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『FLR:F-95X』インプレ&レビュー!幅広にフィットする高コスパSPDシューズの実力は?

イスラエルの新興ブランド『FLR』。サイクリングシューズやペダル等を手掛け、高品質と手の届きやすい価格を両立させたブランドとして注目を集めている。そのFLRのシューズが、2021年よりライトウェイさんで取り扱いが始まり、日本でも入手できるようになった。

今回は、FLRのMTB用ラインナップ(2穴SPD)のハイエンドモデル「F-95X」をインプレ&レビューしていきたい。

<目次>
0.はじめに
1.製品スペック
2.各部詳細
3.サイズ感とフィット感
3-1.幅広かつ短め
3-2.ソールの整形が特殊
3-3.踵とアッパーがフィット
4.実走インプレ
4-1.不思議な踏みやすさ
4-2.ソールの形状とスタックハイト
4-3.トレイルでも安心の保護力
4-4.比較的歩きやすい
5.まとめ

0.はじめに

本題に入る前に1つだけお断りを。それは、この製品はライトウェイさんから提供を受けているという点。

僕のブログは『いちユーザー目線で、良いこと悪いことを正直に書く』というのをモットーにしているので、この記事でも正直なレビューをしていく。ご提供を受けた品ではあるけど、記事を書くにあたってライトウェイさんにもその点を了承して頂いていることを、はじめにお断りしておきたい。

 

1.製品スペック

まずは製品の概要からご説明していきたい。

 

スペック

・ソール剛性:14(カーボン製。恐らく最高剛性)
・A-topダイヤル×2
・重量:330g(サイズ43実測)
・カラー:ブラック
・サイズ:EU40~45(1サイズ刻み)
・価格:30,800円(税込み)
・日本公式サイトはこちら本国サイトはこちら

 

FLRというブランドについては、ライトウェイさんのインタビュー記事が分かりやすいので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。特徴を簡単にまとめると、

・ワールドツアーのプロ選手にも提供する高い技術

・アジア人にフィットしやすい幅広設計

・自社での企画~製造により低価格を実現

という感じ。ブランド誕生は2009年と比較的新しいが、その品質の高さは実績が物語っているところだろう。

そのFLRにはロード用、MTB用、冬季用など非常に多くのラインナップがあるが、僕が使用しているのはMTB/グラベル用のハイエンドモデル『F-95X』。

剛性が高くペダリング効率の良いカーボンソールに、フィット感の高い2つのダイヤルを備え、泥のコンディションでも歩けるようピン穴も搭載。走りを追求したいライダー向けのモデルである。

実測重量はサイズ43の片足で329gと330gだった。この数字だけ見ても十分軽量な部類だけど、ダイヤルを2つ備えている点やソールのパーツをねじ止めしていることを考えると、かなり頑張っている重量だと思う。(たいていカタログ数値はサイズ42あたりで、サイズ差と誤差を考えると300gちょっとの軽量を謳うシューズもこの位の重量になる)

 

 

2.各部詳細

各部を詳しく見ていこう。

カラーはブラックのみでシンプルなデザイン。ロゴなども主張が激しくないので、どんなスタイルにも合わせやすいシューズだろう。個人的に外側の見た目は好きなんだけど、内側の「F-95X」のロゴはもうちょっとカッコよくデザインしてもいい気がする。

アッパーの形状はロード用ハイエンドモデルのF-XXⅡと似ているけど、タンがよりしっかりしている

アッパーは1枚のマイクロファイバーから切り出された軽量素材。つま先~サイドに6つのベンチレーションを備える。

つま先とかかとは補強されていて、オフロード歩行の際に岩や枝などで傷がつきやすい場所をガード。

ダイヤルはA-topダイヤルを2つ採用。BOAダイヤルの様に細かなノッチで絞めこむことが可能だが、BOAのIP系の様に1クリックずつ緩めることは出来ない。絞めこむときは普通に締め込み、緩めるときは逆方向に1/4回転程させるとダイヤルが解放される。

こういったダイヤルは保証が気になるところ(BOA社のダイヤルの場合は永年無償保証が付いているし)破損の場合は取扱代理店であるライトウェイさんで補修パーツを用意してくれ、通常使用での破損であれば1年間は無償保証となるらしい。正式に日本代理店が入っているだけあって、ありがたいサポートだ。

かかと部分には大きなリフレクターを備える。

レース向けシューズながらにこの配慮は個人的に非常に嬉しい。後ろから見たときに動きのある足元のリフレクターはかなり目立つので、もうすべてのシューズがこうなってほしいくらい。

ソールはカーボンで、非常に剛性が高い。

歩行を補助するゴムパーツは全てねじ止めのため、すり減ったら交換が可能。この方式を採用しているシューズは少なく、ソールがすり減ったら買い替えだったのでこれも嬉しい仕様だ。

