バイクパッキングでは有名なブランド:ブラックバーン。その大型サドルバック(正式名称は outpost seat bag)を僕は愛用していて、かれこれ1万キロ、ほぼ日本全国を走った。真夏の40℃以上のライドから、ー15℃以下の冬季北海道ツーリングまで。
そこまで使い倒してみて感じた、いいところ・悪いところをレビューしていきたい。
<目次> 1.サドルバックのスペック 2.良いところ ⑴防水性 ⑵ドライバックを外せる ⑶耐久性 ⑷拡張性 3.悪いところ ⑴揺れやすい? ⑵ジャージへの傷 4.使用例 5.まとめ
1.各部紹介
まずはスペックを簡単に。最近は大型サドルバッグもいろいろなブランドが出していて、そのサイズ感もまちまち。
・重量:500g
・容量:11L
・サイズ:L185mm X W165mm X H460mm
・価格:実売10,000円~
このブラックバーンのサドルバッグは、サイズ感としては最近の大型サドルバック中では一般的だろう。有名なApiduraなんかのサドルバックはサイズによって11L~17Lなのを考えると、どちらかというと小さいかも知れない。
重量は素材ががっちりしているのと、ドライバック取外し式のため多少重め…。
価格はそこそこいい値段だが、信頼のあるブランド品という事を考えるとそれほど高い訳でもないと思う。一応海外通販だと、1万円を切る値段で売っていたりする⇒Wiggle:Blackburn Outpost Seatbag
各部詳細
各部の紐には、余った末端を処理できる機能が備わっている。また、縛った後に紐が緩まないようにバックルには固定機構も。
ドライバッグが取り外せるのが特徴。付属のドライバックは結構縦長の形状で、根本付近は大きなもの入らない。生地は結構しっかりしている防水生地。
本体はがっちししたナイロン生地。何かに擦れたりしても簡単には破れたりしなさそうなくらいしっかりしている。内側が赤色なのがワンポイント?
左右にはブラックバーンのロゴがある。因みに本体のロゴはこの2か所だけ。
内部は赤で視認性が高い。ドライバッグを取り付けてしまうと見えない部分だけど、こういう裏地がカラーなのがちょっと好きだったりする。(笑)
本体の後ろ側にはパルスウェビングのようなテープが縫い付けてあるので、ライトやリフレクターなどを挟んだりぶら下げたりできる。
2.良いところ
⑴防水性
まずは防水性。大型サドルバックは数あれど、きちんと防水機能のある仕様の製品は少ないと思う。大体は「耐水」とか「撥水」とか書いてあって、防水ではないものばかりだ。この手のものは、正直言って使い勝手が悪い。
このブラックバーンのサドルバッグは、取外し式のドライバッグが付いているのでちゃんとした防水性がある。僕は基本雨でも走るし、台風の中を走ったりもしたけど、サドルバッグ内に浸水はなかった。
着替えやバッテリー類など、濡れては困るものが多いキャンプツーリングやロングライドにおいては頼りになる。
⑵ドライバッグを外せる
僕が一番気に入っているのが、ドライバッグ=荷物を入れる場所を簡単にとり外せること。
大型サドルバッグを使うという事は、当然荷物が多い。その出し入れをサドルバッグ本体をサドルに取り付けたまま行うのは至難の業である。また、サドルバッグは特にパッキングをうまくしないと走りに大きく影響するので、出し入れは正確にできなきゃいけない。
このブラックバーンのサドルバッグならドライバッグが取外せるので、パッキングが早くて正確だ。これはどんなライドにおいても本当に重要。
そして、宿泊やテント泊の際、着替えなどの荷物を簡単に部屋・テント内に持ち運ぶことが出来る。バイクパッキングでライドをするときにはバックパック等は持ってこないから、荷物の持ち運びが容易なのは大きなメリットだ。いちいち汚れたサドルバッグを外して持っていき、翌朝荷物の入った重たいバッグを取り付けて…なんて最悪だ。(構造的にドライバックは汚れない)
特にテント泊の時には、取り外せるメリットが最大限に生かされる。荷物は基本テント内に持ち込むんだけど、テント内は朝方結露で濡れやすい。ドライバックは濡らしたくない着替えや防寒具などを結露から守るのに一躍買ってくれる。普通のサドルバッグじゃそれ自体が汚れるので、サドルバッグをテント内に持ち込んだ時点でテント内を汚してしまうから使えない。
⑶耐久性
耐久性についても満足している。購入したのは約2年半前で、横浜~金沢~能登半島を走ったときに使用した。それから(正確には数えてないけど)1万km以上、雨や雪の過酷なライドでも使用に耐えてくれた。使用した主なライドは、九州一周、紀伊半島一周、東北縦断、北海道一周、冬季北海道ツーリング、冬季ビーナスライン等々…。
かなり酷使した今も、まだ使える状態になっている。現状一番ボロボロになっているのは、サドルレールに取り付ける部分のベルト。その次にシートポストと擦れる場所がボロボロになってきた。
構造上最も力がかかり、かつ擦れるのがここだから……まあ仕方ないかなとお思う。
それ以外には、使用上問題がありそうな箇所はない。もしこのベルトがダメになったら、適当なナイロンテープにバックルを縫い付けて使おうかなと思っている。
ドライバッグについては特に問題なく使えていて、穴が空いたり擦り切れたりは全くしていない。これなら普通に本体が壊れるまで使えそうだ。
⑷拡張性
リアライトの取り付けやギアの外付けにも対応しているのも評価できるポイント。本体の後ろ側にはパルスウェビングのようなテープが縫い付けてあるので、ライトやリフレクターなどを挟んだりぶら下げたりできる。
また、Apiduraのようなドローコードは付いていないけど、ドライバックグを固定するための紐が代わりにその役目を果たしてくれる。グローブやら鍵やらを使わないときに着けられるのがGood。
これは完全に主観だけど、いろいろ外付けしていると見た目的にかっこいいから好き。笑
3.悪いところ
⑴揺れやすい?
