ツーリング記

ロードバイクで1日400㎞/獲得6,000mライド!栗駒高原とグラベルを巡る①

宮城・岩手・秋田にまたがる栗駒山。登山として有名な山だが、その周辺にはサイクリングに気持ちがいい高原ヒルクライムがあった。

前々から行きたいと思っていたところだったので、グラベルや周辺の気になる場所を絡めつつ、400㎞/6,000mUPの1Dayロングライドを楽しんでみた。

<目次>
1.走ったルート&装備
2.いざ出発!
3.栗駒高原3peaks
4.グラベル遊び(後編へ)
5.銀山温泉回って帰宅!(後編へ)

1.走ったルート&装備

まずは走ったルートをご紹介。Ride With GPSでは距離400㎞ちょい、獲得標高が6,600m。Ride With GPSでは10%くらい獲得標高が盛られて表示されるらしく、実走では6,000mちょっとだった。

久々のロングライドにしては、なかなかのコース。というか、400㎞以上のライドで獲得が6,000mを越えるのは初めてかもしれない。少し前にエベレスティングで9,000mくらい登ったお陰か感覚が壊れてきたけど、400㎞のロングライド中に登るのはまた違った大変さがある。

しかも、途中の200㎞弱、獲得4,200mくらいは補給が出来ない区間。いや、本当は自動販売機くらいはあるんだけど、新型コロナのこともあって営業を信用していないのと、無補給で自分がどれだけ走れるか試してみたいというのもあった。

無補給で半日くらい走る為に、装備もいろいろと思案。WolftoothのB-RAD4と自作マウントを使って、ボトルは3本体勢に。サドル下にはスキーストラップでナルゲンボトルを固定して、合計3.1Lをバイクで運搬できるようにした。

さらに、フロントバックとステムポーチ、トップチューブバックの7割くらいを補給食用スペースに。このくらいあれば大丈夫だろう。

この前三角に詰め込まれた感じ…もう最高!

自分のライドに最適化されたバイクパッキングって、凄くカッコいいと思う。実際に走ってみても、重心が中央かつ低くまとまっているので凄く走りやすい。ローハイトなトップチューブバックも、ダンシングをしても膝に当たらないジャストサイズ。いくつものトップチューブバックを購入し、やっとこれにたどり着いた。

その他もろもろ、新装備を追加。タイヤはミシュランのPower Endurance。転がりは僕のお気に入りのVittoria Corsaより劣るけど、路面の大きめのギャップの衝撃を良く吸収してくれるし、グラベルを走ってもタイヤが石にはじかれないから走りやすい。グラベルを3本走る予定の今回は、この位の方が総合的に良いだろうという判断。

 

2.いざ出発!

さてさて、準備を整えていよいよ出発!暑い時間は標高が低いところを走りたくないし、交通量の多い道は深夜に通過したいので、家を出たのは00:00過ぎ。

深夜の国道は凄く快適だ。山間部に入るまではド平坦なので、ゆっくりと踏みながら体温を上げてアップしていく。睡眠はそれなりにとっておいたので、特に眠くなることもなく快調に走っていった。

登りもそれなりにあるからDHバーは外してきた。やっぱり平坦の速度は劣るけど、下ハンをメインに使って頭を下げ、それなりにエアロに走る。

そんなこんなで、無補給区間に入る手前、最後のコンビニに到着。

補給食を買い込み、腹ごしらえも済ませる。普段はカップ麺2つくらいは普通に食べるんだけど、今日はあまり胃腸の調子がよろしくない。

う~ん、この先大丈夫かな?あまり無理せず、食べられる量を胃袋に詰め込んで出発。増設したボトルに水を入れ、ジャージのバックポケットにはコーラを搭載しておく。

山あいに入っていくと、程なくして日が明けていった。

まだ時刻は4時になっていないのに空が白んでいくのだから、この時期は本当に日が長い。ずっと街頭なしの区間を走る僕としてはありがたいんだけど、もうちょっとナイトライドを楽しみたかったなと思ったり。

栗駒山に近づくにつれ、斜度がある登りが増えていく。山に入ってきた感が出ていいな。

道沿いの気温表示は14℃。想定通りだけど、これから標高を上げたらやや寒めだろうか。予報通り天候は良さそうなので、特別な心配は必要ない。良かった良かった。

 

3.栗駒高原3peaks

まずは1つ目のpeak「いわかがみ平」を目指す。

また少し標高を上げると、さっそく低木が目立つようになってきた。まだ標高は500mそこそこのはずだけど、こんな雰囲気になるなんて嬉しい誤算だ。

頭上を覆っていた雲も風に流され、徐々に青空が目立つように。これは最高の景色のライドになる予感…!

明るさが増してくると、周囲の木々に居る小鳥たちが鳴き始める。ここまで車は1台も見ていない。清々しい新緑の朝を独り占め。この辺りは路面も信じられないくらい良くて、ライド序盤から大満足。

もう少し進むと、栗駒山周辺のpeak1つ目「いわかがみ平」への道に入る。ここは登山口になっており、駐車場までのピストンコース。

ふと目線を落としガーミンを確認すると、ぐねぐねの九十九折が。なんかこういうのって、ルートを見るだけでちょと嬉しくなる。(笑)

徐々に高度を上げていく感じが溜まらない。次第に空は晴れ渡り、遠くまで見渡せるようになってきた。

斜度はさほどきつくなく、インナーでのんびり登れば息が上がらない程度。この先も長いので、脚力を消耗せずに走れるのは嬉しい限り。遠くを眺めながらご飯タイム。

うん、この夜明けのパチッとした青空に向かってヒルクライムする感じ。ふいに前に走った乗鞍のヒルクライムを思い出した。このまま空に飛んでいきたいと思ってしまう様な、そんな不思議は解放感に包まれる。早朝のヒルクライムって、どうしてこう気持ちがいいのだろう?

