ツーリング記

危険な峠に進む失敗…外れる天気予報と僕の読みー冬北海道ライド&登山④

昨日は晴天に恵まれ、走行環境への読みも的中。凄く快適な1日になった。

冬の北海道4日目になる今日は、山岳地帯を抜けて道東へ入ることが目的だ。天気予報では晴れ~曇りなので、晴天とはいかずも何とか走れそう。明日には三国峠を越える都合上、士幌までは走っておきたいところ…。

<目次>
1.凍り付くバイクと装備
2.予報に反し本格的な雪
3.危険な道路と判断ミス
4.道行く方に助けられ何とか前へ

1.凍り付くバイクと装備

夜明けごろに起床。夜間はそこそこ冷え込んだらしく、撤収作業を始めたときにバイクが霜でガチガチに凍っているのを見つけて少し驚いた。

自転車ってこんなになるんだ…という感じ(笑)

なんだか「氷河期を生き抜いてきたバイク」みたいな雰囲気が漂っていてカッコいい。錆びた表現を出すラットペイントみたいに、こういうカスタムペイントとかも良さそうだなと思ったくらい。

バック類やフレームも凍っている。真っ黒装備だから霜が映えていて、こういうのを見ると冬の北海道に来たという実感がわく。幸いディレイラーやブレーキ関連はまだ凍らず、走行に問題なかった。

しかしこういう環境になると、電子機器は正常に動作しなくなってくる。対応温度が0℃~のキャットアイのサイコンは、もはや息していない。

 

今は-15〜10℃くらいなので、普通のサイクリングの気温じゃないし仕方ない。こんな状況では、登山用のガーミンが役に立った。とはいえバッテリーの使用可能時間は大幅に短くなるので、普通は2日持つところが1日強しか持たないし、動きも渋い。

 

2.予報に反し本格的な雪

天気予報では曇り~晴れの予報だったんだけど、走り出すといきなりの雪。しかも止みそうな気配もない。

まだ視界不良になるほどではないけど、路面にもうっすらと積もってきた。これはちょっと不安…。

気温が低いので降った雪が路面に固まることはなく、車が通ると↑のように風に舞って模様が出来る。寒冷地ならではの光景だ。

道路わきの電光掲示板は相変わらずの氷点下2ケタだけど、このくらいが何も考えずに走っても汗をかかずに済むので良かったりする。厳しい環境に見える反面、僕はのんびりサイクリング。

峠を越えるうち、降雪が次第に本格的になってきて、雪が大粒になってきた。視界もどんどん制限される。雪が降っていれば何かしらライトは点滅させてるけど、この天候なので持っているライトを全てオンにした。

っていうか、天気予報外れすぎだろ…。いつもYahoo!天気を基本に見ていたけど、これはどう考えても「曇り」の範疇じゃない。軽い峠でも晴れてる東側に越えれば天気が改善されるかなと思ってたけど、むしろその逆だ。

街に近づくにつれて交通量も増してくる。こんな中を走るのは自分の安全のためにも、他のドライバーのためにも良くないし…。行動計画の見直しを強いられる。

 

3.危険な道路と判断ミス

ご飯を食べながら、Googleマップでいろいろ検索。

天気に関しては、丁度Twitterでフォロワーさんに教えていただいた「SCW-天気予報」というサイトが有用なのがわかったので、それを用いて雪雲の流れを時間ごとに把握した。

すると、結局は峠を越えて完全に道東エリアに出るまではこの天候が続くことが判明。明日以降になっても天候は回復しないようなので停滞は無意味。時刻はまだ10:00くらいなので、行程を考えても今日のうちに峠を越えておくのが良さそうだった。

おおまかにいうとルートは2通りあって、R274の日勝峠かR237の迂回ルートか。元はR237の予定だったが、距離が大幅に短縮できることと、峠の前の交通量がほぼ同じだったことにより、僕はR274を選択した。

正直、この降雪と交通量で車道を走行できるとははなから思っていない。登り区間は全て押し歩きするくらいの気持ちでいるので、距離が短くて早く脱出できた方がいい。R274は登りでトンネルが多いから、トンネルは脇の避難帯を押し歩きで安全に通過できる。しかも航空写真の画像では路側帯が広め。これまでそれほど積雪が多い場所もなかったので、そこそこ道路に余裕があるのではとも思った。

結論から言うと、この判断は間違いだった。トンネル帯までは読み通りの走り/歩きが出来たが、その先がダメだった。

路側帯はどんなに広かろうが除雪車が入らないので必ず雪が積もっていた。そして中央分離帯にも除雪されない雪がたまり、実質車1台分のスペースしか開いていない。しかも中央分離帯のせいでドライバーの方がラインを変えることが出来ないから、普通の道よりも危険。たとえ僕が路側帯にいたとしても、トラックはかなり近いラインしか走ることが出来ないのだ。

さらに風向きが峠の山頂側から吹き降ろす方向。それにより時折ホワイトアウトに近い真っ白区間が発生した。そしてその中を、大型トラックがかなりのスピードで次々と通過していく…。

