2021年モデルから日本展開が始まったブランド『Bombtrack(ボムトラック)』。そのロングライドやグラベル、ツーリング用のバイクであるAudax(オダックス)が我が家にやってきた。
今回は、スペックの紹介や簡単なインプレを書いていきたい。
<目次> 1.Bombtrackって? 2.Audaxのスペック 3.各部詳細 4.簡易インプレ
1.Bombtrackって?
はじめに、Bombtrackというブランドについて簡単にご紹介。
『Bombtrack』は日本では現在マイナーだが、海外では人気と実績のあるドイツのブランド。ロードバイクからMTBまで幅広く手掛けていて、特にオフロード系に強い印象がある。
同社のグラベルバイク『Hook』は、著名な海外サイト『Bikepacking.com』で2019年に「Bikepacking Awards」の「Gear of the year」に輝いているほど。
そして記事を書いていくにあたって、一つお断りを。ありがたいことに、僕はこのBombtrackのアンバサダーに就任し、このAudaxもご提供を受けているバイクだ。とはいえ、僕は今までと変わらすいい点・悪い点を正直に書いていくし、そこはご了承済みであるという事をお伝えしておきたい。
2.Audaxのスペック
さて、では早速Audaxのご紹介に移ろう。まずは大まかなスペックから。
・フレーム:コロンバス クロモリチューブ、カーボンフォーク ・コンポ:R7000系油圧ディスク105 ・ホイール:WTB ST i25リム(650b)、Bombtrackハブ(F:12*100,R:12*142)(6ボルト) ・重量:10.8㎏(公称) ・価格:298,000円(完成車)、128,000円(フレームセット) ・公式サイトはこちら
Audax(オダックス)という名前は、ブルベを走る方ならピンとくる響きなはず。というのも、あの長距離サイクリングイベントであるブルベを英語でいうと「Audax」だからだ。
Bombtrackが手がけるAudaxというバイクも、正にその名の通り過酷なロングライドをこなすだけのスペックを兼ね備えたバイクである。ジャンルでいうなら、「オールロード」とか「グラベルツーリング」あたりだろうか?
2021年のAudaxシリーズには、クロモリフレームの『Audax(このバイク)』と、アルミフレームの『Audax AL』の2展開がある。カラーはどちらも1色のみで、Audax ALの方はブルーとシルバーを合わせたようなカラー。
完成車のパーツ構成はAudaxの方がハイスペックになっていて、シマノR7000系105が基本。一方ALの方はmicroshiftのコンポが使われているという珍しい構成。
詳しくは公式サイトを参考にしていただきたい。(↓)が日本語版(英語版はこちら)
3.各部詳細
では、各部の特徴的な部分を画像と共に詳しく見ていこう。写真のバイクはMサイズ。
・フレーム、フォーク
フレーム素材はコロンバス製のクロモリで、乗り心地や耐久性、拡張性に富んだものになっている。
ダウンチューブの『Bombtrack』ロゴはグラフィックが良い感じ。トップチューブ上に刺し色のペイントと、『Audax』の文字が。こういうアクセントも含めて、なかなかカッコいいバイクだと思う。
ケーブル類は外装でフルアウターになっている。メンテナンス性が高く嬉しい仕様。
シートステーにはコロンバスのロゴ。さりげなくてかわいい。
フレーム各所にはダボ穴が用意されていて、
・シートステー&リアエンド(キャリア用) ・シートステーのブリッジ&ダウンチューブ裏(泥除け用) ・シートチューブ内(普通のボトルケージ) ・ダウンチューブ内(トリプル仕様) ・ダウンチューブ下 ・トップチューブ上(ボルトオンバック対応) ・フォーク横 ・フォークコラム付近の裏(泥除け用?)
……と、こうして書きだしてもかなりの量。昨今のバイクでは、ダボ穴の網羅性はトップクラスだろう。
フォーク素材はカーボンで、コラムは剛性の高いテーパー、ブレードには左右に3つのダボ穴が用意されている。バイクパッキングで便利なフォーク横にドライバック等をくくるスタイルに対応する。また、コラム付近の裏側には泥除け用のダボ穴も用意されていた。
ブラックを基本としつつも、刺し色のラインやフォークブレード内側の『Bombtrack』のロゴがカッコいい。
・タイヤ周り
続いては足回りをご紹介。
タイヤサイズは650b*47cが付属し、フロントはWTB:Byway、リアはWTB:Holozonという豪華な仕様。オンロードでの快適性とオフロードの走破性を両立している。
最大でフロント650*50c/700*35c、リア650*47c/700*35cに対応している。
650*47cでこのくらい。MAX50cらしいけどもうちょい入りそう。
最もクリアランスがタイトなチェーンステー部分。確かにここは650*47cがギリかも。
700*40cも試しに履かせたけど、幅はOKだったけど直径が大きすぎるらしく、シートステーのブリッジにタイヤが擦ってしまった。
ホイールは、WTB:ST i25リム(650b*内幅25㎜)、Bombtrackハブ(F:12*100、R:12*142スルーアクスル)(6ボルト)、という構成。特別軽量という構成ではないけど、普通にストレスなく使えると思う。
Bombtrackオリジナルのハブ性能は分からないものの、回転はスムーズだし特に問題なし。ちょっとビックリだったのが、フリーのラチェットが36Tだったこと。オフロードで細かく踏みなおしたり低速走行したりするときにノッチ数が多い方が良くて、完成車ながらに使いやすいと感じた。
・コンポ系
コンポは油圧ディスクのR7000系105が基本。STIやFDをはじめ、ブレーキキャリパーやスプロケなども105で2*11速だ。ギアの歯数は、チェーンリングが48-32T、スプロケが11-34T。
クランクセットとRDは105と異なる。クランクはBombtrackオリジナル(BCD104㎜のスラム互換、M30スピンドル)で、歯数は48-32TとRX800シリーズのGRXと同じ構成。BB規格はT47。
そして、RDはシマノのRD-RX800GSが用いられている。こちらはGRXが出る前にシマノがグラベル向けにアルテグラの派生?として11-34Tスプロケと共にリリースしたRDで、チェーンのバタつきを抑えるスタビライザーがついているのが大きな特徴だ。
スタビライザーはオフロードでのチェーン落ちやフレームへの傷防止に一躍買ってくれる重要なパーツ。意外とこれが付いていないロード用RDを使っているグラベルロードも多いけど、相当チェーンが暴れるのでこのパーツチョイスはありがたい。
使用コンポはGRXではなくロード用ながら、歯数も機能もGRXに近いアッセンブリになっている。
・その他
ハンドル、ステム、シートポストは豪華にリッチーで統一されている。
ハンドルはRITCHEYのCOMP STREEM III。5°のバックスウィープが付いているモデルで、フレアはない。オフロードを意識するならフレアハンドルが一般的だけど、ここは「オールロードバイク」らしい構成なのだろうか?
