装備レビュー

【購入インプレ】『モンベル:バーサライト サイクルパンツ』超軽量レインパンツの紹介

自転車用のレインパンツ選びは難しい。

ジャケットより使用機会が少ないから安く抑えたいし、それでいてGore-Texの様な透湿性がないと不快で、雨予報の日に気軽に持ち運べるコンパクト性も欲しい。しかも、裾の長さや形状も大切……。

そんなあれこれの悩みを数年抱え、ついに新たにサイクリング用のレインパンツを購入した。モンベル(mont-bell)の『バーサライト サイクルパンツ』だ。122gと超軽量コンパクトながら、高性能を謳っている。この記事では、そのレインパンツ購入の経緯やインプレを書いていきたい。

<目次>
1.スペック
1-1.Gore-Tex Infiniumについて
1-2.裾丈の違いについて
2.各部詳細
3.インプレ
3-1.サイズと着用感
3-2.実走感
4.まとめ

1.スペック

まずは、モンベル:バーサライト サイクルパンツのスペックをご紹介していこう。

スペック

・サイズ:XS~XL(男女共通)
・重量:122g(Mサイズ実測121g)
・価格:15,290円(税込み)
・耐水圧:20,000㎜
・透湿性:43,000g/㎡・24hrs
商品ページはこちら

 

モンベルは言わずと知れた日本の総合アウトドアブランド。

特に山岳系が強く世界のトップブランドと競合する性能ながら、驚くほどの低価格を実現している。個人的には、レインウェアとシュラフの価格はぶっ壊れているとしか思えない。(笑)

モンベル公式より引用

モンベルはこの頃サイクル用品にも力をいれていて、このバーサライトサイクルパンツは自転車用のレインパンツで最も軽量かつコンパクトに携行可能なモデル。僕もその特徴に惹かれて購入した。

 

1-1.Gore-Tex Infiniumについて

実はこの「バーサライト」は、レインウェア界隈の中でもちょっと異質な存在だ。

というのも、Gore社が展開するブランドのうち、一般的なレインウェアに用いられる「Gore-Tex」ブランドの製品ではなく、「Gore-Tex Infinium」というブランドの製品だからだ。

*ちょっとややこしいけど、「Gore-Tex」とか「Gore-Tex Infinium」という表記はあくまでGore社のブランドで、Gore社としてそのブランドたる性能を保証できることを表している(Gore社が製品をテストして、認められたものだけがあの四角いタグをつけられる)

 

この2つの違いをざっくり分けるなら

・普通のGore-Tex:耐久力の高い防水透湿。製品にシームテープ処理などを施した完全防水の製品。黒いタグ。
・Gore-Tex Infinium:完全な防水にとらわれず、快適性を重視。防風、撥水で小雨程度を想定。白いタグ。

つまり、バーサライトシリーズに用いられている「Gore-Tex Infinium」は、そもそも完全防水を必要とするレインウェアに用いられる想定の製品ではない。

 

それでも、Gore-Tex Infiniumのメンブレン自体は防水・透湿性のあるものなので、レインウェアとしての防水性能は保たれているらしい。

個人的な解釈も合わせて説明すると「通常のGore-Tex製品では軽量・コンパクト性に限界があるから、Gore-Tex Infiniumをモンベル独自にシームテープ処理をしてレインウェアとして使えるようにしよう!」というのがバーサライト。事実、それによりGore-Texの中でも軽量なシリーズ(PacliteやActive)よりも更に軽量な製品に仕上げられている。

*バーサライトは、Gore-Tex Infiniumのメンブレンを使っているためGore社のブランド的に防水を保証するものにはならないけれど、モンベル側のテストでは「耐水圧20,000㎜、透湿性43,000g/㎡・24hrs」というかなり高レベルな性能を誇っている。

 

1-2.裾丈の違いについて

僕がバーサライト サイクルパンツを購入した大きな理由の1つが、実はこの裾丈の長さ。

残念ながらモンベルのウェアは僕の体型に全く合わず、レインパンツも丈が短くて履けなかった。登山用モデルには通常より6㎝丈が長い「ロング」というサイズ展開があるんだけど、自転車用にはそれがない。

(↑)モンベルのサイズ表。僕はMロングがジャスト。(HPより引用

しかし、店舗で実物を見るとバーサライトだけが裾が長く見えた。これはひょっとしてと思い、店頭のレインパンツの裾丈を測ってもらったところ、驚くべき違いが発覚した。

Mサイズの股下実測は以下の通り。

・登山用:72~73㎝
・登山用ロング:78~79㎝
・サイクル用:77㎝
・バーサライトサイクル:80㎝

Mサイズのウエストは76~81㎝。このウエストと長さの比は、Gore Bike Wear等の細身と言われる海外ブランドのパンツと同じである。この差異が意図的なものか否かは分からなかったけど、結果的に僕の探し求めていたサイズ感であり、その場で即決購入したわけだ。

