様々なアイディア商品をリリースしているWolftooth(ウルフトゥース)。その一つがB-RADシリーズの「Pump Bag(ポンプバック)」で、こいつがバイクパッキングからロングライドまで、マルチに使える便利なバックだった。
今回は、このWolftoothのB-RAD Pump Bagをご紹介したい。
<目次> 1.購入 2.スペック&各部詳細 3.良いところ 4.残念なところ
1.購入
まずは購入経緯や購入先について簡単に。僕がPump Bagに興味を持ったのは、実は背が低く細長いトップチューブバックが欲しかったからだ。
ロングライドでは、補給食や防寒着など用のちょっとした物入れにトップチューブが便利なんだけど、高さがあるとダンシングで膝に当たって不快なことが多かった。そこで、細長い形状のバックを探していて、このWolftoothのPump Bagにたどり着いたわけだ。
Pump Bagはどちらかというと「フレームバック」という位置づけの商品の様で、前三角の内側だけでなく、ダウンチューブ下のデッドスペース活用にも用いられるみたい。ひょっとすると、僕の動機はちょっとイレギュラーかも知れない。
Wolftoothの購入先については、こちらの記事にいろいろ書いているのでどうぞ。
他には、若干Amazonや楽天にもWolftooth商品が並んでいたり。価格や在庫がかなり変動してる印象だが、いちおうリンクを貼っておく。
2.スペック&各部詳細
さて、続いてB-RAD Pump Bagのスペックと各部の詳細を。
・サイズ:30cm x 6.5cm x 6.5cm ・容量:1.9L ・重量:114g ・素材:PVC 420Dナイロン/YKKジッパー
パッケージは説明書を兼ねた厚紙にタイラップで固定する形だった。内容物は下のとおり。
本体、固定ベルト2本、固定ボルトロング3本・ショート3本。
バック自体にコシがあるので、中が空でも形状を保っている。全体的にかなりしっかりした作りの印象。
メイン素材は420デニールナイロンで、表面は織り地のような網目模様だが、裏面は防水生地。ただし、通常の縫い仕上げかつ、裏面にボルトオン用の穴があるので完全防水ではない。
本体の形状は細長い直方体。ファスナー面の左側にループが並んでいて、フレームバックとして使う際にはここにベルトを通して使う。バックの取り付け向きは自由だが、バックの右面にはループがついていないので、基本的には右側が開くタイプのフレームバックになるだろう。
Wolftoothのロゴはジッパー側のワッペンとジッパータブに。狼のロゴのドローコードがちょっとかわいいと思ったり。因みにこのジッパータブのみでもWolftoothサイトから購入可能で、3つで480円。
ジッパーの面を裏返すとこんな感じ。固定方法はボルトオンとベルトを選べるようになっていて、ボルトオンの場合はこの穴に付属のボルトをバックの内側から通す。ベルトで固定する場合は、付属のベルトを画像のようにループに通せばよい。
ボルトの間隔は6.4㎜で一般的なボトルケージ用の穴の間隔に対応。2カ所固定でもいいし、B-RAD3やB-RAD4を使いダボ穴を増設し3カ所ないし4カ所固定するとより良いみたいだ。
(↑)B-RAD4とB-RAD3。レビューはこちら。
バックの内側は、底面がベルクロで剥がせる構造。ここからボルトオンで固定する。この構造上、完全な防水は不可能だ。
付属のボルトはT25のトルクスねじなのに注意。通常のアーレンキーしか持っていない方は、トルクスレンチやトルクスビットが必要になる。
もちろんベルトでの固定も可能で、先ほどの画像のようにベルトを本体に通せばよい。ベルクロタイプの太めのベルトで、直径6.35㎝(2.5”)までのフレームに対応。ベルトの裏側(画像下)はシリコンのような滑り止め素材が付いている。このお陰でベルトのみでもかなりの固定力を生んでくれる。
3.良いところ
では実際に使ってみてどうか?というのを書いていきたい。まずは良いところから。
①使い方が自由
このPump Bag、サイズ感が絶妙かつ、フレームへの固定場所を選ばず固定方法が多彩なので、かなり幅広い使い方が出来る。
例えば、僕の購入動機のようにトップチューブバックとして使うことも出来る。ローハイトかつ大容量なので、トップチューブバック膝当たり対策に一役買ってくれた。
こんな感じに、他のトップチューブバックと併用も可能。
さらに、ダウンチューブ上下、トップチューブ下、シートチューブ内側、フォーク横など、あらゆる場所に配置できる。
中に入れるものも、補給食から携帯工具、ポンプ、チューブ、軽量ウェア、タオルなど、ツーリングに必要なちょっとしたギアを入れるのに最適だ。側面がガバッと大きく空くから、いろいろ詰め込んでも中身が取り出しやすいのも嬉しいポイント。
②頑丈なつくり
