サングラスを夜間や悪天候でも使うなら、「調光サングラス」がおすすめだ。明るさが自動で変化するので、レンズ交換の手間なく使い続けれらる。
サイクリングブランド「BBB」も調光サングラスを多数手がけており、その中でも視界の広いモデルが「フルビューPH(BSG-63PH)」。今回は、そのフルビューPHをレビューしていきたい。
<目次> 1.スペック 1-1.他の「フルビュー」との違い 2.各部詳細 2-1.可視光透過率の幅について 3.使用感 3-1.色の変化は「グレーor黒」 3-2.常に自然な視界が得られる 3-3.広い視野と高いフィット感 3-4.可視光透過率85%? 3-5.使用期限は2年ほど 4.まとめ
1.スペック
まずはフルビューPHのスペックからご紹介。
・カラー:ブラック、レッド(グレーレンズ) ・UVカット率:100% ・可視光透過率:17-85% ・価格:20,350円(税込み) ・Amazonはこちら
BBBの人気サングラス「フルビュー(BSG-63)」の、調光レンズ(Photochromic)モデルが「フルビューPH(BSG-63PH)」。
プロも使用するスペックはそのままに、レンズを調光仕様にし、様々な環境で使用するコミューターやロングライダーにも使いやすいサングラスにしている。
2-1.他の「フルビュー」との違い
人気なフルビューには、様々なラインナップがある。
・フルビュー(BSG-63):通常モデル。レンズはブラック、イエロー、クリア
・フルビューPH(BSG-63PH):調光モデル。レンズがグレー(可視光透過率17-85%)
・フルビューHC(BSG-70):ハイコントラストモデル。レンズがミラー系
・フルビューPH MLC(BSG-70PH):調光モデル。レンズがミラー(可視光透過率16-63%)
今回レビューしているのは、上から2つ目の「フルビューPH」。
同じく調光モデルの「フルビューPH MLC」はミラー加工がしてあるのに対し、こちらは通常のグレーレンズ。その分価格は抑え、かつ可視光透過率の幅(色の変化の幅)が広くなっている。
フルビューPH MLCはこれ(↑)。
レンズの加工以外にも、型番でBSG-63系とBSG-70系では、レンズ上部の形状も少し違う。BSG-63系はフレーム上部とレンズが同じ高さだが、BSG-70系は上の画像のように一段高くなっている。BSG-70系の方が新しいモデルで、アップデートされた点かも知れない。
この点に関して個人的には、BSG-70系の方が好みだ。
2.各部詳細
つづいて、フルビューPHの各部を詳しく見ていこう。
付属品はソフトケースとハードケース。ソフトケースは眼鏡拭きとして使用できるほか、ハードケースの方は替えのレンズを数枚収納できるようになっている。
色の変化が無い状態でこんな感じ。ややスモークがかったクリアなレンズだ。
フレームとノーズパッドの外側はメタリックなブラック。カラーバリエーションでは、ブラックの他レッドがある。
「フルビュー」の名の通り、フレームを可能な限り排したデザイン。特に中央上部の視界が広く、フレームによって視界が遮られることがない。
前傾姿勢をとっても、頭を無理に持ち上げる必要がなくなる。
つるの部分は適度にしなやかで、滑り止めの効く素材感。
フィット感の向上に一躍買っている。
フレーム両側にBBBのロゴ。控えめなワンポイント。
ノーズパッドは針金のような芯が入っており、無段階で調節可能。動きはやや硬いけど、一度調節すればズレないため運用は楽になる。
全体が柔らかめのゴムの様な感触で、皮膚への当たりは比較的優しい。
レンズのカーブはやや丸みがかっている。
アジアンフィットで有名なOGKのモデルに比べて、もう少しカーブをきつくした感じだろうか。個人的にはかなりフィットしていて心地よい。
2-1.可視光透過率の幅について
調光サングラスには、「可視光透過率」という、通す光の量に幅がある。透過率が高いほどクリアレンズに近く、低いほど暗くなる。
可視光透過率と使用環境の目安は、次の通り(ライトウェイさんの商品説明より引用)。
・100-85%:夜間(クリア、イエローレンズなど)
・85-43%:曇り、夕方
・43-20%:晴れ、薄曇り
・20-8%:晴天(多くのサングラスは15%ほど)
フルビューPHは17~85%なので、晴天からギリギリ夜間に対応できる計算となる。
向かって左側を手で隠し、10秒ほど直射日光に当てた状態。
調光サングラスは紫外線で色が変化する仕組みなので、曇りや夜間にはそれに応じた変化度合いになる。
