サイクリングで荷物を運ぶとき、便利で人気な選択肢がサドルバッグ。様々な容量のモデルが発売されていて、使用シーンに合わせて自転車の積載力をUP出来る。
今回は、ロングライドや1泊2日程度のツーリングに最適な中型のサドルバッグをご紹介したい。アピデュラ(Apidura)の軽量モデル『レーシング サドルバッグ5L』だ。
<目次> 1.スペック 2.各部詳細 3.取り付けと揺れについて 4.使用感 4-1.パッキングがしやすい 4-2.高い防水性 4-3.輪行でもそのままでOK 4-4.汚れが落ちにくい 5.まとめ
1.スペック
アピデュラ(Apidura)は自転車に取り付けるバッグメーカーとして、世界的な人気を誇るブランド。サドルバッグだけでも7種類の現行モデルを取りそろえる。
アピデュラとその製品について詳しくは、こちらの記事にまとめているので合わせてご覧頂きたい。
・容量:5L、7L ・重量:188g(5L実測)、200g(5L公称)、210g(7L公称) ・価格:18,910円(5L税込み)、20,170円(7L税込み) ・商品ページはこちら
このサドルバッグは、アピデュラの中でも軽量で走行性能を損なわない事を目指して作られている。ブルべや超長距離レースなんかがメインターゲットだ。
容量の展開は5Lと7Lの2種類で、僕は小さい方の5Lを使っている。
公称重量でも200gと軽量なんだけど、実測は188gと更に軽くなっていた。
2.各部詳細
では、レーシング サドルバッグを詳しくみていこう。
黒地にシルバーとイエローのアクセントが入ったデザイン。レーシーなロードバイクにも似合う、締まった印象でカッコいい。
このプリントの部分は反射素材になっている。
上から。サドルへの取り付けは一般的なサドルバッグと同じで、サドルレールにベルトを通し、シートポストにもベルクロをまいて固定する。
バッグの後方にも大きく反射プリントがされているので、路上での安全性を高めてくれる。また、クリップ式のリアライトを挟むことが出来るスリーブが付いている。
素材はアピデュラが独自開発した軽量防水素材の「ヘキサロン」を使用。
それを圧着加工で成形することにより、縫い目のない高い防水性を実現している。生地が防水でも縫い目があると簡単に浸水するので、バッグ選びの際は細部まで要注意だ。
サドルレールに通すベルトの手前側にあるのは、中身の空気を抜くための穴。防水性を確保するため上から覆いが被さっている。
詳しくは使用感のところで書くけど、防水バッグにこの仕組みは必須。僕がこのバッグを気に入っている理由の1つでもある。
シートポストへの固定ベルト。厚みと硬さのある、しっかりしたものが付いている。
内部は真っ白。視認性が高く、荷物を取り出す際のストレスが減る。
奥の方に見える板の様なものは補強版で、これによりサドルバッグの形状を保っている。このラインがバッグの最小容量でもあり、長さはだいたいサドルレールに取り付けるベルトくらい。
サドルレールに固定するベルトは、長さ調節をして余る末端がばたつかないようにゴムで止まっている。細かいところだけど、こういう配慮が素晴らしい。
3.取り付けと揺れについて
基本的な取り付け方法は、サドルレールとシートポストに固定するだけなのでとても簡単。商品タグにも取り付け方法の図が記載されているので、分からないということはないだろう。
バッグはかなり斜め上に伸びる角度で付く。サドル~リアタイヤまでの距離は短くても取り付けられそうだけど、逆にシートポストの出しろが必要になりそうだ(上の画像で、シートポストはクランプから約20㎝出ている)。
もう少し後ろに傾けた状態でも固定は出来るだろうけど、バッグの構造的に前面をシートポストに密着させるにはこの位は欲しいところ。
先ほど「取り付けは簡単だ」と書いたけど、「揺れない取り付け方」となると話は少し変わる。サドルバッグー特に5Lや10Lといった中型~大型のものは、取り付け方によってバッグの揺れ方が大きく異なるからだ。
取り付け方が悪いとダンシングなどでバッグが揺れ、バイクが変に揺さぶられる感触になってしまう。それでは走行性能が悪化してしまうので、きちんと取り付けることをお勧めしたい。
まずすべてのバッグに共通して言えるのは
・バッグに荷物をビッチリ詰める ・すべてのベルトを強く締め、自転車に可能な限り密着させる
の2つ。そのうえで、僕なりの「揺れ対策ノウハウ」があり、僕はそのうちの「サドルレール2重巻き」を使用している。
詳しくはこちらの記事に書いているので、ぜひ合わせてご覧頂きたい。
