サイクリング天国「伊豆半島」へ、ロードバイクで豪脚ぞろいのバイクパッキング・キャンプツーリングへと出かけた。
最高の天候に恵まれて、また以前からぜひ一緒に走りたいと思っていた方々にも恵まれ、山あり海あり焚火ありの、一切妥協のない楽しいライドが出来たと思う。今回は、そのキャンプツーリングの様子をつらつらと。
<目次> 1.ルートとパッキング 2.海沿いを快調にスタート! 3.稲取細野高原で夕焼け 4.焚火キャンプで楽しい夜 5.沼津でアタック合戦!
1.ルートとパッキング
まずは、今回のツーリングルートとメンバー、装備のパッキングからご紹介。
◎ルート紹介
舞台は静岡県伊豆半島。言わずと知れたサイクリング天国だ。
熱海からの海沿いに始まり、天城峠のループ橋や細野稲取高原など、魅力的な山間部も取り入れた至れり尽くせりのコース。合計で344㎞/3,333mUPとバランスの良いルーティングだ。
◎メンバー&パッキング紹介
ライド当日に移る前に、簡単に今回のメンバーとパッキングをご紹介。これがまた、ずっと実現したかったメンバーでなかなか集められない人が集まっている。
ご一緒するのは、たびたび当ブログにも登場している『りっけい』さんと、その友人である『さとる!』さん。
<りっけいさん> ・四国一周TT:1,007km/71h47m ・R7キャノンボール達成:515km/23h47m ・R8キャノンボール達成:557km/23h39m
今までも度々ご一緒しているりっけいさん。ブログ「りっけいのゆる旅」をはじめ、YoutubeやTwitterで活躍しているライダーさん。
普通ならDNFするレベルの精魂尽き果てるライドでの粘りと伸びが半端じゃなく、本当に頭のおかしいサイクリストの1人だと思う(もちろんいい意味で)。
<りっけい's Setup> ・バイク:Argon18/Gallium ・ホイール:Mavic/Cosmic Carbon Ultimate ・コンポ:Sram/eTap 11s & Shimano/Dura-Ace R9100 ・サドルバッグ:Apidura/Saddle Pack(9L)旧バージョン ・トップチューブバッグ:R250/Toptube bag ・ハンドルバッグ:Topeak/Front Loader(8L) ..etc.
ゆうに100万円は超えるレーシングバイクに、厳選したキャンプギアをパッキング。軽快な走行感を維持しつつも、焚火台まで用意しているバイクパッキングには感服だ。
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続いては「さとる!」さん。
<さとる!さん> ・四国一周TT:1,007km/71h47m ・R2キャノンボール達成:523㎞/23h45m ・フルマラソン:42.195km/3h13m44s
りっけいさん繋がりのガチ系ライダーさとる!さん。ブログ「さとるのガチ旅!」やTwitterをはじめ、レース系からファストロングライドまでオールマイティーにこなす妖怪ペダル回し。
今回のライドでも、いかにして「妖怪ペダル回し」と呼ばれるのかを存分に味わわされた……。
<さとる!’s Setup>
・バイク:Focus/Izalco Max Disc 9
・ホイール:Flcrum/Racing Speed 40
・コンポ:Shimano/Ultegra R8170 Di2
・サドルバッグ:Giant/Scout Seat Bag
..etc.
ハイエンドのレース機材「Izalco Max+Racing Speed」に、サドルバッグ1つの簡素な構成。本人が10L弱のザックを背負い、キャンプ装備をパッキングしている。
キャンプに関しては最近始めだした初心者ながら、余計なものを排した装備で軽快さを実現している。そんな姿勢もバイクパッカーとしての素質が高いと、しめしめと思う僕であった。(笑)
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最後に、僕のパッキング紹介も少し。
<S.K.(僕)> ・国道4号TT:536㎞/21h37m ・グラベルエベレスティング達成:9,390mUP285km/26h34m ・北海道一周野宿TT:2,460㎞/8d2h ・冬季北海道キャンツー:計2,600㎞
僭越ながら、僕も同じくご紹介。大した力じゃないけれど、こうしてみると何だかんだと走ってきたなぁと思う。
<S.K.'s Setup> ・バイク:Specialized/Roubaix SL4 Disc(2016) ・ホイール:3T/Discus Team C35 ・サドルバッグ:Apidura/Expedition Saddle Pack(9L) ・フレームバッグ:Apidura/Expedition Flame Pack(4L) ・トップチューブバッグ:Apidura/Racing Long Toptube Pack(2L) ・ハンドルバッグ:Apidura/Backcountry Handle Pack + Accessory Pocket ...etc.