ちなみに、色が暗くなる方の変化は速いが、明るくなる方の変化はゆっくりだ。写真の状態からクリアに戻るまでには、1分弱ほどかかる。そのため、トンネル等で瞬時にクリアになる訳ではない。
3.使用感
では、フルビューPHを実際に使用してみての感想を。
3-1.色の変化は「グレーor黒」
以前にご紹介した「フルビューPH MLC」は色が変化するとミラーだったけど、このフルビューPHは黒系に変化する。
調光レンズとしては一般的な変化の仕方で、晴れの時にはほぼ黒色。可視光透過率が17%にまで絞られるので、結構暗くなる。光の当たり方によっては目元が軽く透けるけど、遠目で見たら普通の黒とほぼ同じくらいだ。
逆に日光の弱いときには、薄グレー~クリアに近くなる。
最もクリアに近い状態では、夜間走行も可能なくらい。ただしクリアレンズと比較すると暗いので、それが気になる方がいるかも知れない。僕は基本的にはかけっぱなしで使用しているけど、道路の状況や見え方によっては外す可能性もありそうだ。
3-2.常に自然な視界が得られる
グレー系レンズの良いところは、視界が自然な見え方になること。色味が変わったり、変にコントラストが付いたりしないので、サングラスを着脱したときにも違和感が少ない。
フルビューPHはグレー系の調光なので、見え方は自然なまま、光の量だけを丁度よく調節してくれる。ライド中に風景も楽しみたいという方や、視界の色味を変化させずに使いたいという方には、もってこいなサングラスだろう。
3-3.広い視野と高いフィット感
フルビューの特徴の1つが、フレームレスで広い視野を確保していること。特に視界上部が広く空いていて、深い前傾姿勢をとっても前が見やすくなっている。
平坦を走る際や向かい風が強いとき等に、頭を下げて走ってもフレームが邪魔することが無いのが気に入っている。
一般的な形状のサングラスでは、いちいちズラしたりフレームを避けるように見たりしていた。フルビューならそのストレスから解放されるので、もう僕は通常タイプのサングラスには戻れない。
3-4.可視光透過率85%ってどのくらい?
こちらで測定する術がないから何とも言えないけど、最大での可視光透過率が85%というのを若干疑問に思わなくもない。
僕はOGKの調光サングラスを2つ使用していて、最大透過率が79%と84%のモデルだった。フルビューPHはそのどちらよりもクリアに近いはずだけど、現物を見るとその2つよりも暗い。
…いや、本当はBBBの測定が正しくて、OGKがもっと明るいのかも知れない。しかし、クリア側に差があるのは間違いないと思う。
(↑)OGKの121PH。画像の写りの関係もあるけど、現物を見てもクリア側がより透明に近いと思う。
先ほども書いた通り、個人的には夜間使用にも耐える明るさだと思っているけれど、もう少しクリアだと嬉しかった。事前にスペックを見て想像していたより暗かったので、現物を見られない方は、その点は注意していただいた方が良さそうだ。
【追記:2022年12月】
他のサングラスも色々と試してみて、一般的に「可視光透過率85%」と言うと、このフルビューPHくらいかな…というのが分かってきた。その後オーバーナイトでの夜間走行に使用しているし、ナイトライドでは基本これをかけて走るようになっている。メーカーや製品ごとに数値と体感の乖離があるのは依然として難しい問題だけど、BBBの数値感は恐らく普通だと書いておきたい。
3-5.使用期限は2年ほど
最後に1つ注意点として、調光サングラスには使用期限があるというのを書いておきたい。
BBBに限らず、全ての調光サングラスには使用できる期間に制限がある。だいたい2~4年ほどでレンズの色が変化しにくくなり、購入時の性能を発揮できなくなるのだ。
僕が今まで使ってきた調光サングラスも、2年ほどが寿命な印象。
とはいえ僕は使い潰すつもりでハードに使用しているし、結果的にレンズ以外の部分もかなり劣化が進んだ。他の部分の劣化スピードと同じくらいと考えてもさほど影響はないというのが、僕なりの考えではある。
4.まとめ
以上、BBBの調光サングラス「フルビューPH」をレビューしてみた。
晴天はもちろん、曇天や夜間までサングラス1つで対応できるのは、朝夜を走る通勤ライダーやロングライダーには嬉しい機能。レンズ交換の煩わしさから解放され、ストレスフリーに快適な視界が手に入る。
調光サングラスの中でも視界の広いデザインのおかげで、景色も良く見えるし、深い前傾姿勢にも対応している。
個人的にはフィット感が良いのも気に入っていて、僕のこれからのロングライドを支えてくれそうだ。
おわり