バイクパッキングで名高いブランドApidura(アピデュラ)の出がける、最新のハンドルバーバッグが『バックカントリー ハンドルバーバッグ』。使勝手の良い細部への配慮と、Apiduraらしい軽量・防水を実現したハンドルバーバッグだと思う。
今回は、このバックカントリー・ハンドルバーバッグを、実際に使用してみてのレビューをしていきたい。
<目次>
1.スペック
2.各部詳細
3.使用感
3-1.ちょうどいいサイズ感
3-2.アクセサリーポケットが超便利
3-3.汎用性が高く使いやすい
3-4.バックルが微妙に緩む
3-5.ドロハンで横出しバッグはアリか?
4.まとめ
1.スペック
まずはスペックからご紹介。
・サイズ:11L ・重量:270g(ベルトカット後実測263g) ・価格:16,720円(税込み) ・商品ページはこちら
Apiduraのバッグは使用目的に応じてシリーズ分けされており、このハンドルバーバッグは「バックカントリー」シリーズ。オフロードでの使用を念頭に設計されており、堅牢性や泥への対策を考えて作られたバッグだ。
他のシリーズや展開については、こちらの記事に書いているのでどうぞ。
同社のハンドルバーバッグには、ロード用で小型の「レーシング」、オールラウンドで大型の「エクスペディション」からも展開があり、バックカントリーはサイズ的に中間にあたる。
細かな寸法はこんな感じ(Apiduraより引用)。
日本では未展開の様だけど、本国サイトだと7Lのモデルもあるようだ。
注意点は、ハンドル~タイヤのクリアランス。ハンドル下にφ14㎝の円筒形のバッグがぶら下がる形になるため、ハンドル下~フロントタイヤまで、少なくとも15㎝はクリアランスが無いと取り付けは厳しいだろう。
ベルトをカットしてしまっているから、あくまで参考程度に……だけど、実測重量は263g。
公称270g通りと考えて良さそうだ。
2.各部詳細
では、各部を詳しく見ていこう。
本体は軽量な防水生地であるX-PAC(VX21)と、Apidura独自素材のヘキサロン(420D)の接着仕上げ。もちろん防水。
バックカントリーシリーズ独自の補強パネルは、840Dもの強固な素材で出来ている。
展開するとこのサイズ感で、結構大きい。
容量が11Lというのだから、その幅も納得できる。MTBなどのフラットバーをメインターゲットに作られたバッグだ。
グラベルロードなどのドロップハンドルだと、この位+αが現実的。
実質的な容量は6Lくらいと考えた方が良いだろう。
ハンドルへの取り付けは2本のベルト。ベルト内側には滑り止め&補強が縫い付けられている。
Apiduraのロゴと正面下側の黄色いマークは反射素材。
ドローコードが付いているので、ウェアなどを挟み込んで積載することが出来る。
下側にはオフロードを想定したバックカントリーシリーズらしく、補強パネルが付いている。ハンドルバーバッグはフロントタイヤからの泥跳ねをダイレクトに受けるので、この補強は合理的。
また、オプションのアクセサリーポケットを取り付けるバックルも覆いが付いていて、泥から守ってくれる仕様だ。
アクセサリーポケットはこんな感じ。バックル三点でハンドルバーバッグに固定する。
内部はこんな感じ。特別視認性の高い仕様ではないけど、グレー部分が多いので悪くはないだろうか。
とはいえ、他のバッグに比べ内部を直接覗くことが少ないから、そもそも特に問題にはならなそう。
付属するハンドル・トップチューブへの固定ベルトは異様なほどの長さだった。
このベルトはある程度長さが有った方がバッグの固定がし易いから、多少は長めにとった方が良いんだけど……これはちょっと長すぎなので、僕はカットして使用している。
ちなみにカットする際は、切り口を斜めに切って、かつライターで炙る等しておくと、ほつれず使いやすい。
3.使用感
では、キャンプツーリング等での使い勝手をいろいろと。
3-1.ちょうどいいサイズ感
まず前提として……という話だけど、バイクパッキングで使用するバッグは、
⑴ どのバイクに? ⑵ 何を入れるために?
