ロングライドや強度の高い走りをするサイクリストの悩みの鉄板は「膝の痛み」。僕も膝の痛みを抱えていた。
その痛みを軽減すべく、膝サポーター「ZAMST EK-3」を使ってみた。
<目次> 1.購入の経緯 2.病院での診断 3.保険としてサポーター購入 4.ひざの痛み軽減に効果があった 5.残念なところ 6.試す価値はある
1.購入の経緯
僕の場合、今までに2度膝の痛みに悩まされた。1度目はロードバイクを買って1年が経とうとするとき、1日200km以上のライドを多用するようになったころ右ひざの痛みが出た。
そのときの原因は明らかなサドルの上げ過ぎ。膝が伸びきってやっとペダルの下死点に到達する状態だったため、サドルを下げてやることで痛みは自然となくなった。
そして、2度目が今回。
年末に冬山へ登山に行ったのだが、積雪がひどく腰以上の高さのラッセル(=雪を掻き分けながら歩くこと)を常に強いられた。下山後、そのせいで左膝に痛みを感じ、数日間びっこをひいて歩くようになってしまった。
痛みが引いてすぐ、実家へ帰省するためにロードバイクに乗ったのだが、それがいけなかった。実家へはいつも自走で帰省していていたので、今回も同様に走ろうとしたのだ。(GWにリベンジ⇒【横浜-仙台TT】400㎞新記録更新!19時間35分)
しかし、乗り出してすぐに左膝に違和感を感じ、50kmも乗ると違和感は痛みに変わっていった。結局200kmまで粘ったもののDNF。当日は膝が痛すぎて椅子から足だけで立ち上がれないほどだった。
2.診断は「ジャンパー膝」
医者の診断によれば「ジャンパー膝のようなもの」だそうで、膝を酷使しすぎた結果といわれた。まあ、そりゃそうだよね…。(笑) 膝の皿に下側に痛みが生じていて、治すには休養のみ。今後の予防には太ももの筋肉を付け、ストレッチをするしかないとのことだった。
ネットで「ジャンパー膝」と調べてみると、もともとはバレーボールやバスケットボールなどのジャンプを多用する競技で起こる膝の炎症から由来する名前の様だった。太ももの筋肉が酷使されて緊張状態になり、膝の靭帯を必要以上に引っ張る。その結果靭帯が膝の皿にこすれて炎症が起きるのだ。症状もまさしく僕のと同じ。膝の真ん中下側が痛くなる。
どうやら、このままやりすぎると靭帯を強く損傷して、手術が必要になるようだ。はぁ、怖い怖い…。その後は自転車に乗らずに安静にし、ストレッチと軽い筋トレをする日々が続いた。
3.保険としてサポーター購入
それから2ヶ月ほどまったく自転車に乗らない日々が続き、春休みのロングライドへと出かけた。いきなり200km×5日のライドに出かけるなんて頭がおかしいと思うが、どうしても雪のある道が走りたかったのだ。これ以上待っていたら雪がなくなってしまう。
出かけるにあたり、怖かったのが膝の痛みだったのは言うまでもない。筋トレやストレッチをしてきたが、急に改善するものでもない。
そこで、付け焼刃ともいえるこの商品の登場というわけだ。
もちろん山も海も道も逃げたりはしないが、春休みは決められた期間で終わってしまう。長期期間を取れるのはそうそうない機会だから、僕は多少無理してでも走りたかった。
「膝サポーター」で検索すると実にさまざまな商品が出てきて、正直なにがいいのかわからなかった。とりあえず、Amazonで評価が良さげなこの商品「ザムスト EK-3」を購入。
このザムストというメーカーからは、締め付けの強さや固定方法から様々なモデルが出品されていた。今回はキャンプツーリングでも使いたかったから、靴を脱がずに着脱できるマジックテープ式のものを選択。締め付けの強さは中くらいのものをチョイスしてみた。自分の膝周りのサイズを測って、サイズはLを注文。
4.痛みの軽減に効果があった
とりあえず装着
試用する機会もなかったので、ぶっつけ本番で雪道ライドに投入。正直、ビーナスラインや白川郷の登りを含む約200kmを毎日走るライドだったため不安でしかなかった。
家で付けた感じは保護されている感じが結構あって、普通に歩くだけでも膝が楽な感じがした。上手く感覚を表現できないんだけど、膝の曲げ伸ばしをする時、サポーターが膝を伸ばす方向にアシストしてくれる感じ。いつもよりも力を必要としないから、普通の時も楽だし、膝を痛めているときには助けになりそうだ。
本来は素肌に装着する製品の様だが、タイツ型のインナーを履きたかったのでタイツの上から本製品を付けることにした。感覚的にはタイツの上からでも十分効果はありそうだ。
いざ出発
とりあえず出発からつけてみたのだが、締め付け感がどうにもしっくりこなかったため結局すぐに外してしまった。クランクが上死点に行ったとき=膝が最も曲がるときに、膝裏がサポーターで圧迫される感じがとても強かったのだ。
しかし走り続けていると、100kmほどで痛めていた左膝に違和感が…。痛みに変わる前にやめておこうと、いったん休憩にした。
効果を実感
翌日、しっかりストレッチして走りだしたが、それでも違和感は残ったまま…。これはまずいと、藁にもすがる思いで持ってきていたこのサポーターを付けてみた。すると、驚くことに走っているときの違和感がなくなったのだ!
