装備レビュー

【レビュー】Apidura:ハイドレーションベストをグラベルロードで使ってみた

バイクパッキングで有名なブランド「Apidura(アピデュラ)」が、新たなジャンルである「ハイドレーションベスト」を発売した。

長距離のグラベルレースやバイクパッキング・アドベンチャー向けに開発したというベストで、必要となる水と補給食を長距離持ち運ぶためのギア。独自のフィットシステムで自転車の乗車姿勢に合わせて開発し、長時間の使用に耐えうる設計となっているらしい。

そのApiduraのハイドレーションベストを、日本最速レビューさせて頂こう。

<目次>
1.スペック
2.各部詳細
3.使用感
3-1.フィット感について
3-2.ちょうどいい容量
3-3.乗車姿勢で使いやすい
3-4.ハイドレーションパックは微妙
3-5.ランニングでは揺れる
4.まとめ

1.スペック

では、スペックから。

スペック

・サイズ:S/M、L/XL
・容量:5.5L(S/M)、7L(L/XL)
・重量:公称385g(S/M)、414g(L/XL)
*S/M実測375g(本体238g、ハイドレーション137g)
・付属品:2Lハイドレーションパック
・価格:21,780円(税込み)
商品ページはこちら

 

冒頭でも触れた通り、このベストは長距離のグラベルレースやバイクパッキング・アドベンチャー向けに開発された製品。

日本でいえば、SDA王滝の100㎞なんかをイメージして頂くとよいのかも知れない。

グラベル等のオフロードでハイドレーションベストが活躍するのは僕も強く感じていて、こんな記事を書いているくらい。

 

必然的に補給が遠くなり、消耗の激しいオフロードに挑むには、相応の水分や補給食が必要となる。それらはバッグに取り付けるより、ベストで運搬した方がアクセスが良く、またバイクコントロールもし易いため都合が良いのだ。

昔からSDA王滝に出ている方のブログを見るとハイドレーションベストの話題も出ていて、界隈の方からしたら当然の話なのかもしれない。

トレイルランニング用のベストやMTB用のベストを流用するのが一般的だったけど、そこにApiduraが自転車用のハイドレーションベストを発売したわけだ。

このハイドレーションベストは、S/MサイズとL/XLサイズの2サイズ展開。Apidura公式サイトによれば、胸囲60~95㎝がS/Mサイズ、96~125㎝がL/XLでちょうどフィットするらしい。

ハイドレーションベストの寸法はこんな感じ。(↑)Apidura公式サイトより引用

本体の実測重量は、S/Mサイズで238g。

ザックとして軽量かどうかと言えば、「そこそこ軽量」という部類だろうか。普通のバックパックよりは十分に軽いし、トレラン用ザックであれば200gを切るレベルのものもあるから、特別超軽量ということもない。

ハイドレーションパックが137gだったので、合計は375gと公称よりも軽量に仕上がっていた。

ちなみにハイドレーションパックは各社のものと比べて軽量だ。

 

 

2.各部詳細

では、ハイドレーションベストの各部を詳しく見ていこう。

ベスト本体とハイドレーションパック。カラーはグレー+ブラック+イエローと、アピデュラらしい仕上がり。レーシングシリーズと同じデザインになっている。

各所のApiduraのロゴと、黄色&シルバーのアクセント部分は反射素材。その上にはライト用のスリットもある。反射素材の配置が、前傾姿勢を取ったときに後ろから見えやすい位置なのは嬉しい設計。

(↑)例えば、Apiduraのレーシングシリーズのバッグはこんなデザイン。バイクにも自分にも、統一感が出るのはいい。

本体は70Dのリップストップ生地(リップストップ=格子状の補強が入っており、引き裂き強度が高くなっている)。グラベル等のオフロードでの使用も考え、耐久性にも気を遣っているのが伺える。

背面はこの強化された生地だが、サイドは伸縮性のあるライクラを使用。こちらは柔らかく伸縮性に富んでいて、荷物容量に柔軟に対応できる仕組み。

リップストップ生地には防水加工が施されているらしいけど、浸水箇所は多いので防水ではない。雨だけでなく、汗でも濡れるので夏場は注意が必要だろう。

背面は通気性を重視したメッシュパネル。

肩のベルトも同様で、夏場の汗をかく時期も良さそうだ。

チェストベルトはレール式で移動可能。各所のジッパータブやベルトの末端処理等も含め、登山系やトレラン系ザックが備える機能性はきっちり網羅している。

細かな縫製を見ていっても、かなり精度は高そう。そのあたりは流石Apiduraだと思う。

荷室はこんな風になっている。

一番背中側に青のハイドレーションパック、次に赤のメイン荷室、最後に小物用のポケット。メインの荷室へは画像向かって右からのアクセスで、小物は反対の左から。

両胸にも収納ポケットを完備。

赤い部分は上方向に口が開いたポケットで、両方ともサイクルボトルがピッタリ入るサイズ感。伸縮性のある素材で出来ているから、小さめのものでも保持してくれる。また、向かって左の方がやや深くなっている。