ステムは同じくRITCHEYのCOMP 4-AXIS 44 forged aluminium。
シートポストはRITCHEYのCOMP 2-BOLT aluminium seatpost、27.2 mmだ。サドルはBombtrackオリジナル。ここはお好みで交換してもいいポイントだと思うけど、意外と軽量なのに驚いた。
4.簡易インプレ
続いては、Audaxに乗ってみた感想を、取り急ぎ簡単に書き留めておきたい。
僕はロードバイクとMTBを数台所有しているものの、グラベルロードは初めてだしクロモリフレームも初。だから客観的に評価をするのは凄く難しいんだけど、僕なりのファーストインプレッションを素直に書いていく。
まず乗り出して驚いたのが、舗装路の走りの軽さ。バイク自体は10.8㎏と決して軽くはないものの、実際に乗っているとさして重量は感じなかった。
勝手に「走行感はロードバイクとドロハンMTBの中間くらいかな?」と思っていたけど、実際はロード:MTB=7:3か6:4くらい。
僕が楽しく乗ってるせいかも知れないけど、登りも踏んだ時の回る感じが強い。純粋にタイムを比較したらロードの方が早かったんだけど、走っているときの軽快感はロードとは違ったベクトルで強かった。MTBでヒルクライムはいやだけど、Audaxは不思議と楽しい。
そして650b*47cタイヤの面白さ。付属するタイヤがWTBのBywayとHolozonというセットなのもあってか、よく転がりグリップして乗り心地もすごくいい。フロントのBywayはサイドのノブが雪や泥でもグリップしてくれて滑らないし、リアのHolozonはオンロードでの快適性が非常に高い。
乗り味は、まるでバランスボールに乗っているかの様なエアボリューム感。舗装路の凹凸なんて、もはや気にならない。グラベル:いわゆる砂利道でも、十分快適。
フレームについては、初めてのクロモリなので評価が特に難しい。けど何というか、Audaxはカーボンやアルミロードの感触より『優しい』感じ。
踏んだ瞬間の硬さについては、フレームもフォークも、少なくとも僕のカーボンロードであるルーベSL4より硬く感じる。特にエンド周りなど末端の感覚ほどカッチリ感が強い。それでいて、ガツンと来る振動が自分のイメージより小さいのが面白い。
これはタイヤの特性など他の要素に大きく影響されるはずなので、じっくりと味わっていきたいと思う。
ジオメトリは僕のメインロード:ルーベSL4に近いのもあってか、操作感やポジションは自然な感じで扱いやすい。
ややヘッドが寝てホイールベースが長いので下りも安定して怖くないし、それでもステアリング操作の感覚もなじみやくオンロードで使う分にも走りやすい。そのあたりも好印象だ。
と、いろいろと書いてはきたけど、インプレを一言でいうなら『乗ってて楽しい』というのに尽きる。(笑)
それは「走り自体が良い&面白いから楽しい」というのもあるし、「ライドの選択肢が増えて楽しい」というのもある。
舗装路では路面を気にせずストレスフリーで走れるし、スピードも十分に出てヒルクライムも嫌じゃない。林道に入っても、ガシガシ未舗装路に突っ込んでいって遊べる。快適で楽しいライドをするには最高の相棒な予感がする、まさに『オールロード』バイクだ。
少し余談だけど、Audaxという名前の通りブルべも十分走れるだろう。さすがにキャノボの様なファストロングはロードバイクがいいけど、グロス15㎞/hでいいブルべならAudaxの方が快適で面白そうだ。
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以上、Bombtrack:Audaxのご紹介を簡易インプレを書いてみた。まだまだ乗り込んでいかないと見えない部分も多いと思うけど、ひとまずいつものロードコースとMTBコースを走ってみた感じをまとめている。
アンバサダー云々の話は置いておいて、素直に走っていて楽しいと思う。同社のHookが来るまでの”つなぎ”的なサポートを頂いたバイクではあるけど、既に気に入ってきているほどだ。(笑)
この記事が、少しでも参考になれば幸いだ。Audaxの日本語ページはこちら(↓)
おわり