また、スパイクピンも付属するため、マッドなコンディションで使用する際にも対応。

クリート取り付け位置はメモリがついている。MTB用シューズはクリート位置が外側や後ろ側にオフセットされているものもあるが、これは通常の位置だと思う。

かかとはホールド力の高いヒールカップが採用され、内側には滑り止めのシリコンも付いている。

 

 

3.サイズ感とフィット感

続いては、FLRのサイズ感やフィット感を書いていきたい。もちろんこれは個人差のある感想でしかないけど、足を入れたときの感触をもとにあれこれと。

ちなみに、僕が今まで履いてきたシューズは、Sidi:5-Fit、Shimano:RX8、Northwave:Raptor Arctic GTX、Fiveten:Freerider、Fizik:Terra X2。サイズはFizikは44、それ以外は43を選択している。僕は日本人の中ではそこまで足幅が広くない方だけど、国際的に見たら幅広(特に指先の方が広い)な部類だと思う。

 

3-1.幅広かつ短め

まず足を入れて感じたのは、FLRのシューズは噂にたがわず幅広であること。

土踏まずの辺り~足先まで、全体的に幅広なので余裕を持って履くことが出来た。むしろ僕にとっては土踏まずの辺りは幅が広すぎるくらいに感じて、しっかりとダイヤルを絞めこんで使っている。

僕は以前バイトでシューズのご案内をしていたことがあるけれど、その時の経験から言っても、この幅であればほとんどの日本人が「ちょうどいい」と感じる幅感覚だと思う。

これでも、F-95XはFLRのなかで「Pro tour last」という最も幅が狭い足型のシューズなので、ブランドとしてかなり幅広設計であることが伺える。

(↑)FLR海外公式サイトより引用

長さについては、逆に他のメーカーと比べて若干短めだと感じる。僕が履いてみた感じだと、ShimanoやNorthwaveのサイズ43と比較して、FLRのサイズ43は親指の余裕が数㎜少ないのだ。

ただし、FLRの他のシューズを履いている方は逆に「長さについても大きめ」と表現していたので、これはひょっとすると僕の足型によるものか、モデルによる差異かも知れない。

インソールの比較。左から、FLR:F-95XⅡ、Shimano:RX8、Northwave:Raptor Arctic GTX。全てサイズは43だ。

勿論インソールがそのまま足型になっている訳ではないものの、かなり幅広設計であることが伺えるのではないかと思う。

 

3-2.ソールの整形が特殊

ソールの形状も特徴的で、まず小指側に対して親指側がやや高くなっている『カント角』のついた仕様。カント角があることによって、足が自然な角度でペダリングすることが出来、膝や足首の痛み改善の効果もあるらしい。

そしてもう一つ印象的なのが、内側の形状も特殊であること。足の真ん中~やや外のライン(中指~薬指あたり)が盛り上がっていて、母指球と小指の方はくぼんでいるのだ。公式サイトの云う所の『血流を妨げず、ホットスポットを軽減する洗練されたシューズプロファイルとフットベッド』というのがこれなのだろうか。

僕には当初(履きだし~100㎞くらいまで)カント角よりもこの中央部分の盛り上がりが印象的で、ペダリング時に足の圧力がかかるポイントがクリートの真上に来る感覚がとても強くなった。恐らく人によってはこの盛り上がりが合わないだろうと思うし、逆に超フィットする方もいらっしゃると思う。

 

3-3.踵とアッパーがフィット

シューズの他の部分に目を向けると、踵とアッパーのフィット感が非常に良いと感じた。

踵は高めの作りで、しっかりとホールドしてくれて収まりが良い。踵で足の位置がバシッと決まる感触がある。

そして、アッパーも柔らかく厚みのある素材感で、2つの独立ダイヤルを使って絞めこめるため気持ちよくフィットしてくれる。文字通り包み込まれている感触で、適度な締め付けとホールド力を得られる。

先ほど少し書いた通り、僕には土踏まずの辺りがやや幅広すぎる感じもする。それでも、ダイヤルを締め込みアッパーを密着させると、全体のフィット感としては十分いい感じになった。

今まで履いてきたシューズの中でも、踵とアッパーのフィット感は一番良いと思う。

 

4.実走インプレ

早く情報をお届けするべく記事を書いているので、使用期間はまだ1週間、200㎞程度しか乗れていない。少々インプレをお届けするには短い距離かも知れないけど、FLRのシューズは印象に残る部分も多いので、その辺りを書いていきたい。もし何か新たに情報があれば、追記していこうと思う。

 

4-1.不思議な踏みやすさ

走行を重視したシューズで気になるのは、やはり「踏みやすさ」ではないだろうか。FLRのF-95Xはカーボンのカチカチなソールなので、もちろんパワーロスが少なく走行感が良い。

ちなみに歩きやすさや足裏への負担を考えて柔らかいソールのシューズを好む方もいらっしゃるけど、僕はソールは硬い方が好み。とにかくバチっと踏めて気持ちよいし、トレイルで頻繁にクリートを着脱する際も、ソールが硬い方が少ない力で早く着脱できるので良い。柔らかいソールのお試しにFizikのTerra X2を購入もしてみたけど、踏むとぐにゃぐにゃして気持ち悪くクリートも外しにくかった。

