見た目がスポーツバイクっぽい激安バイク「ルック車」。その代表メーカーに「TOTEM」なるものがある。ネット上では「ルック車は買うな」といわれているけれど、僕はルック車も使い方によってはありなんじゃないかとずっと思ってた。
しかしその考えが、つい先日崩れ去った。ある日突然、走行中にフレームのダウンチューブが割れたのだ。
<目次> 1.フレームが割れたバイクはこれ 2.割れた時の状況 3.2年前に1度落車していた 4.やっぱり僕もルック車否定派に
1.フレームが割れたバイクはこれ
まずはそのフレームが割れたバイクの紹介。といっても、約3年前に買ったバイクだから同じ型のものはもう販売されていない。
一応同価格帯の商品のリンクを張っておく。↓
ブランドはTOTEMで、ルック車の中では結構有名な方じゃないだろうか。フレーム素材はアルミ。アルミの番手などの詳細は不明だが、超低価格なのを考えるとグレードは低いものだろう。
購入価格は3~4万円くらいで、もらったパーツや余ったパーツを勉強がてら組んで、街乗りバイクとして使っていた。
先に述べたとおり購入は約3年前で、もとは北海道にツーリングへ行った際、友人が乗っていたバイクだ。友人が乗らなくなったので貰い受け、それまでの走行距離は約1000km。一緒に走っていたから分かるが、事故等は無かった。
それからは通学や買い物の脚として使っていて、正確ではないが合計で4000㎞くらい走った。3年間の合計で考えると約5000㎞といったところ。
2.割れた時の状況
さて、フレームが割れた経緯だが、何の前触れもなくある日突然割れてしまった。
先にも書いた通り、このバイクは完全に街乗り用として使っていた。駅からの帰り道、家の近くの激坂をダンシングで登っているときに、右脚で踏んだ瞬間に「メキッ」という音がして、フロント周りがふわふわした変な乗り味になってしまったのだ。

流石におかしいと思い、すぐに降りて確認。すると、フレームのダウンチューブがヘッドの近くで割れていた。完全に切断はされていないが、右側~下側は間違いなく割れている。ほぼぐるっと一周だから、あわや破断というレベルだ。

登りの低速走行、かつトップチューブはつながっていてくれたので、フレームが割れたことによる落車はなく僕自身は怪我などはせずに済んだ。しかし、これが下りやスピードに乗っていた時に起こったと思うと怖い。割れの程度がもっとひどかったら、否応なく落車していただろう。

下側は溶接跡の辺りから割れている。綺麗にぐるっと一周というよりも、斜めに割れてきている。
ダンシングで斜めにねじられる方向に強い力がかかり、こういう割れ方になったのだろう。もし割れるタイミングが違っていたら、どんな感じになってたのだろう?
3.2年前に1度落車していた
いくら安価なバイクといっても、流石に走行距離5000㎞そこそこでフレームが割れるのは問題があると思い、あれこれ原因を考えた。
そして思い当たったのは、2年前の冬に一度落車していたこと。普通に平坦路をはしっていた時に、路面のギャップにタイヤを取られ、グローブを忘れていたために手がかじかんで対応しきれず落車した。

もちろんバイクへのダメージはチェックして、大丈夫そうと思いそれからも乗っていたが、何か僕に原因があったとしたらそれだ。落車の時のバイク(特にフレーム)へのダメージは簡単には分からないもので、X線検査でもしない限り絶対に大丈夫とは言えない。その落車で入ったダメージが、積もり積もって2年後の今明らかになったのかも知れない。

逆に言えば、それが関係ないのなら完全に不良品の類だと思う。フレームが走行中に割れるって、大事故につながる可能性もある危険なことだ。そんな製品=ルック車が世の中に出回っていると考えると、怖くてならない。
⇧ルック車ってたくさんあるみたい。
残念なことに、どの議論も推測の域を出ない。「一度でも落車したら、何年後何千km後にも突然フレームが割れることもある」という結論は否定できないし、「ルック車の製品管理や設計に根本的問題がある」との見方も出来なくはない。
4.やっぱり僕もルック車否定派に
結論はどうにも付け難いが、今回の件で僕がルック車に対して懐疑的になったのは言うまでもない。同じ時期に買って、もっとハードに長い距離を走って、同じく落車もしているGiantのアルミロードは今も健在だ。世の中のアルミフレームを見ても、そんなに簡単に割れるもんじゃないだろう。
ルック車は乗り味もそもそもの加工精度もパーツ構成も、かなりレベルが低い。はっきり言ってその価値は、絶対値的にもコスパ的にも有名メーカーのロードバイクに到底及ばないと思う。それなのに乗り続けてきた理由は一つ、盗難のリスクが非常に低いからだ。

スポーツバイクの盗難報告は後を絶たないし、まあ確かにいい小遣い稼ぎだよなと思う。その辺に止まっているロードバイクのカギは大抵簡単に破壊できるものだ。盗難防止が難しいなら、そもそも盗まれる対象外のバイクを使うのが合理的。
しかし製品そのものとしての安全性に不安が生じた今、それ以前の問題でルック車を使う選択肢がなくなった。もはや僕の中では存在価値がない子である。一定の需要があるのは理解できるけど、もっと大きな視点で見るといらない存在な気がしてしまう。
日常の脚としての自転車は選択が難しいところだし、初めてスポーツバイクを買おうと思うとその価格に驚くとは思うけど、あっけなくフレームが割れた以上ルック車はお勧め出来ない。僕のこの事例をどう捉えるかは個人の自由だけど、購入を検討している方は、ぜひ後悔のない選択を。
おわり