紫外線量によって自動的に明るさが変わる「調光サングラス」。ロードバイク用のサングラスにもいくつかラインナップされていて、僕はOGK Kabutoのモデルを約2年間愛用してきた。
今回は、ロードバイクに調光サングラスを使てきて感じた良いところ/悪いところと、調光サングラスはどんな人におススメか?をまとめていきたい。
<目次> 1.使っているモデル・使用環境 2.いいところ 3.悪いところ 4.おススメしたい人 5.まとめ&気になるモデル紹介
1.モデル・使用環境
まずは、僕の使っている調光サングラスと使用環境の紹介から。
僕の使っている調光サングラスは、OGK KabutoのBinato-X Photochromicというモデル。(公式サイトはこちら)

価格は定価で12,000円、実売で10,000円前後。カラーによっては9,000円を切るモデルもある。メジャーブランドの調光サングラスの中では恐らく最も安価で、かつ調光の性能面でも必要十分だろう。
調光サングラスがどれだけ暗く(明るく)なるか?という指標が『可視光透過率』だ。因みに大体のサングラスは、日中用の暗いモデルで15%くらい、夜間用のクリア系モデルで80%くらい。
僕が使っているOGKのBinato-X Photochromicは17~79%。このくらい可視光透過率が変化してくれれば、晴れの日の日中~夜間まで使用可能だ。有名ブランドの可視光透過率はだいたいこの位の幅で変化するモデルが多いが、ものによっては大して暗く(明るく)ならないモデルもあるので要注意。
使用環境は、主にロングライドと登山。1日を通じて走ることが多く、北海道一周TTの様に連日のロングライドや冬季北海道ライド、冬富士登山等それなりに過酷な環境でも使っていると思う。また、日々の通学ライドでも使っているので、使用頻度はほぼ毎日だ。
購入時のレビューはこちらに書いているので、OGKのBinato-X Photochromicについて詳しくはこちらにどうぞ。
2.いいところ
調光サングラスの良いところは、とにかく『時間・天候を問わず、かけっぱなしで使える』という点だと思う。
可視光透過率に20~80%くらいの変化があれば、基本的に真っ暗な深夜から昼間、荒天から快晴と、殆どすべての状況で使用できた。晴れの時は真っ黒になり、曇りの日はグレーに、夜間はクリアになる。しかもレンズの暗さは自動で変わるから、何もする必要がなく、ただかけっぱなしにしていればOK。
実際に僕は、雨がレンズについて視界が悪くなる時以外、調光サングラスをかけっぱなしにしている。これにより、具体的にどんなメリットがあるのかを書いていきたい。
⑴ロングライドでストレス激減
まずはこれ。とにかく、ロングライドでのストレスが無い。
以前は昼用のミラーレンズと夜用のクリアレンズを付け替えるスタイルで走っていたけど、そのレンズ付け替え作業が凄く面倒だった。僕は暗いうちにスタート&暗くなってからゴールという流れが多いので、ライド中に外でレンズを付け替える作業が必要になる。この作業がもう厄介で、いちいち停車しバックから替えのレンズを出すのも面倒だし、交換時にレンズを落として傷つけたり、汗の付いた手やウエアでレンズが汚れたり…。
もうレンズ交換が面倒すぎて、夜間はサングラス無しで走ることも多いくらいだった。しかし、夜間であっても車の巻き上げる小石や虫から目を守ったり、落車の際に顔面を守ったりと、アイウエアは重要な保護具だ。ヘルメットやグローブと同じく、絶対にあった方がいい。
そこで登場したのがこの調光サングラス。基本的に全ての環境においてレンズ交換が不要なので、前述のような煩わしさが一切ない。暗いうちに走り出そうがオーバーナイトライドをしようが、関係なくこれ1つで完結してくれる。最高にストレスフリーだ。一度この快適を味わってしまうと、もうあの面倒くさいレンズ交換をするなんて考えらえれない。
⑵荷物が最小限になる
続いてはこれ。替えのレンズが必要ないので、荷物が最小限で済む。レンズは運搬中に傷つけたり曲げたりしてはいけないので、何かと気を遣う面倒なアイテムだった。
U.L.装備が多い僕にとって、持つアイテムは1つでも減らしたいし、パッキングの自由度も高い方が良い。キャンプ時に替えのレンズを傷つけてしまう心配もないし、無くすこともない。
たかがレンズ一枚、されどレンズ一枚。その差は侮れない。
⑶通勤・通学にも最高
ロングライドとは少し離れた話題だけど、毎日の通学ライドでも非常に使い勝手が良い。と言うのも、毎日明るい時間に出掛け暗くなってから帰宅するので、通勤・通学は調光サングラスとの相性がいいのだ。