残念ながら、普通の取り付け方だとレーシング サドルバッグは結構揺れる。サイズがまだ5Lなので走行時に気にならない方もいらっしゃるかも?というレベルではあるけど、揺れを気にする方は先ほどの記事をご覧いただいたうえで、いろいろ試してみて頂きたい。
少なくとも僕は、この方法で揺れをほぼ100%無くせている。
4.使用感
では、実際に使ってみてどうかを書いていこう。
4-1.パッキングがしやすい
中型~大型のサドルバッグは大体同じような形状に見えるけど、実はその構造と使い勝手は様々だ。
このアピデュラのレーシング サドルバッグは、荷物の出し入れをする用途で非常に使いやすいと感じた。
まず、ロールアップの固定が開閉部だけで完結すること。例えばバックルをバッグの左右で固定するタイプだと、いちいち2か所の着脱が必要なうえ、荷物を出し入れして容量が変化した場合に左右のストラップを引いて調節しなくてはならない。
(↓)その「バックルをバッグの左右で固定するタイプ」というのは、こういうやつ。
このタイプだと、バックルを止めた後に、いちいちベルトの長さを調節する必要がある。このベルトが緩んでいるとバッグが垂れ下がり揺れてしまうから、調整しない訳にもいかない。
その点、レーシング サドルバッグは開閉部だけで作業が完結するので、非常に楽でスピーディー。ライド中に荷物を取り出したり追加したりしても、バッグの固定力を損なわずにパッキングが出来る。
更に、先ほどご紹介したこの「空気抜き穴」が良い働きをしてくれる。
ロールアップ式のバッグは、内部に空気が残ってしまいビッチリと荷物を詰めにくいという欠点がある。酷いと風船みたいになって中で荷物が揺れるし、徐々に空気が抜けてバッグが揺れだす。
それを一気に解消してくれるのが、この空気抜き穴。上部をくるくる巻いていくと、この穴から内部の空気が逃げてくれるので簡単に荷物を詰められるのだ。
固定方式と空気抜き穴のお陰で、ライド中にウェア等の荷物を出し入れするのも快適で気に入った。
4-2.高い防水性
もちろん防水性も非常に高く、土砂降りの中を走っても浸水は一切しなかった。
先ほどの空気抜き穴が気になる方もいらっしゃるかも知れないけど、サドルに覆われているか所で、かつ覆いが付いているので影響はないのだろう。
サドルバッグは後輪からの跳ね上げに晒されるので水しぶきに対する耐性が求められるけど、それに関しても問題なさそうだ。
泥除け無しで雨天ライドもしていて、それでも内に入れていたウェアやタオルは乾いたままだった。
ただし、サドルの後ろに大きく突き出るものではないので、自分の背中やお尻を守りたい場合は別途泥除けを使用することをお勧めする。これなんかは着脱も一瞬だし、50gと超軽量だ。(詳しくはレビュー記事へ)
4-3.輪行でもそのままでOK
内容量と取り付け方次第なんだけど、サドルからそれほど飛び出ないので外さずとも輪行袋に収納可能だった。
この位のサドルバッグであれば、通常は輪行の度に着脱する必要があって、それがまた面倒だ。
オルトリーブのサドルバッグL(↓)が長年ロングライド界隈のベストバッグとなっている理由にも、ワンタッチで着脱できる使いやすさがあるだろう。
必ずしもそのまま輪行出来るわけではないけれど、「外さなきゃいけないの面倒だなあ……」と思っていた僕にとって、そのままでもOKな可能性があるのは嬉しい誤算だった。
4-4.汚れが落ちにくい
全体から細部に至るまで、非常に気に入ったこのサドルバッグだけど、どうしても好きになれないのが汚れが落ちにくい素材感。
これはアピデュラのレーシングシリーズに共通して言える欠点で、独自素材のヘキサロンがザラザラした表面をしているため、泥汚れ等がそこに入り込んでなかなか落ちないのだ。
性能そのものには関係ないんだけど……サドルバッグは常にリアタイヤからの泥跳ねに晒されるので、せめて底部だけでも泥汚れを落としやすい生地にしてほしかった。
5.まとめ
以上、アピデュラのレーシング サドルバッグをレビューしてみた。
普通に付けると揺れやすいのが残念だけれど、サドルレールに2重巻きすれば問題はなく、かなり快適に使用している。
パッキングのし易さと軽量さ、防水性に視認性に……と至れり尽くせりのハイスペックで、非常に満足度の高いバッグ。ロングライドからホテル泊のライド等まで活躍してくれるであろうバッグだ。
このサイズはオルトリーブのサドルバッグLで決まりだと思っていた僕だけど、重量が317g→188gと129gもの軽量化が出来るのは嬉しいし心が動いた。取り付けに一癖必要だけれど、特にロングライダーにはお勧めしたいサドルバッグだ。
おわり