトラライトマットを愛用している。
かれこれ40泊以上は使ってきたので、使用感をレビューしてきたい。
<目次> 1.各部紹介 2.使ってきた環境 3.いいところ 4.悪いところ *寝心地について 5.まとめ
1.各部紹介
まずはマットのスペックや各部をご紹介。SEA TO SUMMITは様々な種類のエアマットを出しているが、この記事で紹介するのは「ウルトラライト」シリーズ。SEA TO SUMMITのラインナップの中で、最も軽くコンパクトに収納できるモデルだ。
・カタログ重量:382g(本体345+袋37)
・実測重量:392g(本体385+袋7)
・展開サイズ:168×55×5㎝(実測も同じ)
・収納サイズ:直径9×18cm(実測も同じ)
・R値:0.7
*僕が使っているSmallのサイズと重量
←Small もっと小さいXS→
・メーカー公式商品ページ:SEA TO SUMMIT
このウルトラライトシリーズ、サイズ展開はXS(128㎝)、S(168㎝)、R(183㎝)、L(198㎝)の4種類。
国内販売でよく見るのはXS~Rまでの3つだが、Rで既に183㎝あるので大抵の日本人は間にあうだろう。こういう枕とセットで使えば、マットは短くて済むし快適性も増す。因みに僕(身長177㎝)が使っているのはSmall。
カラーは1色のみ。外でも目立つのがGood。
マットとしての印象は、とにかく軽い・小さい。
おそらく一般的に手に入るエアマットの中で最小・最軽量の部類なのは間違いない。僕がこの「SEA TO SUMMIT ウルトラライトマット」を選んだ理由もそれだ。
サイズ感はこんな感じ。左は750mlのロングボトル、右はミドルサイズのOD缶とオーストリッチL100輪行袋。畳み方でやや縦長になっているけど、かなりコンパクトなのが分かる。
エアマットは空気が入る部屋がいくつあるかで、1気室とか2気室とか言われる。ウルトラライトマットは小型軽量化にガン振りした設計なので、当然1気室。
また断熱性の指標で「R値」というものがあって、このウルトラライトマットのR値0.7はSEA TO SUMMITのマットの中でもかなり低い方。ちなみにR値は数値が高いほど断熱性が高く、冬キャンプだと5以上が推奨されている場合が多い。
空気を吹き込む口は二重構造になっていて、設営で空気を入れるときは逆流防止弁がついている方を使い、撤収の時は元栓から一気に空気を抜くことができる。
弁の真ん中を押すことで、マットの硬さの微調整も可能。
付属品はスタッフサックとパンク修理用のリペアキット。
ちなみに今販売されているものに付属するスタッフサックには、空気を入れる際にも使える「ストリームポンプスタッフサック」なるものが付属するらしい。僕が買った去年はただの袋だったので画像は現行品と違うので注意。(これはただの袋なので7gだったが、新しい方は37gになっている)
重くなっているとはいえ、空気を入れるのが楽になるのは羨ましい(笑)
表面はいわゆるTPU素材で、軽量化を謳っているいるだけあって割と薄め。とはいえ全体的にきちんと作られているし、製品としての不安感はない。
2.使ってきた環境
冒頭でも紹介したように、僕がこのマットを購入したのは1年ちょっと前。
それから、主に自転車ツーリングでの野宿やテント泊に使ってきた。気温はマイナス15℃~25℃まで、天候は雨や雪でも使っている。もっとも厳しかったのは、冬季北海道ツーリングや冬富士登山の時だろう。
基本的にはシェルターの中で直接このマットを敷いていて、枕や補助マットの類は使っていない。僕は身長177㎝、体重65㎏で長さ168㎝のSサイズを使っているが、頭を上にピッタリつけると足がちょっと出るくらいなので十分だ。
ちなみに使用シュラフは冬はモンベルのダウンハガー800#1、それ以外はモンベルのダウンハガー800#5 。
僕のツーリングスタイルはテント泊ながら走りを重視することが多いので、のんびりキャンプというよりは「寝る」という目的のみに使っている。一回当たりの使用時間は6~8時間。
購入してから、かれこれツーリングや登山で40泊以上は使っている。お次は、その中で感じた良いところと悪いところを。
3.いいところ
まずは使ってきて感じた良いところから。
①小型軽量
なんといっても一番のメリットは小型軽量。自転車ツーリングでは軽くて小さいは正義だし、バイクパッキングがメインの僕には必須ともいえる装備の条件。
⇧左下がウルトラライトマット。
収納時の1㎝が馬鹿にならない差になる。体がすっぽり入るサイズ感のマットが、この小ささになるのは感動ものだ。最近のツーリングはこの小ささのお陰で成り立っているともいえるので、僕はもう手放せない。(笑)
