ロードバイクに乗るうえで、欠かせないアイテムの一つに『携帯工具』がある。出先でのトラブルに対応したり、ちょっとした調整を行ったり、何かと頼りになる場面が多い。
そんな携帯工具だが、常に携帯するものだから重量が気になったり、いざという時に役に立たないなんてことが無いよう、機能性にも気を配ったりと、その選び方も難しい。
今回は、携帯工具の見直しを行い、軽量化と利便性のアップを果たせたので、その過程と僕なりのおススメをご紹介したい。
<目次> 1.今までの携帯工具と問題 2.本当に使うものって? 3.新しく導入したのはこれ 4.PB Swissの使用感
1.今までの携帯工具と問題
僕が今まで使っていた携帯工具は、ロードバイクを買ってすぐに購入したものだ。
トピークの『ヘキサスⅡ』というモデル。おおよそロードバイクに必要な工具を1つにまとめた万能工具で、搭載するのは以下の通り。
・六角:2/2.5/3/4/5/6/8㎜ ・トルクス:T25 ・+/-ドライバー ・チェーンツール ・タイヤレバー×2本 ・ニップルレンチ:14/15番
これだけの工具を搭載して、重量は167g。価格もべらぼうに高い訳ではなく、コスパ的にも機能的にもかなり良かったと思う。
今では廃版になっている?みたいで、その後継が同社の『ヘキサスX』だろうか。これ一つあれば出先でのロードバイクのトラブルには一通り対応できるし、耐久性もなかなか。僕が初心者の方に何か1つおススメするなら、これを選ぶというくらい。見た目もカッコいいし、この構成ならバイクを選ばず、アタッチメント等を追加してもまず外しが無い。
とはいえ、だ。
かれこれ4万kmくらい走ってきて、『自分のバイクや用途では使わないもの』や『収納性・作業性の大切さ』というのが分かってきた。
旅の最中にメカトラでどうしようもなくなったり、輪行や宿泊でバイクを分解組み立てしたり、ロングライドの辛さで微調整をしたり……。何度も使ううち、「これ邪魔じゃん」とか「この隙間にツールが入らない…!!」というシーンに遭遇した。
例えばこんなのとか(↑)(↓)
そして、装備もとことん最適化を求めるようになった。たかがレンチ1本、数十gや数㎝しか場所を取らなかったとしても、その部分も自分の求めるものを追求したいと思う。
『じゃあ、必要なものだけ使いやすい形で携帯すればいいんじゃない?』
と思い立ったのが、今回の発端である。
2.本当に使うものって?
まずは「持ち歩く必要がある工具は何か?」を明らかにしよう。
自分のバイクをよく観察し、どこにどんなボルトが使われ、工具が対応するかをチェックする。そして、今まで自分が出先で使用した工具を思い返し、その必要性を考えた。
僕のバイク(スペシャライズド ルーベSL4ディスク)だと、外側から弄れる部分についているボルトは以下の通り。
・六角2.5㎜:ペダルのクリート強弱調整、STIのレバー位置調整 ・六角3㎜:ボトルケージ、バックミラー、サイコンマウント ・六角4㎜:ステム、シートポスト、SPDクリート、RD/FDワイヤー固定 ・六角5㎜:STI、ヘッドキャップ、サドル、ブレーキ台座、RD/FD固定、DHバー ・六角8㎜:ペダル着脱 ・T25:3Tのステムのハンドル側、WolftoothのB-RAD固定 ・T30:3Tのステムのヘッド側 ・プラス大:オルトリーブのサドルバックアダプター ・プラス小:FD/RDのH/L調整ボルト
ステムやアタッチメントによっては、トルクスT25/30、プラスネジの大が使われている。
で、これらの携帯の必要性、つまり『出先で弄る可能性があるか?』『トラブルに見舞われるか?』というのを考える。最終的に選ばれたのは、以下の3(+2)つのみ。
・六角3㎜:ボトルケージ、バックミラー、サイコンマウント
・六角4㎜:ステム、シートポスト、SPDクリート、RD/FDワイヤー固定
・六角5㎜:STI、ヘッドキャップ、サドル、ブレーキ台座、RD/FD固定、DHバー
(・T25:3Tのステムのハンドル側、WolftoothのB-RAD固定)
(・T30:3TのArxⅡステムのヘッド側)
T25とT30は使うパーツによって要/不要が分かれる部分なので、パーツ構成によって変更。本当に必要になるのは、アーレンキー(六角レンチ)の3/4/5㎜のみだと判断した。