愛用しているこのサドルバッグだけど、実は買った直後はあまりに揺れまくるので後悔した。
これは他の大型サドルバックにも共通した欠点でもあるけど、しっかりと紐を縛っても取り付け角度やパッキングが悪いと揺れてしまう。このブラックバーンのサドルバックは、本体に揺れ防止の芯が入っていたりはしないので、他の製品に比べより揺れやすいのかも知れない。
今は便利な商品があって、こんなの⇧を使えば拡張性が上がるし、簡単に揺れを解決できるので良さそうではある。
僕の場合は①サドルレールに紐を2重巻きにして取り付けることと、②なるべく縦向きになるように取り付けることで解決した。どちらにせよ、何かしらの対策が必要になる可能性が高い。
二周巻きにするのは画像中央の縦の紐。サドルレールにぐるっと巻き付けるようにして取り付けると、振れは大幅に軽減された。
また、今では穴をあけてサドルレールにボルトオンしている。
サドルバッグのホルダーに穴をあけて、そこにミノウラのボトルケージマウントを固定。そのボトルケージマウントをサドルレールにホルダーと共締め固定することで、サドルバックのホルダーとサドルが一体化される訳だ。
安価なカスタムだけど意外といい感じなので、ご興味があれば。
⑵ジャージへの傷
これはポジションやライダーの癖による部分が大きいかも知れないけど、シートポストに取り付ける部分のベルクロが、信号待ちなどの時に右の内股に微妙に擦れる。そんなに長い距離じゃなきゃ問題はないけど、数千km走るとジャージの内側が擦れて傷ついてしまう。
ブラックバーンに限らず、他社のサドルバックも結局は同じような位置にベルクロがあるので避けられないのかも知れないけど、ロングライドをする方は少し気を付けてみて欲しい。
⇧このテープの端が擦れる。シートポスト径が27.2㎜だと恐らく擦ってしまう。太い31.8に滑り止めのゴムシートを被せた時は問題なかった。僕はこのまま使い続けてきたけど、もう切ってしまって末端処理するのがいいかもしれない。
4.使用例など
僕がこのサドルバッグを使うときはテント泊ライド等荷物が多いとき。パッキングの基本は重心を下げかつバイクの中心に寄せることなので、サドルバッグに入れるものはなるべく体積が大きく軽いものにしている(例えばシュラフや着替え)。
そしてパッキングの時に前側には重い物を、後ろ側には軽いものを入れるようにする。
また、スキマが無いようにピッタリと空気を抜いて使うのもポイント。そうすることによって揺れが軽減されるし、乗り心地もよくなる。空気を抜くときには、ドライバッグを取り外せるメリットを最大限に生かして、バッグの口を折りたたんで空気を抜きそのまま口を折り返して閉じるといい。
ドライバッグ以外のものも一緒に取り付けられるので、僕はいつもテントのポールを一緒に固定している。長さもちょうどいいし、フレームバッグと一緒に固定するよりも取り出し・取り付けが楽且つ早いので重宝している。
僕は持っていないけど、サイドの紐を使えば、キャンプツーリングが好きな人の憧れでもある(?)「サドルバックにチタンマグを取り付けるアレ」も出来る。
後ろのモールには基本的にリアライトを。重心が後ろになると良くないので、このくらいの小さくて軽いものがいい。次使うときにはおにぎりリフレクターを装備しようと思っている。
以前ライドをご一緒した方は、カラビナで輪行袋をぶら下げていた。後ろを走ってみたけど、カラビナ固定でも意外と安定しているのに驚いた。
ドライバッグが取り外せるメリットは、ゴミや臭くなった服などドライバッグの中に入れたくないものを持ち運ぶ時にも活きてくる。ドライバッグを本体に固定する前に、奥にその荷物を押し込んで、その上からドライバッグを固定するのだ。
そうすれば途中落下の危険もないし、バッグの中を臭くすることなく持ち運びができる。これが連日のライドではかなり便利。
輪行の時にも、ドライバッグだけを取り付けるメリットは大きい。輪行するときには当然サドルバッグを取り外す必要が出てくるけど、ブラックバーンのこいつならその作業が一瞬で済む。電車の時間で急いでる時にもいいし、輪行後再度パッキングするときにもいい。本当にストレスフリー。
5.まとめ
長々とレビューをしてみたが、総じてこのブラックバーンのサドルバッグはいい商品だと思う。欠かせない防水性や耐久性を備え、ドライバッグをとりはずせるという他にはない大きなメリットがある。
揺れをどう防ぐかが使用上最も困るところだが、先に挙げたようなサドルバックスタビライザーを付けたり、取り付け方の工夫次第できちんと使えるようになるはず。
1万円という価格は安くはないけど、オススメできる製品だ。
おわり