僕のセットアップはこんな感じ。
Apiduraでガチガチに固めたけど、やっぱりApiduraは良いなと実感したライドだった。荷物の量が多いのは、ツーリング後に東京で用事があって、私服一式等もパッキングしているから。
本当は6Lくらいの軽量サドルバッグで軽快に行きたかった。。
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ここまで読んで頂ければ分かる通り、キャノンボール級(公道550㎞を24h以内に走り切る)を達成できる、希有なライダーが集まってのキャンプツーリング。
友人の少ない僕にとっては、本当に夢の様なメンバーでのライドとなった。
2.海沿いを快調にスタート!
伊豆半島の入り口、熱海駅に集合した僕たち。
手慣れた輪行解除をしつつ雑談を経て、いよいよライドスタートだ!
嬉しいことに、天気は最高な快晴。初冬の澄んだ空気に、真っ青な伊豆の海と青白い空が映える。
こんな中を、名だたるキャノンボーラー達と本気のキャンツーを出来るなんて……。まるで夢の中にいるかの様だ。
さとる!さんがレーサー気質なのも相まって、序盤から本気でぶっ飛ばす。
今までは本気で踏むと千切ってしまうことばかりだったから、振り返れば当然の様に付いてくるさとる!さんの脚力にビビりながらも興奮した。バイクパッキングのキャンプツーリングながらに、巡航速度は40㎞/hを越え、エアロポジションでゴリゴリ回していく。
……いや、こんなアップダウンばかりの伊豆半島を、走行も楽しみながらキャンプツーリング出来るのは、バイクパッキングスタイルならではの事だろう。
軽快な装備だからこそ、妖怪の皆さんが走りにも全力を注いで遊べる、懐の深さがある。急斜面を軽快に登っていく2人をファインダー越しに追いつつ、そんな事を想ったりした。
今回のセットアップでApidura率が異様に高いけれど、それもそうだと、公式サポートを受けている身ながらに軽量かつ防水な優位性を感じた2日間でもあった。
ときには撮影会を楽しみ、ときには本気で踏み倒す。
パワーメーターを付けているさとる!さんに随時パワーチェックをしてもらったけど、登りはベースを4~5倍で淡々とこなしていた。
こんなキャンプツーリングが出来るなんて、本当に夢の様だ。力を出し切ってもまだまだライドを楽しみつくせる、そんな仲間が居ることへの感動が止まらない。
もちろん、伊豆半島の景色は最高だ。
どこまでも深い青色を醸し出す海はいつまで見ていても飽きないし、その海を縫うように続くワインディングロードは、僕らの性癖に突き刺さる。何処を切り取っても楽しすぎて、濃く深い軌跡を紡いでいった。
昼食には干物屋の振る舞われているサバ定食。
驚くほど立派なサイズに、脂ののった甘みのあるサバの一夜干しだった。
3.稲取細野高原で夕焼け
今日のメインディッシュは、東伊豆で名高い景勝地『稲取細野高原』。
海岸線から一気に500m程かけ上がった先に広がる、涼風の吹き抜ける高原だ。
一旦キャンプ場に荷物をデポして、軽快になったところをヒルクライムしていく。
時にはスプリント大会をしたりしつつ、迫りくる日の入りの時間に間に合わせるために淡々と……。
無言の合図でスタートする僕とさとる!さんのバトルだけど、それを追いながらカメラを構えているりっけいさんが一番化け物説は拭えない。
ゆる…どこ?ゆるは? pic.twitter.com/3yAqW3uEmb
— さとる! (@rikusato37) November 13, 2021
標高を上げるにつれて、だんだんと森が深くなっていき、道も舗装されているんだか分からないレベルになっていく。ここまでガチガチに踏み倒した脚では辛さしかないけど、高原で見る夕暮れを目指して回していく。
……と、なんとか間に合った!!
夕暮れの高原を、遠く広がる太平洋まで眺めながら駆け抜ける。この心地よさったらない。
日中の青空の高原もきっと美しいのだろうけど、こんな斜光に照らされるススキの群れもまた美しい。
しばし撮影をしつつ、ここまでのヒルクラTTをたたえ合う。
遠く、風車がぐるぐる回る。
永遠に続きそうな黄昏時……気が付けばみるみる日は落ちて、風は肌を刺す冷気を帯びてきた。そろそろキャンプにしようかと、ダウンヒルとテント場へのヒルクライムをこなした。
4.焚火キャンプで楽しい夜
今回は、穴場的なキャンプ場にお邪魔した。
休日で予約いっぱいなキャンプ場が多い中、ほぼ貸し切りで利用させて頂いたこの場所。薪は無料だし、温水シャワーも無料と、至れり尽くせりなポイントだった。(利用したキャンプ場はこちら)
明るいうちに、全員が設営を完了している。
それぞれの攻めた軽量バイクパッキング装備で、U.L.なツーリングが完成している。
それでも、やっぱり欠かせないのが焚火だ。
更けていく夜を、酒と共にパチパチと燃えゆく薪を眺めて明かしていく。
今日も楽しい1日だったと、お互いを称えつつ乾杯。
こんな夜もまた良い。
各々ソーセージを焼いたり、ホルモンを調理したりと、つまみを作っては食べて美味しい。
意味不明なロングライドトークに花を咲かせながら、初日の幕は閉じていった……。
5.沼津でアタック合戦!