正確に言うと、「違和感を感じないレベルでの運動をしている」という感じ。膝の中のぶっ壊れている感じは拭えないが、ペダリング膝に与えるダメージが、レッドゾーンからグリーンゾーンに変わった感じだ。
膝の保護には変えられないので、膝裏の違和感は我慢して走ることにした。適宜マジックテープの締める強さを調整することで、違和感の軽減を図ることが出来たのもよかったと思う。
結局、その後毎日200km近く走っても痛むことはなかった。
頼もしい相棒になった
雪道ライドを終えた後も、紀伊半島ライドや九州一周ライドをしたが、その時もこのサポーターが活躍してくれた。(そもそも根本的解決をするものではないので)膝が完治するということはなかったが、膝の調子を見ながら上手く使うことによって膝の痛みをほぼ出さずに走ることが出来た。
使ってみて思ったのは、いつでも着脱が出来るというのがポイントということ。理想はずっとつけている事なのだろうが、10時間以上(200km以上)も付けっぱなしとなると汗で蒸れるし、血流が少し悪くなるので休憩時に脚の回復が遅くなる。膝の保護と足の回復をバランスよく調節できるのがミソなのだ。
3月にサポーターを使って3000km以上走ったが、多少の違和感を感じることがあっても、サポーターを使っていれば300kmまでは痛みが出ることはなかった。
耐久性も◎
その後もちょくちょく使い4000kmほど使用してみたが、ゴムが伸びたり生地がほつれたりしていないので、耐久性も十分ありそうだ。寿命コスパ的にチェーンやタイヤよりも安上がりだ。(笑)
5.残念なところ
ここまで高評価のみをしてきたが、残念なところもある。それは「蒸れる」ということ。僕の場合使用期間が寒い時期だったから、むしろ膝周りが暖かくてよかったのだけれど、夏は逆に暑そうだ。また、汗を大量に書く季節に素肌に長時間つけていると、すぐに膝裏が擦れて痛くなるかもしれない。
これは試していないので分からないが、股擦れ防止に使っている「シャモアクリーム」なんかをあらかじめ塗っておけば大丈夫かも?これからの時期に実験してみたい。
6.試す価値はある
ロングライドの膝の痛みといっても原因は人それぞれ。みんなが僕のように上手くいくかは分からない。それに膝の痛みは基本的にポジションやペダリングが原因な筈だから、サポーターを付けることは根本的解決にならない。
しかし、ベストなポジションの発見もペダリングの改善も、一朝一夕に出来るものではない。その間にしたいライドをすべて我慢するなんて辛すぎる。今の時期に○○に行きたい、SRとるためにこのブルべは落としたくない…etc.
そんな願いを叶えてくれるのがサポーターだと僕は思う。これに頼りすぎてはいけないけれど、うまく使えばもっと有意義に自転車を楽しめるんじゃないか?そう思う。
機材投資に比べればさほど高い買い物でもないので、膝の痛みに悩むロングライダーは是非試してみてほしい。その価値はあるはずだ。
おわり