Specialized(スペシャライズド)のサドルラインナップの中で、タイムを競うレース用サドルとして開発されてきたのが「Romin(ローミン)」。ロングライドが主な僕には無縁なサドルだと思っていたけど、ロングライドでもより速さを求めるうちにどうしても気になってしまい、試してみることにした。
今回は、Rominのエントリーグレードに当たる「Romin Evo Expert」を購入してみたので、インプレ・レビューを書いていきたい。
<目次>
0.購入動機
1.Romin Evo Expertのスペック
2.インプレ
3.用途別の向き/不向きは?
4.これからの運用
0.購入動機
僕がRomin Evo Expertを気にしだしたのは、同じくスペシャライズドのサドル「Power ARC」を使い、そのメリットやデメリットが明らかになったからだ。
詳しくはこちら(↓)のインプレ記事に書いているけど、Power ARCはDHバー使用時でも尿道に優しく非常に快適だった一方で、座り位置を変更できない欠点があった。
ロングライド派の僕はサドルの座り位置を変えながら走りたいので、Power ARCのように前傾をとっても股が快適で、かつ座り位置を変更できる「ショートノーズでないサドル」が気になりだしたという訳だ。
最近ハンドルポジションを少し下げて運用することが増、前傾を強くしても楽なサドルが欲しかったというのもある。
1.Romin Evo Expertのスペック
さて、まずはカタログスペックの部分からご紹介。
現在サイズは143㎜、155㎜、168㎜の3種類の展開となっていて、僕が購入したのは155㎜。他のスペシャライズドのサドルは143㎜を使っているけど、坐骨幅を測るとRominやPowerなら143㎜と155㎜のどちらでも良さそうだったため、お試しも兼ねて155㎜に。
サドル幅は坐骨幅を測ることで決めらて、測り方はスペシャライズドのこちらのページを参考にどうぞ。
サドルの座面はこんな感じ。
真ん中に大きな穴が開いていて、パッドもシャープな印象。滑りにくい質感の表地だ。
真横から。中央~前方はほぼフラットだが、後方は多少せり上がった形状。全体的には緩やかにカーブを描いているように見える。
サドル中央部の溝は先端まで切ってあり、左右のフォームにそこそこ硬さがあるので座ってもこの溝は保たれそう。
うしろから。パッドが最小限なのがわかる。
155㎜幅にしたので余計にそう見えるのかも知れないけど、お尻が乗っかる部分は平面になっている。ここがアーチを描いているPower ARCとは大きく違う。
裏面にはスペシャライズドお得意のSWATマウント用のネジ穴が切ってある。ここにボトルケージやらチューブやら専用アタッチメントを取り付け可能。
2.インプレ
さて、バイクに取り付けたら早速実走を。
最初にひとつ断っておきたいのは、恐らくRomin EVOそのものの性能と関係ない部分で、サドル幅を143㎜から155㎜に変更した影響を大きく感じたこと。坐骨がサドルに乗る感覚や安定感にそれなりの違いがあるので、それはそれとして除いたインプレを書いていきたい。
事前情報の通り、前傾のきつい乗り方をしたときの快適性は高い。ハンドルバーに腕を預けるまで姿勢を下げても尿道の圧迫感はないし、お尻のしっくりくる感じが心地よい。
骨盤の角度はやはり寝かせ気味の方が収まりが良く、走りやすいと感じた。しかも骨盤を立てると全然ダメかというとそうではなくて、Power ARCよりも対応する骨盤の角度は広いと思う。
ただしRomin EVOよりもアップライトを意識した設計のToupe compと比べると、状態を起こした時の快適性は下がる。Romin EVOは前傾のキツイ姿勢がメイン、Toupe compはもう少しアップライトがメインという感じ。
Romin EVOの気になるところは、座面が硬いこと。スペシャライズドのサイトによれば、僕が他に使ってきたPower ARC、Phenom、Toupe comp等と同じ「レベル2:中密度のフォーム」という硬さだが、他のスペシャライズドサドルと比較してRomin EVO Expertだけが硬い。
これはパッドそのものの硬さというより、パッドの厚みとシェル部分の硬さによるのだと思う。パッドがやや薄いのが見て取れるし、手で座面を押し込んだ時もしなりが明らかに小さいのだ。
乗っていて不快な程ではないし300㎞程度のロングライドでは問題は何もないけれど、もっともっと長い距離を走るならやや懸念が残るところ。逆に、サドルにも剛性やカッチリ感を求めるならいいと思う。
Power ARCの時に不満だった「座り位置の変更」については、目論見通り感触が良かった。やっぱりヒルクライムのシッティングはサドルの前に座りたいし、ダウンヒルは後ろ寄りに座りたい。
アップダウンのあるコースではこれが結構大事なことを再確認することができた。
登りで前乗りしたときには、前述のサドルの硬さからお尻がやや痛い感じがするけど、まだ許容範囲かなというくらい。サドルの前方まで切込みが入っているので、尿道がある中央ラインへの圧迫感は少ないのが嬉しい。
3.ロングライドにどうか?
冒頭にも書いた通り、僕のメインの用途はロングライド。ある程度のスピードは求めつつも、快適性を犠牲にしたくもない――そんな我儘なサドルの選び方をしている。
Romin EVOはどうかと言うと『形状は凄くいいけど、若干硬い。』といった感じ。インプレで書いた通り前傾を強めにしたポジション(=平坦)でも尿道が楽で快適、前乗り(=登りのシッティング)も出来て、後ろ乗り(=下り基調)でもちゃんと走れる。オールラウンドで無敵感すらある。
ただ、やっぱりちょっと硬い。1日400㎞か、あるいはもっと長い距離を走ろうと考えると、ちょっと不安が残るところ。
ここはたぶん慣れというか、数万キロも同じ硬さ(もう少し柔らかい旧Phenom)で走ったせいで、その感覚が強く残りすぎているのかも知れない。
(↑)のライドではRomin EVOで300㎞を走ったけど、別にお尻は何ともない。形状が今僕が求めているものと合っていてそれ故それなりにロングライドでも使えているのだろう。
前傾をきつくする方向にシフトしている僕のポジションとも合っているし、調整をしながらもっと乗り込んでみたいと思う。
最後に付け加えておくなら、俗にいう「ロングライド向け~」という触れ込みが似合うサドルかと言うと、やはりそうではないこと。自分の体形や乗り方、好みに合わせて選べはロングライドにもいいだろうというだけで、Romin EVOがロングライドのお尻の悩みを全て解決してくれるということはないし、サドルの特性的にもレーシーな用途の方が似合うだろう。
4.これからの運用
順次インプレ記事を公開していく予定だけど、僕は今スペシャライズドのサドルをPower ARC、Romin Evo、旧Phenom、新Phenom、Toupe Comp GEL、Toupe Sportと持っている。
硬いのを除けばかなり満足しているので、ひとまずRomin EVOをメインサドルにしようかなと思っている。DHバーがメインの平坦ならPower ARC、超ロングならToupe compだろうか。
ポジションは日々変わっていくのでこの運用の仕方も変化していくとは思うけど、現状の僕なりのインプレはこんな感じだ。少しでも、この記事がサドル選びの参考になればと思う。
おわり
【関連記事】