通勤や通学なら、レンズ交換の手間もそれほど大きくはないし、荷物にも制約が少ない。それでも、やっぱりサングラス・レンズが1つで済んでしまうのは楽だし、例えば夕方や曇りなど微妙な明るさの場面にも、勝手にちょうどいい透過率に変化してくれるので便利だ。
3.悪いところ
便利な調光サングラスだが、やはり普通のサングラスと比較して劣る点や微妙な部分もある。
⑴2年間の使用制限
調光サングラスの致命的な欠点として、レンズの調光機能の劣化により使用期間制限があることだ。長期間使用することにより、可視光透過率の変動幅が小さくなってしまう。(クリアに戻り切らなくなる等)
これは使用環境や保管環境など、さまざまな要因によって変化するので一概には言えないだろうが、ネット上の情報だと概ね2~4年と言われている。紫外線に晒され傷もつきやすいサイクリング用途では、2年と言われることが多い。
OGKのサイトにも『(ご注意)使用環境により調光濃度や調光スピードが異なります。また経年劣化により、色変化しにくくなる特性があります。』との注意書きがある。実際僕が調光サングラスを使っている体感でも、使用開始から2年弱経過した現在はクリア状態がやや黄ばんでいるように感じる。年間約1万㎞+登山なので使用頻度はそれなりだと思うけど、少なくとも数年で機能が低下するのは事実のようだ。
劣化したレンズは買い替えるほかない。レンズ単体で購入してもそれなりに高価だから、昼夜でレンズを交換するスタイルの方が数年単位で見ると経済的といえるだろう。
…まぁ実際には、数年も使い込めばサングラスのフレームも痛むしレンズも傷つく。別に調光サングラスをひいきしたい訳じゃないけど、個人的には「調光モデル1つを2年間使い倒して、また新しいモデルを購入する」というサイクルも、使用頻度が多ければさほど非経済的ではないと思っている。
⑵朝日・夕日に弱い
基本的に「全時間・天候に対応できる」とはいえ、調光サングラスにも弱点がある。それが「朝日or夕日」だ。
調光サングラスの調光のメカニズムは紫外線による反応で、紫外線量が多いほどレンズは黒く、逆に少ないほど透明になる。ここでのポイントは、レンズの変化が「明るさ」ではなく「紫外線量」によって起こるという点。
基本的には、周囲が明るい=晴れのときは紫外線が多く、周囲が暗い=曇りや夜間は紫外線が少なくなるため、調光サングラスは周囲の明るさに対応して変化する。しかし、朝夕は直射日光が眩しいにも関わらず、紫外線量が少ないため十分にレンズが変色してくれないのだ。(紫外線量は太陽が高いほど多く、低いほど少ない)
この問題が顕著になるのはかなり限定的な状況で、①太陽の位置がかなり低い(日が出た直後or日が隠れる直前)数十分、②天気が良く、木や建物でも太陽が遮られない地形、③進行方向に太陽がある、という条件がそろわないと発生しない。かなり稀…とはいえこのような条件がそろってしまうと、朝日や夕日の直射日光が眩しい。
通常のレンズを使う場合も、夜に備えてクリアレンズを付けるともっと眩しく、昼用レンズだと周りが暗くなりすぎる訳だから、調光サングラスだけが特別難アリな訳ではない。他サイトの使用レビューを見る限りこの問題に触れている人はいないし、サイクルキャップを被れば緩和も出来る。実用上は大きな問題でないものの、僕としては唯一残念に思うポイントだ。
⑶ミラー加工がない
多くのスポーツ用サングラスはミラー加工がされているから、外からは自分の目元は見えない。恐らく、サイクリストの方々の中には「ライド中の辛い表情を隠したい」「ファッション的にカッコいいミラーがいい」という方もいらっしゃると思う。
残念ながら調光サングラスの殆どのモデルはミラー加工がされていないので、レンズが黒くなってもあのギラギラした感じのサングラスにはならない。
上の写真はそれなりに黒くなっている時。外して見ると裏側からも光が差し込むので薄いグレー程度にも見える(向かって右側のレンズに手が透けて見える)が、実際にかけた状態だと通常の黒いサングラスの様で、外から目元は殆ど見えなくなる。
とはいえ、黒くなれば多少の反射はするものの、ミラーにはほど遠い。
OGKが最近発売した「121PH」というモデル(↑)は調光ながらにミラー加工がされているみたいだけど、どこまで通常のミラー加工レンズの様になるのかは不明…。また、ちゃんとミラー加工がされていても、紫外線量が多く真っ黒にならない限り多少は顔が透けて見えるだろう。曇りの日は日中でも真っ黒にはならないので、サングラスにギラギラ感を求める方には向いていないと思う。
