ツーリング記

1月の三国峠ヒルクライム&糠平湖!冬北海道最後の夜ー2021冬北④

この旅一番の冷え込みから始まった今日。

冷え切った朝を乗り越えたのちには、北海道で最も高い峠「三国峠」のヒルクライムに凍結した糠平湖へと、この旅路もクライマックスだ。放射冷却よろしく天気は晴れ。心残りのない様に思い切り楽しんだ。

<目次>
1.-20℃を下回る朝
2.いざ最も高い峠へ
3.夕焼けダウンヒル
4.凍った湖畔でキャンプへ

1.-20℃を下回る朝

天気予報の通り、どんどん気温は下がっていった。放射冷却で冷え込むらしく、日の出前後の7時くらいが最も寒い時間だった。

予報よりも気温は下がっていって、朝5時半くらいでも既にー21℃を下回る。この位になると、ー10℃あたりとは全く違った寒さが体に染みた。

ともあれ、僕は少し嬉しかった。今回のライドの目標である「快適な旅をすること」の重要なポイント『寒い夜にもぐっすり眠る』を達成できたからだ。増強した就寝用装備とカイロのお陰で、この気温の中でもぬくぬくと寝ることが出来たのだ。

以前北海道ライドを行った時にも同じくらいの冷え込みはあったけど、その時は寒くて何度も目が覚め、身体を温めなおして寝てはまた目が覚め……の繰り返しだった。

それが今回は全く違い、ちゃんと寝たいだけ寝られる。こうして準備してきた装備がばっちり狙い通りにハマると、すごく嬉しいし楽しい。

例のごとく日の出前に出発。バイクも霜でガッチガチなので、パッキングしながら霜を払っていく。こんな凍り付いたGarminだけど、これでもちゃんと動作するんだから凄い。

白んできた空を見やりながら、ライドを開始する。が、あまりの寒さ……特に脚先の冷たさ(というより痛さ)に、すぐに止まってしまった。

今回のシューズは今までの登山靴とは違い、-10℃対応のSPDシューズ「Northwave:Raptor Arctic GTX」に、ネオプレンのシューズカバーをかぶせたもの。-15℃くらいまでなら大丈夫だったけど、その先さらに7℃ほど下がるとさすがに無理の様である。「ああ、これは凍傷になるわ」と悟った。

仕方がないので、寒さに悶えて走りつつ、適宜止まって腿上げと筋トレで身体を温め……の繰り返し。普段なら自転車のこぎ方で体温を調節できるけど、今はペースを上げると身体が暖まる前に冷え切り凍ってしまう。こんなの初めてだ。

――と、日が昇った。

『あぁ。なんて綺麗なんだろう』

放射冷却で冷え切り澄んだ空気のせいか、ものすごく綺麗な朝日だった。今まで冬の北海道で見た朝日の中でも、一番綺麗な日の出である。

まだ川にも凍っていない水が流れているのだろうか。凍った川を朝靄が流れていく様は、息をのむほど美しい。

赤く燃える空とは対照的に、気温は全てを凍らせる寒さである。美しい朝日に見とれつつも、身体は正直で冷気に痛みを感じていた。早く太陽が高く昇って気温を上げてくれることを祈りながら、走っては筋トレを繰り返しながらゆっくり進んでいった。

 

 

2.いざ最も高い峠へ

山間を抜けて街につく頃、気温はー10℃ほどまで上がってきた。この位になると、強張っていた身体も緩んでくる。こうしてタイピングしている今思うと異常な気温感覚だけど、こうして人は慣れていくのだろう。

この先は北海道で最も高い峠『三国峠』へ向かう。そのままキャンプもしてしまう予定なので、このあとまる24時間ぶんほどの食糧を買い込んだ。

荷物にするくらいなら胃袋に詰め込んでおきたいので大量のご飯を食べていると、おじいさんが「これ飲みながら頑張れよ~」とドリンクの差し入れをくれた。この旅で初めて人と話した気がするけど、やっぱりこういうのは嬉しいもんだ。

ただ、今でさえ気温は氷点下二桁……。持っていこうにもすぐ凍ってしまうし瓶は厄介なゴミになる。笑顔で手を振った後、2本とも一気に流し込んで出発した。

三国峠へヒルクライムする前に、糠平湖にも立ち寄る。ここは冬は全面凍結するので、湖の上も歩ける(積雪が無ければ走れる)ポイント。

期待通り凍っていて、ワカサギ釣りの方もちらほら見えた。去年来た際は積雪が少ない場所なら走れたんだけど、今回は雪が深くて走るのは到底無理だったのは少し残念。

そして、何より風が強かった。

どこかにテントを立て荷物をデポして三国峠に向かおうかとも考えていたけど、どうも状況はそれどころじゃない。僕の使っているテントは正確にはテントと呼べない代物で、簡易的なシェルターでしかないから風にはめっぽう弱かった。

