大型サドルバッグを使用する際、バッグの揺れにしばしば悩まされる。特にダンシングでバイクを振った際には、サドル付近が変に振られる感覚になり走りにくい。
その厄介なサドルバッグの揺れを防止するアイテムが、ミノウラ(MINOURA)から発売されている。その商品が、サドルバッグスタビライザー(SBS-250)だ。今回は、サドルバッグスタビライザーを実際に使ってみて感じた良し悪しをレビューしていきたい。
<目次> 1.スペック 2.各部詳細 3.使用感 3-1.揺れは完全になくなる 3-2.積載力UP! 3-3.走行感はイマイチ? 4.まとめ
1.スペック
まずはサドルバッグスタビライザーのスペックから見ていこう。
・サイズ:高さ:105 mm、幅:160 mm、奥行:145 mm
・重量:183g(公称220g)
・材質:アルミ ・耐荷重:2㎏
・価格:2,750円(税込み)
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この商品はサドルレールに取り付け、サドルバッグを左右から挟む形で使用するもの。サドルバッグを物理的に左右方向に固定できるため、どんなにバイクをゆすってもバッグが揺れることがなくなるという仕組み。
詳しくはこの後説明するけど、左右にボトルケージに対応するダボ穴が付いているので、サドルバッグの左右に積載を追加することもできる優れものだ。上のスペック表の「耐荷重」というのは、そのストレージに対する荷重のこと。
実測重量はなんと183g。緩み止めナットが1つ足りていないんだけど、にしても公称220gに対して軽すぎる気が……。モデルチェンジでもしたんだろうか。
2.各部詳細&取り付け
では、早速各部の詳細と取り付け方法について。
本体はアルミ製で、全体がブラック塗装してある。手で力を入れてもあまり歪まないくらい、カッチリした作り。
画像の真ん中上の部分がサドルレールに固定する場所で、左右に伸びる部分がサドルバッグを挟み込み揺れを防止する。
横から見るとこんな感じ。左右のダボ穴は2つずつあり、ボルトも付属する。
サドルレール取付部。
こちらはねじに緩み止めのワッシャーが付いていた(左側は無くしてしまった)。レールの幅は一般的なサドルに対応するので、通常の丸型レールならまず大丈夫だろう。
取り付けは3㎜の六角レンチで。
着脱のちょっとしたコツはボルトを片側だけ外すことで、もう一本は緩めるだけで本体とプレートをままにしておいた方がいい。じゃないと片手で本体とプレートを抑えながらボルトを回すという面倒な作業をする羽目になる。
サドルバッグ(アピデュラのエクスペディションシリーズのコンパクト)をセットしてみるとこんな感じ。
バッグの左右をきちんと押さえることが出来て、これでバッグの揺れを抑えるわけだ。
幅はちょっとキツイ。このアピデュラの場合は、サドルバッグの容量がやや制限されてしまうので注意して頂きたい。
パッキングを完了してからバッグを取り付けようとするとバッグが引っかかってしまうので、バッグを先にバイクに取り付けてからパッキングをした方が良さそうだ。
3.使用感
では、実際に使ってみてどうか?という話を。使用機会は主にロードバイクでのバイクパッキングで、計1,500㎞くらいは走ったと思う。
3-1.揺れは完全になくなる
まず肝心のサドルバッグの揺れに関してだけど、もう完全になくなるといってよいほど固定力が高い。ダンシングしても、というか意図的に手でゆすっても、バッグが左右に揺れることは無くなった。
サドルバッグの揺れに悩まされていた僕にとっては革命的で、「200gちょっとの重量増加くらい別にいいや」と思えるほど効果てきめん。やはり力業で抑え込むのが最強ということか。
パッキングの方法やバッグの縛り方の工夫を考え続けてきた僕だけど、そんな面倒な事をしなくてもバッグの揺れを完全に抑えることができた。
3-2.積載力UP!
さらに、このスタビライザーの左右にはボトルケージ用のマウントがあるので、ここに積載を追加することが出来る。
(↑)の写真では、左右にブラックバーンのカーゴケージを追加し、ドライバッグを積んでいる。左右合わせて5L以上の容量UPになっているから、パッキングの際とても助かった。
もちろん耐荷重には気を付けないといけないけれど、夏なら追加のボトル、冬なら嵩張るウェア類など、いろいろパッキングの選択肢が増えるのは嬉しいことだ。
3-3.走行感はイマイチ?
しかし、決して良いことばかりではなかった。実際のところ、最近ではこのスタビライザーは殆ど使用機会は無くなってしまっている。
その理由が、この「走行感が悪くなる」という欠点があったからだ。
まず、僕のロードバイクは快適性重視で振動吸収性の高いモデルだ。とりわけシートポストは柔らかい。
そんなバイクに重量級のサドルバッグを固定してしまうと、ダンシングで「バイクがサドルバッグの重みに振られ、変な方向にしなる」という問題が起きた。横剛性の高いモデルなら話は別かも知れないけど、僕の環境だと走行感がめちゃくちゃになってしまったのだ。
バイクへの負担が凄そうだし、何より気持ちよくない。サドルバッグが振れるのも嫌だけど、全く振れないのもいいことばかりではないらしい。
積載力を確保するためにこのスタビライザーを使用したことも多々あるけど、するとこの問題は更に加速する。スタビライザーと荷物を合わせて2㎏くらいはサドルに重量物が増えてしまうので、もはやダンシングでバイクを振るどころではなかった。
それはそれで、もう「バイクを振らずに走る」と割り切って使用すればさほど問題にもならなかったけれど……やはり最適解とは言い難い。もともとフォーク横などにマウント可能なグラベルロード等をお持ちなら、まず間違いなくフォーク横に積んだ方が走りやすいはずだ。このスタビライザーで積載を増す方法は、他の場所にマウントの難しいロードバイク等での苦肉の策ではないだろうか。
できるなら、こんな感じに重量を分散させてあげるのがベスト。
それが出来なかった(まだグラベルロードを持っていなかった)ときの僕には救世主の様な存在だったし、ロードバイクに過積載することのなくなった今となっては使われない存在となってしまったのだ。
サドルバッグの揺れ対策については、こちらの記事にまとめている。僕の場合はこの記事の揺れ対策を施すことで、スタビライザーを使わずとも実用上問題を無くすことが出来た。
スタビライザーの使用を否定する気はないけれど、まずはこちらから試してみてはいかがだろうか。
4.まとめ
以上、ミノウラのサドルバッグスタビライザーをレビューしてみた。
重量の増加や走行感の悪化は深刻な問題だけれど、バッグの揺れを抑える機能は非常に優秀。積載力をアップ出来るという意味でも、これを必要としている方はいるだろうと思う。
ダボ穴のないロードバイクで沢山荷物を積みたい方には、選択肢の一つとしてアリなんじゃないだろうか。
おわり