それ以外は出先で調整が必要になったり、トラブルになったりする可能性がかなり低い。微調整で使う2.5㎜は出先ではいらないし、ペダルを外すこともない。オルトリーブのアダプターはネジが緩むことはないし外す必要もなく、FD/RD(フロントディレイラー/リアディレイラー)のH/L(ハイ/ロー)調整ボルトは、そもそも一度決めたら再調整が必要になる部分ではない。
携帯工具としては+α
・タイヤレバー2本 ・チェーンツール ・タイラップ
があればOK。
3.新しく導入したのはこれ
さて、前置きが長くなったが、何を新たに導入したのかというと、『ビット式のアーレンキー』たちだ。こんなやつ(↓)
5㎜のアーレンキーをベースに、他のサイズの工具を使用する際にはバイクツール用ビットホルダーを使い、適合するビットをはめ込んで使用する。これなら荷物を最小限に出来るし、通常のアーレンキーに近い形で使用できるので機能性も格段に上がるというわけ。
揃えたのは以下のとおり。
・アーレンキー:5㎜ ・バイクツール用ビットホルダー ・ヘクスローブビット:六角3/4㎜、T25/T30
購入したのは、工具の老舗『PB swiss tools』のアーレンキー+ビットホルダー。あとは、家にあったトピークのトルクレンチ用ビットで使わないものも携帯工具にシフトチェンジ。
PB swiss toolsは工具ではかなり有名なブランドで、同社製のカラフルなアーレンキーセットは自転車界隈でも有名だ。(公式サイトはこちら)
工具は精度が出ていないと逆にパーツを痛めてしまうし、耐久性がないと使用に耐えない。その点、ちょっと値が張るものの、信頼のおけるPB swiss toolsは安心だ。
因みに、僕は使用するのが限定的だったからバラで購入したけど、もっとたくさんの工具を持ち歩くならこれ(↓)が良さげ。ホルダーもついてくるし、バラで全部揃えるよりもかなり安上がりになる。
こちらは
・六角:2/2.5/3/4/5/6㎜ ・トルクス:T25 ・プラス大(2番) ・マイナス大(3番) ・タイヤレバー×2
のセット。僕は使わないものが含まれていたのでバラで買ったものの、結果的に合計金額では殆ど変わらなかったので、このセットを買って必要に応じで持って行くものを決めるのが一番いいかも知れない。
最終的な変化は下の写真の通り。右のヘキサスⅡを、左の携帯工具類にばらした形だ。
ヘキサスⅡについていたタイヤレバーとチェーンツールは別に用意。これも専用品を別で持った方がはるかに使い勝手が良い。
使っているのは『トピーク:スーパーチェーンツール』『AZ:タイヤレバー』。
で、結果的に重量はどうなったかというと、全てセットで113g。
今までのヘキサスⅡが167gだから、54gの軽量化。113gというのはトルクスT25のビットも含んでいて、ヘキサスⅡには入っていない工具。装備の構成によってはT25は必要ないから、これも除けば108gまで軽くできる。
4.PB Swiss toolsの使用感
実際に使ってみてどうか?というと、端的に言って『めちゃくちゃ良い』。
言わずもがな、PB swiss toolsのブランドはやっぱりちゃんとしていて、ボルトへの収まりも工具としての使用感も十分ハイレベル。ビットが色分けされているのも、何気に使いやすいポイントになっている。
こういうところにも楽に入る(↑)(↓)
そして、何と言っても利便性が向上したのが嬉しい。出先での作業性が格段に上がったし、ツール缶内の場所も取らなくなったから、空いたスペースも利用して替えのチューブを追加することが出来るようになった。
ちょっとした違いでしかないものの、この『ちょっとした差』がライドの快適性を大きく変えてくれて、ストレスが減ったしパッキングの自由度も上がって嬉しい限り。
はじめは「え~工具に数千円もかけるのか…」なんて思っていた自分が馬鹿らしいくらい、元のトピーク:ヘキサスⅡよりも勝手が良くなって満足度の高い買い物だった。
<追記>
PB Swiss Toolsのビットたちを今までのようにツール缶に入れっぱなしにしていたら、知らぬ間にかなり錆びさせてしまった。その状況については、別記事でご紹介予定……。
おわり