荷物を軽くしてヒルクライムをしたかったものの、ここは諦めて三国峠へ進むことにした。

三国峠は北海道で最も高い峠だが、そこへ至る道のりはあまり峠らしくない。というのも、急な斜度の坂はあまりなく、それ故景色も変化に乏しく、ひたすら緩い登り坂が数十㎞にわたって続くのだ。

この日は向かい風だったのもあり、この道は結構しんどかった。苦し紛れにRidefarrのエアロバーを持ちながら走るものの、やっぱり強烈な向かい風には敵わない。

せめてもの救いは、路面に積雪がなく綺麗なアイスバーンになっていたこと。スパイクのピンが良く効くので走りやすく、平らに凍っているから抵抗も少ない。理想的な路面だ。

ただそれはスパイクタイヤの自転車にとっての話であって、時折通る車は事故の危険が高くておっかないし、こうして写真を撮るときには転びそうで仕方ない(というか転んだ)。

なだらかな坂で徐々に標高を上げていき、遂に峠もクライマックス。この辺りまで来るといよいよ「北海道で一番高い峠」らしくなってきて、一気に眺望が開ける。周りの山々が見渡せるが、そこには道路も無ければ人もいない。独りぼっちの最高峰だ。

高度感が増すと雰囲気はどんどん冬山のそれに近くて、吹き荒れる風や視界を奪う舞い上がった雪とガスなど、登山をしているのかサイクリングをしているのか分からなくなる感覚に陥る。この感覚をまた味わいたくて今年も着てみたけど、やっぱり楽しい。

そしてゴール。長い坂道の先の最高峰は、やっぱり達成感があって良い。

せっかくなのでガスが晴れて景色が良くなるのを待ちたいところだけど、身体が冷える前に下らないと寒さで酷い目にあうから、フリースを着込んで写真を撮ったらさっさと退散した。

 

3.夕焼けダウンヒル

今日はだらだら走っていたのもあってか、時刻は既に夕暮れ時。

本当はもっと早く走り終える予定だったものの、これはこれで趣があっていい感じがしてきた。今日は残り下るだけだし食料もたくさんあるので、何というか宴会気分で調子よく走れる。

いやあ、綺麗だ。登るときは真っ白で見えなかった遠くの稜線がはっきり見える。

この冬北海道旅、あとは今夜キャンプをしたのち、帯広まで早朝にサクッと走れば終わり。ここに至る道程も思い描きながら、なだらかな傾斜に合わせてゆっくり下っていく。

だんだんと、山が赤く染まっていく……。

雄大な自然を感じながら走るこの道は、冬北海道の締めにふさわしい。相変わらずの風が路肩の雪を舞い上げ視界が霞むが、それもまた一興か。

夕日は淡々と沈んでいき、辺りは闇に変わっていく。

風が雲を吹き飛ばしてくれたおかげで、空は快晴になってきた。「今夜は星が綺麗かな」なんて期待を込めて、キャンプ地へと向かっていった。

 

 

4.凍った湖畔でキャンプへ

夜半になると風はピッタリと止んだ。先ほどは強風で設営が出来なかったが、今なら全く問題なさそうだ。

設営地の雪を踏み固め、シートを敷き、シェルターを組み立てていく。ヘッドライトの明かりが頼りだが、辺りが雪で真っ白なので明るく、設営環境は良好だった。

設営の後は夜ご飯。お湯を沸かしてインスタントご飯をこしらえる。凝った料理は苦手な僕には、これはピッタリなご馳走だ。

流石に低温でお湯が沸くのに時間がかかるけど、ガス缶を工夫したお陰でレギュレーターなしのジェットボイルでもちゃんと沸かすことが出来た。

1つを食べているうちに冷めてしまっては元も子もないので、時間差でお湯を作り注いでいく。完成までのタイムラグを利用し、1つのパウチを湯たんぽ代わりにして身体を温めながら、出来上がったもう1つをかき込むと完璧だ。(笑)

暖かいご飯がある。それだけで幸せと感じられる。ツーリング中は、本当に幸せの敷居がぐんと下がっていく。

おやつを食べながら、ストレッチをしたり想いに耽ったり……。この時間もまた幸せ。自分でもこの何が良いんだか分からないけど、これはこれで楽しいと思ってしまうんだよなぁ。

さて、お腹が落ち着いてきたころ、星も綺麗に輝きだした。せっかくだし写真を撮って遊んで、この旅を締めくくろうか。

つづく

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