4、おすすめしたい人
さて、ここまでをまとめると、僕が調光サングラスはこんな人におススメだ。
・ロングライドで昼夜・天候問わず走る人
・通勤や通学で頻繁に、昼夜のライドをする人
・サイクリング+αの遊びをする人
まずは、昼夜・天候を問わず走るロングライダー。イメージとしてはブルべの様な感じで、長距離をある程度のペースで走る方にはピッタリだと思う。レンズ交換の手間がなくなり、荷物の自由度も高まる。
続いては、自転車で通勤通学をする方。短距離だしサングラスは無くても…という方もいらっしゃるかも知れないが、事故の確率が高い都市部ほど、保護具としてのアイウエアが必要だ。使用頻度が高ければ調光サングラスの使用期限も目いっぱい使えるし(恐らくフレーム等の他のパーツもかなり痛む)、調光サングラスのデメリットが実質カバーされる。
最後に、サイクリング+αの遊びをする方。例えば僕は「自転車+登山」なんて遊びをしているけど、行動時間が長くても問題なかったり、天候が変化しやすい山の中でもサングラスをかけっぱなしで使えたり、と使い勝手が良い。登山に限らず、複合的な遊びをする方にも調光サングラスは活躍するアイテムかも知れない。
蛇足だが、調光サングラスは気温が低いほど暗い方向に変化しやすい。(↑)の様な雪山ではびっくりするほど真っ黒になってくれるので、照り返しが眩しい雪景色でも使い心地がとてもいい。
逆に日中のライドが殆どで、見た目に気を遣いたいとか、路面を少しでも見やすくしたい、ライドの頻度が月に1~2回という方は通常のモデルを購入した方が良いと思う。調光モデルは選択肢が少ないうえ万能ではないし、使用期限があるので頻度が低いと使いきれない。
5.補足:気になるモデル
僕の使っている調光サングラスも、使用開始からもうすぐ2年。すぐに必要ではないけど、夜間のクリア度合いが下がってきた感じがするし、フレームもそれなりに痛んでいるので買い替え先を悩んでいる。
そこで、気になっているモデルを4つ、備忘録的にまとめておきたい。各種リンクも載せているので、購入を検討されている方の参考になれば。
⑴OGK 121PH
・透過率:84~21% ・カラー:7色 ・定価:20,000円 メーカーサイトはこちら
この記事で既に紹介しているけど、ミラー加工がされている調光サングラス。デザインもカッコいいし、レンズが大きくてライドにも良さそう。安心のOGK製、今使っているBinato-X PHでOGKのサポートにお世話になりとても助かったので、またOGKのモデルを買いたいなあなんて思っている。
⑵OGK 101PH
・透過率:81~17% ・カラー:4色 ・定価:15,000円 ・メーカーサイトはこちら
もう少し価格が抑えめなモデル。最近新しいカラー(カモフラ柄)も追加されて、より欲しくなってきた。そして、肝心の透過率の幅が調光サングラスの中でかなり広いモデルなので使い勝手も良さそうだ。
⑶Oakley Radar EV Path PH
・透過率:??~23% ・カラー:1色(レンズ交換で他カラーフレームにも適合) ・定価:34,600円 ・メーカーサイトはこちら ・Wiggleはこちら ・ProBikeKitはこちら
流石にオークリーは高価で、憧れではあるけど手が出しにくい…。海外通販でなら偶に半額以下になっていたりするので、買うならタイミングを見てだろうか。他のオークリーの調光モデルは公式サイトがこちら、Wiggleはこちら。
透過率は詳細に書いていないけど、他のモデルは69~23%と書いているので、恐らく同じくらいだろうと思われる。69%だと夜間の見え方が少し心配。
⑷100% SpeedCraft PH
・透過率:76~17% ・カラー:1色?(レンズ交換で他カラーフレームにも適合) ・定価:25,000円前後? ・メーカーサイトはこちら ・ProBikeKitはこちら
最近よく目にする100%のサングラス。Amazonでは(↓)の普通のモデルしか見つけられなかったけど、海外通販なら調光(Photochromic)モデルもあった。価格もオークリーより若干抑えめ。ローディ感溢れる見た目だけど、視界が広くて使いやすそうだ。
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以上、ロードバイクに調光サングラスを使ってみた感想と、気になるモデルをまとめてみた。個人的には調光サングラスは凄く気に入っているので、僕に似た遊びをしている方は是非。この記事が、何か皆さんの参考になれば幸いだ。
おわり