夏の日差しが眩しい7月、青森・秋田・岩手の東北三県にまたがるバイクパッキング旅へと出かけた。
ロングダートあり、絶景ヒルクライムあり、キャンプあり、登山ありの盛りだくさんの3泊4日600㎞。愛車のグラベルロードにパッキングをし、晴天の4日間を駆け抜けた。
<目次> 1.今回の装備と計画 2.赤石渓流線から白神ラインへ 3.トラブル発生 4.絶景の夕焼けキャンプ
1.今回の装備と計画
まずは、今回の装備と計画を簡単にご紹介。
バイクはBombtrackのHook EXT、クロモリフレームのグラベルロードだ。そこに、キャンプ道具や登山装備をパッキングしている。
所謂バイクパッキングスタイルでの積載。使用しているバッグ類は
・フロント:Apidura / レーシング ハンドルバーバッグ5L(レビューはこちら) ーバーナー、クッカー、食料など
・フォーク横:Blackburn / アウトポストカーゴケージ(レビューはこちら) (他:Voileストラップ、Voileラックストラップ、Seatosummit / ドライサック等) ーテント、トレランシューズ等
・ステムポーチ:Apidura / フードポーチプラス L ー補給食や飲み物、ごみ入れ
・トップチューブ:Apidura / レーシング ロングトップチューブバッグ(レビューはこちら) ー補給食、ヘッドライト等
・フレーム:Apidura / ドライ フルフレームバッグM(レビューはこちら) ーフライシート、マット、バッテリー類、その他諸々
・ダウンチューブ下:Apidura / バックカントリー ダウンチューブバッグ ー携帯工具、救急セット
・サドルバック:Apidura / バックカントリー サドルバッグ6L
ーシュラフ、着替え等
という感じ。スッキリとまとまって見た目は好みだけど、ちょっとフロントヘビーすぎたかな……という印象。(笑)
全体の重量は、背中の一眼レフやハイドレーションバッグ、予備食料等も含めて22㎏。水も入れたらMAXで25㎏近かったかも知れない。今回はいろいろ試したいギアがあったのと、快適性UPと寒さ対策のため着替え等も多め、かつ登山装備も追加したことにより結構な重量になった。
ライド中に撮りためた動画を繋いで、1本にまとめてみたのでこちらもよろしければ。(↑)
(↑)青森スタートで盛岡ゴール。凄く雑な絵で申し訳ないけど、だいたいこんな予定。
総距離は約600㎞、3泊4日でうち2泊はキャンプの予定である。実際はいろいろあって予定通りにはいかなかったけど、おおむね走っている場所はこんな感じ。
初日のライドは朝早くから出たかったので、終電で新青森駅まで輪行した。
何度か来ている駅だけど、やっぱりツーリング初日に輪行を解除して駅に降り立った瞬間はワクワクする。過去に訪れたライドの記憶がぶわっと蘇り、同時にきたる未来のライドに思いを馳せる。どんな旅路が待ち受けているのだろう……?
2.赤石渓流線から白神ラインへ
深夜に仮眠して、日の出とともにスタートだ!
静まり返った青森市街を抜け、白んでいく空を背中に西へ進む。どうやら雲ひとつない青空の様で、一気に世界が明るくなった。
ほどなくして、青森の名峰岩木山のお出迎え。ずっと広がる田んぼの先にそびえる姿は圧巻である。本当はあそこもヒルクライムしたいんだけど、自転車通行禁止という悲しすぎる道なのが惜しい。
日差しはみるみる強くなり、ジリジリと肌を焼く。もちろん日焼け止めは塗っているけれど、それでも強い日光を肌に感じざるを得ない。同時に気温も上がり始め、あっという間に30℃を越えていった。あれ?青森ってこんなに暑かったっけ……。
干からびそうな身体をいたわりつつ、今日のメイン「赤石渓流線」と「白神ライン」を目指す。
道中の日本海の美しさが唯一の救いで、視界いっぱいに広がる青のグラデーションについ見惚れてしまう。この色が僕は好きだ。
夏の日差しに熱せられ、辺りに立ちこめる濃厚な稲穂の匂い。
農家の方が操る芝刈り機の音に、用水路を勢いよく流れる水音。
クランクを踏むしめるごとに、日本の夏を浴びながら前に進む。
いよいよ赤石渓流線に突入。ここはあの40㎞ダートの白神ラインに通じる林道で、こちらも登り基調のダートが続く。通行止めが多く、以前白神ラインを走ったときは通行止めになっていた道だった。
今回は折角開通していたので、こちらから白神ラインに入ろうという計画だ。
赤石渓流線から入って白神ラインを全線走る予定だったので、60㎞以上は連続したダートを走る計算になる。これは本当に楽しみ……!!