実は使用開始から100kmくらいまでは、先ほど書いたソールの形状(中央ラインの盛り上がり)の印象が強く、踏み心地に違和感も伴った。クリートの真上にダイレクトに力をかけられる感触が強くて良い反面、逆に土踏まずの辺りは浮いてしまう感じで違和感もあった。

それが100㎞を越えてくると違和感は消え、踏みやすいという感覚が支配的になってきた。200㎞を越えてきた今では、この感触がかなり気持ちよい。

違和感が消えると「カント角」の感触も分かるようになって、カント角のないシューズよりも膝の安定感がありまっすぐ膝を落せる感覚がある。

実は僕は、踏むときに左脚が若干内側に入ってしまう癖があり、それはトップチューブバックとの擦れからも明らかだった。いや、「擦る」といっても1㎜も干渉しないくらい微妙なところでしかないんだけど、それがこのシューズを履いてから起こっていないので、ひょっとするとこのカント角が効いているのかも知れない。逆にいうと、右足は普通の角度でも良いのかも?

はじめは違和感も伴ったし、正直なところ何が正解なのか分からなくなってきたけど……FLRのF-95Xには不思議な踏みやすさがあって、現状病みつきになる感じで使っている。

 

4-2.スタックハイトは高めか

「踏みやすさ」につながる要因の1つに、スタックハイト(シューズの場合、ペダル踏み面から足の裏までの高さ)もある。数値として公表はされていないので細かな比較は出来ないけど、FLRのシューズはスタックハイトが高い方だと思う。

「スタックハイトは低い方がダイレクトに踏めて良い」みたいな風潮があるけれど、そこは個人の好みでもあるし一概に言えないんじゃ?というのが僕の今の意見。

というのも、FLRのスタックハイトが高めの感触も結構良いなと感じているからだ。恐らく今までメインで使ってきたShimanoのRX8はスタックハイトが低いシューズでその踏んだ感触も好きだったものの、何となくFLRの方が回しやすい感じがしている。

 

4-3.トレイルでも安心の保護力

オフロードの使用で印象的なのが、安心感の高い設計であること。

オフロード……特にシングルトラックを走っているときは、枝葉が足にヒットしてしまう事は結構ある。足をついたり担ぎ歩きをするなら尚更。

そんなとき、厚みのあるタンが足をしっかり守ってくれるし、つま先とかかとが補強されているので安心感がかなり高い。実際に障害物をぶつけてしまっても、足へのダメージがかなり少なく感じる。

今までのシューズ(Shimano:RX8)が軽量さ重視で薄いアッパーだったせいもあると思うけど、オフロードで使うならF-95Xの方が圧倒的に良い。

1度のトレイルライドでもそれなりに汚れていて、結構シューズはぶつけたり擦ったりしているんだなと。

ソールのゴムパーツが別売されていて交換可能なのも嬉しい仕様だ。押し歩きや輪行を繰り返すとすり減ってクリートが当たって歩きにくくなるので、シューズを買い替えずともこれを別パーツとして入手できるのはユーザーとして有難い。

 

4-4.比較的歩きやすい

最後に歩きやすさについて。

F-95Xはペダリング効率を重視したカーボンソールなので、決して歩きやすい靴ではない。普通のフラットペダル用シューズを含めて考えてしまったら、相当歩きにくい部類だと思う。

それでも、意外とソールにねじ止めされたゴムパーツの滑り止めが効いてこの手のシューズにしては歩きやすく感じる。滑るのが怖いトレイルの岩や砂の路面でも、ちゃんとグリップして歩けるから優秀だ。この点もShimanoのRX8より勝っている。

それに、ソール自体の形状がつま先が反り返っているので、「ソールがしならない」という言葉の印象程歩きにくい靴ではないと思う。僕個人的には、ちょっと担いだり写真を撮ったりするくらいは問題ないし、輪行で歩くのも苦にならない。

 

5.まとめ

以上、FLRのハイエンドMTB用シューズ「F-95X」のレビューを書いてみた。

独特のフィット感で走行をサポートし、走り込んでいくうちに病みつきになる感触がある。きっと足に合う日本人の方は多いはずなので、悩みのある方はお試しあれ。剛性の高いカーボンソールはペダリング時に心地よく、保護力の高い設計はオフロードを走るうえで非常に良い。

MTB用として使用するのももちろん良いだろうし、僕としてはオン/オフロードを駆けるグラベルライドにピッタリなんじゃないかな?と思う。舗装路の走行でも心地よく走れて、反射材付きなので安全性も高い。オフロードはもちろん得意分野なのでGood。

まだまだ使い込んでいきたいシューズだけど、上々な感触での運用スタートとなっている。

おわり

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