厳冬期のサイクリングでは、首元や耳、顔面の防寒も欠かせない。そんなときに役立つアイテムに「バラクラバ(目出し帽)」があるが、呼吸がしにくいのが難点でもある。
今回は、その呼吸のしにくさを改善すべく作られたバラクラバ『GO BIKE:TUBE NINE BALACLAVA』をレビューしていきたい。
<目次>
0.今回のご提供について
1.商品スペック
2.各部詳細
3.使用感
3-1.息がしやすい
3-2.サングラスが曇る?
3-3.ちょうどいい暖かさ
3-4.回転する
4.まとめ
(0.この製品の提供について)
本題に入る前に1つだけお断りを。それは、この製品はライトウェイ様よりご提供を受けているという点。
僕のブログは『いちユーザー目線で、良いこと悪いことを正直に書く』というのをモットーにしているので、この記事でも正直なレビューをしていく。ご提供を受けた品ではあるけど、記事を書くにあたってライトウェイ様にもその点を了承して頂いていることを、はじめにお断りしておきたい。
1.製品スペック
では、製品スペックからご紹介していこう。
「GO BIKE」というブランドは、「N-rit」という韓国のアウトドアブランドが、サイクリスト向けに特化した製品を作るべく設立したもの。日本ではなじみがないが(少なくとも僕は調べて初めて知った)、吸湿速乾系の生地に特に定評があるらしい。
そのGO BIKEの手掛けるバラクラバが、このTUBE NINE BALACLAVAという訳だ。
(↑)N-ritのページより引用
TUBE NINE BALACLAVA自体は、実は調べるとN-ritブランドでもほぼ同じものが展開されている。(Tube 9 Balaclavaという名前。公式サイトはこちら)。恐らく日本語での情報は現状他にないと思うけど、このN-rit版で検索すれば韓国語や中国語でヒットするかも知れない。
2.各部詳細
続いては、各部を詳しく見ていこう。
全体はこんな感じ。ブラックを基調に、グレーのラインやロゴが入っている。
薄手ながらにしっかりとした生地感でよく伸びる。表地の方はやや硬い感触で、裏側は若干起毛っぽくて比較的柔らかい。いわゆるフリース生地程ではないけど、、裏起毛といって言えなくはないかな?くらい。
メーカーページによれば、内側の汗を外側に逃がす素材になっているらしい。
一番の特徴はこの口元のベンチレーション。無数の穴が開いていて、切れ口が全て外側を向くように反り返っている。この形状のお陰で穴がふさがらず、息がしやすいのだろうか?
この反り返りは生地特融のものらしく、目を出す部分など製品全体に見られる。
両耳にも同様のベンチレーション。
耳の内側には紐が付いていて、帽子部分をかぶらない時もこの紐を耳に引っ掛けてずり落ちを防止できる。ネックウォーマーの様に使用するときも、口と鼻をしっかり覆えるという訳だ。
サイズはフリーサイズ。
僕は男にしては頭が小さい方(測り方によるけど、頭囲55~56㎝でレディースのMがちょうどくらい。日本人の男性平均は57.5、女性平均は55.1)だけど、やや緩いものの普通にフィットする感じだった。恐らく男女問わず、ほとんどの方にフィットするんじゃないだろうか。
3.使用感
さて、お次は使用感について。使用環境は主に冬季北海道ライドで、約5日間、600㎞に渡って使用し続けた。この間はほぼずっと付けっぱなしだったので、かなり長時間使用したことになると思う。
他にも、日常のライドや雪キャングラベルライドなどでもちょくちょくと。
3-1.息がしやすい
冒頭でも書いた通り、バラクラバ最大の欠点は呼吸がしにくいことだと思う。特にサイクリングなど息が乱れる場面もある運動だと、呼吸が妨げられるのは大きなストレスでありパフォーマンスの低下にもつながる。
GO BIKEのTube nineは、確かに息がしやすい。