澄み渡る空気を吸って、頭も身体もスッキリ。体温も上がり良い感じにアクティブになってきた。

ああああ……。

期待以上のいい景色。遠くまで見渡せるパノラマが広がっている。

そして到着。駐車場はかなり広いが、今は数名の登山客のみ。土日はかなりにぎわうのだろうか。

奥に見える白いのは雪で、周囲の山々にも所々残雪が見られた。やはり気温はそれなりに低いらしい。

天気はどんどん良くなっていくので、ダウンヒルも最高だ。登ってきた時よりもっと良い眺めを見ながら、快調に九十九折をクリア。

新導入のタイヤ:ミシュランのパワーエンデュランスは、試走で感じた以上にグリップが凄い。正直、晴れの舗装路じゃオーバースペック…。ただ、そのお陰でどんなにバイクを倒しても無限にグリップしてくれる感覚があって、下りが凄く楽しかった。油圧ディスクで急ブレーキをかけてもリアが滑らないし、疲労してくる後半も安心して下れそう。

絶景のダウンヒルを堪能したあとは、再び農村を抜けて森の中へと入る。

山嶺をぐるっと回って、今度は違う側から栗駒山への登っていくのだ。

県境をまたいで岩手県へ。道路わきにこんな大木が沢山生えていて、森の深さの違いを感じる。僕よりもずっと長生きしている木も多いんだろう。

よくある杉の植林ばかりの山道よりも、こういう自然の色が強い道が好きだ。

日差しが強くなり気温も上がってきたが、緑が濃いお陰で路上は涼しい。何重もの枝葉が日光を遮り、木々の間からひんやりとした風が流れてくる。

幅員はかなり狭い場所も多いが、この道も車は殆ど通らない。聞こえるのはハルゼミの鳴き声と沢の流れる音。

と、不意に道路わきに水場が表れた。看板によると須川岳秘水:ブナの恵み」という湧き水で「平成の名水100選」らしい。これは嬉しいサプライズだ。

そのまま飲めるらしかったので、ボトルに水をためてゴクリ…。うん、美味しい!

真夏のヒルクライムとかで、頭からかぶったり思いっきり飲んだりしたらめちゃくちゃ気持ちいいだろうなぁ…なんて妄想をしたり。今回は持っている水の量には余裕があり、気温も想定通りなのでからのボトルは空のままにしておいた。無駄に重量を増やしても辛いだけだ。

標高を上げていくと再び視界が開け、高原っぽい雰囲気に近づいていく。

想定よりも圧倒的に路面が良いし、景色もバッチリ。道が緩やかなカーブを描きながら、山肌を縫うように線を描く。そこをなぞる様に流していくのが、もう堪らなく気持ちがいい。

あぁ…いい眺めだ。

相変わらず車はいない。虫と鳥の声がするのみだ。

こういう道なら、ヒルクライムが嫌いっていう人も、好きになってくれるんじゃないかな?なんて思ったり。最近僕の周りで自転車を始めた人もいて、この気持ちよさを味わってもらえたら嬉しいと思う。初心者にはキツイコースなのが惜しい。

この辺りも路面が良く、びっくりするくらい走りやすい。バイクに乗っていると視線はもっと高いので、低木越しに遠くの山々もよく見えた。

これなら、晴天の日にナイトライドとかも楽しそうだ。標高が高くて街からだいぶ遠いから、きっと綺麗な星空ヒルクライムが出来る。そんな妄想が自然と広まってしまう様な道だ。

高原のアップダウンを経てじわじわと高度を上げたのち、須川高原に到着!ここが2つ目のpeak。高原という名の通り、とても眺望が良い。

観光施設や宿泊施設?も少しあるので、そのあたりを絡めて走るのが「一番良いところ取り」かも知れない。

用がないのでスルーしたが、施設も綺麗そうでいい感じ。栗駒山の登山路やハイキングコースもたくさんあるみたいだから、次は登山も絡めて来てみたいなぁ。

再びダウンヒルをこなし、最後のpeakに向かって愛車を駆る。

ここまではそれなりに順調。獲得標高が4,000mくらいになってきたが、まだ脚には余裕がありそうだ。…いや、実際にはそれなりに疲れているんだけど、景色と道が良すぎて疲れを忘れているのと、エベレスティングのせいで獲得標高に関する感覚がバグってしまって、疲労を都合よくスルーしているのかも知れない。

「森の中に突然現れる人工建造物が好き」というのも、サイクリストなら共感してくれる人も多いはず。(笑)

お昼になり、気温もそれなりに上がってきたのでトンネルの日影が気持ちよい。途中、工事現場のおじさんたちに応援されながら登る。

そして、栗駒山の最後のpeak「湯浜峠」もクリア!斜度が緩くて短いので、峠というよりは丘くらいのイメージだった。看板の奥に見えるのが栗駒山。

さて、ここで栗駒山周辺エリアは終了。本当に気持ちのいい道だったなあ…。

この先は中距離で難易度の低いグラベルをいくつか通りつつ、山形県に抜けて帰路に就く予定。ここまで約200㎞獲得4,000m。前半戦は最高のライドとなったが、後半戦やいかに…?

つづく

後編はこちら

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