2日目。
夜明けは予報にない雨でしっとりと迎えたけれど、撤収をするうちに青空が広がってきた。
今日は西伊豆スカイラインを走る予定だったけど、高地の天候が思わしくなかったため沼津の海岸線にルートを変更。まずは天城峠から越えていく。
天城峠はぐるぐると巻いた特徴的な『ループ橋』で有名で、今回もそれが目当てであった。こんな道、なかなか走れるものではない。
実際に対峙してみると、そのスケール感というか、自然の中に忽然とそびえる人工物の美しさがそこにはあった。
登り切ったところでパシャリ。楽しいゆるゆるヒルクライムだった。
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さて、沼津で一息ついたら、新たなメンバーを迎え入れる。
さとる!さんと一緒に600㎞ブルべを走ってきた豪脚さん『UG』さんだ。
僕は完全な初対面だったけど、合流したときのライディング姿勢で分かる。この人強い人だ……。
「太ったんでw」とか言うその姿からして、ガチなライダーさんであることはよく分かる。特に、山岳TTとロングスプリントが強い系のPWR高い人だろう。
地元民であるUGさんの先導で、混み入った休日の沼津を抜けていく。こういう時、裏道を熟知しているライダーの存在は本当にありがたい。
……いや、向かい風の中、30㎞/h後半で淡々と回す背中は恐怖でしかないんですが。
河川敷にて、富士山をバックにパシャリ。 やっぱりりっけいさんは、いい一枚を撮ってくれる。
富士山も山頂付近は冠雪していて、その姿も威厳がある。残念ながら雲がかかりがちで全体を見渡すことは叶わなかったけど、やっぱり日本を代表する山だなぁと思ったり。
今年の冬も、できれば登りたいなぁと思う。
いつかの冬富士自転車チャレンジを、ひとり思い出したりした。
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UGさんが参加してからというもの、集団にまた緊張が走る。
キャンプツーリングで何をやっているんだと言われてしまいそうだけど、やっぱり楽しい伊豆半島なら、そして軽快なバイクパッキングなら、この位走らなきゃ収まらない。
繰り返される、無言の合図とアタック合戦。全員の心と身体が付いていけなくなって、初めて終わるゴールのない戦い。
そんな意味不明なライドは初めてしたけれど、これがまた面白過ぎる。
一旦千切れたと思わせてから先頭へ踊りでるUGさんは強いし、爆速のケイデンスで瞬く間に消え去るさとる!くんも半端なく、気が付けば抜かれそうになるりっけいさんも強い。こんな面白い勝負が出来るなんて……正直言って、先日のクリテリウムよりよっぽど本気で走っている。
Twitterで『伊豆半島でやけに速いバイクパッキングの人たちが居た』とつぶやかれるのも、無理はない……。笑
沼津の市街と富士山を眺め、一時まったりと。
こんな素晴らしいスポットを知っているのだから、UGさんには頭が上がらない。ルート案内、本当にありがとうございました。
そして、こんな絵になる1枚をさりげなく撮ってくれるカメラマンりっけいさん。脚力的にも趣向・スキル的にも、いい具合にマッチした人選だったと今更ながらに思う。
散々脚で語り合った後は、駿河湾に沈む夕日を眺め、夕食へ。
このUGさんおススメの夕焼けスポットも最高に良かった。
夕食は、僕の次の予定もあり簡単に行こうと沼津バーガーへ。
頂いた深海魚バーガーがまた美味しくて、そして各々から飛び出る意味不明なライドエピソードが面白くて、あっという間に時間は過ぎていった。
思い返せばこの2日間、熱海に集合して始まり、最高のロケーションを、最高の仲間と共に走ることが出来た。バイクパッキングのキャンプツーリングだからこそ出来る、そして僕より強い皆様とだから出来る、楽しい伊豆半島ライドだったと思う。
皆さんと惜しい別れをして、締めに東京⇒福島のクールダウンを経てライド終了。
心躍る1泊2日の伊豆半島キャンプツーリング、有難うございました。
おわり