ディスクブレーキのロードバイクで、急ブレーキ後の『シャリシャリ音』に悩まされた経験はないだろうか?僕はシマノのディスクロードを使用していて、そのシャリシャリ音をずっと我慢してきた。
しかし、先日Twitterのおすすめでカンパニョーロのローターに変更したところ、そのシャリシャリ音がかなり改善されたのだ。今回は、その話を書いていきたい。
<目次> 1.シマノのローターは「歪む」? 2.カンパニョーロのローターを購入 3.取り付けた感じは問題なし 4.シャリシャリ音が激減 5.ブレーキフィールも好み
1.シマノのローターは「歪む」?
僕はかれこれ4年以上ディスクロードに乗っていて、ずっとシマノのブレーキ&ローターを使用していた。
ブレーキ性能自体には不満がなかったし、純正の組み合わせが一番いいだろうという思いや、シマノに対する安心なイメージから変更する気が起こらなかったからだ。
しかし、下りでハードブレーキをかけた後、少しの間『シャリ、シャリ、シャリ……』というローターがパッドに擦れている音がするのが気になっていた。
特に高速ダウンヒル⇒ヘアピンコーナー⇒登り返しをダンシング、というコースでは、必ずシャリシャリ音が鳴って不快だった。そのシャリシャリ音は一時的なもので、走っているうちにすぐ治るのだけど、数十秒でも気になるものは気になる。
それはどうやら、ローターが熱を持った時、一時的に歪みが生じているせいらしい。
歪みが生じているのはブレーキ面かアーム部分かは分からないけど、組付けやパーツの状態が正常なら、シャリシャリ音の正体はローターの一時的な変形が原因だと思う。音が鳴るとき止まって前輪を手で回すと、その様子が見て取れるはずだ。(あくまで素人なので、違ったら申し訳ないけど。)
シマノのローターは「アイステクノロジー」や「放熱フィン」等で熱対策がされているけれど、ハードブレーキの熱には耐えられず、一時的に変形してしまうみたいだ。
2.カンパニョーロのローターを購入
Twitterのフォロワーさんから「カンパのローターは歪みにくい」という話を聞いた。
ブレーキシステムでメーカーをごちゃ混ぜにして使うのに抵抗があったけど、どうやらローターを変更するくらいなら、さして問題は無さそう。
ものは試しにということで、カンパニョーロのローターを購入。
◎カンパのローターは2グレード
カンパニョーロのローターは2グレード展開で、名前に「03」が付いているやつが高グレード、付いていない「無印」が低グレードみたい。
ただ、この2つの違いが公式サイトを見ても分からない。重量も同じ(140mmが99g、160mmが120g)だし、商品画像の見た目も同じ。
カタログの説明文までほぼ同じ。(2022カタログより引用)
唯一の違いが、最後の一文「SEMI-FLOATING TECHNOLOGY」に、無印は「ON 140 mm DISC」が付くのみ。そもそも「セミフローティングテクノロジーって何?」という話だし、僕の手元にある160mmと140mmのローターにも違いは見られなかった。
結局、僕が購入したのは「無印」の方。
「03」と「無印」のローターの違いについて、Twitterで様々なご意見をいただきました。
少なくとも現在販売されているモデルでは、ローターのアーム(ハブとブレーキ面を繋ぐ部分)の形状が異なり、03の方が軽量に作られているように見えます。その他の違いについては不明だが、製品として差別化がされているようです。
◎「無印」のカンパローター
届いたら早速開封。
フロント160mm、リア140mmなので、それぞれ1枚ずつ購入してみた。
シマノの様な放熱フィンは付いていないけど、デザインがかっこいい。
シマノのローターは「厚さ1.5mm」が交換目安だけど、カンパのローターは「厚さ1.65mm」が交換目安。
東京大阪キャノンボール研究さんによれば、シマノの初期の厚みは1.8mmだそう。カンパはというと、実測で約1.8mmだった。この数字だけ見るとカンパの方が早く寿命が来そうなものだけど、すり減るスピードは違うはずなので使ってみないと分からないところ。
ともあれ、シマノのブレーキキャリパーが「1.8~1.5mm」を想定しているなら、カンパの「1.8mm~1.65mm」でも問題なく動作しそう。
◎実測重量が重い(公式スペックが間違い?)
先ほど書いた通り、公式サイトによれば「03」も「無印」も、ローターの重量は同じはず。
しかし、手元に届いた無印のローターの重量は、公式サイトのスペック表からは大きく逸脱するものだった。
実測重量と公称値は、以下のとおり。
・160mm:公称120g⇒実測154g ・140mm:公称99g⇒実測123g
海外ブランドだとよくあるイメージだけど、ネットに公表している数字が間違っているパターンだろうか?本当は「03」が軽量で、「無印」はこの重量に設計されているのかも知れない。
僕自身はローターの重さをさほど気にしていないから別にいいけど、流石にこの差はまずいのでは…と思う。
3.取り付けた感じは問題なし
さて、取り付けに問題は無さそうなので、普通に交換作業を。
固定方式はセンターロック。
カンパのローターも同じくセンターロック互換(AFS)なので、使っているホイールにポン付け出来た。
ロックリングも今まで使用していたものを流用。構造的に内セレーションでも外セレーションでも大丈夫そう。
通常のローターの交換と同じく、パッドの位置を初期位置に戻してバイクにホイールをセット。ブレーキパッドはかなり余っていたので、元から使っていたものをそのまま使用してみた。
室内と近所でブレーキ動作に問題なさそうなのを確認し、いざ実走へ。
4.シャリシャリ音が激減
どんなものだろうと期待しつつ、いつものコースを走ってみる。
普通のブレーキングが問題ないのは良いとして、やはり気になるのはハードブレーキ時の音鳴りだ。果たしてあの「シャリシャリ音」は消えるのだろうか…?
ダウンヒルで高速域を出してから、ギュッとブレーキ。そしてすかさずダンシング。
……と、音がしない!!
今までシマノのローターなら必ず音が鳴っていた区間を同じように走っても、カンパのローターだと音がしないのだ。仕方ないとあきらめていた音だったから、本当に感動ものだった。
ちょっと意地悪をしたくなって、あえてブレーキに負担がかかる(熱をもつ)かけ方をしたみたら、流石にシャリシャリ音が鳴った。
ブレーキングによっては100%鳴らないという訳ではないらしいけど、それでもハードブレーキでの音鳴りは、シマノに比べたら鳴りにくい。ライド中のストレスがまた1つ減って、嬉しい限りだ。
5.ブレーキフィールも好み
最後に、カンパのローターの感触を。シマノ以外のローターを初めて使ったけど、ブレーキの感触も結構違うのだと驚いた。
カンパの場合、シマノよりもローターにパッドが食いついている感じがするというか、じわりと効くというか。「カチッ」というより、「ギュギュギュッ…」っと効く感じ。
別に制動力が低い訳じゃなく、立ち上がりが弱い訳でもない。シマノでもカンパでも強力な制動力は得られるのは同じだ。ただそのMAXに至るまでの感触が、カンパの方が有機的な感触がする。
これは性能というより好みの範囲だろうけど、僕は結構カンパのローターの感触が好きだった。
素人の独自カスタムなのでおすすめするものでは無いけれど、ハードブレーキの音鳴りが無くなり、ブレーキの感触も好み。予想以上に良い結果となった。
この記事が、僕と同じ悩みを抱える方の参考になれば幸いだ。
おわり