ロングライドの天敵「メカトラブル」。ものによっては走行不能に陥ってしまう、大きなリスクだ。
ロードバイクを購入した際、多くの方が六角レンチやパンク修理キットといった基本的な携帯ツールを購入すると思うけど、こと「チェーンツール」となるとその必要性に疑問を持つ方も多いだろう。
僕もその1人だったが、遂に先日ロングライド中にチェーンが切れ、あわや遭難という事態に陥った。今回は、そんな話をつらつらと。
<目次> 1.ロングライドのメカトラリスク 2.チェーンツールって必要?と思ってた 3.山の中でチェーンが切れた 4.ライドに応じて必要な備えを
1.ロングライドのメカトラリスク
近所だけを走るならさておき、ロングライドとなるとメカトラブルのリスクが高まる。
意図せず荒れた道に入ってしまいタイヤ関連のトラブルを起こしたり、荒天や長時間走行でパーツに異常をきたしたりするためだ。
また、森の中など人気のない道を走っているときのトラブルは、その後のリカバリーが難しいという意味でもリスクが高い。
今までパンクに悩まされたことは何度もあったし、四国ではこんなこともあった。
森の中で自走不能になった時点で遭難してしまうので、それを避けられるだけの「合理的な備え」が求められるわけだ。
2.チェーンツールって必要?と思ってた
先ほど「合理的な備え」と書いたけど、サイクリングの荷物は多ければ良いというものではない。装備の量が増えると過度な疲労に繋がるし、逆に安全ともいえない状態になる。
例えばタイヤの消耗やワイヤーの状態など、ライド前にチェックしておけば走行中トラブルになる可能性をはかなり低い。ワイヤーが切れるかも知れないから予備のワイヤーやペンチを持ち歩くのではなく、初めからそうならないように整備しようという話だ。
それを突き詰めていくと、自分のバイクに必要なサイズのレンチだけを厳選したり、そもそも持って行かなくなったりする。
普段持ち運んでいるツールは上の画像の左側で、ここに予備チューブとタイヤブートを追加している。
今まで数万㎞走ってきたなかで、僕なりに必要と思われた装備を厳選したのが今の形である。
チェーンツールは、チェーン切れ対策というより「リアディレーラーやハンガーの異常時、チェーンを切ってシングルスピードにするため」に持ち運んでいた。要らないかなあと思いつつ、落車や枝の巻き込みは経験があるので備えておこうという考え。軽量なものを探して50g程度に抑えられたので、妥協して常備することにした。
3.山の中でチェーンが切れた
そんなある時、タイトルの通り走行中にチェーンが切れた。
ライド前にメンテナンスした時には特に異常は見られなかったし、それまでの道中でも特に変わったことは無かった。
チェーンが切れたのはヒルクライム中。あるとき急にペダルが重くなって、あれ?と思った瞬間に切れた。登りでスピードは出ていなかったし、違和感があったときトルクを緩めたので、チェーンが絡む二次災害に至らず事なきを得られたのは不幸中の幸い。
そのライドはエベレスティングROAM(400㎞/10,000mUP)中で、その時のことはこちらの記事にも書いている。
すかさず停車し確認すると、切れたチェーンはプレートが曲がっている状態だった。果たしてどんな力が加わってこうなったのか分からないけど……「チェーンって本当に切れるんだ!」と驚いた。(笑)
ここで、要らないと思いつつも持ち運んでいたチェーンツールが大活躍。ツール缶に入れていた過去の自分に本当に感謝した。(笑)
プレートが曲がってしまっていたので、まずはその部分をカットして、異常がない残りを繋いでしのぐ。予備のコネクティングピンを持っていたので、それを利用して繋いだ(このトピークのツールは、予備のピンを挿せる場所があるので便利)。
チェーンが一コマ分短くなってしまったけど、その程度ならそれほど変速や走行に影響ない。チェーンが張るアウター×ローを使わないように注意すれば事足り、そのまま400kmを完走することが出来た。
帰宅後よくよく調べると、どうやらコネクティングピンの場所(=チェーン交換で自分が繋いだ場所)で切れていたので、僕のチェーン交換に何らかのミスがあったのかも知れない。
また、このチェーンは既に4,000㎞くらい走っていて、もう少しで交換時期を迎えるものだった(チェーンチェッカーで75%+αくらい)。その影響も多少はあったのだろうか?
4.ライドに応じて必要な備えを
さて、僕はたまたまチェーンツールを持っていたのでその後も問題なくライドを続行できたけど、逆に何も持っていなかったらあわや遭難というレベルの話である。
チェーンが無ければ当然ペダルをこいでも全く進まないから、下り以外は押して歩くか、サドルを下げて地面を蹴って進むかしかない。都合よく下って街に出られたりタクシーが捕まれば良いけれど、山奥ともなるとそう上手くもいかないだろう。電波すら入らず、助けも呼べない可能性だってある。
「どのレベルのトラブルまで備えるか?」というのは難しい命題だけれど、今回の一件で僕はチェーンツールを必ず持ち運ぶことにした。常備するかは皆様次第だけど、この話が参考になれば幸いだ。
おわり