残念ながら僕はバラクラバを使用するのはこれが初めてで、他の製品は試着しかしたことがないので詳しく比較は出来ない。ただ、試着して「ああ、これはたぶん使わないな」と思って導入してこなかったもの達と比べると、間違いなく息がしやすい。
もちろん付けていないのと比べると呼吸はしにくいけど、心拍数を上げないツーリングでの使用なら全くストレスがなかったし、口元に生地が張り付く感じもしないので自然な呼吸感である。
また、呼気で殆ど凍結しなかったのも評価できる。
過去の冬季北海道ライドではネックウォーマーで口元を覆っていたけど、どうしても呼気で湿って凍結し、それが原因で呼吸がしにくくなってしまう場面があった。
肌に密着しているからか、または乾きやすいからか、このバラクラバは凍らずいつでも同じ呼吸のし易さと快適さを保ってくれた。
3-2.ちょうどいい暖かさ
肝心の防寒性は十分かつ適度で、暑すぎず寒くもない良い具合だった。
0~-10℃くらいで身体が暖まっていない時は顔を覆って帽子をかぶるとちょうどよく、-10~-20℃ではこれに薄手のネックウォーマー(BuffのLightweight Merinowool)を被せていい感じ。
暴風フィルムが入っている訳ではないけど、割と防風性もあるのか下りで強い風が当たる場面でも寒さは感じずに済んでいる。
身体が暖まったり、気温が上がっているときには普通にネックウォーマーの様にしておけば問題なし。首元で嵩張るものでもないので、冬の北海道ライドでは常に付けっぱなしでも良かった。
3-3.サングラスが曇らない?
バラクラバの口元を覆う弊害の1つに、サングラスが曇る(氷点下2桁になるとそれが凍る)というのもある。
このTube nineはその点も考慮して作られているらしく、確かに口と鼻を完全に覆っても走行中はサングラスが曇ることは無かった。呼気が正面に抜けてくれるからか、ネックウォーマーで口を覆うよりははるかに曇りにくい。
ただ、やはり停車中に息を荒げるとサングラスは曇るし、ため息をつくように大きく息を吐くとかなりサングラスは真っ白になってしまった。サングラスを全く曇らせないようにするには、それなりに運用に気を遣う必要がありそうだ。
3-4.耳に掛けにくい・回転する
帽子部分をかぶらずに使用する際、耳部分についている紐を耳にかけてずり落ちを防止できるようになっている。これがないと徐々に落ちてきてしまうから有難い機能なんだけど、これがちょっと使いにくい。慣れもあるかとは思うけど、内側の紐を探すのに手間取ってしまうためだ。
特にバラクラバを使用するような低温下では、フルフィンガーのグローブは必ずしているだろう。グローブ越しの感触でこの紐を探すのは至難の業で、結局北海道ライドではこの紐の出番はなかった。
また、頭も口も完全に出した状態でネックウォーマーの様に使用するとき、だんだんと回転して前後が逆になってしまう性質がありそうだった。帽子部分があるので後ろ側が重たく、徐々にずれてしまうせいだと思うわれる。
どちらも細かい点だし、構造的に仕方なく改善案も思いつかないけど、使っていてちょっと面倒に感じた部分だった。逆に言えば、そのくらいしかストレスを感じる場面はなかったということでもある。
4.まとめ
以上、簡単ではあるけど、GO BIKEのバラクラバ「Tube Nine Balaclava」をご紹介してみた。
確かに呼吸しやすいし、適度な防寒性や凍らない速乾性もあり、使い勝手の良いバラクラバだと思う。僕にとって初めて所有するバラクラバなので他の製品との比較が弱く申し訳ないが、ひとまず他の製品を探す気はしていない程度には満足している。
「別に氷点下二桁なんて走らないし帽子はいらないよ」という方には、口からした部分だけの「Extreme Ⅲ Neck Warmers」という商品もあるので、そちらをお勧めしたい。
このレビューが、皆様の冬ライドのお役に立てば幸いだ。
おわり