向かって右にはジッパー付きのポケットも。スマホと小型財布がちょうど入るサイズ感で、貴重品入れにちょうど良さそうだ。

付属のハイドレーションパックは2L。

チャックで密封したのち、上部を巻いて固定する。専用なだけあって、ベストに挿入したときの収まりはとても良い。

ハイドレーションホースは、走行中に固定出来るようにマグネットが付属。右胸の下あたりにくっつく仕組みになっている。

この機能は他社ハイドレーションパックにもあるけれど、大抵オプションとして購入する必要がある(しかも結構高い)ので、はじめから付いているのは嬉しい。

ハイドレーションパックを入れるスペースはここ。

上部からベルクロで開閉し、ハイドレーションパックを釣るためのベルトもある。

ちなみにハイドレーションパック水は、ベストに収納したまま簡単に入れられる。出先でも素早く水の補給が出来るので、この設計もいい感じだ。

 

3.使用感

では、実際に使用してみてのあれこれを。

3-1.フィット感について

まずはサイズ感やフィット感について。Apiduraは「どんな体型の人にもフィットする様デザインした」と言っているけれど、果たしてどうだろうか?

僕は身長177㎝、胸囲は90㎝前後。

Apiduraのサイズチャート的にはS/Mが該当した(表記に若干のずれがあって、L/XLの方が合いそうな記載箇所もあったけど…)ので、やや小さめかと思いつつもS/Mを注文した。

結論から言って、意外とサイズが大きく、S/Mで良かったというか「L/XLだったら大きすぎたのでは?」と思うくらいだ。チェストベルトも脇の下のゴム紐も、かなり絞めこんで使っている。

フィットのさせ方は、まずはチェストベルトを装着し絞めこむ。

ベルトの上下位置も自由に調節可能で、脇の下とみぞおち辺りに調節するとしっくりくるだろう。一般的な登山用ザックと同じ要領だ。

続いては、脇の下のゴム紐を締め込む。

この脇の下のゴム紐がこのベストの特徴でもあって、この構造を採用しているベストはあまり見ない。どうだろうかと懐疑的でもあったけど、実際に使用してみると案外自然でいい感じだった。

ハイドレーションパックに1L程度入れ、荷室は空の状態でこんな感じ。

ベストの位置はサイクルジャージのバックポケットを邪魔しない高さで、そちらの収納も今まで通り使用可能だ。

全体的なフィット感は上々で、どこかが当たるとか、変な締め付け感があるとか問題は一切ない。寧ろ適度に胸部を包み込んでくれるので、かなりいい感じだと思う。あくまで僕が使用している感触でしかないけど、拘ったというフィット感はとても良いと感じている。

 

3-2.ちょどいい容量

5.5Lという容量は、ライド中に必要な補給関連+αを持ち運ぶのにちょうどいい。

入るものは、ハイドレーションパックを2L満タンにしてこんな感じ。両胸のポケットには余裕があるので、補給食等の小物はまだ入る。

メインの荷室がライクラ生地で伸びるのと、胸部のメッシュポケットも伸びる素材なので、詰め込めば結構入る印象だ。

バイクパッキングで使用しても、バイクと自分に荷物を分担させられて使いやすかった。

大は小を兼ねるというけれど、実際そんなことは無い。大きすぎると中で荷物が暴れるし、そもそもベスト自体が大きくて邪魔になる。また、荷物もこれ以上入れると背中が重くなりすぎて負担にもなる。

過不足なく必要十分な容量で良いと思う。

背中の荷物についても、片方の肩にベストをかけたまま出し入れできる。その辺りも使いやすいだろう。

 

3-3.乗車姿勢で使いやすい

Apiduraが拘ったというポイントの1つが、「深い前傾姿勢をとっても使用しやすいこと」だという。

僕はこれを聞いたときなるほどと思い、またこのベストに非常に興味が沸いた。

というのも、僕が今まで使用してきたトレラン用のベスト「Salomon:Sence Pro 5(↑)」の唯一の欠点は、TTポジションを取った時にフィット感や荷物の収まりがやや悪くなることだったからだ。