オフロード使用を想定しているだけあって、本体がかなりしっかりした作りなので安心感がある。ちょっとやそっとで穴が開くものではないし、ジッパーも安心なYKK製。小雨程度なら大丈夫なくらいの防水性もある。
僕はまだ1,000㎞くらいしか使っていないが、縫い目の作りや素材感からしてそう簡単には壊れないだろうと思う。僕よりもっとハードな使い方をする方々の使用実績もあるし、アラスカを走った友人も絶賛している。
他のWolftooth製品もいくつか購入し使っているが、やや高価なものの堅実なプロダクトばかりな印象。一定の信頼を置けるブランドだと思っている。
③付属のベルトも使えるヤツ
この付属のベルトが「分かってる」作りになっていて、結構使えるヤツ。何がそんなに良いかというと、⑴滑り止め加工と⑵ベルクロのギザギザ・フワフワ面の配置だ。
⑴滑り止め加工は先ほども触れたが、裏面にシリコンが配置されているお陰で滑らない。Pump Bagはフレームの1つのチューブにしか固定出来ない構造だから、固定面が滑るとくるくる回ってしまうのだ。この滑り止めのお陰で快適に使えるので「本来はなんの工夫無しでは回ってしまう」という事を忘れてしまうが、それはこの一工夫のお陰だ。
そして、⑵ベルクロの配置。表側(画像上)は全て柔らかい面で覆われており、フレームのパイプ径が細いものから太いものまで対応しているうえ、余った部分があってもウェアを傷つけない。ベルクロのギザギザ面はフレームやウェアを傷つけるので、どんなフレーム径であっても、この部分の露出は避けなければならない。その点、このPump Bagのベルクロ配置は合理的。
ベルト単体でも価値あるので、例えば予備チューブをフレームに縛ったり、他のバック類のベルクロ固定に使ったりと用途が広い。こういう他のギアにも転用が効く汎用性の高さが素晴らしい。
④簡易的に中仕切りも出来る
ちょっとこれは蛇足的な使い方なんだけど、ボルトオン用の穴を隠しているベルクロをこんな風に折り曲げることで、簡易的な中仕切りを作ることも出来る。
多分Wolftooth側も想定していない?であろう使い方だから声を大にしておススメするものではないかも知れないけど、これが出来ると地味に便利だ。
例えば僕は前側の小さいスペースにバッテリーや電池を、後ろの広いスペースにエナジーバーや塩タブレットなどを入れている。走行中にバックの中がごちゃごちゃにならないので、使い勝手がかなり良い。
4.気になるところ
最後に、ちょっと残念…というか気になるところを。とはいっても「強いて言うなら」という程度のもので、実用上不満に思う部分は今のところ全くない。
①防水ではない
やはり第一は防水ではないこと。ボルトオンに対応する構造上バックの底面に穴が必要で、完全防水には出来ないから仕方ないんだけど…ボルトオンでは使っていない僕にとってはその分防水性を高めて、縫い目も圧着タイプの方が嬉しかった。
メイン素材のナイロンが防水素材なので小雨程度なら大丈夫だけど、大雨に振られたらキツイしダウンチューブ下なんかに取り付けるとタイヤからの水はねが凄いから、どうしても浸水する。
そして素材が防水系なだけに、一度浸水すると逆に乾くのに時間がかかる。
…まあこの辺りは製品設計的な話で、その他のメリットとトレードオフでもあるから、何でもかんでも防水ならいいという訳でもないだろうけど。
②幅が広め
スペック上は6.5㎝×6.5㎝で、確かに布地もその通りに裁断されているんだけど、縫い方的にもうちょっと幅が広くなる。
本来の?フレームバックとして使う分にはさして問題ではないはずだが、僕のようにトップチューブバックとしてメインに使うなら、やや幅が気になるところ。
高さが無いのでダンシングで膝に当たることはないが、ペダリングによってはシッティングで膝に当たってしまう。僕の場合は普通に走る分にはギリギリ当たらないんだけど、TTポジションを取るとちょっと内股?になる癖があって、その時には膝が擦ってしまう。
細かい話だけど、欲を言えばあと1㎝…いや5㎜でいいから、実測で幅が狭かったら最高だった。
因みに、上の写真のように横向きで固定すれば実際の横幅は狭くなるので、ペダリングで膝に当たることはなかった。ファスナーが左に来てしまうのが右利きの僕には残念だけど、その点に拘らないならこの方法でも良さそうだ。
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以上、WolftoothのB-RAD Pump Bagをご紹介してみた。総合的に満足度の高い商品で、積載のちょい足しやバイクパッキングの便利アイテムとして、今後も活躍してくれると期待している。
ネックは値段だが、ベルトを含め何かと応用が効くアイテムなので、1つ持っておいても損はないのではないだろうか。
おわり