という、細かな目的ありきで選んだ方が満足度が高い。僕の場合、このハンドルバーバッグは
⑴ ロードバイクとグラベルロードの両方で使用 ⑵ 3シーズンシュラフと小物系を入れる ⑵ トレラン用のシューズ、ハイドレーション等を入れる
という基準で選んだ。僕の用途に対し、「Apidura:バックカントリー・ハンドルバーバッグ」がジャストサイズだったのだ。
例えば、収納しているのはこんな装備。
・モンベル:ダウンハガー800#3(4℃対応シュラフ) ・アルファ米、レトルト食品 ・防寒小物など
テントを設営して一息つき、冷え込んできた頃合いに使用するあれこれをまとめたイメージ。使用する場面が同じ道具をまとめてパッキングしておくと、いざ使う時にスムーズだ。
この手のハンドルバーバッグは、大型サドルバッグほどパンパンにする必要はないけれど、最低限は中身を詰めておかないと荷物が暴れてしまう。
もう一回り大きい「エクスペディション」シリーズを選んでおこうかとも思ったけど、バッグの直径が大きくなれば、その分スカスカにもなりやすい。500g前後の3シーズンシュラフや、ローカットシューズ等を収納するには、この大きさがジャストだった。
3-2.汎用性が高く使いやすい
サイズ関連で話をすれば、ハンドル~フロントタイヤの距離も重要な要素だ。
ロードバイクでのバイクパッキングにも対応して欲しかったので、この距離は結構シビアだった。僕のバイクはロードバイクの中でもかなりハンドル位置の高い方だけど、それでもこの距離感。
裏を返せば、スリムなサイズ感のバックカントリー・ハンドルバーバッグだからこそ出来る使いまわしである。
もちろん、防水性に心配はないので、雨の日のグラベルライドでだってガシガシ使える。今まで持っていたフロントバッグは防水性に難があったので、どんなシチュエーションにでも持ち出せる気軽さは良いなと実感した。
荷物の量や形状にも囚われないロールアップ式の固定だから、装備量の増減にも対応し易い。僕のよくある使い方は、帰りにゴミを追加で突っ込むやり方。サドルバッグほどパッキングに気を遣わないからこその運用でもあって、こういう容量の「ちょい足し」が簡単に出来るのはキャンプツーリングで強い味方となる。
3-3.アクセサリーポケットが超便利
実はこのハンドルバーバッグを選んだもう一つの大きな理由が、セットで使用できるアクセサリーポケットを使いたかったから。
3つのバックルを差し込むだけなので簡単に固定ができて、4Lの大容量。
しかも、口が上から大きく開くので、走行中も出し入れが凄くし易い。横からロールして荷物にアクセスするハンドルバーバッグの弱点を、これで補える訳だ。詳しくは別の記事でアクセサリーポケットをレビューするけど、これを使えるだけでも導入してよかったと思う装備と思える。笑
こんな風に、一眼レフすらすっぽり飲み込むサイズ感。
3-4.ベルトが微妙に緩む
残念なポイントとしては、ハンドルバーに固定するベルトが若干緩むこと。
そんなに致命的な緩みじゃないものの、300㎞クラスのライドをすると、やっぱり微妙に緩んでバッグが1㎝+αくらい下がってしまった。
この「ラダーロック」と言われるタイプのベルトは、やhり円形のパーツに固定するのに向かないのだとつくづく思う。詳細はこちらの動画で話しているので、よろしければどうぞ。
3-5.ドロハンで横出しバッグはアリか?
ドロップハンドルでこの手のバッグを使用するとき、大きく2つの問題がある。
⑴ ハンドル幅に制約があり、容量が小さくなる ⑵ 下ハンが邪魔で、荷物の出し入れがしにくい
これらの問題が厄介で、僕はドロハンで使用するなら、横から出し入れするタイプのフロントバッグは避けてきた。
どうせバッグをハンドルから外さないと出し入れ出来ないならと、ドライバッグをVoileストラップ等でハンドルバーに直接固定する方法を使うこともしばしば。実はこの方法も結構便利で、重量も合計150g程度とApiduraの270gに対しかなり軽量だ。
また、Apiduraのレーシングシリーズで出ているフロントバッグには、上と前から荷物を出し入れするタイプがあった。特にロードバイクなら、このタイプの使い勝手が良いだろう。(↓)
「じゃあどうして、バックカントリー・ハンドルバーバッグを使用しているのか?」というと、理由は2つ。
⑴ パッキングが適当でもいいから ⑵ アクセサリーポケットとの併用が便利だから
先程ご紹介したドライサックを縛る方法は、ドライサック内に荷物をしっかりと詰めないと、すぐ型崩れして固定がままならなかった。また、Apiduraのレーシング・ハンドルバーバッグは、容量的に3シーズンシュラフやシューズは入らない。
アクセサリーポケットと併用することで、レーシング・ハンドルバーバッグの使い勝手と、ドライサック式の容量を維持し、更にパッキングも楽にできる訳だ。
こう書くと最強な様に見えるけど、もちろんデメリットだってある。
やっぱり荷物の出し入れはしにくいし(末広がりなフレアハンドルならまだマシだけど)、重量だってアクセサリーポケット込だと実測424gもする。完璧とは言えない。
だから、ライドのスタイルや使用するバイク、荷物の量といった全体の計画に合わせて、最適な構成を選ぶのが良いだろう。
これはあくまで僕の個人的な見立てだけど、もし仮に「とりあえずドロハンで、ハンドルバーバッグを1種類だけ持つなら?」と聞かれたら、
・バイクパッキング初心者の方⇒バックカントリー・ハンドルバーバッグ+アクセサリーポケット ・パッキングに慣れている方⇒ドライサック+Voileストラップ
が良いのでは?と思う。技術でカバーできるならそれでいいし、まだ使用する装備も固まっていないなら、このバッグは非常に魅力的なはず。
4.まとめ
以上、Apiduraのバックカントリー ハンドルバーバッグをレビューしてみた。
全体として完成度が高く、使い勝手が良いバッグ。防水、軽量、堅牢、機能的と、優等生的な存在のフロントバッグと言えるだろう。サイズ感もちょうどいいし、オプションのアクセサリーポケットも素晴らしい。
あとはご自身のバイクや荷物にフィットするか、用途に合っているか次第なので、ご購入の際は寸法等をよくご確認して頂きたい。
おわり