ではアピデュラはどうか。

200㎞ほど実走で使用し、なるほど確かに、こちらの方が使いやすいなと実感した。具体的に違いを感じたのは、TTポジションの様に強い前傾姿勢を取ったときだ。ベストのフィット感……特に胸のあたりのフィット感が、Apiduraのハイドレーションベストの方が良い。

もちろん、トレラン用のものが全然ダメだったという話ではない。寧ろ前傾をとっても「良い」と言える範囲だったのだけど、Apiduraのベストはそれよりも良いと感じている。

このベストを見たとき、最初に気になったのが「荷物の重心位置」だった。

普通このサイズのトレランザックは、背中の高い位置に重心が来るよう、肩甲骨の回りに沢山荷物が入るように設計する。だが、Apiduraのベストはもう少し下に重心があり、直立だと垂れ下がったように見えた。

しかしこれが、TTポジションをとると身体の真ん中に重心が来て、荷物を背中全体で支えやすかったのだ。

Apiduraの開発がいう通り「レーシングポジション」を念頭に設計した結果、この様な形状になったのだろう。

逆にこれは、ある程度アップライトな姿勢の場合は、若干重心が下にずれるとも言える。

というのも、今まで僕がトレランザックが自転車でも使いやすいと感じていた理由が「普通のザックよりも重心位置が高いから」で、背中の真上に荷物が乗ってくれる感覚が心地よかったのだ。

もし街乗りの様なイメージで上体を起こして使用するなら、トレランザックの方が全体として心地よいのでは?とも思う。

……と、あれこれ語っては来たけれど、いずれにせよ「全然ダメで使えない」という問題が発生する話ではない。言わば「80点か95点かを比べている」話だというのを、理解して頂ければ幸いだ。

 

3-4.ハイドレーションパックは微妙

ここまで良い点や感動を中心に書いてきたけど、残念だった部分もある。付属するハイドレーションパックだ。

僕はいままで「Source」のハイドレーションパックを使用していて、細かな使用感も含め気に入っている。

詳しくはレビューしているので、そちらをご覧いただきたい。

 

で、このApiduraのハイドレーションパックの微妙な点は

⑴匂いがある

⑵飲み口の水の出が悪い

⑶乾かしにくい

の3点。

中でも困っているのが匂いで、工業製品らしい薬品っぽい匂いがとれず、水にも匂いが移ってしまう。家庭用の中性洗剤で何度か洗ってはいるけれど、どうも解決できていない。重曹で煮込む等の方法もあるらしいし、時間が解決するとも言われているけど、僕的にはちょっとNG。

飲み口の水の出方については好みとも言えるけど、Apiduraのは結構強く嚙まないと水が十分に出てこないのが気になるところ。

気温が高い時は良いのかも知れないものの、もっと弱い噛む力でも水が出てくれないと、それこそレースの様な息の上がったシチュエーションでは厳しいのではないだろうか。

乾かしにくいのはApiduraのハイドレーションに限った話ではないけれど、例えばSourceのものはこんな風に口を開けっ放しに出来る。

手を突っ込んで拭こうにも、口がやや小さいので難しい。設計が容易でない部分だと思うけれど、もう少し工夫があると嬉しかった。

 

もちろん良いところだってあって、

⑴ワンタッチで外せるホース

⑵持ち運びやすい取っ手

⑶ロック機能付きの飲み口

という具合。ともあれ他社品でもこれらは備えていることが多いので、どうしても評価が高くなならないと思う。

 

 

3-5.ランニングでは揺れる

最後にちょっと蛇足的な話をすると、一見トレラン用ザックにも見えるこのベストが、ランニングでも使えるのか試してみた。

結果は残念ながら「かなり揺れる」。

やはり自転車での使用を第一に考えての設計らしく、ランニングでは上下に揺れてしまい微妙な結果に。もし「自転車×○○」でトレラン系の使用も考えているなら、トレランザックを流用するのが正解のようだ。

 

4.まとめ

以上、使用期間がまだ浅いながらにも、僕なりに使用感をいろいろとレビューしてみた。

今までグラベルライドやキャンツーでトレラン用ベストを愛用してきた身として、TTポジションでのフィット感やザックの設計など、Apiduraが目指す「自転車レースに耐えるベスト」という形が見えて面白いと感じた。

確かにレーシーな走りもしつつザック・ベストを使用するなら、この設計はとても良いと感じている。細かな部分も市場のザック類を研究しているのが見て取れるし、仕上がりも流石Apiduraといったところ。

しかし、付属のハイドレーションパックは残念だったので、市販のものに交換して使用するのをおススメする。僕の使っているSourceの1.5Lは綺麗に収まるので、よろしければ合わせてどうぞ。

このレビューが、皆様のギア選びの参考になれば幸いだ。

おわり

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