②耐久性
耐久性についても文句はない。約1万円と少々高価なマットだが、既に一回250円以下になっていると考えると安いものだ。
パンクの際のリペアキットは付属していたが、いまだ一度も使ったことはない。空気口のあたりも全く問題なし。
軽量性に特化している分耐久性が不安だったが、普通に使っている分には特別の心配はいらないと思う。
(③断熱性)
先ほど書いた通り、このウルトラライトマットはR値が低いので冬には向かない…はずだが、冬の北海道のテント泊や富士山でもマット単体で普通に使えたし、寒いと感じることはなかった。
気温はもちろん常に氷点下二ケタだったし、雪の上にグランドシート+シェルターの床+ウルトラライトマットの3つだけ。寒さの感じ方は人それぞれなので万人が大丈夫だとは言えないが、僕にとっては十分な断熱性だった。
むしろ、夏の暑いときは脚を横に出していたり。本当にR値0.7なんだろうか?(笑)
4.悪いところ
続いて残念なポイントを。と言っても、通常の使用でそれほど致命的な欠点は見当たらないのだが。
①エアが抜ける
少し残念に思っている点は、長時間(だいたい8時間以上)寝ていると、空気が抜けてきてマットがへたるところ。体が地面にくっつくほどではないが、寝心地が変わるのと断熱性が下がる。
寝心地は妥協できるが、雪中テント泊では空気の量が減ると少し冷えを感じた。
そんなに長い時間寝続けることは稀だし夏場は問題ないものの、人によっては気になるかもしれない。
②収納が少し面倒
マットを収納する際、細長くなるように何度か折ってから、くるくると巻くようにして収納する。
この畳み方のお陰でコンパクトになるのだが、細長いマットをさらに細長くたたむのが少々面倒くさい。途中でズレたりして大きくなっちゃったり。。。風が強い場所での撤収は特にストレス。
③寝返りがうるさい
表面素材の都合で、寝返りをうったりマット上を移動したりするとき、ギシギシと結構大きな音が鳴る。いつも寝る前にマットの上でストレッチをするが、その際にはかなりギシギシ言っている(笑)
これも慣れと言えば慣れだし基本ソロの僕には関係ないのだが、誰かと一緒に寝るときにはちょっと気を遣った。
欲を言えば、表面がつるつるのTPUではなく手触りのいい素材なら、煩くないしもっと寝心地もいいのになと思う。
(④パンクのリスク)
まだ経験はないが、エアマットにはパンクという大きなリスクが伴うことは忘れてはいけない。これはウルトラライトマットに限らず、エアマット全般に言えるリスクだ。
パンク用のリペアツールは付属するものの、上手く補修できる絶対の保証はない。
計画に余裕があったので、テストのため冬富士等の登山で使ってはきたが、厳冬期北アルプスで使う勇気はなかった。登山での使用は夏山や予備マットとしての携行が現実的だろう。冬登山では何らかの予備を持つか、おとなしくクローズドセルマット(空気を入れない折り畳み式のやつ)を使うことをお勧めする。製品の良し悪しではなく、リスク管理の問題として。。
*寝心地について
さて、肝心の寝心地は『可もなく不可もなし』といった具合。
寝心地が悪いと思ったことはないし、ホームセンターの銀ロールマットなんかに比べたら断然こっちの方がいい。腰が痛くなったことも1度もない。
かといって、凄くいい寝心地かと言われるとそうでもない。1気室エアマット特有の沈み込む感じはあるし、「上質な睡眠」とか「絶妙な寝心地」とかいう言葉は似合わない。
最終的には快適性と携行性のバランスだが、この軽さでこの寝心地なら十分満足できるんじゃないだろうか?
5.まとめ
以上、簡単ではあるがSEA TO SUMMITのウルトラライトマットを紹介してみた。いろいろ書いてはきたが、一言でまとめると『ウルトラライト装備にピッタリのマット』だ。
致命的な欠点もなく、U.L.ギアながら信頼を置ける耐久性。オールシーズン(?)必要十分な断熱効果とクッション性を提供してくれる。手段としての睡眠・テント泊をするときや小型軽量を求めるときは、この上ないアイテムだと思う。
逆に、快適なテント生活が目的ならもっといいマットがあるのでそちらを選んだ方が無難だろう。空気を吹き込むのだって、自動で膨らむタイプのもの(SEA TO SUMMIT:S.I.シリーズ)すらあるし、休憩でもマットを使うならクローズドセルマット一択だろう。
のんびりキャンプより行動派、というあなたへ。SEA TO SUMMITのウルトラライトマット、ありだと思います。
おわり