サイクリングの便利装備「トップチューブバック」。様々なブランドから商品が発売されているが、その使い勝手はピンキリだ。
今回は、トピーク(Topeak)から発売されているTry DryBag(トライドライバック)のレビュー。実のところ、僕のバイクや使い方と相性が良くなかったらしいので、その部分を中心に書いていきたいと思う。
<目次> 1.製品概要 2.各部詳細 3.微妙だったところ 3-1.ベルトがイマイチ 3-2.膝に当たるしズレる 3-3.ステアリングに干渉する 3-4.蓋が上手く閉まらない 3-5.左開きで使いにくい 4.良いところもある 5.まとめ
1.製品概要
トピークは工具やバック、携帯ポンプなど、数多くの自転車ギアを発売する大手ブランド。自転車小物を手掛けるメーカーではかなり有名な方だろう。バイクパッキング用品も一通り発売していて、様々なサイズを選ぶことが出来、路上で見かけることも多い。
この記事でご紹介するのは「Try DryBag(トライドライバック)」だ。大まかなスペックは以下の通り。
・サイズ:L145 x W47 x H128mm ・重量:65g ・容量:0.6L ・カラー:ブラック ・素材:420D & 840D防水ナイロン(超音波溶着) ・価格:2,700円(税抜き)(Amazonはこちら) ・トピーク公式サイトはこちら
その名の通り防水仕様のトップチューブバックで、縦に高く細長い形状が特徴。内容量はそれほど多くはないが軽量で、同社のトップローダーに比べてレーシーなイメージ。トップローダーがバイクパッキング用なら、こちらのTry DryBagはレースの補給用という感じだろうか?
2.各部詳細
続いては、各部の詳細を見ていこう。全体像はこんな感じ。
左側(↑)と右側(↓)
本体は防水ナイロンで、圧着仕上げで作られている。
本体右側にベルクロのふわふわ面が付いているのは、余った固定ベルトをくっ付けるためのもの。
底面から見るとこんな感じ。2本のベルトのうち、ヘッド側のベルトだけが本体と取り外せる仕組み。このベルトはバイクや他のバックとの相性によって位置を付け替えることが出来て、上の画像でもう一つ右に移動させても使用可能。
トップチューブバックはジッパーで開閉するものが多いけど、Try DryBagはベルクロで固定されている蓋を開けるタイプ。
上の画像だと左下がヘッド側で右上がサドル側。つまり右側にガバッと開く形になる。画像の左上にある蓋の出っ張りは「Topeak」のロゴの部分で、開け閉めの際に引っ張りやすくなっているのだろうか?
中は視認性を上げるため黄色になっていて、中仕切りも付属。
仕切りは左右にベルクロが付いていて、これを本体の壁にくっ付けて固定する。普通に引っ張ればとれるし簡単に付け替えられるちょうどいい固定力。
サイズはiPhone8がピッタリ収まるくらい。最近のスマホはもっと大きなものも多いから、ひょっとすると入らないかも知れない。ストレージが直方体なので意外と詰め込むことが出来るが、長さが他のトップチューブバックに比べて短いのに注意だ。
3.微妙だったところ
さて、残念ながらこのTry DryBagは僕には合わず微妙な結果に終わってしまった。その理由を5つ挙げていきたい。1つ断っておきたいのは、僕の使用環境でそうなっただけで、必ずしも同じになるとは限らないということ。「ふ~んそんな見方もあるんだ」くらいに留めて頂きたい。
因みに使用バイクはスペシャライズドのRoubaixSL4、ちょっと前のカーボンロード。
3-1.ベルトがイマイチ
何と言っても、このベルトがどうもしっくりこない。
まず細くて滑り止め加工が無いから、固定力が低い。本体裏には一応滑り止めの様になってはいるけど、ベルト側がツルツル&細いので総合的なホールド力は今一つ。
さらに、固定できるパイプ径も微妙。Topeakの公式仕様によれば
・ トップチューブ 取付可能径 : Ø38~52mm ・ ヘッドチューブ 取付可能径 : Ø34~75mm