 

2.各部詳細

続いては各部を詳しく。

生地感は非常に薄く、表面は艶がありツルツルしている。擦るとシャカシャカ音がなるタイプだ。

前述したモンベルのバーサライトシリーズ共通のもの。

サイクリング用らしく、裾はベルクロで縛れるようになっている。

他のラインナップ(普通のGore-Texのやつや、独自素材のDrytecのやつ)は、ここにジッパーもあるのでシューズを履いたまま脱ぎ履き出来る。このバーサライトは軽量性に特化しているのでジッパーは無し。

銀色の部分は反射材。凄く目立つ位置なので有難い。

股~お尻部分は、サドル擦れ対策の補強で別素材になっている。

ここも有難いところで、流石にお尻も同じ素材だとサドルと擦れてすぐダメになりそうだ。通常の山岳用モデルより価格は上がってしまうけど、サイクリング用のレインパンツを選ぶ理由の1つである。

ウエスト部分はゴムが入っているのでサイズ表通りのウエストなら適度に止まるけど、ずり落ちが気になる際は紐で縛ることもできる。

スタッフバッグが付属し、収納するとこんな感じ。

ちょっと平べったく潰しているので、高さは写真の見た目より低い。本当にびっくりするくらい小さくなり、レインウェアの常識を覆すサイズ感だ。

スタッフバッグ込み、Mサイズの実測重量が130g。スタッフバッグ単体が9gなので、レインパンツのみなら121gで公称の122gより軽量だった。

一般的な構造のレインウェアでは最軽量級な「モンベル:サイクルレインパンツ」だって200gなのを考えると、実に40%の軽量化は驚くべきことである。

 

3.使用インプレ

まだ本格的な雨天ロングライドでは使っていないけど、着用感や雨の日に数時間乗ってみた感想を書いていきたい。

3-1.サイズと着用感

先ほども書いた通り、バーサライト サイクルパンツは裾丈が少し長くそれがお気に入り。逆に長すぎるのではと心配な方もいらっしゃるかも知れないけど、裾を縛れるのでそこまで問題にはならないと思う。

着用サイズはMサイズ。身長177㎝、体重68㎏、ウエスト76㎝、股下83㎝。

本当はウエストや太もも周りのフィット感的にSサイズが良かったんだけど、裾丈の長さを優先してMサイズにした。太ももはそんなに風でばたつかないので、雨に対する防御力を優先した形だ。

 

3-2.実走してみた

数時間の雨天ライドでテストしてみた感じは、当初の期待よりも良かった。

というのも、いくらメーカーが「防水です」といったところで、Goreブランドで非防水の「Infinium」であることが、どうも気になっていたのだ。

数時間雨に打たれた程度では、もちろん浸水はせず十分に機能を果たしてくれた。まだ新しくて撥水材の効果が高いというのもあるかも知れないけど、防水というのに間違いはないのだと思う。下りでそれなりに飛ばしてもみたので、20,000㎜という高い耐水圧もある程度は信用できる。

また、43,000g/㎡・hrsという透湿性もなるほどと納得。以前は15,000g/㎡・hrsのレインパンツを使っていたんだけど、汗っかきな僕にはすぐウェアがびしょびしょになってダメだった。それこそ、「これならレインパンツ履く意味ないんじゃ?」というレベル。

このバーサライト サイクルパンツだと、その蒸れがかなり解消された。体感で40,000~50,000g/㎡・hrsのレインジャケットとそん色ない蒸れ感なので、それなりにライドで実用出来る透湿性だと思う。

直立状態では太すぎると感じたシルエットも、太もも周りなら走行中も風になびきにくいらしく、バタつくことなく走れた。むしろ多少の空間があったほうがウェア内を換気できて良いので、このサイズチョイスも良かったかも知れない。

 

4.まとめ

以上、簡単ではあるけれど、モンベルのバーサライト サイクルパンツの購入インプレをしてみた。

驚くほど軽量・コンパクトなのに加え、レインウェアとしての性能も十分高い。雨天ライドで着用することはもちろん、お守りも兼ねてロングライドで輪行用や宿用のパンツとして常備する使い方もしていくつもりだ。

まだまだ使い込めていないのでネガが見えていない可能性は十分にあるけれど、今のところかなり満足している。これから使い込んでいくのが楽しみなウェアだ。

おわり

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