曲がりくねった舗装路を抜けると、いよいよダートが開始。
バイクが重いので緩い登りもしんどいけれど、勝手にトラクションが掛かってタイヤがスリップしないのは楽だ。タイヤはパナレーサーのグラベルキングSS38c、空気圧はパッキングが重いのでここまでは前後とも高めの4.0Bar入れておいた。
もっとタイヤがはじかれて空気圧を下げる必要が出るかと思いきや、意外とすんなり走れて驚く。このタイヤのしなやかさは素晴らしいな。
車もそれなりに通る道なので、路面はしまっており比較的走りやすい。偶然かも知れないけど、浮いた砂利が少ないので白神ラインよりもこの赤石渓流線の方が走りやすいと感じた。
偶にある落石や倒木を避けながら、少しずつ上り詰める。
そして、白神ラインに合流。
まだまだ序の口だけど、気温が高くバイクが重いので水分の消費が激しい。約5Lを持参してきたけど、それでもセーブしないと足りない感触だ。もっと早い時間に軽いバイクで軽快にいけばいいのだろうけど、今回はバイクパッキング「旅」。こういう状況も楽しんでいこうじゃないか。
白神ラインには3つの峠があって、まずは最も西側の峠「天狗峠」をヒルクライム。
広葉樹のカーテンが日差しを遮り、ダートの路面を優しく照らしてくれる。こういう木漏れ日がちらつく路面が、僕はどうしようもなく好きだったりする。
時折現れる青空を仰ぎ、ひいひい言いながら少しずつ……。
白神ラインの峠は500m程のヒルクライムなので、なんだかんだと疲れる。重たいバイクに暑い気温が合わさればなおさらだ。山間に囲まれているせいか、風もなく余計に暑い。
美しい道に酔いしれつつ、そして身体の発熱に耐え切れずクラクラする頭を気付けながら、クランクをひと回しずつ。
3.トラブル発生
無事に天狗峠をクリアし、白神ラインの西側を制覇。あとは反対方向の東側へと進み、弘前方面へと40㎞ほどダートを走るのみ。
……しかし、弘前方面へとダウンヒルをしている途中、右コーナーで落車をしてしまった。
硬い土の上に砂利が乗っているスリッピーな路面で、コーナーの出口に向かって斜度とRもきつくなる典型的な事故しやすい場所。もちろんそれを見越してもいたけど、タイヤの空気圧を「次も2つ峠を登るし、高めのままにしておきたいな……」という怠惰な考えで普段より結構高くしており、自分のいつもの感覚ほどグリップを活かせず、フロントがズルっと滑ってしまったのだ。
コーナー前は十分に減速していたし、幸い自分もバイクも走行に問題ないダメージで済んだ。とはいえ右腕を砂利で擦りむいてしまい、一部はある程度の深さまで達している……。
応急処置として、ハイドレーションパックの水でゴリゴリ洗う。砂を全て取り除かなくてはならないし、傷口を正確に把握するためだ。水をホースでちょろちょろと流せるハイドレーションパックは、こういうときにも凄く便利だった。
ひとしきり綺麗にして傷口を確認すると、深い部分は真皮もえぐられている様子。縫うほどではなさそうだけど、放っておいていい傷でもないだろう。傷の範囲が広いのでバンドエイドが使えず、アームカバーとテーピングで傷をガードし走行を再開。
オフロードでの傷は化膿の危険が高いからちゃんと処置したいし、洗浄に大量の水を消費してしまったので峠2つを越える飲み水も足りなそう。このまま来た道を40㎞くらい戻り、鰺ヶ沢の町まで降りることにした。
下り基調とはいえ、まだダートが15㎞くらいは続く。二次災害を起こさぬよう、いっそう慎重に下って行った。
町に出る前に水道を見つけたので、その水道水でまた洗う。傷口の洗浄には水道水が一番だ。他の浅い傷も一緒に洗い、また装備も全て点検し直して問題がないことを再確認。うん、これは大丈夫そう。
気がかりは右腕の傷だけとなったので、街で一応整形外科を受診した。見立て通り無理に縫わなくてもいいだろうとの事で、傷口を保護し直し抗生物質を頂く。
このご時世に旅先で病院のお世話になってしまった自分を恥じながら、予定を変更せざるを得ないのでまずは今日の寝床を探して先へ進んだ。どんな道でも油断せず、バイクのセッティングと走り方に気を遣っていかないとな。。気を抜いていた訳じゃないけど、やっぱり注意が足りていなかった。
4.絶景の夕焼けキャンプ
急遽泊まることになったキャンプ場は、思わぬご褒美となった。静かな町はずれの岬で、日本海を見下ろす絶好のロケーション……!!
テントを立てて一息つく。ふう、今日は疲れた。
沈みゆく夕日を眺めつつ、夜ご飯とする。
お酒をのみながら食事にありつくこの時間は、キャンプツーリングの醍醐味といえるだろう。
片付けも終えたころ、いよいよ太陽も海へ沈もうとしていた。
成功とはいえない1日だったけど、明日からのライドに生かせるように頑張らなくては。美しい夕焼けが落ち込む心に勇気をくれた。
同じキャンプ場に泊まっていたキャンパーさんが、撮影中の僕を撮ってくれていたみたい。
それがもう凄く良い写真だったので、この一枚で初日のブログを締めくくりたい。さて、明日も気持ちを新たに頑張ろう。
おわり