と記載されているが、実際は
・ トップチューブ取り付け「不可」 : Φ45㎜前後 ・ ヘッドチューブ取り付け「不可」 : Φ50㎜前後
である。(↓)の写真のように、ベルクロが付かない区間になるので特定の範囲は取り付けが出来ないのだ。僕のバイクヘッド周りがちょうどこのくらいらしく、ピッタリと固定出来ない。
3-2.膝に当たるしズレる
本体は幅が47㎜とかなり狭く、膝当たり対策も十分かと思われる。しかし、蓋をかぶせる構造のせいで蓋部分が本体よりもはみ出し、実際の最大幅は55㎜ほどになる。
55㎜でもまだトップチューブバックの中では狭い方で僕はシッティングなら当たらないはずなんだけど、先ほどの「ベルトでカッチリ固定できない」せいで左右どちらかに傾いてしまい、結局左右どちらかの膝に当たるという残念な結果となる。
そーっと真っ直ぐになる様に固定しても、Try DryBagは高さがあるのでダンシングでは膝に当たり、その時にまた傾く。
(↑)傾くとこんな感じ(画像右)。流石にこれだけ右に傾くと膝に当たる。
3-3.ステアリングに干渉する
多くのトップチューブバックは、コラム部分にピッタリと沿うように、ヘッド側が斜めにカットされた構造になっている。
しかし、Try DryBagはこのカットが無く長方形に。更にヘッド側のベルトは低い位置に付いているから、ベルトを締めると余計にバックの上側がステムの辺りに押し付けられ、バックのズレにも繋がるしハンドル操作にも影響してしまう。
当然ながら、トップチューブバックはこのヘッド部分のベルトをしっかり締めないと、トップチューブバック上でくるくる回る方向にズレてしまう。だから出来るだけきつく締めたいんだけど、例によってきつく締められない……うーん。
(比較画像はR250の防水トップチューブケース)
3-4.蓋が上手く閉まらない
防水性を保つため、蓋はそれなりにピッタリ締まる様になっている。バイクから外した状態で開け閉めする分にはちょうどいい遊び間に思われるんだけど、実際にバイクに取り付けて開け閉めすると上手くいかないことが多い。
こんな風にふたの側面が引っかかって、中途半端に閉まる様になってしまう。
別にこれで中身が落ちないなら問題ないんだけど……路面のギャップで補給食を落としてしまったので、ピッタリ締めないとダメみたい。毎度蓋を閉める度に面倒くさい。
3-5.右開きで使いにくい
蓋が開く方向が右側なので、中身を左手で取り出すのに適している作り。これは使い手次第な部分だけど、僕は右手で取り出したいから使いにくかった。
特に先ほど書いた蓋が上手く閉まらない問題があるから、利き手でない左手で操作すると余計に難しいと感じた。いや、本当にここは使い手次第なんだけど……。
4.良いところはある
ここまでネガティブな意見をたくさん書いてしまったけど、どうしようもないという程使えないものじゃないとは思う。
短いボディはフレームサイズが小さい方にも使いやすい(逆に長いバックは降車時に股に当たる可能性が高い)し、幅が狭いので固定さえクリアできれば膝当たり問題も起こりにくい。ジッパーが無いから「大事なものを入れていたのにジッパーが壊れて濡れたor落とした」みたいな事故も起きにくいだろう。
真っ黄色のバック内部も視認性抜群で、小物を入れてもすぐに見つけやすく良く考えられていると思う。トップチューブバックとして軽量な部類であることも忘れてはならない。
5.まとめ
残念ながら諸々の設計が僕や僕のバイクには合っていなくて、実戦投入は殆どせずに終わってしまったバックだった。
まさに『Not for me』という感じ。良いところもあるからバイクのパイプ径や運用の仕方によってはいいなと思うけど、僕と同じような状態になる方もそれなりにいらっしゃると思うので、ご購入の際はご注意を。
おわり
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