春から晴れて大学生。欲しいものが増えたし、友達と遊ぶお金もほしい。
ーよし、バイトをしよう。
恐らく大体の学生がこんなことを考えて、友達や先輩にあれやこれやと相談をし、ネットで調べ、何かしらのバイトを始めると思う。そしてその基準は、だいたいみんなこう。
「楽して稼げるバイトがしたい。」
だから大学内で飛び交うバイトの話は大体こんなもんだ。
「俺○○のバイト始めたんだよね~。時給1000円超えてんだよw」
「え、マジで?w
○○って良いって聞くけど、ほんとに楽なの?楽なら俺も始めてみようかな~」
「へぇ~。私がやってる××も結構いいよ?時給1200円で慣れれば楽だし」
基準は『キツさ』と『時給』のバランス。あえて否定的な書き方をしているけど、普通に考えてこれは至極当たり前の基準だ。そりゃ誰だって楽して稼げた方がいいに決まってる。
僕もそう思っているし、「学生は勉強や社会経験に努めるべきだ!」なんて言う気は全くない。(そもそもそんなことを言えた大学生活を送っていない…。)
だけど、一つだけ言いたい。
たかだか1000円前後の時給で、楽かどうかなんて考えること自体がナンセンスだ、と。
『自分の大学生活1年間を、876万円で売ってもいい。』
と言える人は、どれだけいるのだろう?
ーは?何の話?
と思った方。これは
時給1000円*24時間*365日=8,760,000円
からでできた数字だ。つまり、大学生活1年間をまるまるバイトに捧げた場合、貰えるお金。寝てる間はもちろん、友達と遊ぶ時間や恋人との時間、趣味の時間も全部バイトに捧げたとしても、1000万円にもならない。例えば高時給バイトをして、時給2000円だったとしても、たったの1752万円だ。
ー別に実際に24時間働く訳じゃないんだから、そんな話意味ないじゃん。
なんて指摘がありそうだが、僕が言いたいのはそういうことじゃない。「ただ楽をしたい」ということは、要は「時間だけが過ぎてくれればいい」ということだ。その場合、やっていることは時間の切り売り。
大学生活1時間を、1000円でバイト先に売っていることで、1000円/時というレートは8,760,000円/年というレートである。
そのレート安くない?ということ。
*このレートが高いと感じる方もいるかも知れないけど、高いか安いかは個人の価値観の問題で、僕は高いと感じる方を否定している訳じゃない。ただ僕は、そんなのごめんだと思う。
図にするとこんな感じ。
投入している労働力はバイトによって異なるけど、究極的に楽な仕事で、それが無視できるものだったとしても、大学生活の1時間は使っている。実際のバイトでは労働力を使うから、時間だけよりも投入量は大きくなる。
じゃあ得ているものは何だろう?もし目的がお金しかなくて、時給1000円だけだとしたら、さっきのレートの話になる。レートが安いと感じたなら、やっていることは人生の安売りだ。天秤の傾きがマイナスなバイトはしない方がいい。
ーとはいえお金は必要だし、自分が納得できるレートのバイトなんてそうそうない。
じゃあどうすればいいのか?
答えは簡単で、お金以外のものを得られるバイトを選べばいい。
大変でも自分の力が身に付きそうなバイトを選ぶのもいいし、特別な経験が出来るならそれは貴重な時間になる。憧れの先輩や気の知れた友達はお金じゃ買えないもので、もしかすると将来結婚する人と出会うかも知れない。
そして何より楽しいという感情は、最強だと僕は思う。だって遊ぶためなら時間もお金も労力も、惜しみなく投入しているじゃないか。現に僕は、バイト代を全部ロードバイクにつぎ込んで、長期休みを潰し、倒れるまで自転車で走り回るというバカなことをしてきたけど、やってよかったとしか思わない。結局楽しいならそれでいい。
これはバイトを選ぶ時だけの話じゃない。
たかだかバイトでも、得ようと思えば得られるものはたくさんあるはずだ。「もっと上手くできるんじゃないか?」「こうしたら楽しくなりそうだ」と考えてやってみれば、きっと得られるものが多くなっていく。
そうすれば上の図の右側=得るものが増えていって、重くなっていく。天秤の傾きが、自分がどれだけ得をしているかってことだ。どうせやるなら、得しちゃった方が良くない?
…というのが、僕がいろんな同級生を見てきて思ってきたことです。別にどんなバイトを選ぼうが、どう働こうがその人の自由だけど、僕は一緒に働く人は楽しく働いていてほしいなぁと、バイト先でも思っています。この文章が誰かの何かの足しになれば幸いです。
おわり