車道に出るのは自殺行為&迷惑なので、路側帯をラッセル押し歩き。とはいえ歩けるラインの幅も狭まっているし、近くをトラックが走り抜け危険であることに変わりはない。路側帯の無い橋は、耳を澄まして安全なときに全力走行で通過。トラックが近づいてくる音はかなり遠くから聞こえるので、ある程度備えることが出来たのが救いだった。

厳しい何かに自分で準備しリスク背負って挑むのと、僕を知りもしない他人の行動に命を預けるのって、全く異なるもので。「冬なんかに自転車に乗る人間が言うな」と言われそうだけど、僕は事故を起こすのも起こさせるのも本当に嫌だと思っている。この状況の情けなさと申し訳なさで一杯になった。

 

4.助けて頂き何とか前へ

2時間ほど路肩を押し歩きし、日勝峠の頂上に着いた。ちょうどその時、前を走っていたミニバンが路肩のスペースに停車。おばさんが出て着て「ひどい天気だねぇ~良かったら乗ってく!?」と。基本的に自力を目指す僕だけど、今回ばかりはお願いをすることにした。

ダウンヒルも途中までは視界が悪いだろうし、あのスピードのトラックの流れには乗れない。同じく押し歩きが濃厚だけど、押し歩きだって安全とは言えないのだ。

峠の麓:清水まで送って頂いた。本当にありがとうございました。聞けば娘さんが旅をしていたらしく、何か同情をして頂ける部分があったみたいだ。「天気予報良かったのに不運だったねぇ〜」と共感して頂けたのが救いだった。

ここまで無事に来られたことに感謝、そして繰り返さないように対策を立てなくちゃな…。あそこではきっと、大人しく輪行するのが正解だった。

 

こうも失敗してしまうと「冬にチャリなんか乗るな」というのを身に染みて感じる。

たぶん僕のしている事は変わっているし、変わっている事をすると「迷惑」をかけやすい。事あるごとに「迷惑」という言葉を振りかざす人も少なくないので、時には「そもそもあんたの言う迷惑って何だよ?」という疑問も湧くが、一方で「一般感覚から言って、多くの人に悪影響を与えるのは良くないよね」というのも分かる。

そんな漠然とした「迷惑」にうしろ指刺される感覚は、こういう環境ほど強い。

自転車に乗っているといろんなドライバーに会って、ハザードをたいたり声をかけたりして応援してくれる人もいれば、執拗にクラクションを鳴らしたり幅寄せしてくるのもいる。そして多くの人は「迷惑」さえかからなきゃ無関心だ。

「僕は何をしているんだろう」

ふと冬空を見上げる。SCW天気予報の通り、雲ひとつない快晴だった。風はなかなか強いが、視界は良いし路面も良い。これなら十分安全に走れるだろう。

…日暮れをめどに先へ進む。ずっとここに居ても仕方ない。

陽が傾いてきた。

あの雲の中が峠区間。西風が強い影響か、本当に綺麗に天候が分かれるらしい。東北の日本海側と太平洋側の違いに似ているな。

明日は北海道で最も高い峠である三国峠と、3番目の石北峠を走る予定。本当に風が強いが、余力を残しておくためなるべく先へ進んでおきたいところ。

夕焼けに染まる空と雪面。写真で見ると夕焼けが凄く綺麗だが、実際は結構な強風なのでバイクが倒れないか心配なくらい。約25㎏という重量級バイクのお陰で何とかバランスを保ってくれている。

程なくして完全に日が沈み、綺麗な星空が現れていた。今日の寝床は道の駅の予定だが、日没からさらに風が強くなってしまったので風避けがないと寝られそうもない。うーんどうしようかなぁと思っていたところに、本日二度目の助け舟が現れた。

大丈夫~?寝るとこあるの??」

近くで農場を営んでいる方だった。大丈夫だけど、風よけが欲しいという事を伝えると、なんと使っていない牛舎を貸していただけることに…!

風よけどころか、屋根壁床まで揃った超豪華物件だった。もう本当にありがたい。ご厚意に感謝し、今日の寝床が決定。

その後お鍋いっぱいの温かいスープもご馳走になり、心も体も温まった。今までのライドのことや農場のことなど、いろいろお話をした。こういう機会ではいつも、僕の知らない世界があって、知らない生活があることに驚く。僕に興味を持ち応援してくれる方に出会えて、折れかけていた心をもち直せた。

自転車は道を走るものだから、他人との関わりは切っても切れない。その関係に潰されそうにもなるし、こうして背中を押されたりもする。

今までにも、全国各地で助けて頂いたこと、応援していただいたことがある。今までで印象的だったのは、四国でのこんな出来事だ。↓

今日は思わぬ所で2度も助けて頂いた。こんな僕だけど、助けてくださる方がいることに感謝して、明日もまた頑張ろう。

つづく

冬季北海道ライド&登山の各日の記録/まとめはこちら

走行距離:121km、獲得標高:2,081m

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